業種:エネルギー業界

エネルギー分野におけるIT化は発電分野、送配電分野、小売り分野で進められてきています。エネルギー業界ではそれぞれの分野で独立した企業がビジネスをおこなっていることが多く、他の分野でのIT化の状況を把握してビジネスに生かしたいと考えている場合も多いでしょう。この記事ではエネルギー分野におけるIT化を分野別に詳しく解説します。現状としてどのようなアプローチでIT化が進められているのかを確認して、今後の施策の検討に役立ててください。

エネルギー分野のIT化の動向

エネルギー分野ではIT化が活発に進められてきています。特に電力分野では効率的で無駄のないシステムやインフラを構築して、エネルギーマネジメントをすることが必要になってきました。エネルギーマネジメントとはエネルギーの使用状況を把握して最適化することを指します。エネルギーマネジメントシステムを導入して、発電効率を上げたり、自社消費の管理をしてコストパフォーマンスを上げたりするのが一般的な取り組みです。

エネルギー分野ではエネルギーマネジメントに取り組むことは欠かせません。再生可能エネルギーによる発電が求められる時代になり、自然環境の変化によって発電量が変わることを前提にして電力を安定供給できるインフラを整えることが必要になったからです。需給のバランスを考慮して、必要十分な電力を発電して供給できるようにエネルギーマネジメントをすることが不可欠になっています。

太陽光発電や風力発電などの日本でよく用いられている再生可能エネルギーは、火力発電や原子力発電などに比べると莫大なエネルギーを生み出すのが難しい面があります。IT化を通してエネルギーマネジメントを推進することにより無駄をなくす必要性が高いと言えます。

発電分野のIT化

エネルギーの発電分野ではIT化によって新規事業の創出や業務効率化による収益性の向上を見込むことが可能です。以下のように目的に応じてさまざまな取り組みができます。

目的提供価値取組事例
新規事業の創出エネルギーマネジメントの提供・開発エネルギーマネジメントシステムの効率的な導入ブロックチェーンを利用するエネルギーマネジメントシステムの開発・提供
収益性の向上自動化
保安技術の導入
情報の有効活用
業務負荷の低減
安全なサービスの提供
再生可能エネルギー活用の収益性の分析
料金の支払いの自動督促・機器の自動運転画像認識による保安システム収益性分析や調達計画の推進

電力分野におけるデジタル化

電力分野では発電の段階からIT化を推進し、全体をデジタル化してデータに基づくオペレーションをすることが重視されるようになってきました。電力分野ではIoTの活用によってデータ収集を推進し、データドリブンの施策を講じる傾向が強まっています。データがあれば課題を抽出し、改善の方法を考えられるからです。

電力分野では基本的には発電をしている際のタービンやボイラなどのパフォーマンスやオペレーション情報をセンサーによって取得し、データを蓄積していきます。収集されたデータは整理してデータベースとして管理します。そして、データベースの内容から分析をしてオペレーションの品質を改善するために必要な内容を予測するというのが基本的な流れです。予測に基づいて実験的な検証を実施し、改善が見られる場合にはプロセスに取り入れていきます。

データ活用ではAIの導入も進められています。データが十分に蓄積されていれば人と同じような思考アルゴリズムに基づいて、迅速に分析することができるからです。デジタル化によって電力の供給も発電も効率化の取り組みがおこなわれています。企業間での情報共有も推進されるようになり、全体として協力しながら効率化を推進しています。

火力発電もデジタル化で効率化を行っている

火力発電は日本の電力のエネルギーをまかなっている重要な発電方法です。エネルギー分野のIT化では火力発電の効率化が積極的に進められています。NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)では2018年から火力発電の効率運転のための実証事業を開始しました。

火力発電は日本で最も実績が多い発電方法で、各社がたくさんのデータを蓄積しています。そのデータを活用することによって最適な効率で火力発電をおこなえるようにすることを目指しています。

火力発電の最適化を実現するにはデジタル化でデータを容易に使えるようにすることが必須です。IT化によって活用しやすいシステムを作り上げるためには、データを提供する電力会社だけでなくメーカーやIT企業の開発協力がなければできない取り組みです。エネルギー問題が世界的な課題になっているからこそ、各企業が積極的に協力する姿勢を示して効率化のスキームの構築が進められています。

参照:NEDO 新エネルギー・産業技術総合開発機構

送配電分野のIT化

人材不足の解消にドローンを活用

エネルギー分野ではドローンの活用が活発におこなわれるようになりました。ドローンによって人がアクセスしにくい場所だったとしても、簡単に状況を確認することができるからです。高所で人が近づくのに苦労する場所もドローンなら写真や映像で状況を映すことができます。

