海外企業のDX事例と日本企業との違いを徹底解説!日本企業に必要なDX推進とは?
DX推進では海外企業のDXの現状やトレンドを知ることが重要です。海外では日本よりも先進的な取り組みをいち早く進める傾向があるため、日本企業とは違う形で取り組んでいるDX事例もあります。この記事では日本と海外でのDXの定義について触れた上で、日本企業と海外企業におけるDXの違いをまとめました。海外でのDXの成功事例も参考にすると今後の戦略を広げられるため、目覚ましい成功になった海外DX事例もご紹介します。
目次
そもそもDXとは?
DXとはデジタルトランスフォーメーションのことで、デジタル技術を活用することで変革を起こすことを指します。ビジネスにおける競争力を生み出し、持続的に成長できる企業になるためにITやAIなどを活用するのがDXの基本です。ただ、世界的に共通の定義があるわけではなく、狭い意味ではIT活用という程度の理解をされています。しかし、実際にはDXはITをあくまで1つの技術として捉え、多角的な視点で自社事業を成長させるための取り組みを指す大きな取り組みです。
海外でのDXの定義
DXにはさまざまな形で定義されてきています。先進的な取り組みをしている海外での定義をまずは紹介します。
①ガートナーによるDXの定義
ガートナーのシニアバイスプレジテンド・リサーチ部門最高責任者のピーター・ソンダーガードは「Nexus of Forces」(力の結節)を提唱してきました。「ソーシャル」「モバイル」「クラウド」「インフォメーション」の4つの力を指す言葉で、さらに「IoT」「スマート・マシン」が加わることで変革が起こると説明しています。DXは業務プロセスの変革とビジネス・企業・人の統合を経て、人と物と企業または業務の相互作用をもたらすビジネスとして定義しています。
参照:ガートナーが提言するデジタル・ビジネスとは?抜本的な技術革新によりすべてが変わる |ビジネス+IT
https://www.sbbit.jp/article/cont1/28843
②マッキンゼー・アンド・カンパニーによるDXの定義
マッキンゼー・アンド・カンパニーではDXをデジタル改善と比較して定義をしています。DXは事業変革、ビジネスモデル変革、ビジネスプロセス変革というのが定義です。企業戦略の中でトップに立つCEOがリードするもので、デジタル人材の50%を内製化して進めることを目指す必要があると説明しています。組織の構造変革につながるデジタル化やオペレーションの弾力性を持たなければならず、最低でも2~3年をかけて取り組むものとしています。
参照:マッキンゼー緊急提言|デジタル革命の本質:日本のリーダーへのメッセージ
https://www.mckinsey.com/jp/~/media/McKinsey/Locations/Asia/Japan/Our%20Work/Digital/Accelerating_digital_transformation_under_covid19-an_urgent_message_to_leaders_in_Japan-jp.pdf
③デロイトトーマツによるDXの定義
デロイトトーマツはDXをデジタルエンタープライズになることと定義しています。組織としてデジタル技術やデータの活用方法を考え、ビジネスモデルの進化を継続する企業がデジタルエンタープライズです。デロイトトーマツでは企業がDX推進によって成熟する際に必要な要素を7つのデジタルピボットとして定義しています。インフラの構築やデータ活用の熟達、インテリジェントなワークフローの確立などがデジタルピボットとして挙げられています。
参照:デジタルトランスフォーメーションを成功に導くためにhttps://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/jp/Documents/human-capital/hcm/jp-hcm-pivoting-to-digital-maturity-jp.pdf
日本でのDXの定義
日本でもDXについて定義がおこなわれてきました。国などがどのようにDXを定義しているかを簡単に説明します。
①IDC JapanによるDXの定義
IDC JapanではDXを企業が価値の創出を目的として競争上の優位性を確立するための手段として以下の条件を満たすものとして定義しています。
・外部エコシステムの変化への対応
・内部エコシステムの変革
・第3のプラットフォーム利用による新しいサービス・ビジネスモデルの構築
・ネットとリアルでのカスタマーエクスペリエンスの変革
IDC JapanはDX成熟度は5つのステージに分かれていると提唱しています。個人がad hocにDXに取り組んでいる段階からスタートし、グループ活動を経てDX推進が企業によって認められ、全社での取り組みに発展していくという流れでDXが進められていくというのがIDC Japanの見解です。
参照:IDC Japan 株式会社 – 用語解説一覧
