企業のDX化が推進されている昨今、あらゆる環境でデジタル化がすでに進んでいます。営業職においても、営業DXという言葉をよく耳にする方が多いのではないでしょうか。しかし、デジタル化と何が違うのか、営業DXで得られる効果は何なのか分かりにくい部分もあるでしょう。ここでは、そんな疑問にお答えできる情報を成功事例をまじえてご紹介します。

営業におけるDXとは何か

営業におけるDXとは、データやデジタル技術を用いて営業戦略を見直し、営業プロセスやその体制を再構築することを指します。目的は、顧客のニーズを基に自社の競争力をつけて優位性を確立することにありますが、実は日本ではまだ営業のDX化が不十分な企業が多いとされています。

DX化そのものは、昨今、推進されている施策でもあり、多くの企業が意識し実践していますが、企業全体で取り組むだけでなく営業部門など部門ごとに適用することでより効果が得られます。

営業のDX化は、営業に関わる情報を組織で共有し属人化をなくしたり、営業のノウハウを全体に浸透させたりすることができるため、組織全体の強化にもつながると言われています。

そもそもDXとは

そもそも、DXとは何なのか、その定義をおさらいしておきましょう。経済産業省では、DXについて2019年7月の「DX推進指標とそのガイダンス」で以下のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立する」
引用:「DXレポート2(中間とりまとめ)」令和2年12月28日 デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会より

DXについてのより詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?DX推進のメリットと課題も

営業DXとデジタル化の違いとは

デジタル化とは、人間が行う業務の一部をITツールで補い、効率的にすすめることを指します。一方、営業DXは、そうしたITツールの力も借りながら、営業活動の改善を進めていくことまでを目的としています。

したがって、営業DXにおいて、ITツールの使用はあくまでも1つの手段にすぎません。ITツールを上手に活用して、顧客の行動やニーズ、営業活動の全体像をつかみ、改善すべき問題と解決への方向性を見いだしていくことが営業DXの意義です。

営業DXが必要とされる理由

なぜ、営業部門でのDX化が必要とされるのか、その理由を見てみましょう。

まず、少子高齢化の日本では、労働力の減少があちこちで課題になっています。従来の営業活動のままでは無駄も多く、生産性を高めることが重要になります。営業のDX化により業務を見える化すると、無駄な部分が見えてきます。そうすることで、効率化への改善ポイントが分かります。

DX化によって営業のノウハウが蓄積できれば、営業担当者による成果の差や引き継ぎの問題にも対処できます。属人化しやすいという営業部門の問題を改善し、部門全体の営業スキルを底上げすることで人材不足の問題を補うことも可能です。

また、近年では、オンラインでの面談や商談が一般的になってきました。ただ面談をオンラインに切り替えるだけでなく、アポイント獲得の段階からデータを活用して営業活動全体にデータをフル活用することで、対面営業で生まれがちな問題も見えてきます。

営業職を取り巻く環境の変化について

インターネットの普及

ここ数年で、営業職を取り巻く環境の変化はどんどん進化しています。インターネットの普及は、特に大きな変化と言えるでしょう。インターネットの普及により、誰でも簡単に欲しいものを欲しいタイミングで購入できる時代となりました。それは国内のお店だけでなく、海外のお店にまで及びます。そして、営業職は取引先や顧客と電子メール等を通じてやりとりをすることも一般的になりました。

働き方の変化

新型コロナウイルスや働き方改革によって、リモートワークの体制を整えた企業が増加しています。インターネットの普及によって、こうした体制がとれるようになり、営業もリモートワークに適した働き方が求められています。

顧客満足度が重視される時代に

一昔前の、大量生産・大量消費の時代が過ぎ、現在は顧客満足度を高める経営が重視されています。顧客が簡単にインターネット等を通じて情報を得られる時代となり、スピードや満足感なども求められるようになりました。営業は、さまざまなデータを活用してよりニーズに合った手法を用いて仕事をする必要があります。

営業DXを実現した企業の成功事例

富士通

営業職の代わりに「エバンジェリスト」という商品の良さを伝達する職種が世界的に増えてきており、この流れに乗ったのが富士通です。自身がDX推進の役割を担う企業でもあり、営業の役割を見直して撤廃、代わりに「ビジネスプロデューサー」を設置しました。顧客とともにビジネスをプロデュースしていく新会社「Ridgelinez株式会社」を設立しました。テクノロジーを駆使して、商談活動支援や社内調整はインサイドセールスを行う部門が担当し、効率的に社内連携を図っています。

参考:
営業DXのエキスパートに聞く「営業のデジタルシフト」の解決法 : 富士通
お客様のデジタルトランスフォーメーションを実現する新会社「Ridgelinez株式会社」を設立 : 富士通

NTT東日本

インサイドセールスを専門に扱う部門を発足し、リード獲得からクロージングまで行う「Webリードクロージングセンター」を開始。Web問い合わせへの返答のスピードアップなど、いわゆるキーマンとの接触率が大幅に向上し、受注率も上がりました。自社でDXコンサルティングを中心とした事業を行う新会社「株式会社NTT DXパートナー」も設立しています。

参考:DXコンサルティング・プラットフォームビジネス分野における新会社「NTT DXパートナー」の設立について | NTT東日本

テスラ

電気自動車を手掛けるテスラは、多くの店舗を閉鎖してオンライン販売へ移行しています。デジタル部分に投資をしてWebからでも抵抗なく車を選びやすいよう工夫し、「購入後7日以内または走行距離1600km以内(いずれか早い方)なら全額返金が可能」として新しい購買体制を整えました。営業コストや人件費、テナント料などの削減により、車の販売価格を6%も引き下げることに成功し、より多くの顧客の購買意欲を高めています。

