問い合わせ対応はDXによる効率化を推進しやすい業務です。コールセンターでは問い合わせ対応の課題を抱えていることがよくありますが、対応力を強化すれば解決できます。この記事では問い合わせ対応を効率化するポイントを詳しくご紹介します。

問い合わせの2つの種類

企業の問い合わせ対応の業務には社外対応と社内対応の2種類があります。社外と社内を区別して考えることは問い合わせ対応の効率化の際に重要な観点です。ここでは社外と社内での問い合わせ対応の内容を紹介します。

社外からの場合

顧客や取引先などの社外からの問い合わせ対応は主に営業やマーケティング、コールセンターなどの部署がおこないます。商品やサービスに関連する問い合わせが多く、自社の事業についての理解が求められます。社外からの問い合わせで典型的なのは以下のような内容です。

  • 商品の詳細の問い合わせ
  • サービス内容に関する質問
  • サービスに対するクレーム
  • 商品の注文・キャンセル
  • 契約の申し込み・解約
  • 予約の申し込み・変更・キャンセル
  • 商品やサービスへの意見

社内からの場合

従業員や取締役などの社内からの問い合わせ対応は総務、経理、情報システム部門、人事などの管理系の部署がおこなうのが一般的です。社内の問い合わせは以下のように部署ごとに専門的な内容が多いのが特徴です。

  • 社内システムの操作方法の質問
  • 社内システムの不具合の報告
  • 就業規則や各種規程の内容の詳細確認
  • 有給休暇・育児休暇の取得や経費精算などの手続き方法の問い合わせ
  • 源泉徴収票や離職票などの書類発行の時期の確認

問い合わせ対応に力を入れることのメリット

社外・社内からの問い合わせ対応に力を入れて効率化すると以下のようなメリットがあります。

  • 顧客満足度・従業員満足度が向上する
  • 商品・サービスの改善に活用できる
  • 差別化戦略になる
  • 売上・利益の向上につながる

顧客満足度・従業員満足度が向上する

問い合わせ対応に力を入れると顧客と従業員の満足度が向上します。顧客から問い合わせがあったときに、オペレーターが親身になって対応すれば顧客から喜ばれるでしょう。企業やブランドのイメージも良くなるため、他の商品やサービスも利用してくれる可能性が高くなります。口コミでサービスの魅力を広めてくれる可能性もあるでしょう。

社内の問い合わせ対応を充実させると、従業員が個人的に抱いている悩みを解決できたり、業務上で必要な情報を速やかに手に入れられたりできます。困ったときに問い合わせをすれば期待に応えてくれるというイメージがつくと、従業員満足度が高まり、定着率の向上につながります。

商品・サービスの改善に活用できる

顧客からの問い合わせは今後の事業を考えるうえで重要な情報源になります。商品やサービスの開発や改善のための意見を得られるからです。顧客から商品の品質や使い方についてクレームがあったときには、改善点を指摘されていると捉えることもできます。

新商品の開発では、クレームの内容を分析し、その問題点を解消できるように設計する方針を立てられます。クレームを活用して商品開発に成功した際には、改善した点が明らかなのでマーケティングで売り出しやすくなるのもメリットです。

顧客の声を聞けばサービスの改善点も商品開発の方向性もわかります。不満点の対策をするだけでなく、喜ばれている点をさらに改善すると喜ばれるサービスを育て上げられるでしょう。

差別化戦略になる

問い合わせ対応を強化すると自社の強みとして生かせます。競合他社がいる場合には顧客獲得競争が厳しい場合があります。競合が多い業界では差別化戦略を立てて競合に打ち勝つことが必要です。顧客から喜ばれる問い合わせ対応を徹底すると競争力を獲得できます。

類似性が高い商品やサービスが多い業界の場合には、品質だけでは十分な優位性を獲得することが難しいでしょう。しかし、問い合わせ対応が丁寧で、困ったときにすぐに質問に答えてもらえたり、トラブルシューティングをしてもらえたりすると安心感につながり、他社と比較して選ばれるようになります。初めて使用する種類の商品ではトラブルや不安が多いので、問い合わせ対応が充実していると強みになります。

