今日では、ECサイトで購入した商品がすぐに届くDXソリューションの便利さを体感しています。そして、マスメディアで「DX」について言及されない日はありません。しかし、多くの企業がDXを推進しようと考えてはいても、DX推進を企業全体の取り組みと捉えて、着手している企業は多くはありません。この記事では、DX推進に必要不可欠なDXソリューションについて、果たす役割と発揮する効果について解説します。

DXソリューションとは ?

はっきりとした定義はないものの、DXソリューションとは、「DXを活かして業務やサービスを効率化し、抱えている問題を解決すること」または「そのために提供されるシステムのこと」を指す言葉として使われています。

また、よく混同される言葉に「デジタルソリューション」という言葉があります。デジタルソリューションとは「デジタルの技術やサービス、システムを活用すること」を指すことが多いです。

既存の業務をデジタルソリューションに置き換えているだけではDXソリューションとは言えません。DXとは「企業変革を成し遂げること」を指すため、デジタルソリューションによって業務やサービスを効率化し、抱えている問題を解決することができればDXソリューションと言えるでしょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?DX推進のメリットと課題も解説

DXソリューションの全体像

1:業務環境のオンライン化できるソリューション

DXソリューションによる業務環境のオンライン化には、どのような活用方法があるのでしょうか。そのメリットを一覧表にまとめました。

システム内容メリット普及率
社内コミュニケーション業務フロー・書類の保管社員間「報・連・相」会議に活用
例:ワークフローシステムオンラインストーレッジチャットオンラインミーティングツールメール共有管理システム
非対面・遠隔
相手の時間を拘束しない
連絡が端的
会議室など場所不要
気軽なコミュニケーションの機会増
業務効率アップ
Web会議システム79.2%
チャットツール46.2%
INSS報告書p205(矢野経済研究所報告2020)
営業セールスプロモーション・商談・契約締結まで電子署名やタイムスタンプにより電子ファイルに法的効力付加電子決済システムで電子請求書及び領収書発行
例:オンラインミーティングツールオンラインセミナーツール電子契約システム電子署名タイムスタンプ
非対面・遠隔
移動時間不要
個別&大人数にも対応
契約書の作成・郵送コスト削減
印紙が不要
電子ファイルの保管管理が容易
75%の企業が50%以上の営業活動をオンライン化
PR TIMES(NTTデータ オンライン化実態調査)
販売販売・接客ツール(チャットボット・チャット・SMS・電子決済・電子帳簿・在庫管理
例:EC(eコマース)
店舗など販売場所不要
嗜好調査・分析
レコメンド販促
応対時間・コスト削減
キャッシュレス決済
在庫管理をオンライン処理
販売にかかる経理処理をワンストップで可能
キャッシュレス決済比率32.5% 
(経済産業省)
広告雑誌・チラシ・新聞・タウン誌・看板などリアルの広告活動代行
例:キーワードで検索エンジンに表示されるリスティング広告、各種SNS広告、動画広告
紙・印刷など現物確認コスト削減
配布、販売のための店舗やマンパワー不要
リモート発信
興味がある顧客に直接働きかける「パーソナライズ広告」が可能

総広告費6兆7,998億インターネット広告2兆7,052億円
つまり、全体の39.79%
※電通 2022年2月発表「2021年日本の広告費」
人事活動勤怠管理採用面接とスケジュール管理を同時に行える面接ツール社員教育のためのe-learning・ウェビナー・ミーティングツール外出先での打刻可能
Web有給休暇申請
リモートで面接
スケジュール管理
リモート社員教育・研修
時間選択自由・複数回視聴可能
HRテクノロジー導入22%導入検討中23%導入予定なし55%
※日本最大級の人事ポータルHRproの2020年6月報告

2:業務プロセスの自動化・効率化できるソリューション

次に、業務フローや工程を自動化することで、効率化が図れるソリューションについて紹介します。同時に、情報をデジタルデータ化することで、余剰の人的資源で新しい価値の創造が期待できます。

