化粧品業界では、DX(デジタルトランスフォーメーション)による革新が求められています。大手企業を中心にDX化が活発に進められていますが、具体的に何をすれば良いのかが明確でない場合もあります。化粧品業界はITやAIを活用したDXを実現しやすい業界であるため、他社の事例を参考にし、自社に合った戦略を検討することが重要です。この記事では、化粧品業界におけるDXの事例と具体的な進め方のポイントをご紹介します。

化粧品業界のDX化が求められている背景

化粧品業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が高まっているのは、顧客の嗜好や購買行動が大きく変化しているためです。化粧品は「美しくなりたい」「社会的に適切なマナーを守りたい」というニーズに応えるために利用されています。インターネットの普及により、顧客は自分の関心に応じて欲しい商品やサービスを探すことができるようになりました。また、インフルエンサーや口コミの情報による商品検討の流れも生まれています。

さらに、オンライン化が進む中で、化粧品業界では顧客体験を向上させるオンラインサービスの提供が始まっています。例えば、バーチャル体験で化粧した自分の姿を見ることができるサービスが典型的です。加えて、AIの導入により、写真から肌質を診断する技術も開発されています。このようなデジタル技術の活用が進む中で、化粧品業界がDXに取り組まなければ、他社に後れを取るリスクが高まっています。

営業やマーケティングだけでなく、事業戦略を抜本的に再検討しなければ、顧客ニーズに応えられなくなっているのが現状です。DX化は、化粧品業界にとって早急に対応すべき課題となっています。

化粧品業界に必要なDXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、新しいサービスの創出、製造効率の向上、顧客体験の改善など、さまざまな角度から各業界で取り組みが進んでいます。ここでは、化粧品業界のDX戦略として特に重要なポイントを解説します。

なお、DX導入がもたらす影響や特徴は業界ごとに異なります。他業界における事例の詳細は、こちらの記事をご参照ください。

関連リンク:業界別のDX事例15選 DXが各業界にもたらす影響や変化とは
https://sms.supership.jp/blog/dx/dx_jirei15/

顧客体験の向上

化粧品業界では顧客体験の向上が肝心な要素です。化粧品業界ではトレンドが変化する速度が大きく、インフルエンサーによる影響で一新される場合もあります。顧客ニーズを捉えて必要なサービスを選定して積極的に取り入れたり、他社にはないサービスを開発したりして顧客体験を向上させることが大切です。

近年ではオンラインサービスの需要が高まっています。実店舗に行くことなくバーチャルでメイク体験をしたり、肌診断をしたりできるサービスは喜ばれています。化粧品業界のDXではこのようなニーズを見て戦略を立てることが重要です。

パーソナライゼーション

化粧品業界ではパーソナライゼーションが顧客体験にもかかわる重要なポイントです。化粧品の利用目的は人によって違います。美しくなりたいという目的でも人によって目標地点が異なります。乾燥肌や敏感肌、脂性肌などの悩みを持っていて、自分にとってベストの化粧品を探したいというニーズもあるため、「あなたのための化粧品」を提供できることが重要です。

オンラインで肌診断をするサービスや、ビデオ通話でカウンセリングを受けられるサービスなどはDXの一環として取り入れられています。AI活用によってパーソナライゼーションは加速しているので、自動化も考慮して検討することが大切です。

コミュニケーション

化粧品業界のDXには、コミュニケーション方法の充実が重要です。顧客満足度が向上すれば、リピーターとなり、自社の化粧品を継続的に使用してくれる可能性が高まります。また、SNSなどで高評価の口コミを投稿し、宣伝してくれることも期待できます。化粧品業界では、顧客とのコミュニケーションを重視し、顧客満足度を最大限に引き上げることが効果的です。

見込み顧客を育ててファンにする意識を持ち、パーソナライズされたコミュニケーションを行うことが大切です。SMSやLINE、自社アプリなど、個別にコミュニケーションを取りやすい方法を取り入れるDXは有効な対策です。

化粧品業界のDX化事例

化粧品業界では、大手企業やベンチャー企業を中心にDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む事例が多数あります。ここでは、化粧品業界のDX化事例の中でも、特に特色があり成功している事例をピックアップして紹介します。

コーセープロビジョン株式会社

コーセープロビジョン株式会社では、DECORTÉ(コスメデコルテ)のオンラインブティックでオンラインカウンセリングを取り入れています。「パーソナルビューティーコンシェルジュ」は、専任コンサルタントに気軽に悩みを相談できるサービスです。

