コールセンターDXとは、デジタル化によってコールセンター対応の品質の向上やオペレーターの業務負担の軽減をする取り組みです。この記事ではコールセンターDXの推進の必要性と、DX導入で重要なポイントをご紹介します。

コールセンターDX推進が必要とされる理由

コールセンターDXは多くの企業で推進されている重要な取り組みです。業務課題を解決する方法としてデジタル化によるDXが多角的に進められています。ここでは、コールセンターでDXが推進されている理由を解説します。

業務効率化・自動化が課題になっているから

コールセンターDXが推進されている背景には、現場の運営が厳しい状況であることが挙げられます。新人オペレーターの離職率が高く、コールセンターのオペレーターが定着しづらいため、少人数での運営が必要とされています。月刊コールセンタージャパンによる調査では、入社1年以内のオペレーターの離職率が10%以下の現場は、2013年は57.3%だったのに対し、2018年には26.7%まで低下しました。

DXによる業務効率化や自動化によって、少人数でも対応できるコールセンターの構築が目指されています。DXはオペレーターの業務負荷を軽減して定着率を向上させることも期待できる重要な取り組みです。

参照:コールセンタージャパン・ドットコム | 2019年1月号 <特集>
https://callcenter-japan.com/article/3703/1/

顧客満足度の向上が求められているから

顧客満足度の高いサービスの提供が当然になるとともに、コールセンターの対応品質も向上が求められています。コールセンターDXが推進されているのは、デジタル技術の活用によって顧客が求める対応を実現する必要性が高まっているからです。

電話をかけてもつながらない、オペレーターにつながるまで時間がかかるといったときには「放棄呼」(顧客がオペレーターにつながる前に電話を切ってしまう)となり、顧客の離脱のみならず口コミで悪い評判が広がる原因にもなります。顧客のストレスを軽減し、顧客体験を向上させることが自社の評判を向上させることにつながるため、DXによる適切な対応を目指すことが重要になっています。

コールセンターのDX化によって実現できること

デジタル技術を活用し、コールセンターDXを進めることによって、コールセンター業務の抜本的な課題解決につながります。オペレーター不足による取りこぼしの増加、電話対応の品質低下、業務負荷の増加によるオペレーターの退職などのトラブルを防ぐことが期待できます。

コールセンターをDX化するときにはマルチチャネルにして、問い合わせの窓口を増やすことが重要です。電話だけで顧客対応をしていた状況から脱却し、SMS、メール、チャットなどを活用して対応できるようにすると効率的なコールセンター運営ができます。顧客が好む問い合わせ方法に対応すると顧客満足度も向上します。

コールセンターDXの効果を発揮するために必要なデジタル化

コールセンターDXの取り組みの効果を最大化するためには、以下の3つの観点から総合的に適した方法を選ぶことが大切です。

  • 業務工程
  • 顧客対応
  • 対応履歴

ここでは3つの観点についてデジタル化の対応が必要な理由と具体策を解説します。

業務工程

業務工程をデジタル化するとオペレーターを管理しやすくなります。コールセンターの運営ではオフィスの一角にオペレーターを集めて対応させるのが一般的ですが、電話対応などの業務は同じ現場でおこなう必要はありません。

コールセンターではリモート環境でも業務をおこなえます。業務工程の管理システムを整えて、リモートワークも可能にするとオペレーターの人材を獲得しやすくなります。デジタル化によって管理コストも抑えられるので重要なアプローチです。

顧客対応

顧客対応をデジタル化するとコールセンターのオペレーターの業務負担を軽減できます。ACD(着信呼自動分配装置)、IVR(自動音声システム)、ボイスボットなどを導入してDXをすれば、問い合わせ対応の品質向上とオペレーター負荷の低減が可能です。

顧客対応のデジタル化は現代のトレンドにも合っています。メールやSMS、チャットなどで問い合わせをしたいというニーズにも応えられるため、DXの効果を上げるにはチャネルを増やすことが重要です。