活用されている場面期待できること
定型業務データ入力・転記・集計など作業が定例、定期でルーティン化して行われる「定型業務」は、RPA(Robotics Process Automation)ロボット自動化ツールに置き換え可能
作業の手順やルールを定義し、ロボット代行AIとの組み合わせで「非定型業務」を自動化紙や図面、写真で保存されたデータのデジタルデータ化
作業ごとに定義を作成代行させ自動化
主にバックオフィス業務の自動化に有効
RPAとAIを組み合わせ、大量データの組み合わせや紐づけ分析可能
紙や画像で残された情報を、デジタルデータ化すると資料の保存・共有・活用が容易
営業顧客データからリード顧客(自社にベネフィットの多い企業、購買欲が高い顧客)名簿を作成するツール名刺情報をデータとして整理する名刺管理ツール営業担当者別の案件管理、見積書作成、日報作成、訪問履歴や商談内容を保存管理する営業サポートツールのSFA(Sales Force Automation)など顕在顧客で購買意欲の高い人をデータ抽出
直接電話やメール、メルマガ配信で営業可能
潜在顧客で購買欲不明でも自社にとってベネフィットの多い顧客へ新規開拓営業
営業活動の効率アップ
人事活動定型化業務をAI&RPAシステムが代行採用業務採用システムへデータ反映採用や教育の進捗状況を自動報告オンライン面接で材を見極めるAI判定履歴書・エントリーシート・SPIテストの結果を解析して、企業への適性判断が可能
人材採用や研修の進捗を自動発行のレポートで定期的・正確に把握
安全配慮義務対応労災防止・快適な職場環境確保・従業員の安全と健康の確保ヘルメットに装着可能なセンサーデバイスで作業員の安全見守りバイタルセンサーにより作業者の体調不良などの「不安全な状態」を把握従業員のメンタルヘルスに配慮したDXソリューション(仕事満足度・人間関係・健康)に特化した「エンゲージメントサーベイ」により能力発揮を最大化安全衛生管理体制の整備
安全衛生教育の施行
労働時間を把握・管理
ハラスメント防止
メンタルヘルス対策
経理財務業務ルーティン販売・在庫データから記帳請求書・領収書の自動発行仕訳勘定科目の照合決算時の為替換算差を自動照合銀行口座と連携したタイムリーな出納管理自動化され業務効率化・コスト削減・マンパワー減・在庫・発注データ集計・請求書発行・領収書発行・出納管理

3:顧客との関係強化・新規開拓できるソリューション

次に、お客様との関係づくりのために、どのように顧客データを管理・分析・パーソナライゼーションしていけるのかを表にしました。

できること
顧客情報の管理顧客の情報や会話・購入履歴をデジタルデータ化し一元管理・保存・管理・抽出に便利
分析DMP(Data Management Platform)は一般消費者や自社顧客の行動ログや購買履歴などから傾向や嗜好を分析広告配信や営業活動を最適化CRM(Customer Relationship Management)による購買意欲の高さや見込み客、自社にとってメリットとなる顧客を抽出可能
パーソナライゼーションデジタルマーケティングによるターゲット像の絞り込みWebサイトの閲覧履歴で「嗜好・傾向」を分析・コンバージョン率アップ・リピート率改善・認知度向上・リード顧客獲得・クロス&アップセルで売上増加

DXソリューションの成功事例を紹介

事例1 エネルギーソリューションへの事業進化に挑む日本瓦斯株式会社

「地域社会への貢献」を創業以来変わらぬ使命として、2021年よりオンライン化したIoT機器を活用して通信機器を汎用化し遠隔自動検診ができるガスメーターの提供を始めました。各社が個性を発揮しつつ、共有・共同で利用し、お客様にエネルギーを効率的に供給できる世界の実現を目指しています。従来の小売事業に加えて、太陽光発電・EV、蓄電池を各家庭にサブスクリプションによって供給し、クラウドコンピューティングによる業務一元化で中間処理削減に成功。このようにして、IoT機器によるコミュニティ全体へのエネルギー託送に挑戦しています。

 参照:
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/keiei_meigara/dx_meigara.html
https://www.nichigas.co.jp/for-company/dx

事例2 次世代ファクトリーモデルを目指すサントリー食品インターナショナル株式会社

「お客様に必要とされる商品とサービスをお届けすること」を使命とし、これまで難題だった世界中の一人ひとりのお客様理解の実現と新たな体験提案をDXで目指しています。個々の商品に必要情報を統合管理する高度なトレーサビリティシステムは、ニーズに迅速対応可能。生産ラインのエラー時には、品質チェック、分析を迅速に行い、常に品質改善を図っています。工場内では、IoT基盤のダッシュボードで情報の可視化・分析し、リモートワーク推進と業務効率向上により、働き方改革と同時に、人にしかできない価値創造へとシフトしています。

