問い合わせ対応にチャットボットを導入するメリットとは?よくある課題や事例を紹介
目次
そもそもチャットボットとは
チャットボットとは、問い合わせに対してテキストで自動対応できるシステムです。あらかじめプログラムされた質問と回答の組み合わせによって、入力に対して適切な回答を選んで自動出力して表示します。チャットボットはFAQ情報を利用者に対話式で提供できるシステムで、問い合わせ対応の方法として導入が進んでいます。
関連リンク:チャットボットとは?導入するメリットと効果を事例を合わせて解説
https://sms.supership.jp/blog/sonota/240304/
問い合わせ対応業務で起こりがちな問題点
チャットボットは問い合わせ対応業務の問題点を解決するのに有効なシステムです。ここでは問い合わせ対応業務でよく起こっている問題を解説します。
問い合わせ対応が追い付かずに顧客を待たせてしまう
電話による問い合わせ対応をしている場合には、対応が追い付かずに相手を待たせる待ち呼がよく発生しています。顧客からの電話では、いつまでもつながらないと機会喪失になってしまう可能性もあります。既存顧客を失うことにもなりかねないので対策が必要です。
メールでも大量の問い合わせが来ているとすぐに回答するのが困難です。問い合わせ対応によって他の業務が滞ってしまうトラブルが起こる可能性もあります。問い合わせをできるだけ減らしたり、簡単な質問内容には自動で回答できるようにしたりする工夫が必要です。
特定の担当者の負担が大きくなる
問い合わせが特定の担当者に集中する問題はしばしば発生しています。属人化しやすいのは問い合わせ対応の特徴です。繰り返し問い合わせをする人は、事情を理解している同じ担当者に対応してもらいたいと考えるからです。新しい内容の問い合わせも同じ担当者に対応してもらいたいと思われることが多いため、優秀な担当者に仕事が集まりやすく、負担が大きくなるのが問題です。
担当者が休みで対応できないと顧客にとっては不満につながります。また、担当者が退職してしまうと引き継ぎが大変なだけでなく、顧客が新しい担当者に満足できずに離脱する場合もあります。
担当者による回答の違いが発生する
顧客が問い合わせたときに担当者によって回答内容が変わってしまうのも問題です。問い合わせの内容に対して回答が定型化されていないと、それぞれの担当者の知識や経験によって回答する形になります。例えば、製品のカスタマイズの相談があったときに、ある担当者は「できる」、別の担当者は「できない」といった真逆の回答をする可能性があります。
問い合わせへの回答の違いは顧客とのトラブルが発生する原因になります。「昨日問い合わせたときには対応できると言っていたのに、どうしてできないのか」といったクレームも発生する可能性があるからです。
属人的になってナレッジの共有が進まない
問い合わせ対応が山積みで、業務に追われている状況が続くことも問題です。問い合わせの内容や対応方法、結果などを共有すれば、顧客が満足する対応を他のスタッフもできるようになりますが、情報を発信する時間もなく、情報を受け取ったとしても詳しく見ている余裕がないというのが問い合わせ対応でよくある問題です。結果としてナレッジは共有されず、問い合わせ対応の属人化が進んでしまいます。
問い合わせ業務の負担を軽減したり、情報共有をしやすい仕組みを整えたりしなければ解決は難しいでしょう。
問い合わせ対応にチャットボットを導入するメリット
問い合わせ対応では、チャットボットを活用することで業務の質を総合的に向上させることが可能です。チャットボットを導入する代表的なメリットは以下の通りです。
- 顧客が問い合わせをするチャネルが増える
- 24時間、365日のリアルタイム対応ができる
- 問い合わせ対応の負担を減らせる
- 問い合わせのデータを蓄積して共有や活用ができる
- 定型的に問い合わせに回答できる
- 有人対応と連携できる
- 顧客満足度や従業員満足度の向上につながる
内外的にメリットがあるのでチャットボットは導入価値があります。自社の課題と照らし合わせてメリットが大きいなら前向きに導入を検討しましょう。
チャットボットの導入事例
チャットボットは各社で導入が進められています。ここではチャットボットによって問い合わせ対応の課題解決をした事例を紹介します。
小田急電鉄株式会社