予約不要のチャットカウンセリングでは、テキストベースで商品選びや肌のトラブルの相談などができます。予約制のビデオカウンセリングでは、ビデオ通話を通して肌の様子を見てもらいながらレクチャーを受けることが可能です。このような2パターンのサービスを提供することで、オンラインショップで購入するユーザーのさまざまなニーズに対応できるようにしています。

参照:Personal Beauty Concierge
https://counseling.decorte.com/customer/top

株式会社カネボウ化粧品

株式会社カネボウ化粧品では、新しい自己表現ができるメイクアップサポートサービス「KATE MAKEUP LAB.」を提供しています。LINEで利用可能なサービスで、KATE SCAN(顔印象分析)によってAIが顔の特徴点に着目し、84座標でパーツ比率を分析する仕組みになっています。

KATE MAKEUP LAB.では、独自のアルゴリズムで解析した結果を表示するだけでなく、パーツごとのメイク方法を提案したり、スウォッチ(見本)動画などでメイク技術を紹介したりするサービスも搭載されています。スマホを通してメイク体験もできるので、より納得のいく化粧品選びをしてもらい、販売プロモーションにつなげられるサービスです。

参照:KATE | KATE MAKEUP LAB. 
https://www.nomorerules.net/matome

参照:KATE公式LINE「MAKEUP LAB.」がOPEN KATE独自のロジック解析×先端AI技術※を搭載 | 株式会社カネボウ化粧品のプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000340.000016220.html

株式会社資生堂

 株式会社資生堂では、肌分析アプリ「肌パシャ」をリリースしています。「肌パシャ」は、簡単な質問に答えた後、スマホのカメラで横顔の写真を撮影するだけで、同社独自の理論に基づく分析結果を表示します。肌データを記録できるため、スキンケアによってどのように肌質が変わってきたかをセルフチェックできるのも特徴です。

「肌パシャ」では、分析結果にアドバイスが添えられているだけでなく、質問の回答と分析の情報から同社のおすすめ商品も提案されます。肌データに基づいて、ユーザーが自分に合う化粧品を選んで購入する流れができています。自分で主体的に美容ケアをしていきたい人が増えている状況を的確に捉えたサービスです。

参照:【肌パシャ】スマホで簡単!本格的に肌分析! | 資生堂オンラインストア
https://www.shiseido.co.jp/sw/hadapasha/pc.html

花王株式会社

花王株式会社では、DXの多角的な取り組みを進めており、2022年に「My Kao」をユーザーとの双方向コミュニケーションの舞台として構築しました。「知る」「体験する」「買う」「創る」を双方的に実現する基盤として活用しています。ファンづくりのためのオウンドメディアであり、新たなマーケティング基盤としての役割を担っているプラットフォームです。

また、同社ではプリマヴィスタブランドで「毛穴色ムラfinder」をリリースしています。「毛穴色ムラfinder」はAIによって肌状態を測定し、化粧品や下地を提案する仕組みのサービスです。Web上でカメラを使って簡単に利用できるシステムになっています。ブランドの販促にAIアプリを活用している典型例です。

参照:デジタル・トランスフォーメーション|花王
https://www.kao.com/content/dam/sites/kao/www-kao-com/jp/ja/corporate/sustainability/pdf/sustainability2024-39.pdf

参照:ポアレスフィクサー 毛穴色ムラfinder|プリマヴィスタ
https://www.primavistafinder.com

株式会社アルビオン

株式会社アルビオンは、独自のブランドファンの育成とリピーター化を目的にアプリを導入しました。同社では、トリートメントサロンなど8つのゾーンで構成される上質な体験を提供する「アルビオンフィロソフィ」を運営しています。顧客体験を向上させる戦略として開発されたのが「フィロソフィアプリ」です。

このアプリでは、カウンセリングの予約やメンバーズカードの機能があるだけでなく、ステータスに応じて特典サービスを受けられる仕様になっています。化粧品にモチーフや文字を刻印できるオリジナルサービスもあり、特別感のあるサービスを通じてファンを育成する基盤を構築しています。ニュース配信も行い、顧客接点を充実させる取り組みを推進し、アプリ活用によるDXを加速させています。

参照:ALBION PHILOSOPHY<アルビオン フィロソフィ>
https://www.philosophy.albion.co.jp

参照:アプリケーション | ALBION PHILOSOPHY<アルビオン フィロソフィ>
https://www.philosophy.albion.co.jp/appli

