地方自治体ではLINE公式アカウントを運用している事例が多くなってきました。LINEは地方自治体にとって活用しやすい魅力的なプランがあるだけでなく、導入によって業務課題の解決に成功している自治体も増えてきたからです。

この記事では地方自治体がLINE公式アカウントを活用する効果的な方法と日本での成功事例を紹介します。LINEと同様に地方自治体の課題解決につながるサービスも解説するので参考にしてください。

地方自治体向けのLINEアカウント「LINE公式アカウント」とは

出典:LINE Corporation | 行政でのLINE利用

地方自治体はLINE公式アカウントを運用できます。LINEのアカウントは個人アカウントとビジネスアカウントに分類できます。LINE公式アカウントとは企業などの法人が利用する目的で使用するアカウントです。地方自治体もLINE公式アカウントを取得可能です。

LINE公式アカウントは個人向けのアカウントと比較するとメッセージ機能が充実しています。LINE公式アカウントではメッセージの一斉配信ができるのが特徴です。住民や職員に一斉に連絡したいときにLINEを使用してまとめて伝えることが可能です。予約配信の機能も使えるため、特定の日時に連絡をしたいときにもLINEを活用しやすいでしょう。

また、文字やスタンプだけでなく写真やクーポンなどの作成も可能です。行政手続き用のクーポンをLINEで発行するといった対応ができます。LINE公式アカウントではリッチメニューを設置してURLリンクを貼れるため、ユーザーが求める情報へのリンクを集めたアカウントとして運用可能です。

地方自治体向けの「地方公共団体プラン」とは

出典:LINE公式アカウント地⽅公共団体プラン 媒体資料

地方自治体が利用できる「地方公共団体プラン」は、一定条件を満たしていれば基本無償で利用できるサービスプランです。月額固定費がかからないだけでなく、無料メッセージ数にも制限がありません。地方自治体の公式アカウントで、以下の条件を満たすときに利用できます。

  • 地方公共団体名のアカウント
  • 認証済アカウント
  • アカウントの利用者が都道府県市区町村の人
  • 他のLINE公式アカウントを運用していないこと
  • 申込者が当該の地方自治体に所属していて利用者と一致すること

地方自治体がLINEを活用する方法

地方自治体はLINEをさまざまな形で業務に利用可能です。ここでは典型的なLINEの活用方法を紹介します。

情報の発信

出典:LINE Corporation | 行政でのLINE利用

情報の発信はよくあるLINEの使い方です。LINEで友だちになった人たちに行政活動の報告や福祉・教育・税金などについての情報を伝えられます。LINEで直接メッセージを送るよりも、リッチメニューを利用して住民や引っ越しを考えている人が簡単に情報を取得できるようにしているのが一般的です。

問い合わせ対応

出典:LINE Corporation | 行政でのLINE利用

地方自治体ではLINE公式アカウントを問い合わせ対応に活用する事例が増えてきています。地方自治体では各部署への電話による問い合わせが頻繁にあり、電話対応の専任スタッフを何人も確保しなければ対応できない状況がよくあります。LINE公式アカウントでよくある質問と回答の情報提供をすると問い合わせ数を減らすことが可能です。

LINEではAIチャットボットを導入しやすいので、住民がLINEを使ってチャットベースで質問できる環境を整えることもできます。AIチャットボットなら24時間365日対応ができるので、業務時間外でも住民の悩みに応えられる点で優れています。

問い合わせだけでなく、住民からの情報提供の窓口としてもLINE公式アカウントは活用されています。生活をしていてインフラ面で不満があったときや、犯罪や災害などによるトラブルがあったときに通報してもらえる仕組みを整えて成功している地方自治体も増えてきているのが現状です。

キャッシュレス決済対応

参照:「LINE Pay 請求書支払い」を活用する : LINE Pay 公式ブログ

DXが進む現代ではキャッシュレス決済への対応が大きな課題です。地方税や各種手続きに関わる手数料の支払いで「キャッシュレス決済を使えたら良いのに」という声は全国各地で上がっています。地方自治体にとってはキャッシュレス決済で公共料金の支払いに対応できるようになると、住む地域として選んでくれる人が増えるだけでなく、住民からの税金などの支払いも円滑になってトラブルを減らせるメリットがあります。

LINE Payによる支払いによる対応は簡単に導入できます。「LINE Pay 請求書払い」は電気・ガス・水道の料金や、税金・公営住宅料・各所保険料などに適用できるサービスです。住民はQRコードを読み込んでLINE Payで支払うだけなので簡単です。特に地方自治体にとって財源になる税収を確保するうえでは有用でしょう。収納率が低くて督促に大きなコストがかかっていた場合には、LINEでキャッシュレス決済に対応するだけで改善できる可能性があります。

オンラインでの行政手続き

出典:「スマホでかんたん本人確認」との併用運用でより多くの方に利便性を提供!行政手続き時の本人確認にLINE Payを活用する渋谷区の事例 | LINE Pay Portal – サポート