小田急電鉄株式会社では顧客サービスの品質向上と業務効率化が課題でした。同社ではカスタマーサポートによる問い合わせ対応を有人で処理してきましたが、9~17時の営業時間内しか対応ができない状況がありました。そこで、同社ではDXが進む現代に合わせた対応を目指してチャットボットを導入しました。
チャットボットをホームページに導入して、パソコンでもスマートフォンでも利用しやすいデザインに仕上げています。同時に問い合わせの電話番号を削除し、チャットボットへの導線を明確にしました。個別回答数が大幅に削減されて、平均返答率も90%を超える水準にすることに成功しています。24時間の問い合わせにも対応し、車内環境や係員の対応などの意見も受け付けられるようにして幅広くチャットボットを活用しています。
参照:個別回答数、対前年比大幅削減!チャットボットがもたらしたご意見・ご要望、お問い合わせ対応の改善。小田急電鉄の取り組みに学ぶ、お客さまサービス品質の向上と業務効率化の両立の秘訣とは(小田急電鉄株式会社) – ユーザーローカル人工知能チャットボット 導入事例
https://chatbot.userlocal.jp/document/casestudy/odakyu
社会医療法人愛仁会
社会医療法人愛仁会では人事業務での属人化と人手不足、業務負荷の大きさが課題になっていました。職員からの問い合わせ対応は多く、複雑な問い合わせがベテランの担当者に集中しやすいことが問題でした。同院ではチャットボットの導入を以前検討したことがありましたが、FAQの作成に工数がかかることが課題になって断念していました。そこで、AIでFAQを自動生成するシステムを導入することで課題を解決し、チャットボットの本格導入を決めました。
同院ではチャットボットの導入によって属人化の解消が見られています。また、AIでの自動生成によるFAQの充実も進められているため、個別性の高い問い合わせ以外は対応できるようになってきています。また、同院で導入していたTeamsも連携し、活用を進める傾向も強まり、業務効率を全体的に向上させることに成功しました。
参照:社会医療法人愛仁会 ― 院内で発生する問合せ対応の見える化を実現!ナレッジ蓄積とGPT連携からのFAQ生成で属人化の解消へ
https://aisaas.pkshatech.com/success/aijinkai
株式会社稲葉製作所
株式会社稲葉製作所では、取引先からの問い合わせ対応力の強化が課題でした。ニーズの多様化に伴い顧客からの問い合わせも増加・多様化し、的確な回答をすることが難しく、営業部門と開発部門の業務負担が大きくなっていました。また、商品ラインナップの複雑化により、人力ではすべてをカバーするのが難しい状況であったことや、営業所が多く、情報共有が進んでいないことも問題でした。
同社ではチャットボットを導入し、ナレッジの共有を進めるとともに、専門的な内容にも迅速に回答できるようにしました。これにより、営業部門がチャットボットを通じて速やかに専門的な問い合わせに回答できるようになり、取引先からの問い合わせへの回答スピードも向上しました。さらに、営業部門から開発部門への問い合わせを減らし、両部門の業務負担を軽減することにも成功しています。
参照:OfficeBotを活用した、自社製品に関する知識力向上・問い合わせに対する自己解決向上の秘策とは!? | 社内データと対話する生成AI 法人向けRAG OfficeBot
https://officebot.jp/interview/inaba
株式会社快活フロンティア
インターネットカフェやカラオケボックスなどの事業を展開する株式会社快活フロンティアでは、店舗数や来店者の増加に伴って、顧客満足度の高いサポートを提供することが課題となっていました。同社では昼間しか問い合わせ対応をしていませんでしたが、「快活CLUB」など同社の店舗の一部は24時間営業をしています。この課題の解消に向け、24時間365日いつでも顧客の問い合わせに対応できるよう、チャットボットを導入しました。
同社ではチャットボットの導入後、1ヶ月で34,000件の問い合わせをチャットボットが対応しました。電話・メールによる有人対応の問い合わせが2,000件程度だった状況を考慮すると、チャットボットが業務負荷を大幅に削減することに成功したといえます。同社でもともと持っていたFAQや問い合わせ内容の履歴を活用できたため、短期間で効率的にチャットボットを導入できています。