エネルギー分野で重要な送電線の保守管理にはドローンがよく用いられています。高所で足場もない場所に送電線が設置されているケースは少なくありません。送電線の状況をドローンによって撮影し、以上の有無を自動判断するといった取り組みがおこなわれています。AIによる画像認識技術によって撮影した写真情報から判断をすることも可能になってきているのが現状です。

デジタル化で需給をコントロールする

デジタル化を通してエネルギー分野ではエネルギーの需給のコントロールにも取り組んでいます。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーが重要視される時代になったものの、電力供給という点では安定性がないのが問題になります。日照が少なければ太陽光発電は発電できる量が少なくなり、風が吹かなければ風力発電は電力を生み出せません。発電した電力は有効活用し、不足する分は他から補うエネルギーマネジメントをしなければ、再生可能エネルギーの有効活用はできません。

需給のバランスを整える方法として時間帯による電力の需要のデータと、日照量などの気象状況を予測するシステムを併用することで解決が図られています。太陽光発電でどのくらいの発電量を見込めるかを予測し、需給のバランスを考えて火力発電などによる電力供給をどの程度必要とするかを計算するシステムが構築されています。

典型的なのはVPP(バーチャルパワープラント)です。IoTを活用することで発電にかかわるさまざまなリソースをコントロールし、電力を安定して供給できるようにするシステムです。蓄電池を含むシステム構成になっていて、気象状況の影響で再生可能エネルギーでは電力供給が不足してしまう場合でも安定して必要な電力を供給することができるシステムとして期待されています。

需給バランスのデータが十分にあれば、いつどのくらいの電力が必要なのかは明確にわかります。そのデータに基づいてエネルギーリソースをIoTを使って適切にコントロールすることにより、エネルギーを効率的に利用できるインフラができます。予測技術の向上によって精度も高くなってきています。

小売り分野のデジタル化

スマートメーターの普及

スマートメーターはエネルギーの小売り分野に大きな変革をもたらした技術です。スマートメーターとは自動的に電力使用量をネットワークを介して送信する仕組みの電力量計です。家庭で使用した電力量をリアルタイムで確認することが可能で、消費電力を減らす努力をするための情報源になります。事業者にとっては各世帯の電力使用状況から在宅率の高い時間帯を把握して商品配送のスケジュールを策定するといった活用方法もある重要なデータです。

スマートメーターでは30分値が計測されています。エネルギーの小売り分野では、リアルタイムで計測データを手に入れられるため、異常な電力使用量があったときにユーザーにアラートをSMSで送るといったサービスも提供可能です。通常とは異なる電力使用量になっているときには漏電などのリスクがあるため、消費者にすぐに連絡が届くと災害リスクを低減することができます。

2030年以降の日本の戦略|次世代エネルギーネットワークの構築

コネクテッド・インダストリーズ

コネクテッド・インダストリーズは経済産業省が打ち出したデジタル技術戦略の一つです。コネクテッド・インダストリーズとはデータや人、組織などのあらゆるものをつなげることで、新しい付加価値を創出したり、社会課題を解決したりするアプローチです。コネクテッド・インダストリーズには5つの重点分野があります。

  • 自動走行・モビリティサービス
  • ものづくり・ロボティクス
  • バイオ・素材
  • プラント・インフラ保安
  • スマートライフ

特にエネルギー分野で関連が深いのがプラント・インフラ保安です。電力は社会や産業のインフラとして欠かせないもので、2030年以降の具体的な構想が描かれています。再生可能エネルギーだけでなく、火力や原子力なども組み合わせて電力供給をおこない、余裕のある分は水素として貯蔵してフレキシブルに電力供給をおこなえるインフラを作ろうとしています。IT化、セキュリティ確保、モビリティの向上、国際展開なども盛り込まれていて、エネルギー分野の構造改革が起きる可能性が高くなっているのが現状です。

参照:アーキテクチャ政策 (METI/経済産業省)

エネルギー業界の課題解決にはSMSの活用がおすすめ

エネルギー分野では今後、さまざまな課題が生じてくる可能性があります。IT化による課題解決の手段としてSMSを活用しましょう。SMSはIoTとの相性が良く、取得した情報に基づくアラートやメッセージをタイムリーに顧客に伝えられます。SMSの送信自動化も可能なので、効率的で顧客が喜ぶサービスを提供することが可能です。SMSの送信サービスは初期投資が少なく、従量制で利用できるKDDI Message Castがおすすめなのでぜひ検討してみてください。

まとめ

エネルギー分野では電力を生み出してから消費者に届けるまでの発電、送配電、小売りのすべての分野でIT化が進んでいます。自動化を進めたり、リスクを回避したりする目的で使用することが多く、エネルギー分野での課題解決にはIT化を推進する重要性が高まっています。IT化による課題解決では初期投資の大きい技術が多いですが、SMSを導入するだけでも課題解決が可能です。従量制の弊社のSMS送信サービスは導入しやすいのでぜひご検討ください。