参照:https://www.suntory.co.jp/softdrink/company/digital/factory.html

事例3 ヘルスケア産業のトップイノベーターに挑戦する中外製薬株式会社

DX推進によって、「世界最高水準の創薬実現」と「先進的事業モデルの構築」 を主題として 「ヘルスケア産業のトップイノベーター像の実現」を理想としています。戦略は3つあります。

①社員に開かれたインキュベーションの仕組み・人材育成などのデジタル基盤強化
②人とオペレーションのデータ連携・最適化・顧客中心としたマーケティングを実現しバリューチェーンの効率化を図ることること
③デジタル活用した確信的な新薬創出

これにより、社会を変えるヘルスケアソリューションをめざしています。

参照:https://www.chugai-pharm.co.jp/cont_file_dl.php?f=FILE_1_107.pdf&src=[%0],[%1]&rep=117,107

DXソリューション導入の懸念点とは

経済産業省 DXレポート 2018年によれば、企業全体の7割が既存レガシーシステムを足枷だと感じています。そして、20年以上経過したレガシーシステムを使い続けている企業は、2025年には全体の6割にも達すると予測されます。もし、システムダウン・システム障害が起こったとすると、データ損失による影響は甚大で、年間損失額は全体として、12兆円にも及ぶと推定されています

レガシーシステムは、部門ごとにカスタマイズして構築されている場合が多く、データを共有できないばかりか、それぞれの用途に合わせて仕様変更されているため、使い続けると複雑化・ブラックボックス化が進む結果になります。また運用・保守・維持管理の上で、人・コストが増大し続け、DX推進のさらなる障壁となるでしょう。

世の中には、デジタル技術を駆使したUber EatsやAmazonなど新しいビジネスモデルが日々誕生し普及しています。このような変化が激しいビジネス社会において、DXは競争力を高めるために急務だと言えます。

DXソリューションの導入方法とは 

 ・既存の商品やサービスが存在する場合

すぐにオンライン販売(EC販売)を始められます。種類豊富で品揃えが多彩な商品の場合は、専有面積が気になる店舗販売よりオンライン販売が向いています。手数料はかかりますが、アクセスが多い既存のECモールなどに参入すれば手軽に始められます。また、自社サイトを無料で開設できるものもあります。

・古いシステムを利用している場合

レガシーシステムを廃棄せずに使い続ける場合は、最新のクラウド環境を利用できない場合があります。使い続けて増大する運用コストやデータ損失リスクを総計して、新システム導入コストを中・長期的に計算して比較するとよいでしょう。必要となるデジタル環境を整備するために、業務内容の洗い出しとともに、現行システムと新システム環境とのギャップ解消のために最適なツールの種類、どのタイミングで導入するのかなども重要な検討ポイントです。

・紙媒体の比率が多い場合

紙媒体での保管を継続すると、保管場所・人・コストが増大します。データ活用の面でも、情報を収集するために人と時間を要し非効率的です。業務において、デジタルデータを活用する場面は多いため、効果をすぐに実感できます。なるべく早期にデジタルデータ化に切り替えることが、企業価値を高めることにつながります。

DXソリューションを導入する際のポイントとは

ポイント① ビジョン・戦略

将来のビジョンとして「企業がなりたい理想」を描き、叶えるための手段や行動を考えていくのが戦略策定です。つまり、どのようなビジネスモデルでどんな新しい価値を生み出していくのかを決めます。DXソリューションはその手段です。戦略なくして、手段やその道程を具体化できません。

ソリューション選択においては、実現したい目的のために、業務フローで最も効果的に活用できる機能を検討します。この目的が曖昧なまま導入してしまうと、かえって作業に手間がかかったり、ソリューション導入の投資自体が役に立たない、無駄になってしまう可能性さえありえるのです。