参照:チャットボット導入で顧客問い合わせ対応の拡充を実現した事例|RICOH Chatbot Service
https://promo.digital.ricoh.com/chatbot/case/kaikatsu
社内での問い合わせ対応におけるチャットボットの活用方法
チャットボットは社内問い合わせにも対応できるのがメリットです。ここでは社内での問い合わせ対応でチャットボットを活用する方法を紹介します。
社内問い合わせ対応の自動化
社内問い合わせではチャットボットによる自動対応により、迅速な対応が可能になります。電話やメールで問い合わせをする代わりに、チャットボットに問い合わせて確認すればすぐに回答を得られるからです。定型的でよくある質問にはチャットボットが的確に回答できます。社内問い合わせでチャットボットを導入して自動化に取り組むと、多くの部署で業務効率の向上につながり、従業員満足度も向上させられるのでおすすめの方法です。
24時間の問い合わせ対応の実現
チャットボットを導入すれば、社内での問い合わせ対応を24時間体制にできます。平日の9時~18時といった一般的なビジネスの時間だけでは、すべての社内問い合わせに対応できるわけではありません。残業や休日出勤をしている人の問い合わせに対応することも重要です。海外の取引先がある場合には夜間や早朝の打ち合わせがある場合もあります。チャットボットなら夜間や早朝でも回答できるので便利なツールになります。
ナレッジの共有
チャットボットはナレッジの共有を促進するツールとして活用できます。チャットボットに従業員が持っているナレッジを登録していくと、関連する質問をしたときにそのナレッジが回答に表示されるからです。業務が忙しくて情報共有をするのが難しい場合でも、チャットボットを通してナレッジを共有できます。チャットボットによる対応内容もデータとして記録できるため、ナレッジだけでなく問い合わせ対応の属人化を防ぐことが可能です。
業務負担の軽減
コールセンターやヘルプデスクなどの問い合わせ対応が主要業務の部署では、チャットボットで業務負担を軽減できます。顧客が問い合わせをしたいと思ったときに、電話やメールだけでなくチャットボットも選択肢になるからです。チャットボットに問いかけて解決してくれれば、従業員による個別対応は基本的に不要になります。コールセンターだけでなく、人事や経理などの問い合わせが多い部署でも業務負担を減らすのにチャットボットは有効なツールです。
AIによる精度の向上
チャットボットはAIによって問い合わせ対応の精度を上げられます。社内問い合わせをしても、意図に合った回答が得られないというトラブルはチャットボットで時々起こりますが、AIを搭載して回答に必要な情報をインプットして学ばせていけば、従業員満足度の高い回答を高い精度で出せるチャットボットにすることが可能です。専門的な内容でもチャットボットに聞けば営業担当者や販売担当者が答えられるくらいに育て上げることもできます。
法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」
チャットボットは問い合わせ対応の負荷を軽減し、迅速な回答を求める顧客のニーズに応えるシステムです。しかし、チャットボットだけでは対応しきれない部分もあります。そこで、フォローアップには迅速かつ伝わりやすいSMSの使用をおすすめします。SMSはスマートフォンに届き、通知が表示されることが多いため、迅速な顧客フォローが可能です。「KDDI Message Cast」は、簡単にSMS送信ができるサービスなので、導入を検討してみましょう。
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まとめ
チャットボットはテキストベースで問い合わせに自動対応できる便利なシステムです。問い合わせ対応業務の負担を軽減できるだけでなく、顧客や従業員の満足度も向上させられます。チャットボットは社内でのナレッジの共有やFAQの充実にも活用できるメリットがあります。ただし、チャットボットを導入するときには利用者が回答にたどり着けなかったときのフォローアップが必要です。SMSは迅速な対応ができるので活用を合わせて検討しましょう。