エネルギー業界のDX化の現状は?今後直面する5つのDとは?
エネルギー業界ではDX化が重要な課題になってきています。5つのDという話を聞いて、エネルギー業界の今後に不安を抱いている方もいるかもしれません。DXをすれば今後の展望を明るくできる可能性があるなら、本格的にDXに取り組もうと考えている方もいるでしょう。
この記事ではエネルギー業界における課題と解決策としてDX化に取り組んだ成功事例を説明します。すぐに取り組めるSMSによるDX化のアプローチもご紹介します。
目次
エネルギー業界の現状と抱える課題
エネルギー業界では21世紀に入って大きな課題が次々に浮上してきました。まずはエネルギー業界の現状と課題について解説します。
SDGsの達成と脱炭素社会の実現のための取り組みの要求
持続可能な社会の実現に向け、エネルギー業界の企業の寄与について要求が大きくなっているのが現状です。電力供給では火力発電が占める割合が多いのが実態ですが、地球温暖化対策を進めるには、化石燃料の燃焼による二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を伴わない発電が必要です。SDGsの達成と脱炭素社会の実現のために、再生可能エネルギーの使用が求められています。
需要と供給のバランスを取るための調整力も要求されるようになりました。再生可能エネルギーへのシフトをしつつ、需要を満たす電力供給を実現するインフラ整備が求められています。原子力発電のリスクも広く認識されるようになり、エネルギー業界では電力供給のあり方の再考が必要とされています。
電力自由化による競争力の必要性の高騰
2016年の全面的な電力自由化によって競争が激化した競争環境において、どのような戦略で事業を進めるかがエネルギー業界の大きな課題になっています。新電力会社が次々に登場し、新しいサービスの提供によって顧客を獲得している状況があります。消費者の考え方は多種多様なので、再生可能エネルギーを重視している電力会社を選ぶか、価格が安いことを最優先するかは一概には言えません。
このような変革期に入っていることを考慮して、競争力を付けなければならないのが現状です。太陽光発電や水力発電、風力発電などの再生可能エネルギーによる電力の安定供給に新たに取り組むためのインフラ整備なども検討する必要があります。
現状を改善するためのDX人材の不足
DX化による課題解決を通じて競争力のある企業に成長するアプローチは、エネルギー業界に限らずさまざまな業界で取り組まれていて、成功事例も増えてきました。ただ、エネルギー業界では現状を改善して時勢に合うサービスを提供するDXを推進できる人材が不足しているのが課題です。
DX人材自体が日本では不足しています。少子高齢化の影響によって現役世代が減少している状況下で、DXに長けていてエネルギー業界に詳しい人材を獲得するのは至難の業です。AIやVRなどの技術によるDX化はエネルギー業界の課題の解決に有効ですが、適材が不足している影響でDXを推進することが難しい現状があります。
エネルギー業界の直面する5つのDとは?
エネルギー業界では「5D」と呼ばれる5つの課題に直面しています。5つのDとは5つの課題の頭文字を取った呼び名です。
- 規制緩和(Deregulation)
- 分散化(De-Centralization)
- 脱炭素化(De-Carbonization)
- 人口減少(De-Population)
- デジタル化(Digitalization)
5つのDはエネルギー業界を取り巻く課題として浮上した4Dに、企業が4Dの課題解決に取り組む方法としてデジタル化が新たに追加されて生まれました。電力自由化による規制緩和によって中央集権型の仕組みが分散型になりました。エネルギーも火力を中心とする状況から分散化が進み、太陽光発電、風力発電、水力発電に加え、地熱発電や波力発電なども開発されています。
この流れは脱炭素化の流れの中で生み出されたものです。化石燃料に頼らない再生可能エネルギーによる電力供給が求められています。このような中で少子高齢化による労働人口減少が進んでいる日本では対策が困難になっています。しかし、デジタル化の推進によるDXによって現状を打開できる可能性が生まれてきたのが現状です。
エネルギー業界におけるDX化の5つの成功事例
エネルギー業界では4つのDの課題解決を実現したDXの成功事例があります。5つのDになったことでできるようになった取り組みの例を紹介します。
北海道電力
北海道電力では複合現実(MR、Mixed Reality)を国内で初めて導入して巡視点検に実用化しました。マイクロソフト社のMRデバイスを基盤としたヘルメット一体型デバイス「Trimble XR10」で使用できるアプリを、アクセンチュア株式会社の協力を受けながらアバナード株式会社と共同開発しました。火力発電所の安定的な運用に欠かせない巡視点検は、異常の早期発見のためには技術が必要です。MRデバイスの導入によって技術継承を促すのが目的でした。
MRには巡視点検ルートや点検内容、過去の事例についての写真などが表示されます。作業員が効率的に点検技術を身に付けられるだけでなく、ミスを防ぐ目的でも有効活用されています。
参照:国内初、火力発電所におけるMixed Realityを活用した巡視点検アプリケーションの使用開始について – 北海道電力
東京電力
東京電力ではドローンの技術を利用して送電線の点検に応用しています。東京電力はブルーイノベーション株式会社が開発したBlue Earth Platformと呼ばれるドローンやロボットの自動操作プラットフォームを活用し、同社及び株式会社テプコシステムズとの協力によってドローンの自動飛行による送電線の状況撮影を実現しました。
