人材業界におけるCRMの選び方は?メリットデメリットとCRM比較も紹介
人材業界ではCRMの導入が積極的に進められています。CRMは人材業界の業務を幅広く効率化することができるからです。ただ、自社が解決したい課題に合わせて適切なCRMを選ばなければ費用対効果が上がりません。
この記事では人材業界でCRMの活用によって実現できることと、メリット、デメリットをまとめました。人材業界の事業の状況に合わせたCRMの選び方も紹介するので、導入するシステムの選定に活用してください。
目次
CRMとは
CRMとは顧客との関係や顧客情報について管理し、マーケティングをするためのマネジメント手法あるいはマネジメントシステムのことです。マーケティングをする際には顧客にアクションを促す方策を立ててアプローチすることが必要になります。その基盤となる情報を管理するのがCRMの役割です。
CRMはCustomer Relationship Managementの略称で、本来は顧客との関係性を管理することを指していました。ただ、近年のIT化に伴い、顧客情報を管理して運用するシステムをCRMと呼ぶことが多くなっています。
顧客との良好な関係を構築する上では、さまざまな顧客データを活用することが有効です。商品やサービスの販売をおこなっている現場では、顧客の購買行動の傾向と顧客の基本属性に基づいて分析することで売上向上を目指すのが一般的です。適切なマーケティングを推進できるようになるのが、どの業界でもCRMの導入を積極的に進められている理由です。
人材業界では顧客の年齢、経験、スキル、希望年収、希望職種などのデータに基づいて求人情報を提供することで、納得して応募してもらえるようになります。CRMによって顧客情報を管理して活用すると期待に応えられる可能性が高まるため、顧客満足度やサービスの人気の向上を実現することが可能です。
人材業界でCRMの導入が進んでいる理由
人材業界では顧客データの管理が大きな課題です。人材業界では企業が求めている人材像にマッチする人を求職者から探し出してマッチングすることが重要になります。求職者のニーズも考慮して、働きたいと考えてくれる職場を選んで紹介することが必要です。このような双方マッチングを実現するためには、企業と求職者の双方についてニーズのデータを管理しなければなりません。
CRMの導入によって双方の顧客のニーズをシステム上で管理できるようになります。顧客データを覚えようとしても限界があり、不正確なマッチングにより顧客からの信頼を失う恐れもあります。CRMの活用を通して正確なマッチングを実現することが求められます。
人材業界特化のCRMの主な機能とできること
CRMには人材業界に特化した機能が搭載されているシステムがあります。代表的な機能をまとめると以下の通りです。ここでは主な機能を使ってできることを解説します。
- 顧客情報の管理
- 顧客情報の分析
- 日程調整
- お金の管理
- マッチング
- 帳簿・書類作成の管理
- 各種求職者サービスとの連携
- マーケティング支援
- カスタマーサポート機能
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顧客情報の管理
CRMによって顧客情報の管理を効率的に行うことが可能です。企業と求職者の両方について同じシステム上で一元的に管理して対応できるようになります。人材業界に特化しているCRMを利用すれば、企業の求人への応募者の人数や選考の進み具合、求職者の応募状況などについて管理できます。
応募していない求職者へのフォローや、応募者がいない求人の配信なども自動送信メールで行うことが可能です。CRMの導入によって顧客情報の包括的な管理ができるだけでなく、情報に基づく対応を自動化して業務効率を向上させることができます。
顧客情報の分析
CRMには顧客情報を蓄積し、分析することが可能です。企業や求職者の個別情報に加えて、採用内定が決まったケース、決まらなかったケースなどを分析するとマッチングの参考になります。
また、求人の要求が多い企業をピックアップして営業先として優先するといったデータ活用の仕方もあります。採用率の高い企業を選んで営業をするのも有効な方法です。求職者についても採用が速やかに決まるケースと、決まらないまま退会してしまうケースを分析することで今後の対応方法を検討できます。顧客からのフィードバックがあればさらに詳細な分析をして業務最適化を進められるでしょう。
日程調整
日程調整をCRMで行うことも可能です。人材業界では企業と求職者の面接日程の調整をして橋渡し役を担うことがよくあります。日程調整を個別に連絡することも可能です。しかし、CRMを使って企業と求職者にアカウントを発行し、対応可能な日時をシステム上に入力してもらうとスムーズに調整できます。
面接の日程調整では、予定していた日時が近づいてきてから変更したいという要望を受ける場合もあります。この際にもCRMのシステム上で企業と求職者の両方について、当面の都合がわかっていると速やかに対応することができます。
お金の管理
