業種:保険業界

保険業界ではDXに取り組む事例が増えています。デジタル化が進む現代社会では保険業界を取り巻く環境が変化しました。日本でも海外でもDXの推進による改革が進められています。この記事では保険業界におけるDX事例をご紹介します。

保険業界のDXとは何か

保険業界のDXとは、デジタル技術の活用によって保険ビジネスに変革を起こすことです。DXは保険業界に限らず、あらゆる業界で注目されている取り組みです。2018年に経済産業省によって重要性が指摘されてから、日本でもDXが活発に推進されるようになりました。

保険業界のDXではインシュアテック(Insurance(保険)+Technology(技術)の造語)が海外で生まれ脚光を浴びています。保険はデータに基づくサービスが多いため、デジタル技術の活用による業務の品質向上や効率化、コストの削減などを実現しやすい業界です。AI技術によって新しい保険サービスを生み出している事例もあり、競争力のある企業に成長するために重要な取り組みになっています。

保険業界のDXが重要な理由

保険業界のDXは世界的に活発な取り組みが進められています。ここでは保険業界の企業でDXが重要な理由を解説します。

​​関連リンク:DXはなぜ必要なのか?効果や必要性、進め方を徹底解説
https://sms.supership.jp/blog/dx/why-is-dx-necessary/

顧客の動向をリアルタイムで把握するため

保険業界でDXが必要なのは、消費動向や日常行動が急速に変化する世の中になり、顧客の動向をリアルタイムで正確に把握する必要性が高まっているからです。インターネットやスマートフォンの普及によって、顧客は情報に敏感になりました。保険の見直しや乗り換えもオンラインで完結できる時代です。顧客ニーズに合わせて新しいプランを提案し、常に期待に応えるサービスを提供することが顧客維持には欠かせません。

顧客獲得競争に勝つため

保険業界では顧客獲得競争が激化しています。DXが重要なのは、他の保険会社とは違うサービスを提供することで、選ばれる保険会社になる必要性が高いからです。他社と同じような保険商品を提供しているだけでは顧客が自社を選ぶ理由がありません。例えば、LINEでいつでも相談できるといった他社とは違うサービスを提供すると、競争力の強化につながります。デジタル技術の活用によって独自の保険ビジネスを創出すれば成功に一歩近づくでしょう。

顧客の個人的なニーズに対応するため

保険に加入する理由は人によって違います。顧客の個人的なニーズに対応するには顧客情報の管理と活用が必要です。年収や職業、年齢などによってどのくらいの補償が必要と考えるか、保険料がいくらまでなら許容できるかは異なります。パーソナライズされた保険商品を作成するなど、顧客に喜ばれるサービスを考案して提供することで競争力が生まれます。生活様式が変化して個人のニーズが多様化している現代社会に対応するにはDXが必要です。

保険業界をDX化するメリット

保険業界ではDX化すると業務効率を向上させ、新しいビジネスを生み出して成長し続ける企業になる可能性を切り拓けるのがメリットです。特に保険業界のDXでは業務効率化を最初の糸口として取り組みを始めている傾向があります。

例えば、保険業界では契約書や請求書などの書面の取引が多いですが、デジタル書面で取引をすれば郵送や対面での手続きが不要になります。手書きの申込書をシステムに手入力するとミスが発生するリスクがありますが、顧客に電子的に入力してもらうとミスを防げます。

顧客データを管理して業務システムと連携すれば、パーソナライズされたサービスを自動選定することも可能です。DXをすれば長時間かかっていた業務を短時間で済ませられるようになります。

保険業界におけるDXの取り組み事例

保険業界では国内外でさまざまなDXの取り組みが進められています。ここでは日本と海外での取り組み事例を分けて紹介します。

関連リンク:業界別のDX事例15選 DXが各業界にもたらす影響や変化とは
https://sms.supership.jp/blog/dx/dx_jirei15/

日本の場合

オンライン手続きの対応

保険サービスにオンライン手続きを取り入れると、顧客が店頭に来なくても速やかに手続きできます。申込書類の作成や必要書類の提出、保険証の発行などをすべてオンライン化して、郵送の必要すらない利便性の高いサービスを提供している事例も多くなりました。顧客にとって便利で手続きをしやすいだけでなく、手書きの書類を処理する必要もないので保険会社の従業員にとっても業務負担を軽減できるDXの取り組みです。