ポイント② システムグランドデザイン

DXソリューション導入にあたっては全体構造を描く「システムグランドデザイン」が必要です。営業・販売・顧客サポート・経理など部門ごとにDXソリューション導入への期待もそれぞれ異なります。経営方針に合った業務効率やデータ活用が図れるように全体の動きの整合性をとります。全社を俯瞰しながら、IT投資に一貫性があり、汎用かつ拡張性があるものになっているかを検証します。システムグランドデザインは、長期的なDXの進捗を図る重要な鍵となります。

DXソリューション選定時の判断ポイントとは

ここでは、お客様と従業員の期待に応え、導入後は、スピーディに業務に取りかかれる上、効率の良さを実感できるDXソリューションを選ぶ際のポイントを見ていきましょう。

  • 事業存続の緊急性

ビジネスを止めないことが最優先課題です。新型コロナウイルス感染症の影響で緊急性が高いものは、テレワークできる体制を整えることです。整えるためには、遠隔、非対面で業務可能なICT(情報通信技術)やDXソリューションがサポートできる勤務体制が必要です。今後また起こり得る新たなインシデントも想定して、テレワーク体制やオンラインツールを使用した働き方を随時更新していく点も留意したいところです。

  • 実現性

DX推進は、新しい体制への大きな変革です。失敗の恐れがある動きに対し、懐疑的な人も少なからずいるはずです。これには、全社に受け入れられやすい環境をつくることや認識づけで対応できるでしょう。具体的には、部署間にわたる協力や依頼で働きかけていきます。

  • 費用対効果

DXを図る上で中核となるのが「費用対効果」です。ソリューション導入は高額になるというイメージがありますが、種類によってその費用は様々です。企業ビジョンに沿って業種・業態に合ったソリューション選びや導入方法を検討しましょう。

▼スモールスタートを意識 
リスクと費用を最小におさえるために、小さな業務から始める

▼DXと相性のよい業務から開始
人事・経理・総務など「バックオフィス業務」や営業のためのマーケティングデータの収集・管理・分析業務」などサービスに直接影響の少ないものから始める

ツール・ベンダーの選定に関するポイント

DXツールやベンダーを選ぶ前に、社内で明確にしておくことや準備しておくことがあります。

まず、将来効率化したい作業内容を明確にするために業務の要件を定義します。この中では、提供できるサービスの内容と、業務がどのようなフローになっていればよいのかを整理します。

業務の流れを明確化した後は、システム要件の定義です。ここで、システム開発の方向性を決めます。どのようなシステム開発であるべきか、またシステムに必要な機能を具体化します。

DXのプロセスでは、仕事が変わっていくことへの抵抗や、未経験の業務や作業が増えることに不安を覚える人もいます。現場のメンバーの声を取り入れつつ巻き込んでいくことで、スムーズに業務の効率化を図れます。

DXツールとは 成功事例や活用状況、導入のメリットや選定時の注意点などを解説

DXソリューションにはSMSの活用がおすすめ

 近年、企業の間で注目を集めているSMSの魅力をみてみましょう。

利用例としては?

  • 本人確認
  • 予約確認
  • 商品の入荷連絡
  • 契約更新など定期ご案内
  • 緊急連絡
  • 不在電話のフォロー

SMSが選ばれる理由は?

  • 顧客到達率・開封率の高さ
  • 電話番号のみでメッセージを送信可能
  • ポップアップ表示で気づきやすい
  • SMSは携帯電話の標準機能のため、アプリのインストールやアカウント登録不要
  • メールアドレスやSNSアカウント情報なしに、電話番号のみで送付可能

お客様とのコミュニケーションの質を向上させ、接触機会を増やすため、高い満足度が期待できます。

法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」 

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  3. 本文660文字・画像・動画なども配信可能
  4. 24時間365日受付の監視運用サポート体制

企業とお客様との円滑なコミュニケーションのために、DX活用における利便性の高いサービスを提供しています。

まとめ

2025年にはレガシーシステムの老朽化とサポートの終了、そして人手不足が一気に加速すると言われています。それまでに、どのようにDX推進を図っていくのかが今後の重大なテーマです。まずは、DXのための企業ビジョンの策定が急務となります。企業の現状や課題を把握し、DXソリューション導入にあたって準備すべきことやDXツール選定のポイントについて理解し現状を整理します。DXを推進することは、企業全体の変革として、ビジネスの効率化を図り、新たな価値創造につながります。また、急速に変化する時代にマッチしたビジネスモデルへの新しい挑戦となるでしょう。

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