売上・利益の向上につながる

問い合わせ対応は売上の向上につながり、最終的には利益を増やせる可能性も持っています。見込み顧客からの問い合わせに丁寧に対応すると、購買意欲が高まるでしょう。問い合わせ対応がきっかけになって売れる可能性が高まります。

既存顧客からの問い合わせ対応の品質が向上するとリピーターを増やせます。満足度の高いサービスなら、今後も利用していきたいと思うと期待できるからです。良質な顧客体験をしたリピーターからの口コミで、自然に新規顧客が生まれる場合もあります。口コミで人気になると競合他社から自社に切り替えてくれる可能性もあるでしょう。口コミで評判が広まるようになれば営業コストを下げられるため、利益も上げやすくなります。

問い合わせ対応のよくある課題

問い合わせ対応を効率化するには解決が必要な課題があります。ここでは多くの現場で問題になっている以下の課題について詳しく解説します。

  • 問い合わせを処理しきれずに待たせてしまう
  • 問い合わせ対応が属人的になりやすい
  • 問い合わせ対応の品質が安定しない
  • 多様化するチャネルへの対応が難しい

問い合わせを処理しきれずに待たせてしまう

問い合わせ対応では顧客を待たせてしまったり、スムーズな対応ができなかったりする場合があります。入電数が多いときに起こる課題です。十分な従業員数がいない、問い合わせ対応の効率が悪いといった原因があって、処理しきれない問い合わせが発生すると顧客の不満が大きくなります。

一般的に問い合わせをするときには、トラブルがあってもすぐに対応してもらいたいという気持ちがあります。電話がつながらない、電話の待ち時間が長い、担当者の対応が遅いといった状況になると顧客満足度の低下を引き起こすので対策が必要です。

問い合わせ対応が属人的になりやすい

問い合わせ対応は属人的になりやすい性質があります。ある顧客からの問い合わせについて、最初に担当した人しか内容を把握していなくて対応できないという状況が起こります。担当者が不在のときにはその顧客から再度の問い合わせがあったときに適切な対応ができません。問い合わせ内容への対応の進捗も担当者しか知らない状況になっていると、顧客が何度も事情を説明しなければならないので不満が募る原因になります。

問い合わせ内容の情報共有をする体制が整えられていない現場では属人化が起こりやすくなるので注意が必要です。

問い合わせ対応の品質が安定しない

問い合わせ対応の品質にばらつきをなくすことは重要です。対応品質が安定していないと顧客の不満につながります。問い合わせ対応が丁寧で素晴らしいという口コミを見た人が、同じように問い合わせをして、期待したような対応を受けられないと不満を感じてしまいます。

オペレーターのスキルや経験によって対応の品質に差があったり、担当者によって回答内容が違ったりすることは顧客から不信感を抱かれる要因です。問い合わせ対応の品質を一定水準以上に安定させないと、企業やブランドのイメージを損なうリスクもあります。

多様化するチャネルへの対応が難しい

問い合わせチャネルは多様化していて顧客によって希望する方法が異なります。さまざまな問い合わせ方法に対応することで顧客満足度の高いサービスを提供可能です。しかし、近年になって急速にチャネルの種類が増加したため、多様な問い合わせ方法に網羅的に対応するインフラを整備することが課題になっています。

電話だけでなく、メール、SMS、チャット、LINEなどのさまざまなチャネルに対応するにはオペレーターのスキルも必要です。導入したシステムやツールを使いこなせるようにオペレーターのスキルアップを図ることも課題になっています。

問い合わせ対応を効率化するポイント

問い合わせ対応の効率化ではポイントを押さえて総合的に取り組むことが大切です。ここでは以下の重要なポイントの詳細を解説します。

  • 問い合わせ対応のデータを集めて評価・教育をする
  • FAQやマニュアルを作成する
  • 情報を共有して一元管理する
  • IVRやAI自動音声を取り入れて自動化する
  • チャットボットやSMSを導入する

問い合わせ対応のデータを集めて評価・教育をする

問い合わせ対応の履歴や重要パラメーターを分析して対策を練ることがまず重要です。時間帯による問い合わせやあふれ呼の数、平均通話時間や平均後処理時間などの問い合わせ対応に関連するデータを蓄積して分析すると課題を明確にできます。自社のデータの評価をすれば、一般的な課題ではなく、自社の課題がわかるので効果の上がる対策を講じることが可能です。