オンライン保険相談の実施

オンラインでの保険相談による営業活動のDXはコロナ禍で急速に浸透しました。保険の見直しや新規加入をしたいときにも、対面での相談に不安を感じる時期だったからです。店頭でのカウンターセールスよりも顧客にとって敷居が低く、気軽に相談できるメリットがあります。保険会社の従業員もリモートワークができるので、働き方の自由度を高めて従業員満足度を向上させるのにも効果的な施策です。

ポイントサービス・会員サービス

顧客の契約継続を促す目的で共通ポイントサービスや会員サービスを導入している事例もあります。ポイントをもらえるというだけで、他社に比べると付加価値が生まれるからです。保険料に対するポイント還元があるだけでなく、自社のサイトやアプリで提供しているコンテンツを利用するとポイントが付与されるサービスを提供しているケースもあります。顧客との接点を増やしてファンに育て上げられるDXの取り組みです。

保険料のAI査定

保険会社では申し込みを受けたときに査定をして保険料や保険金を決めます。自動車保険なら過去の事故の状況や他社での契約期間などを加味して適正な金額を算定するのが一般的です。従来は人の手でおこなっていた査定をAIによって査定するDXをしている事例もあります。AI査定によってオンラインで24時間いつでも査定結果を出せるようになったことを生かし、顧客が金額を速やかに確認できるサービスを提供しているケースもあります。

データに基づくサービス開発

データの活用はDXにおける重要な観点です。保険業界では顧客データに基づくAI査定やパーソナライズされたプランの提案などもおこなわれていますが、公共データに基づくサービス開発も進められています。例えば、自然災害のリスクが大きいときに、火災保険に加入しておきたいと考える人は増えるでしょう。リスク情報を統合して対策としての保険の加入や見直しをする導線設計をするDXの試みが検討されています。

リアルタイムの法制対応

保険業界では法制改正への対応が求められます。「金融サービスの提供に関する法律」の改正では2021年に一般社団法人日本損害保険協会が対応の考え方についてのガイドラインを整えて注意喚起をしています。他にも経理や人事なども法改正への対応が必要です。DXによってクラウドサービスを導入すれば法律を遵守する対応が迅速にできます。社会の目まぐるしい変化に対応する方法として取り組まれているDXです。

参照:「金融サービスの提供に関する法律」への対応の考え方 |日本損害保険協会
https://www.sonpo.or.jp/about/pdf/action_kinyuservice.pdf

システム連携による業務効率化

業務システムを連携させる業務効率化のDXは保険業界で重要な取り組みです。会計ソフトや人材管理システムなどのバックオフィスの業務システムの連携・統合が典型的です。また、保険業界では保険会社が個別に使用している保険業務のシステムを連携させる取り組みも進められています。保険会社共同ゲートウェイはNTTデータが提供する新しいインフラで、保険代理店の業務効率化に寄与できるDX基盤として注目されています。

参照:NTTデータ 保険会社共同ゲートウェイ | NTTデータ – NTT DATA
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/insurance_gateway

海外の場合

セキュリティ対策の自動化・強化

保険業界では顧客の個人情報を取り扱うため、DXの際にはデータの情報漏えいリスクを下げるセキュリティ対策が必要です。海外ではハッキングなどのサイバー攻撃が活発で、強靭なセキュリティの構築が重要課題となっていました。セキュリティ対策を阻害する危険に対して個別に対処する状況から、機械学習による自動対応に切り替え、新しいセキュリティリスクにも対応できるセキュリティ構築が進められています。

アプリによるサービス提供

スマートフォンの普及を考慮し、海外では保険アプリの開発が一般的になってきています。アプリは顧客との接点を増やし、行動情報を取得してデータを蓄積するDXの基盤になるからです。日本でも保険業界のDX化の方法として徐々に浸透してきています。アプリでの手続きに特化すると店舗を設ける必要がなく、代理店契約をすることも不要です。コスト削減になる分を顧客の手数料削減やキャッシュバック特典などにして還元する施策を取れるメリットがあります。

