CPCはコールセンターの費用対効果を評価するのに有効な指標です。適正なCPCを設定して目標にするとコールセンターの改善を進めやすくなります。この記事ではコールセンターのCPCの設定方法やCPCを抑える方法をご紹介します。

コールセンターにおけるCPC(コスト・パー・コール)とは

コールセンターのCPCとは、電話対応にかかるコストの単価です。1件の入電の処理にかかる平均コストをCPC(Cost Per Call)、平均架電単価と呼びます。CPCはコールセンターの評価の役に立つKPIの1つです。CPCが小さいほど費用対効果が高いコールセンター対応ができていると評価できます。

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CPCの計算方法

CPCはコールセンターの運営にかかっている総コストと電話応対による処理件数から以下の計算式で算出できます。

CPC=コールセンターの総コスト÷処理件数

例えば、月間で5,000件の問い合わせを処理したとします。コールセンターの運営にかかる人件費、電話料金、電気代、地代などの合計が250万円だった場合にはCPCは以下のように計算できます。

CPC=2,500,000円÷5,000件=500円/件

CPCの平均値とは

CPCをKPIとして設定するには具体的な数値目標が必要です。ただ、CPCに平均値が存在するわけではありません。コールセンターへの問い合わせは一言で解決する簡単な内容から、何時間も説明してようやく解決できる案件まで多種多様です。企業の事業内容によって電話の内容にも違いがあります。

例えば、飲食店では予約の問い合わせが多いですが、メーカーでは販売店や仕入れ先との連絡や製品のクレームが多いでしょう。問い合わせの内容の違いを考慮してCPCを検討する必要があります。

適正なCPCを設定する方法

適正なCPCの目標値を設定するには、現状のCPCを算出することが必要です。CPCを抑えれば費用対効果の高いコールセンター運営ができます。しかし、コストを抑えるためにオペレーターの給料を減らすと、モチベーションが下がって応対品質の低下を引き起こすリスクがあります。コールセンターの質と対応速度を向上させながら、余分にかかっているコストを減らすことが重要です。

CPCを設定する際にはCPH(1時間あたりの処理件数)やAHT(平均処理時間)が参考になります。CPHを増やす、AHTを減らすといった視点で改善する余地があるなら現状よりもCPCを小さくする目標を立てられます。コールセンターの現状をヒアリングしてCPCを減らせる可能性を検討することが大切です。

CPCを抑える方法

CPCを抑えるにはコールセンターのコストを下げるか、処理時間を短縮することが必要です。この2つは人件費と深くかかわっており、両方の観点からCPCを下げる方法を解説します。

人件費を抑える

コールセンターのコストは人件費が大きいので、削減できる可能性を検討しましょう。人件費を抑える方法は以下の3つが代表的です。

IVRの活用

IVR(自動音声応答システム)によってオペレーターが対応せずに顧客が自己解決できる仕組みを整えるとCPCが下がります。IVRは入電時に自動音声ガイダンスを流し、番号のプッシュを顧客に促すシステムです。用件に応じて担当のオペレーターにつないだり、予約や申し込みなどの受付をプッシュのみで完結させたりすることが可能です。

自己解決に至らなかった場合でも専門性の高いオペレーターに直接つなげられるため、電話の転送にかかる時間を削減できます。IVRの導入はオペレーターによる処理が必要な入電数が減るだけでなく、CPHを上げられるので効果的な施策です。

入電や後処理を減らすツールの導入

入電数や後処理時間を減らせばCPCを抑えられます。Webサイトによくある質問のコンテンツやチャットボットを設置すると、顧客が自己解決できるようになって入電数が減ります。FAQに基づくAIチャットボットを導入すれば顧客満足度の高い対応を実現できるでしょう。

サイト上で情報を調べられる仕組みを整えると、自己解決に至らなかった場合に問い合わせを受けるという流れが生まれます。一定の理解がある顧客への対応になるため、まったく知識がない顧客への電話対応と比較すると効率が上がります。

また、後処理時間の短縮はオペレーターが処理できる件数を増やす施策になります。後処理が蓄積して残業が増えると人件費が上がる原因になるので重要な対策ポイントです。

オペレーターの教育

オペレーターの対応力を高める教育を実施すればCPCを下げられます。オペレーターのスキルによって、同じ問い合わせ内容でも処理完了までにかかる時間は異なります。オペレーターのCPHの増加またはAHTの短縮をする教育研修の実施によって、CPCを下げることが可能です。

オペレーターのスキルが上がれば少ない人数で問い合わせを処理できます。スキルアップした分の給料の上乗せをしたとしても、人を減らせればトータルで人件費の削減が可能です。オペレーターに後処理時間を減らすツールの活用方法を伝えたり、マニュアルを整備して定型的な質問にはルーチンで対応できるようにしたりするのも効果的な施策です。

地代・オフィス代を見直す

コールセンターの固定費として地代やオフィス代がかかります。コールセンターを設置して運営するにはどうしてもかかるコストですが、見直しをすれば減らせる可能性があります。

例えば、都心に置いていたコールセンターを地方に移すと地代やオフィス代が安くなるでしょう。また、オペレーターをテレワークにして自宅やコワーキングスペースなどで電話対応をさせる方法もあります。オフィススペースを削減すれば地代やオフィス代を減らせるので、希望者を募ってテレワークに切り替えるのは合理的な対策です。

CPCを抑える際の注意点

CPCを抑えるときにはコスト削減を推し進める傾向があります。ただ、人件費を減らしたり、テレワークを強制したりするとオペレーターの離職につながる可能性があります。オペレーターにとって働きやすい環境を整える視点を持ってCPCを下げる施策を検討しましょう。CPCは業務効率化によって抑えるのが理想的です。オペレーターにかかっていた過負荷を減らし、品質の高い電話応対をストレスなくできる環境を整えることが大切です。

業務を効率化するなら

コールセンターの業務効率化によってCPCを抑えるにはツールの導入がおすすめです。現場で無駄に時間がかかっている業務を抽出して課題解決になるツールを取り入れましょう。KDDI Message CastのSMS配信サービスは後処理時間の短縮に効果的なツールです。FAQや資料へのリンクを送付することで簡単に後処理を済ませられます。また、すぐにメッセージが到達するので顧客満足度も上げられるメリットもあります。

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まとめ

CPCはコールセンターの費用対効果を総合的に評価するKPIです。CPCを抑える施策を進めることはコスト削減につながるので重要ですが、過度な目標設定をするとオペレーターの負荷が大きくなって失敗するリスクがあります。業務効率化を通してAHTを減らせる余地を探したり、削減可能な固定費を見つけて対応したりすることが重要です。

CPCはツールの活用によって減らせる可能性があります。現場に合わせたツールの導入を検討しましょう。