対応履歴

コールセンターでの対応履歴をデジタル化して管理し、すぐにアクセスできるシステムを整えると業務の品質も効率も向上につながります。顧客の対応履歴がデータとして記録されていれば、オペレーターが対応するときに履歴を参照して顧客の状況を理解できるからです。

問い合わせ内容を把握しやすくなるので、オペレーターの業務負担が少なくなり、顧客にも満足度の高い体験を提供できます。対応履歴の分析を経てオペレーターのスキルの向上も期待できる方法です。

コールセンターDX を推進するために、おすすめの機能

コールセンターDXではシステム導入によってデジタル技術を活用するのが適切です。ここではコールセンターで導入するのに適している以下の4種類の機能を紹介します。

  • ACD(着信呼自動分配装置)
  • IVR(自動音声応答システム)
  • チャットボット・ボイスボット
  • CRM(顧客関係管理)

ACD(着信呼自動分配装置)

ACDは入電時に電話を自動で振り分ける機能です。顧客からの電話の振り分けを最適化する方法として活用されています。ACDでは事前にルールを定めて、電話がかかってきたときにどのように電話を割り振るかをプログラムできるのが特徴です。

オペレーターが不足していて電話に出られないときには、ACDを導入すると「ただいま電話が混み合っております。オペレーターにおつなぎするまで少々お待ちください」といったガイダンスを流せます。そして、オペレーターに空きができたときには、待ち時間が長い顧客を優先してオペレーターにつなぐといった対応を自動化できます。

IVR(自動音声応答システム)

IVRは入電時に自動音声ガイダンスを流して応答する機能です。IVRは受電時に音声ガイダンスを流し、顧客に番号をプッシュしてもらうことで問い合わせ内容に応じた対応を自動化できるシステムです。あらかじめ音声ガイダンスと振り分け先を設定しておくと、電話を適切な担当者につなげられます。

IVRは自動音声のみで問い合わせに応じることも可能です。予約の受付やキャンセルなどの数字のプッシュだけで対応できる内容は、IVRを活用すると自動対応ができます。オペレーターの業務負担を減らすのに有効な機能です。

ボイスボット・チャットボット

ボイスボット・チャットボットは問い合わせに対して音声またはテキストで応答する機能です。機械によって24時間365日の対応ができるため、業務負荷の低減だけでなく、顧客満足度の向上にもつながります。

ボイスボットでは音声を使用して顧客の質問に回答します。入電時にAI自動応答システムによって顧客の問い合わせに対応できます。注文や予約の受付などのルーチン対応可能な問い合わせへの回答に適している機能です。

チャットボットを導入すればテキストベースで対応する窓口ができます。AIチャットボットは臨機応変な回答ができるので活用事例が増えている機能です。

CRM(顧客関係管理)

CRMは顧客情報を管理するシステムです。顧客の氏名や連絡先だけでなく、過去の問い合わせ履歴や購入履歴なども一元管理できます。

CRMを導入すると、顧客からの問い合わせ状況や利用しているサービスの内容などを速やかに把握できます。顧客がコールセンターに問い合わせをするときには、今までの問い合わせ内容や利用しているサービスをオペレーターが知っているという前提で話をすることもあります。このような顧客にも柔軟に対応できるだけでなく、情報を調べる負担も減らせるシステムです。

コールセンターDXを実現するためのシステムを導入する際のポイント

コールセンターDXではシステムを活用するのが一般的です。コールセンターに導入するシステムを選ぶときには、以下のポイントを押さえて検討すると良いでしょう。

  • 業務効率化と顧客体験向上の機能が揃っているか
  • カスタマイズ性や拡張性が備わっているか
  • サポートが充実していて導入・利用をしやすいか

業務効率化と顧客体験向上の機能が揃っているか

システムを選定するときには、現場で必要とされている機能が揃っていることを確認しましょう。システムによって実現できることは異なります。業務効率化が課題のときには、IVRによる電話の一次対応の自動化のように具体的な業務課題を解決できる機能が備わっていることが必要です。顧客体験を向上させたい場合には、マルチチャネル化のように顧客視点でサービスの品質を上げられる機能が整っているシステムを選びましょう。

