業種:自動車業界

自動車業界でIT化による成功事例は増加してきました。DXによるIT活用の潮流が生まれ、積極的な取り組みを開始した自動車メーカーが多いからです。ただ、自動車業界でIT化を進めるべき理由がよくわからず、DX推進を始められないままになっていることもあるでしょう。

この記事では自動車業界でのIT活用のメリットと、IT化を推進する際に注意した方が良いポイントを解説します。

自動車業界ではIT化が進んでいる

自動車業界ではIT化が積極的に進められています。新車の開発ではIT活用が一般化されつつあるのが現状です。安全対策のための自動ブレーキやレーンキープアシストなどの、高度なドライブサポート機能が標準搭載されている車が多くなっています。自動運転技術の開発も進められていて実用化にまで到達しています。このような新しい機能を持つ車の開発はIT技術が基盤になって進められてきたものがほとんどです。

ITとは

ITとは情報(Information)やデータを活用する技術(Technology)を指します。パソコンやスマートフォンなどのデバイス、インターネットなどのネットワーク技術もITです。

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自動車業界にIT技術が使われる理由

ITが自動車業界で使われるのは安全な走行を実現する必要があるからです。安全性を保証できる車を設計するためには、蓄積されてきた安全・危険についての情報が必要になります。データの取得にも応用にもITを基盤とする技術が欠かせません。

自動車業界へのIT技術導入の歴史

自動車業界のIT化はITが世の中で話題になる以前から進められていました。最初と言われているのが1980年代に起きたトランスミッションなどの自動車の基幹システムのIT化です。ITによるコントロールが導入されて飛躍的に安定性や運転性能が向上しました。

1990年以降になるとエアバックのIT化や、車間距離維持・車線検知などのセンサー技術が導入されるようになっています。初期はアラートを出すシステムが主流でしたが、自動アシストをしてリスクを減らすサポートシステムが2000年代から増加しました。2010年代からは自動走行やビッグデータの活用が進み、データに基づく車の開発が広くおこなわれるようになっています。

自動車業界のIT技術に重要なビッグデータとは

自動車業界ではビッグデータの解析をして生かすことが大切です。今後のIT化に欠かせないのはビッグデータを生かすDXを成功させて競争力のある技術や製品を生み出すことです。ビッグデータとは莫大なデータで、従来の手法では解析が困難だったデータセットを指します。例えば、インターネット上で公開されている無数の情報が該当します。自動車業界では走行データが新車開発に役に立つデータと言えるでしょう。

若干のサンプル数で走行データを取得したとしても、全体の結果を反映しているとは限りません。膨大なデータ量があり、データの更新が早く、多様性に富んでいるというVolume・Velocity・Varietyの3条件を満たしたビッグデータを的確に解析すると一般的に通用する結論を導き出せます。

ビッグデータの活用で実現できること

ビッグデータの活用によって自動車業界ではさまざまなことが実現できます。ここでは具体的に何ができるかを紹介します。

自動車の品質の向上

ビッグデータは自動車の品質向上に活用できます。自動車の走行データが十分にたくさんあれば、特定の自動車と他の自動車の場合の走行特性や修理回数、寿命や顧客満足度などを比較することでより品質の高い自動車を設計・開発するアイデアが生まれるでしょう。走行安定性や燃費などのさまざまな視点からビッグデータを分析することが可能です。企業ブランドや車種のコンセプトに合わせて、他社や他車種との差別化を進める情報源になります。

交通事故や渋滞を回避する手段の提供

自動車の走行データを利用することで交通事故や渋滞を回避する手段を提供できます。交通事故が起こりにくい自動車の設計にもビッグデータを使えますが、ユーザーに対して交通事故を回避するための走行ルート情報を提供することも可能です。例えば、この車種では急勾配で事故が起こりやすいといった情報がある場合には、急勾配のある道を回避するルートを提示できます。渋滞情報も加味すれば総合的に安心なルートを導き出すシステムを構築できます。

交通インフラの充実

走行データに関するビッグデータは交通インフラの整備・充実にも応用できます。交通事故の起こりやすい場所の特徴を抽出して、道路や交差点に個別に当てはめることでリスクの高い場所を見つけられます。交通インフラの問題点を改善していくと事故が少なく安心して住める地域を作り上げることが可能です。道路の歪みや亀裂の状況も走行データから分析できます。常に監視していなくても道路状況を把握して必要箇所を修繕できる体制を整えられます。

販促・プロ―モーションの効率化

自動車業界ではプロモーション活動にビッグデータを使用すれば効率化が可能です。消費者についてのビッグデータがあれば、消費動向や収入動向を見て売れそうな地域や年齢層を狙って販促を進めることができます。地域ごとの売れ行き予測を立てて自動車を製造して各地に配置し、すぐに顧客に納品できる体制を整えることも可能です。店頭・オンラインでのプロモーション効果も自動車業界全体のビッグデータがあれば効率的な方法を選び出せます。

自動車保険料の適正化

自動車の任意保険の保険料はビッグデータによって適正化できる可能性があります。自動車保険は事故のリスクが高い人の保険料が高く設定されています。年間走行距離や事故歴によって決められていますが、今の運転状況が反映されているわけではありません。交通事故のリスクが高いルートを運転しているのに、事故歴ゼロだから保険料が安いという場合もあります。ビッグデータに基づいて分析すれば、個別の走行状況に応じて適正な保険料を導き出すことができるでしょう。