https://www.idc.com/jp/research/explain-word
②経済産業省によるDXの定義
経済産業省では2022年9月13日改訂の「デジタルガバナンス・コード2.0」でDXを以下のように定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。 |
引用:デジタルガバナンス・コード2.0|2022年9月13日改訂https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf
経済産業省によるDXの定義は2018年の「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」での定義から一貫して変わっていません。企業が競争的優位性を獲得する手段としてデータやデジタル技術を活用して変革を起こすことを指しています。
日本と海外のDX取り組み状況
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日本と海外ではDXの定義に違いがあるだけでなく、取り組み状況も異なっています。日本のDXは海外のDXに比べて後れを取っていると言わざるを得ないのが現状です。
電子情報技術産業協会(JEITA)では2020年における日本・米国の企業におけるDXの取り組みについて比較調査をした結果を報告しています。この調査で日本と海外の意識の違いを如実に表しているのが取り組み状況についての回答結果です。「行っていない」と「知らない」を合わせると日本では20.3%、米国では2.3%でした。
また、同調査では経営層の関与状況について、DXの戦略策定や実行に経営陣がかかわっている割合が日本では35.8%なのに対し、米国では54.3%に上っています。日本ではDXへの取り組みの実施状況だけでなく、経営者の意識がDXに向いていなくて関与が少ないのが現状です。
参照:JEITA、日米企業の DX に関する調査結果を発表|2021年1月12日
https://www.jeita.or.jp/japanese/topics/2021/0112.pdf
海外企業で注目のDX推進事例3選
日本と海外ではDX推進のあり方にも成果にも大きな違いがあります。ここでは世界的に話題になっている海外でのDX事例をピックアップしました。どのような取り組みが海外で進められているのかを端的に解説します。
Uber
Uberはアプリで個人による配車サービスを受けられるアプリで、サービス自体がDXに近い性質があります。UberはUber Eatsなども手掛けて配送・配達のDXを続けています。Uberは当然のようにDXを進めていて、2021年には自社のロボティックス部門のPostmates XをスピンアウトさせてServe Roboticsを設立しました。
Postmates Xでは歩道を走行できる自律型の配送ロボットを生み出しています。人によらない自動配送・自動配達を実現するためのDXを推進しています。2018年の「Serve」のリリース以来、大きな話題となってUberの注目度を上げてきた取り組みです。
参照:Uber spins out delivery robot startup as Serve Robotics | TechCrunch
Domino’s Pizza
日本でも有名なDomino’s Pizzaではアメリカでも大手のピザチェーン店です。Domino’s Pizzaではオンラインオーダーへの対応を早期から取り組んでいて、2015年にANYWAREを開発しました。ANYWAREはどこからでもオンラインオーダーできるサービスとしてスタートし、2016年にはZERO CLICKも開発して手軽に誰でも注文できるサービスに成長させています。
Google HomeやAlexa、TwitterやMessennger、スマートテレビやスマートウォッチなどで簡単にオーダーできるようになっています。DX推進の基盤になるANYWAREの早期開発によって持続的に成功してきた事例です。
参照:Domino’s AnyWare
https://anyware.dominos.com/
Walmart
Walmartでは2015年にDXの一環として、オムニチャネル戦略の新規推進を発表しました。Amazonの事業拡大・DX化に対応するためのEC強化戦略で、DXによって大きな成功を上げてきています。大きく話題になったのはクリック&コレクトの導入によるECと実店舗をつなぐ新サービスの展開でした。
Walmartではピックアップタワーを設置することで、ユーザーはECサイトのWalmart.comで購入したアイテムを指定した店舗でピックアップできるようにしました。ピックアップタワーではスマホを使ってコード認証をするだけで商品が提供される仕組みになっています。オムニチャネルによるO2Oビジネスの確立に成功した事例です。
参照:アメリカにおけるウォルマートのクリック&コレクト受け取りソリューション — Cleveron