参照:ファン育成プラットフォーム「FANSHIP」アルビオン「フィロソフィ」アプリで業務DXを支援
https://www2.infomart.co.jp/web/jp/images/upload/1116/140120210513417145_10742552.pdf

化粧品業界のDX化を進めるためのポイント

化粧品業界のDX化は業界全体の動向と顧客の嗜好を理解して進めることが重要です。デジタル技術の活用をすればDXができるわけではありません。ここでは化粧品業界でのDX化に重要なポイントを解説します。

DX方針の明確化

まずはDX化の方向性とゴールを明確にすることが大切です。営業、販売、マーケティング、商品企画、開発などの各部署が連携してコミュニケーションを取りながら施策を進める必要があるからです。企業としてDXにより何を実現するのかを示し、従業員が一丸となって取り組む体制を整えましょう。

顧客の多様化を考慮したサービスの開発・提供や、パーソナライズされた価値・サービスの充実は、化粧品業界のDXにおいて欠かせないポイントです。具体的な商品・サービスの開発は、現場をよく理解している営業職や販売員の声を生かすことで明確になります。課題を各部署から取り上げ、DX化により解決できる可能性を模索することが大切です。

化粧品業界では、DX方針がブランディングにも関わります。これまでに確立してきたブランドイメージと合わせるか、今後の新展開を考えてブランドの方向性を変えるかも検討しましょう。デジタル技術の活用は新しい可能性を生み出せるため、DX方針を立てる際にはブランド価値も考慮して戦略を策定することが重要です。

顧客との日常的なコミュニケーションインフラの確立

見込み顧客をファンに育成したり、新規顧客を獲得したりするためには、デジタル時代のトレンドに合わせたコミュニケーションインフラの構築によるDXが重要です。化粧品業界では、自社ブランドのファンやロイヤルカスタマーを育て、継続的に商品を購入してもらうことが大切です。

日常的に顧客とコミュニケーションを取れるようにし、気になったことがあったときにすぐにケアできるようにすることで、顧客満足度を向上させ、永続的なリピーターに育てることができます。自社アプリで顧客が能動的にコミュニケーションを取りに来るのを待つ方法もありますが、SMSなどの個別性が高いメッセージシステムを使ってパーソナライズされたフォローアップを行う方法も有効です。

個別性が高いコミュニケーションインフラがあると、顧客に特別感を感じてもらいやすくなります。コミュニケーションサービスの提供にはインフラが必要です。自社アプリを開発して運用体制を整えたり、SMS送信サービスを契約して快適に送受信できるようにしたりすることが重要なポイントです。

顧客体験の向上と選択肢の提供

顧客との効率的なコミュニケーションを取るとファン育成ができますが、顧客体験が必ずしも向上するわけではありません。顧客は自分の判断で商品やサービスを選びたいと考える時代になっています。顧客体験の向上はリピーターの獲得になるだけでなく、口コミによる波及効果もあるので重要な要素です。

顧客体験の向上には選択肢の提供が重要です。顧客によってオンライン・オフラインのどちらを好むかは異なります。ターゲットに合わせてO2O(Online to Offline / Offline to Online)を検討したり、OMO(Online Merges with Offline)のコンセプトで包括的に対応できるようにしたりすることが大切です。

化粧品業界では最終的には自社の商品を使ってもらい続けることが重要です。肌質や年齢などの変化に伴う新しい化粧品の提案も顧客体験の向上につながります。DX化では顧客の選択肢を増やして、より良い体験を選べる導線を設計しましょう。

法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」

化粧品業界のDXを進めるなら、まずはSMS送信サービス「KDDI Message Cast」の導入がおすすめです。KDDI Message Castは、SMSの一斉送信や予約送信が可能で、顧客フォローのDXに非常に有効なサービスです。営業や販売後のフォローを自動化し、計画的に顧客にアプローチすることができます。SMSは電話番号に紐づいているため、パーソナライズされた連絡として認識されやすく、化粧品業界のDXツールとしておすすめです。

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まとめ

化粧品業界では、商品やサービスの提供を通じて顧客体験や顧客満足度を向上させることが重要です。顧客の嗜好や購買行動の変化に伴い、DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が高まっています。オンラインサービスの活用が進む時代において、見込み顧客を育てて、ファンにするためにもデジタル技術の活用が求められています。顧客フォローのDXには、SMSの活用が効果的です。DX戦略を検討する際には、SMSの導入も検討し、パーソナライズされたサービスを提供しましょう。