問い合わせ対応の課題を抽出して対策を考え、オペレーターの教育に活用すればスキルアップにつながります。必要なシステムを導入して課題解決を図ることも可能です。問い合わせが殺到する時間帯や曜日に合わせて人材を増強し、問い合わせ対応が溢れないようにする対策もできます。

FAQやマニュアルを作成する

FAQやマニュアルの作成によって問い合わせ対応の均質化と効率化ができます。FAQは問い合わせを減らす目的と、問い合わせ対応をする担当者の業務負担を軽減する目的で活用できるツールです。よくある質問としてホームページや社内のポータルサイトなどに掲載しておくと、顧客や従業員が自己解決してくれるので問い合わせを減らせます。典型的な問い合わせがあったときにFAQを見れば回答できるので業務効率が上がるでしょう。

マニュアルの作成はオペレーターの均質化に効果的です。トークスクリプトを作成して対応するフローを作ると、誰でも同じレベルの品質の問い合わせ対応ができます。さらに、マニュアルを継続的に充実させると、対応できる問い合わせ内容の範囲を広げられます。

情報を共有して一元管理する

情報の共有と一元管理を徹底すると、問い合わせ対応の属人性を解消できると同時に、応対品質を持続的に向上させられます。顧客ごとの問い合わせ対応の履歴をCRMなどのデータベースシステムで一元管理し、誰でも参照できるようにすると属人性の低い問い合わせ対応が可能です。

問い合わせ対応業務を担当している従業員の間での情報共有も重要です。問い合わせ対応を通して出てきた課題点を共有したり、対応策について相談したりできるインフラを整備することがポイントです。例えば、社内チャットで情報共有をしたり、SMSですぐに上長や同僚に相談できたりする仕組みを整える方法があります。情報の迅速な共有を通して問い合わせ対応の品質を上げる取り組みです。

IVRやAI自動音声を取り入れて自動化する

問い合わせ対応を自動化できるシステムを導入すれば、業務効率化と顧客満足度の向上を同時に実現できます。IVRやAI自動音声は電話による問い合わせ対応を自動化できる代表的なシステムです。IVRでは電話がかかってきたときに自動音声ガイダンスを流し、ボタンのプッシュによって適切なオペレーターにつなげられます。

チャットボットやSMSを導入する

問い合わせ対応の方法を増やすシステムやサービスを活用することも重要なポイントです。チャットボットを導入して、チャットによる問い合わせを自動対応するのは効率的な方法です。AIチャットボットによって学習を繰り返しながら対応できるシステムも活用されています。

問い合わせの後処理時間がかかっているときや、アフターフォローの品質が課題になっているときにはSMSが有用なツールです。問い合わせの回答を電話でおこなうと、電話がつながらない、相手が忙しいときに電話をしてしまって迷惑をかけるといったことが起こります。SMSで回答すれば、連絡が来たことは通知ですぐに確認してもらえます。余裕ができたときに内容を見てもらえるので、相手に優しく、業務効率化もできる方法です。

法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」

問い合わせ対応の効率化にはSMS送信サービスの導入がおすすめです。電話による問い合わせに対してSMSで回答するというフローを作れば、通話時間を短縮してあふれ呼による機会損失になるリスクを減らせます。

SMSは送信すればすぐに届くだけでなく、短縮URLで資料や技術情報なども送付できる便利なツールです。KDDI Message CastはAPI連携によってCRMなどのシステムとの連携もできるので、問い合わせ対応の基盤として活用できます。

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まとめ

問い合わせ対応では社内、社外を区別して適切な応対を迅速におこなえる仕組みを整えることが大切です。問い合わせ対応履歴の共有や新しいシステムの導入を通して効率化を推進しましょう。SMS送信サービスは問い合わせのフォローに有効です。問い合わせを受け付けてSMSでフォローする業務フローを作れば、電話による問い合わせ対応を効率化できます。問い合わせ対応のDXをする方法の一つとしてぜひ取り入れてみてください。