医療施設との連携

医療保険は保険会社の取り扱う主力商品の一つです。海外では医療施設と連携するDXも推進されています。

中国の平安保険グループは保険サービスを主力商品としていましたが、事業拡大をして金融関連業を広くカバーする企業に成長しました。DX化では平安好医生というアプリを開発して総合的なヘルスケアビジネスを始めています。医師へのオンライン相談や病院紹介、医薬品や健康食品のネット販売、ライフスタイル提案が可能なアプリです。同グループでは顧客と密接な関係を構築し、適切なプランを提案するデータ基盤としてアプリを活用しています。

参照:セキュリティ対策を阻害する危険
https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/knowledge/publication/kinyu_itf/2019/06/itf_201906_6.pdf

保険業界のDX化における問題

保険業界ではDX化に成功している事例が国内外に多数あります。しかし、実際に推進するうえでは以下のような問題があるので対応が必要です。

既存のレガシーシステムからの変更に対する抵抗

保険業界のDX化では内部からの抵抗に配慮して推進する必要があります。既存の業務システムを使い慣れている現場の視点では、DX化による大きな変革によってワークフローが変わることに抵抗感があります。新しいやり方に否定的で協力を得られないことがあるのが問題です。

DX化ではレガシーシステムを最新のシステムに切り替えるような大きな改革をしようと考える傾向があります。しかし、アナログな業務を常識としていた現場で突然デジタル化が進むと抵抗が生じるのは当然です。デジタル化を推進する風土を計画的に作り上げる施策が重要です。

多様な顧客への柔軟な対応の必要性

DX化が企業の内側で受け入れられたとしても、外側から抵抗が生じるリスクがあります。保険業界ではデジタルよりもアナログを好む年齢層が主要顧客の場合があるからです。若年層はデジタル技術に慣れていますが、高齢者層は必ずしもオンラインサービスを使いこなせるわけではありません。顧客の志向だけでなく、技術への慣れについても多様化が進んでいるので柔軟な対応が必要です。

DX化ではデジタル技術に不慣れな人たちもカバーできるようにサポートを整えることが重要です。デジタルサービスのインターフェースの改善を進めて使いやすくする取り組みも欠かせません。

自社に合うシステムの選定・導入

保険業界でDX化をするときには課題解決や新規ビジネスの創出を意識して推進することが重要です。課題解決のDX化では、企業ごとに抱えている課題が違うため採用すべきソリューションも異なります。自社に合うシステムやツールを選んで導入しなければ効果が上がりません。

競合他社がシステムを導入して利益が上がったと聞いたときに、同じシステムを導入すれば良いと考えるのは浅はかです。同じことをしても競合との競争力は生まれないからです。自社の強みを伸ばし、弱みを補えるシステムを選んで導入するとDX化に成功します。ただ、検討できるシステムが多様化しているので選定が難しいという問題もあります。

システム導入後の継続的な改善

新しいシステムを導入してDX化を開始できたとしても、想定した効果が出るとは限りません。継続的に改善を進める必要があります。

保険業界では業務プロセスの見直しが有効です。無駄に時間やコストがかかっていたプロセスを自動化するDX化は合理的です。ただ、システム導入の時点で想定していた効率化が実現できない場合もあります。新しい業務プロセスが現場に馴染まない、顧客から受け入れられないといった問題が生じる可能性があるからです。このような問題を現場から抽出し、改善をする基盤を整えることが重要課題です。

業務を効率化するなら

保険業界のDXで初期に重要なのは業務効率化です。現場の抵抗を減らすためには、デジタル化によって業務がスムーズにできるようになったと実感しやすいことから取り組むのがおすすめです。

KDDI Message CastのSMS配信サービスは保険業界と相性が良く、DXの基盤になります。顧客フォローや保険料の支払い催促などの自動化に適していて、開封の確認もできます。スマートフォンが普及した現代では現場でも受け入れられやすいのでおすすめです。DX推進の糸口にするツールとしてKDDI Message Castの導入を検討しましょう。

▼KDDI Message Cast(KDDIメッセージキャスト)詳しくはこちら
https://sms.supership.jp/

まとめ

保険業界ではDXが日本でも海外でも推進されています。保険サービスに対する顧客の意識が多様化している現状を踏まえて、DXの潮流に乗り遅れないように取り組みを始めることが大切です。保険業界のDXでは業務効率化から始めて、デジタル化を推進する風土を構築することが重要です。現場に受け入れられやすく、効果がわかりやすいSMSの導入をDXのきっかけにして、競合他社との競争に打ち勝てる企業に成長しましょう。