現場での送電線の目視による点検からドローンによる写真・映像による点検が可能になり、広範囲にある送電線を効率的に点検できるようになりました。ドローンを手動で操縦すると接近しすぎるリスクがある点も自動操縦によって解決し、担当者が映像の確認だけに集中できるシステムになっています。
参照:送電線に沿ってドローンが自動飛行・撮影する「送電線点検用ドローン自動飛行システム」の開発・導入について|プレスリリース|東京電力ホールディングス株式会社
中部電力
中部電力では「中部電力グループ 経営ビジョン2.0」においてDXを明確に定義して推進する体制を整えています。経営主体でのDX推進によって成果につながっている事例です。中部電力では業務とお客様サービスの変革を目標に掲げ、人財一人ひとりが成長・活躍することで実現できると位置付けました。
手始めとして中部電力ではデータプラットフォームを整え、地域や個人に合わせたデータサービスの提供を進めました。また、データを重視して蓄積していく戦略を取り、業務改善のための情報として活用しています。中部電力ではエネルギープラットフォームの進化とDXを紐づけて考えていて、融合による価値創出をグループ全体で一丸になって取り組む啓蒙にも成功しています。
参照:
DX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組み – 企業情報|中部電力
中部電力グループにおけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組み
関西電力
関西電力ではK4Digital株式会社と共同で流氷雪自動検知プログラムを開発して水力発電所の安定運営と業務負担の軽減を実現しました。AIによる画像認識技術を用いて流氷雪の滞留による詰まり(スノージャム)の検知と連絡・警告を行えるシステムを開発して成功しています。
関西電力では水力発電における取水口の滞留による発電停止への対策をとるため、24時間体制でウェブカメラによる映像を有人監視していました。取水口の滞留が懸念された場合には取水用の水門を閉じるといった対応が必要になります。ディープラーニングを用いて学習させたAIによって画像でスノージャムを検知できるモデルを開発し、管理業務の負担を軽減しています。
参照:
当社のデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する取組み状況|関西電力
CASE-1 | BUSINESS K4 Digital
JERA
JERAでは「デジタル発電所」のビジョンを打ち立て、DXを推進しています。O&M・エンジニアリング本部に「デジタルパワープラント推進室」を設置し、独立部署として継続的な取り組みを2020年10月から進めてきました。火力発電所の運営業務に対してデジタル技術としてAIをベースにする技術を導入する計画を立てて推進しています。
オペレーション・メンテナンス・性能管理についてAI活用を進めていく中で、2022年にはAIによる火力発電所ボイラのAIによる運転最適化を実現しています。過去の運転データに基づくAI予測モデルを使用し、燃料使用量の削減などを達成した脱炭素社会の実現への貢献になる成功事例です。
参照:
Kaizen力と技術力にデジタル技術を組み合わせた「デジタル発電所」の推進について | プレスリリース(2020年) | JERA
AIによる火力発電所ボイラの運転最適化の開始について | プレスリリース(2022年) | JERA
企業のDX推進をするならSMSの活用がおすすめ
エネルギー業界では大規模投資をしてDXを推進して成功した事例が目立ちます。ただ、小規模投資によって企業のDX化を推進することは可能です。SMSは迅速で到達しやすいツールとして汎用性があります。すでに確立されている技術なので、新たに開発をする費用も期間も必要がありません。従業員への一斉通知や発電所の異常運転がみられた際のアラート送信などの手段としても活用可能です。他のDX化の取り組みと親和性があるので積極的な導入を検討しましょう。
関連リンク:
DX推進が業務効率化に繋がるのはなぜ?重要性や成功事例をご紹介
電気・ガス業界でのSMS(ショートメッセージ)送信サービスの活用事例
法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」
KDDI Message CastはDX化を目指す企業にとって心強いサポートになるSMS送信サービスです。SMSの一斉送信によって異常時に担当スタッフに一斉連絡をして連携を取らせたり、予約送信によって日常点検をスケジュール通りに進めるためのアラートを出したりすることができます。電気料金の変更などの通知を顧客にSMSで一斉送信することも可能です。さまざまな活用方法があるので、DXの基盤の1つとしてKDDI Message Castをご活用ください。
まとめ
エネルギー業界ではDX化が現状の課題解決のアプローチとして重要になっています。5つのDの1つにデジタル化が盛り込まれていることからもわかるように、DX化は難しいと思われているのは確かです。しかし、簡単なインフラ整備をするだけでもDX化は実現できます。KDDI Message CastのSMS送信サービスなら、現場の広い課題解決に応用可能です。DX化の糸口としてまずはSMS送信サービスの利用から始めてみてはいかがでしょうか。