https://cleveron.com/shi-li/walmart-s-click-and-collect-solution
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日本企業と海外企業のDX推進の違い
日本企業に比べると海外企業でのDXの成功事例は華々しいものばかりです。国内外での違いを生み出しているのはDX推進の方法やDXに対する意識が違うからです。ここでは日本企業と海外企業での違いを詳しく紹介します。
ベンダー任せか経営者主導か
日本ではDX人材が不足している影響もあって、ベンダー任せでDXを推進する傾向があります。しかし、海外では経営者が主導して自らDXの方針を定め、DX人材を獲得・成長させて内製化しているのが一般的です。日本では経営者が積極的にDXに関与せずに現場任せになっている傾向もあります。現場もDXがよくわからないからベンダーに任せてしまうという流れができてしまい、自社に合うDXを推進できるとは限らないという問題があります。
DXは自社の現状を正確に把握し、目標を立てて計画的に推進することで大きな躍進につながります。経営者が責任を持って主導し、DXを内製化して継続的に成長できる道筋を作り上げているのは海外企業が優れている点です。
レガシーシステムにこだわるか変革を求めるか
日本企業ではレガシーシステムにこだわる傾向が強いのに対して、海外企業ではDXによる変革を起こして競争力をつけることに執着するのが違いです。日本では伝統を大切にする文化があるため、今までやってきてうまくいったことにしがみつきます。企業文化を変えるのにも抵抗感が強く、DXで爆発的な変革をすることがなかなかできません。
しかし、海外企業では既存の枠にとらわれない発想を出して、大きな成果を出すことを重視しています。レガシーシステムは壊すものというくらいの認識をしていることが多いため、大成功を遂げるDX事例が多発しています。リスクもあるのは確かですが、保守的にならずにDXに取り組むことで成功しやすいのは海外企業の事例が如実に示している点です。
DXの視点が業務改善か新規開発・カスタマーサティスファクションか
日本企業と海外企業ではDXで追求する目標が異なっています。上述のJEITAによる調査報告では、日本企業ではIT活用による業務改善を重視しているのに対し、米国外企業では新規事業の外販化や新製品・サービスの開発に力を注いでいます。また、米国企業では顧客エンゲージメントの改善にも積極的に努めている傾向が強く、カスタマーサティスファクションを高めるためのDXを推進しているのが特徴です。
日本では業務改善やビジネスモデルといった現状に着目した変革を進めています。結果として大きなイノベーションが起こる可能性が低く、業務パフォーマンスを上げるだけの結果になってしまっている事例が多いのが現状です。
企業のDX推進をするならSMSの活用がおすすめ
企業のDX推進にはさまざまなアプローチがありますが、まずはSMSの活用から始めるのがおすすめです。SMSは情報通達の手段として迅速かつ確実性が高いのが特徴です。顧客フォローをするときにメールを送っても読んでもらえない、郵送でDMを送っても捨てられてしまうということはよくあります。しかし、SMSは開封率が高く、送信すれば読んでもらえる可能性が高いのがメリットです。カスタマーサティスファクションを重視して成功している海外企業の成功をフォローする取り組みになります。
関連リンク:DX推進が業務効率化に繋がるのはなぜ?重要性や成功事例をご紹介
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法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」
KDDI Message Castは海外企業を参考にしてDXを推進したい企業におすすめです。SMSの効率的な送信を実現する機能が一通り備わっているからです。顧客データに基づいてスケジュールを決めてSMSを一斉送信したり、既読チェックをしたりすることができます。開封状況を確認して送信するメッセージを変えていけば顧客の満足度も高まります。DXに対応しやすいAPI連携にも対応しているので、SMS活用ならKDDI Message Castを利用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
日本企業のDXは海外企業と比較すると後れを取っていることは否めません。海外企業では経営者がDXを積極的に牽引し、レガシーシステムにこだわらない斬新な取り組みを積極的に進めています。日本では業務改善などの目の前の収益にかかわる課題の解決にこだわりがちで大きな変革があまり起きていません。カスタマーを重視してDXを推進すると大きな躍進につながることが海外事例から明らかです。SMSは顧客フォローのツールとして有用なので積極的に活用していきましょう。