CRMには、人材紹介などの業務における売上や入金などのお金の管理をする機能があります。人材紹介が成立したら請求書を発行して期日までに入金してもらうことが必要です。請求金額を契約に基づいて計算し、請求書を送信する作業をCRM上で行うことができます。請求のスケジュールを組んで自動処理できるシステムもあるため、CRMを活用すると請求漏れを減らせるでしょう。
入金があったかどうかを管理することもCRMでできます。企業にアカウントを発行すれば、請求書の送付も入金の督促も一元的にCRMのシステム上で実施可能です。
マッチング
人材業界に特化しているCRMでは企業と求職者のマッチングをする機能が搭載されている場合があります。企業から求人が出てきたときに、求職者の経歴や希望などを照らし合わせて候補者をランキング付けして表示することが可能です。マッチングをした候補者に対して求人情報を送付することまで自動化できるCRMもあります。
また、マッチング効率をサポートする目的で、企業の職場から近い人材をリストアップする機能が搭載されているCRMもあります。CRMには企業の要求に合わせた適材を探し出すのに役に立つ機能が豊富にあるので便利です。
帳簿・書類作成の管理
CRMには帳簿や書類の作成及び管理をする機能があります。CRMではテンプレートを用意して簡単に書類を作成できるのが特徴です。人材紹介では求職者のキャリアシートを作成する、推薦状を用意する、契約書を準備する、求人票を作成するといった書類業務が必要です。一連の書類をCRM上で作成して登録し、求職者や企業に紐づけて管理することができます。
CRMを使用すると企業ごとに求められる契約書の内容などについても履歴を残せます。次回の求人依頼があったときにトラブルなく同じフォーマットで書類を用意することが可能です。
各種求職者サービスとの連携
人材業界特化のCRMでは関連サービスとの連携をしている場合があります。求人サイトなどと連携し、情報入力の手間を省いたり、一元化された管理画面で作業したりすることが可能です。直接連携できなかったとしても、CSVファイルなどの共通のデータフォーマットでのインプット、アウトプットができるのが一般的です。
マーケティング支援
マーケティング支援機能があるのはCRMを導入する魅力です。メールやSMSなどによるマーケティングの結果を顧客の属性によって分類して分析できます。マッチングしやすい顧客属性の組み合わせを見つけ出したり、効果の上がりやすい顧客層を選んでメールやSMSを送ったりする方策を立てることが可能です。
CRMにはマーケティングに有用な顧客のデータが集約されています。グラフや表にしてわかりやすくまとめるだけでもマーケティング施策を立てる参考にできます。過去の実績を生かして今後のマーケティングの費用対効果を上げる方法を見出すことができるツールです。
カスタマーサポート機能
CRMを通してカスタマーサポートをすることが可能です。CRMのシステム上で企業や求職者とメッセージでやり取りできる機能があります。メールでも顧客への連絡は可能ですが、他のメールに埋もれてしまって気付かなかったというトラブルが起こることもあります。メッセージやチャットなどを使ってCRM上でやり取りできるとスムーズに連絡を取れるのが魅力です。
システム上にQ&Aを設けて、疑問があったときに顧客が簡単に調べられるようにすることも可能です。カスタマイズすれば顧客に合わせた的確なサポートを行えるシステムにできます。
CRM導入のメリット
CRMは顧客データの共有によって業務連携をしやすくできることが魅力です。人材業界では多数の企業と求職者に対応しなければなりません。一人のスタッフが全ての企業と求職者について把握することは不可能でしょう。CRMを利用し、各スタッフが対応している企業と求職者の情報を共有することで、スタッフ間で連携し業務を行えるようになります。
また、CRMは顧客データを一元的に管理して有効活用できることもメリットです。スタッフが集めた情報や顧客が登録した情報をすべてCRMのシステム上にまとめられるため、正確な情報に基づいて顧客に対応できるようになります。顧客対応の質を向上させられるので、顧客満足度を上げることに直結します。アフターフォローをする際の情報源としても活用することが可能です。
CRMを活用し、顧客データを分析して業務改善を進めることもできます。適切なマッチングの実現や、面接対策の対応などのさまざまな面で過去のデータを活用できます。求職者のトレンドや企業の動向なども分析して、ニーズの高い情報を提供することも可能です。
CRMの導入は安全な情報管理をする上でも役に立ちます。CRMのシステムに顧客情報をまとめて管理できるからです。エクセルファイルなどで個別に管理していると、情報が散逸してしまい管理が難しくなります。1つのシステム上に集約し、セキュリティ対策を整えることで安全な管理が可能です。特に人材業界では個人情報や企業の機密情報を取り扱うことになるため、安全性の高いCRMを利用するメリットが大きいといえます。
CRM導入のデメリット
人材業界でCRMを導入するデメリットはコストがかかることです。CRMの導入にはシステムの構築は既存データの入力などの初期コストがかかります。さらに、運用開始後もシステム利用料などのランニングコストの負担があるため、長期的な視野で予算を立てる必要があります。