自動車業界のIT技術に必要なこと

自動車業界でIT化を推進する際にはビッグデータの収集と活用を徹底して考えることが必要です。自社で集められるデータ量は限られています。他社のデータもあればさらにデータ量を増やして解析できます。また、消費者にとってもどのようなデータに基づいて設計された車なのかが気になることがあります。

情報開示の時勢になっている点も考慮し、IT化のメリットを最大限に生かせるように情報開示を進めることが必要です。他社から情報をもらうのではなく、自社も供給するというスタンスで協力すればお互いのメリットになり、自動車業界全体を盛り立てることが可能です。

情報開示の例

トヨタグループでは「トヨタドライブ統計」を運営して、ドライブデータに基づく統計情報を公開しています。世の中を走っているトヨタやレクサスのコネクティッドカーから収集されたドライブデータを統計処理したデータの開示例です。開示されているデータは個人が特定できないように統計処理されています。

トヨタドライブ統計の渋滞などの交通情報や目的の場所への推奨移動経路の表示、スリップしやすい道路などの検知に応用されています。車両挙動のデータを生かして自動車開発に応用することも進められています。交通事故ゼロを目指す社会貢献の取り組みとして、ビッグデータを開示している典型例です。

参照:トヨタドライブ統計|Toyota Biz Center

ホンダグループでは「Honda Drive Data Service」を運営して、車の走行データに基づくビッグデータを提供しています。安全な車や道路の設計、渋滞対策や防災対策などに広く用いられている例です。静岡市や熊本市などでは都市計画に応用するなど、地方公共団体からも支持を得ているサービスです。

Honda Drive Data Serviceでは全国の440万台(2022年2月現在)のホンダ車が対象で、サービスに対応している会員数は増えてきています。リアルタイムでデータが更新される仕組みになっていて、最新情報を開示して有効活用できるようにしているのが特徴です。

参照:Honda Drive Data Service | Honda公式サイト 

国土交通省のIT技術に関する取り組み

国土交通省では自動車業界でIT化が進展していることを受けて、情報の利活用と自動車関連手続きのIT化を推進しています。自動車局では平成26年に「自動車関連情報の利活用の現状について」という報告をしています。社会情勢の変革によって自動車のIT化が進み、車体だけでなく外部との通信技術も高度化してきていることを指摘していたのは最先端技術を的確に捉えていたことがわかる点です。IT技術の最新情報を公開し、業界全体の取り組みを強化する努力をしています。

また、情報の利活用を促進し、手続き関連のIT化による効率化を推進するため、自動車検査登録制度においてMOTAS(自動車登録検査業務電子情報処理システム)を運営しています。MOTASは自動車登録情報をデータバンク化して一元管理しているシステムです。自治体による納税通知先の管理、自動車の売買における自動車情報・所有者情報の確認、リコール発生時の通知への応用など、さまざまな目的で活用されています。

行政手続きのオンライン化が進む中で、自動車の新車登録については平成24年度ではまだ58.9%しかオンラインで申請されていませんでした。しかし、オンライン手続きが好まれる時代になり、MOTASの活用メリットが大きくなってきています。

参照:
自動車関連情報の利活用の現状について|国土交通省
MOTASの概要|国土交通省自動車交通局管理課

自動車業界のIT技術の今後

自動車業界ではIT化が進んでいて、今後も最新の技術を取り入れて発展していくでしょう。自動運転技術を始めとして、安全で快適に運転できるシステムの開発は積極的に進められています。IoTやAIなどの最新ITの応用を積極的に推進しているのは自動車業界の特徴です。新車開発ではITの技術競争が激化していくでしょう。

一方、自動車業界の諸業務のIT化についてはこれから進められていく段階にあり、顧客対応やプロモーションのIT化は今後の課題です。IT化によって競争優位性を獲得するには、技術開発以外の部分でも最先端のITを活用する戦略を立てる必要があるでしょう。

自動車業界の業務課題解決はSMSの活用がおすすめ

自動車業界の今後の競争激化を切り抜けて成功するにはSMSによる業務課題の解決がおすすめです。SMSはスマートフォンの電話番号を宛先にしてメッセージを送れるサービスで、プロモーションのツールとして優れています。ビッグデータに基づいて導き出した顧客候補へのプロモーションにおすすめです。SMSには来店クーポンなどのURLリンクを付けることもできるので販促に使いやすいでしょう。迅速な顧客対応のツールにもなるので導入と活用を検討してみましょう。

関連リンク:業界別SMS活用法・事例集「自動車業界でのSMS活用」

法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」

SMSを自動車業界で使っていくならSMS送信サービスを導入すると効率的です。SMS送信サービスなら顧客情報のビッグデータの分析結果を生かし、ターゲットの顧客を選んだらメッセージを一斉送信できます。タイムリーな情報を送るためにスケジュール送信をすることも可能です。KDDI Message Castは短期間かつ初期費用無料で導入できるSMS送信サービスです。SMSの活用を始めるなら、KDDI Message Castで費用対効果の高い運用をしていきましょう。

まとめ

自動車業界では歴史的に見てもIT化が積極的に進められていて、現在でも最新のITを取り入れて新車開発をしています。近年のビッグデータの活用にも積極的に乗り出して成功している事例がたくさんあります。しかし、事業者業界では製品開発については最先端を進んでいるものの、顧客対応やプロモーションでは後れを取っているのが現状です。今後の競争力獲得には製品開発以外でもIT化を推進することが大切です。SMSの導入を切り口にして改革を進めていきましょう。