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営業DXにおけるカテゴリー

営業領域のDXには、大きく分けて7つのカテゴリーがあります。それぞれ、どのような特徴があるのか整理してご紹介します。

営業促進

営業活動の促進と生産性アップのためのツールです。この分野のツールは幅広い項目に対応可能なものが多く、便利な機能が豊富です。SFA(営業支援ツール)はこの分野に該当し、国内のものだけでも40種類以上あると言われています。

カスタマーサポート

インバウンドセールス、つまり購買意欲を促す情報の発信や問い合わせへの応対により営業を行うことを効率化します。顧客とのやりとりを記録した音声データやテキスト化したデータを保存する機能や、良いタイミングでメルマガを送付する機能など、自動で行えるツールがあります。

インテリジェンス

営業活動で得られたデータを有効に活用するためのツールです。AIによって、専門的な知識がなくても簡単にデータ分析を行えるのが大きなメリットと言えるでしょう。膨大なデータと結びつけて顧客の課題を抽出するなど、高度な戦略性を持ったツールも豊富です。分析によって得られた情報をもとに、顧客の行動を促したり支援したりすることができます。

顧客関係管理

顧客のデータベースの構築や、プロモーションの履歴などを簡単に見ることができるツールです。CRMが代表的で、特にBtoC企業で多く活用されています。顧客の情報をカスタマーセンターやプロモーションを担う部門と共有することで、ネット通販にも連携が可能となります。

顧客体験

サイトに訪れたユーザーに適したポップアップを配信するなど、オンラインでも顧客の心をつかむような感動体験・擬似体験を付加するツールです。サイトへの訪問回数や流入経路から、より顧客の状況に合った情報を届けたり、チャットツールを使用して簡単にコミュニケーションがとれたりすることで、売り上げを伸ばすことを目的としています。

コミュニケーション

顧客とのやり取りの質を高めてくれるツールです。例えば、コールセンターシステムや電話内容を分析してオペレーターに適切な返答の候補を与えるなどが可能です。また、Web会議でのビジネスミーティングにも役立てることができます。

コーチング

営業活動にあたる人材の教育や育成のためのツールです。教育資料の動画プラットフォーム、オンラインでできるロールプレイングと評価などが該当します。

営業DXを導入するための流れ

営業体制の棚卸し

現場で働く営業職の意見を中心とし、複数の部門から声を聞きながら最適なDXのためのITツールを見つけます。大事なのは、具体的な運用を想定して、どのような部分をDX化したらよいのか明確にすることです。IT部門が中心となって整備を進めてしまうのではなく、時間がかかっても丁寧に現在の体制を見つめて、実際に現場の営業職が使えるツールを導入することが大事です。

方針の決定

営業体制の棚卸しができたら、IT部門やITコンサルタントなどの専門家の意見を聞き方針を決定していきます。まず先に行うべきなのは、ゴールのイメージです。営業のDX化の最終的なゴールがイメージできると、より効果的なツールの選定ができます。この段階は、とても慎重に行う企業が多く、時間をかけて行う企業であれば半年近くかかる場合もあります。DX化のための予算の問題もあるため、営業職だけで決定することは難しいかもしれませんが、潤沢な予算があれば社外のITコンサルタント等の意見を取り入れるのも有効です。

インフラ整備

方針が決定すれば、あとは体制づくりです。IT部門としっかりと連携をはかり、実際に使用するツールの運用や必要なインフラ整備を始めていきます。現場の営業職の声がしっかりと拾える体制をとり、誰もが使いやすい環境を整えることが大切です。

営業DXを実現するためのポイント

現在の課題を抽出する

現在の営業プロセスで、どのような課題があるのかを常にチェックしておきましょう。必要に応じて、その都度最適な対処法を検討することで、よりよい体制づくりが実現していきます。課題の抽出には、SFAやCRMなどのセールステックの活用が便利です。

より高度な営業ができる人材の育成

インターネットの普及により、顧客自身が必要な情報を簡単に収集できる時代となりました。そのため、これからの営業職には、物事を見抜く力や先回りして必要となるであろう情報を見つけるスキルが求められます。こうした高度な営業ができる人材を育てるのも、営業DXをすすめていく上で重要です。

機能の細分化

現在の主流は、インサイドセールスと物事の決定に関わる場面での営業を分けてそれぞれの専門性を高めて連携する営業方法となっています。従来の方法を続けていると、アポイントがなかなかとれずに困ってしまう事態につながりかねません。営業体制の機能を細分化することで、生産性の向上につなげていくのがポイントです。

営業DX推進にはSMSの活用がおすすめ

オフィスやレンタルスペースでパソコンを操作する女性。オンラインで快適に仕事をするイメージ。

営業DXの推進には、SMSの活用がおすすめです。これまで主流だった電話やメール、郵送でのDMでは、つながりにくい、開封率が悪いといった問題がありました。しかし、SMSの場合、開封率が高く必要な情報を顧客に届けやすく効果も得やすいというメリットがあります。

便利なSMSツールを用いると、その管理や運用はとても楽に行えます。手間も大幅に省くことができるため、人材不足で悩む企業にも適しているでしょう。

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まとめ

営業職をとりまく環境は、日々変化し続けています。顧客がインターネットを使って簡単に必要な情報の収集や商品の購入を行えるようになった昨今では、営業職には従来よりもより高度なスキルと対策が求められます。営業DXの推進により、仕事の効率性を高めるだけでなく顧客の心に刺さるような営業が実現可能です。これから、体制づくりを行っていきたいと考える方は、ぜひ参考にしてみてください。

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