LINEは「LINE Pay 公的個人認証サービス」を提供しています。地方自治体にとっては行政手続きにLINEを活用できる魅力的なサービスです。LINE上でマイナンバーカードの認証をするシステムです。認証を受けたユーザーに対してオンラインで住民票の写しの取得などの行政手続きをおこなえるようにすれば、住民にとって便利な行政サービスを提供できます。

地方自治体のLINE公式アカウントの活用事例

地方自治体ではLINE公式アカウントを持っていることが多くなりました。ここではLINEを賢く活用している事例を紹介します。

熊本市

熊本市では地域とのコミュニケーションツールとしてLINE公式アカウントを運用しています。「KUMAMOTO市政だより」の発信や、防災サイトの用意など、市民が必要とする情報を凝縮した情報発信のツールにしています。熊本市では一方的な情報発信にせずに市民から情報を集める目的でも活用しているのが特徴です。市民レポートのコンテンツを用意して、道路の損壊や河川のトラブルなどの通報を受け付けるようにして迅速な対応をできる体制を整えています。

参照:熊本市公式LINEアカウント

尼崎市

尼崎市ではLINE公式アカウントにAI案内サービスを導入して自動応答による対応をしています。土日祝日も含めて市民の疑問に答えられることに加え、過去に集められた質問に基づいて対応できるチャットボットを搭載しているので回答内容についても評判が良いサービスです。また、尼崎市では情報発信の目的でもLINEを活用していて、市の魅力を伝えるツールとして活用しています。LINEによる災害情報の緊急発信にも対応して災害対策も進めています。

参照:尼崎市公式LINEアカウントについて

横浜市

横浜市の公式LINEアカウントではオンライン行政手続きに広く対応しています。住民票や戸籍抄本などを申請可能で、転出届も出すことができます。粗大ゴミを捨てる際にもLINEで収集日・搬入日を調べて申し込むことが可能です。横浜市では市政についての問い合わせ窓口としてAIチャットボットをLINEで使えるようにしています。市民の悩みを簡単に解決できる便利なサービスを整えるため、LINE公式アカウントの機能の幅を持たせて成功している事例です。

参照:横浜市LINE公式アカウントの使い方

魚津市

魚津市ではLINEによるキャッシュレス決済を導入しています。市県民税・軽自動車税・固定資産税・国民健康保険税についてLINE Payを通して支払えます。また、住民票の写しや所得証明書、納税証明書などの各種証明書をLINEで申請して取得することも可能です。LINE新型コロナウイルスのワクチン接種予約の受付もLINEでおこなえるようにするなど、医療機関とも提携して市民の便宜を図る努力を続けています。

参照:LINEで住民票の写しや税証明などの申請ができます|魚津市
市税等がスマホで手軽に納付できます!|魚津市
スマートフォン(LINE)によるワクチン接種の予約|魚津市

富士河口湖町

富士河口湖町ではふるさと納税の促進を目指してLINE公式アカウントで情報発信をしています。地方自治体にとってふるさと納税は貴重な財源で、地域を知ってもらう機会にもなるのが魅力です。富士河口湖町では町に興味を持った人のためにLINEを通して移住・定住のための情報発信をしています。四季折々の観光スポット情報なども発信して、ふるさと納税をしたい、移住して富士河口湖町に住みたいという人を増やそうと取り組みを続けています。

参考:富士河口湖町ふるさと納税LINE公式アカウント

地方自治体の課題解決にはSMSの活用もおすすめ

地方自治体が抱える課題解決にはSMSの導入が有効です。SMSはスマートフォンにダイレクトにショートメッセージを送れるサービスです。LINEと違ってアプリのインストールも必要がないので、あまりデジタル機器に慣れていない人でも送受信できます。情報の発信方法としても問い合わせ対応の連絡手段としてもSMSを活用可能です。オンライン行政手続きをするウェブページへのリンクを送ることもできるので汎用性があるのがおすすめポイントです。

関連リンク:地方自治体でのSMS(ショートメッセージ)送信サービスの活用事例

法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」

KDDI Message Castは地方自治体がLINE導入を検討しているときに比較してみる価値があるSMS送信サービスです。KDDI Message Castでは自治体・医療機関向け特別プランを用意するなど、公共の利益になる地方自治体の取り組みを支援するサービスを提供する努力を続けています。一斉送信にも対応していて、情報発信のプラットフォームとして適しています。IT化の手段を考えている際にはぜひ検討してみてください。

まとめ

地方自治体はLINE公式アカウントを使って、地域住民や移住を考えている人たちに情報発信ができます。住民からの問い合わせに対応したり、便利な行政サービスを提供したりするプラットフォームとしてもLINEは有効です。しかし、LINEはアプリのインストールが必要ということもあって、誰でも使えるわけではありません。平等なサービスを提供するにはSMSも活用した方が良いでしょう。特に重要な情報の通知にはSMS送信サービスを使って伝えることをおすすめします。