また、CRMを導入したからといって顧客単価がすぐに上がるわけでないのもデメリットです。CRMは導入してもすぐに利益につながるとは限らないので注意が必要です。むしろ、導入直後はCRMのシステムをうまく活用できなくて効果が上がらないこともよくあります。基本的にはCRMは顧客満足度を向上させるための情報源として利用するものです。結果的に売上が伸びることにつながるという認識で長期的に運用していく必要があります。
人材業界におすすめのCRM
CRMには種類があってそれぞれの使い勝手が異なります。人材業界ではどのようなCRMを導入すると効果が上がりやすいのでしょうか。ここでは人材業界でおすすめのCRMを3種類に分類しました。ここまでに紹介してきたCRMの機能やメリット、デメリットを踏まえて、それぞれのCRMについて特徴を紹介します。
人材紹介に特化のCRM
人材業界で人材紹介や人材派遣に使うなら特化型のCRMが便利です。人材紹介特化型のCRMでは求人管理やマッチングなどの機能が搭載されています。以下に代表的なCRMをまとめたので導入の際の参考にしてください。
porters | CAREER PLUS | プレースメントナビ | |
求職者管理 | ○ | ○ | ○ |
求人管理 | ○ | ○ | ○ |
企業管理 | ○ | ○ | ○ |
進捗管理 | ○ | ○ | ○ |
求人媒体との連係 | 自動機能あり | CSVを利用可能 | 別途費用で可能 |
マッチング機能 | ○ | ○ | ○ |
労働条件通知書の出力 | ○ | × | ○ |
各種帳簿の出力 | ○ | ○ | ○ |
事業報告書の出力 | 数字 | 数字 | 書面 |
メール送信・受信機能 | 無料 | 有料 | 有料 |
集計機能 | ○ | ○ | ○ |
自社ホームページ連携 | 無料 | 無料 | 有料 |
月額料金 | 1.5万円/1人~ | 非公開 | 49.8万円/1台~ |
全業種に対応したCRM
人材紹介に限らずに事業をおこなっている企業では全職種に対応しているCRMがおすすめです。Salesforce、Zoho CRM、eセールスマネージャーRemix Cloud、Mazrica Salesなどが有名でよく導入されています。Salesforceはカスタマイズ性が高いことで人材業界にも最適化しやすく、Sales Cloud、Salesforce Essentialsの二種類を利用可能です。
Zoho CRMは機能を抑えている代わりに料金がやや安いのが魅力で、導入しやすいメリットがあります。逆に機能重視で人気があるのはeセールスマネージャーRemix CloudやMazrica Salesです。特にMazrica Salesはハイエンド向けでSFA機能が充実している点で人気があります。クラウド限定のサービスが多い中で、eセールスマネージャーRemixはオンプレミスやASPでの利用もできることが注目されています。
自社開発CRM
自社の事業に特化したCRMを使用したい場合には自社開発をする方法もあります。自社開発のCRMでは完全に最適化できるので最大限にデータを活用したサービスを提供できるようになります。しかし、開発にコストがかかり、適切なシステムの仕様を設計して構築するまでに時間も労力もかかるのがデメリットです。
人材業界ではあまり自社開発のCRMは一般的ではありません。人材紹介などの業務に特化したCRMをそのまま導入しても自社事業に対応できないときには、個別にカスタマイズを依頼して使用した方がコストパフォーマンスが高いでしょう。大手企業において、さまざまな事業に広く活用できるCRMを必要としているときに選択肢になる方法です。
人材業界の課題解決にはSMSの活用もおすすめ
人材業界ではCRMの導入はもはや当然になりつつあります。今後の人材業界での成長を考えるならCRMの導入効果を生かせるシステムを取り入れていくことが大切です。数あるシステムの中でも導入が容易でおすすめなのがSMSです。SMSは個々の人材にすぐに情報を伝えることが可能で、個別性が高いことから連絡方法として顧客から信頼を得られます。SMSマーケティングをする際にはCRMを利用すると効果を上げやすくなるため、同時に活用することがおすすめです。
人材業界におすすめのSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」
人材業界でSMSを導入するときにはKDDI Message Castを利用しましょう。KDDI Message CastはCRMで有名なSalesforceと標準機能として連携していて、APIを使うことで他のCRMとも連携できます。CRMを導入してSMSマーケティングを展開すれば、貴重な顧客の適正な管理と求人の紹介が可能になります。人材業界の課題解決に有効なサービスなので、CRMと並行して導入を検討しましょう。
まとめ
求職者の管理が重要な人材業界ではCRMの導入によって安全な情報管理をしながら業務効率を上げられるメリットがあります。CRMには初期コストやランニングコストがかかるなどのデメリットもありますが、サービスの品質を上げて集客力を高められるシステムです。CRMと合わせてSMS送信サービスを導入するとさらに業務効率を上げられます。CRMと連携を取れるKDDI Message Castを活用して、人材業界の課題を広く解決しましょう。