カスタマイズ性や拡張性が備わっているか

コールセンターでDXを続けていくには導入後も柔軟に活用できるシステムを選びましょう。カスタマイズ性があって使いやすいシステムを導入できることがまず重要です。また、事業拡大をしたときにも対応できるか、オペレーターや拠点が増えてもコストパフォーマンスの高い料金プランがあるかといった視点で拡張性も考慮しましょう。システムの入れ替えは現場の負担になるので、継続的に利用できるシステムを選ぶことが大切です。

サポートが充実していて導入・利用をしやすいか

コールセンターDXの推進ではサポートが充実していることが重要です。システムを導入してもオペレーターが拒否感を持ってしまうと運用が進みません。他の部署との連携が必要な場合には、関連部署からも受け入れられるシステムを選ぶとDXを進めやすくなります。サポートが充実していると、使い方がわからない、システムトラブルが起きたといったときにも個別に対応してもらえます。システムをスムーズに導入して安定運用するために重要なポイントです。

コールセンターDXの手順

コールセンターDXを推進するときには、以下の手順に従って丁寧に進めることが重要です。

  • コールセンターの課題を収集・分析する
  • DXで解決する課題・業務を決める
  • システムの選定とDXの計画立案をする
  • システムを導入して効果を確認する

ここではDXの4つのステップで必要なことを端的に解説します。

コールセンターの現状と課題を収集・分析する

DXではデジタル技術によって課題を解決します。コールセンターの現状を把握し、現場の課題を網羅的に収集して分析しましょう。KPIに基づいてコールセンターの課題を洗い出したり、オペレーターにヒアリングをしたり、顧客にアンケート調査をしたりすると多角的に情報を集められます。コールセンターは他の部署とも深いかかわりがあります。関連部署での課題も調査して、同時に解決できるDX施策を考えるのが合理的です。

DXで解決する課題・業務を決める

コールセンターの課題が明確になったら、DXによって解決できる可能性を吟味しましょう。デジタル技術は万能ではないので、解決しやすい課題を選び出して対策を検討することが大切です。システムを利用して自動化できる、ヒューマンエラーを減らせる、データを活用できるといった視点で、デジタル化によるメリットを生かせる業務に着目すると、解決しやすい課題を選び出せます。デジタル化では解決が難しい課題は別途対応しましょう。

システムの選定とDXの計画立案をする

DXで解決に取り組む課題が決まったら、必要なシステムの選定をしてDXの計画を立てます。1つのシステムの導入で複数の業務課題を解決できる可能性があるので、まずはシステムを比較して導入候補を決めましょう。そして、システムの導入時期や既存のシステムからの移行の流れを計画します。業務フローやマニュアルなどの変更も必要になる可能性があるため、段階を踏んでシステムを導入する計画を立てることが大切です。

システムを導入して効果を確認する

DXの計画ができたらシステムの契約をして導入します。導入の段階ごとにトラブルが発生していないか、現場で運用されて効果が出ているかを確認しましょう。トラブルが起きたときには原因を究明して対策します。大きな変化が起きると現場から不満が生じることも多いので注意が必要です。従業員にヒアリングやアンケートをしてDXに対する印象を確認し、不満が募っているときには対策を検討しましょう。慌てずに着実に新しいシステムを導入することが大切です。

法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」

SMS送信サービスの導入はコールセンターDXの取り組みとして多くの企業に選ばれています。SMSは電話番号を宛先にして顧客にショートメッセージを送れるサービスです。KDDI Message CastのSMS送信サービスでは一斉送信や予約送信に対応していて、SalesforceなどのCRM/SFAとの連携もできます。コールセンターのマルチチャネル化をする方法としてSMS送信サービスの導入を考えてみましょう。

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まとめ

コールセンターDXは業務の品質の向上と効率化を実現できる重要な取り組みです。オペレーターの定着率が課題になっている現代では、少人数のオペレーターでも顧客満足度の高いコールセンター対応ができる体制を整える必要があります。システムの導入によるDXは課題解決につながります。コールセンターDXではSMS送信サービスの導入もおすすめです。マルチチャネル化の一環として導入を検討してみましょう。