電話業務はテレアポやカスタマーサポートなどを担う企業の顔として重要な役割があります。電話業務のDX化は今後の企業価値を高めるために欠かせない取り組みです。この記事では電話業務のDX化の重要性や有効なツールの選び方をご紹介します。

DX化の意味

DX化とは、デジタル技術によってビジネスに変革を起こすことです。近年のデジタル技術やデータサイエンスはビジネスだけでなく生活のあり方にも大きな変革をもたらしました。DX化はこのような技術を活用して企業が大きな変貌を遂げる取り組みです。

経済産業省における解釈

DX化は日本では経済産業省によって推進されています。経済産業省の発表した「デジタルガバナンス・コード2.0」では、DXが以下のように定義されています。

(引用)企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

引用:デジタルガバナンス・コード2.0 |経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf

2018年に始まった日本でのDX化の取り組みを受けて成功事例も増加しました。経済産業省ではDX化を促進するための研究会を開催し、継続的な検討をしています。DXレポート2.1(DXレポート2追補版)では、経済産業者はDXによって目指すべき企業の姿を以下のように解釈しています。

(引用)…DX の終着点における企業の姿とは、価値創出の全体にデジタルケイパビリティを活用し、デジタルケイパビリティを介して他社・顧客とつながり、エコシステムを形成している姿と考えられる。

引用:DXレポート2.1(DXレポート2追補版)|経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2021/08/20210831005/20210831005-2.pdf

関連リンク:DXの目的とは?DXの目的を定めるべき理由と具体的な目的の例を解説
https://sms.supership.jp/blog/dx/dxmokuteki/

DX化とIT化の違い

DX化ではIT化を伴うことが多いですが、IT技術を導入するだけでDXになるわけではありません。パソコンやスマートフォンなどを導入しただけでは、企業の価値創出につながる大きな変容を生み出し、デジタル産業を創出できるわけではないからです。ITをデジタル技術の一つとして活用し、データを生かした独自のビジネスの創生や課題解決によって競争力のある企業に育て上げることがDX化です。

電話業務のDX化とは何か

電話業務のDX化とは、デジタル技術の活用によって電話の自動対応をしたり、顧客データを生かして電話対応の品質を向上させたりする取り組みです。電話をIP電話に切り替えてインターネット回線で利用できるように変更する方法や、CRMと連携する方法など、電話業務のDX化をする手段はさまざまです。今まで抱えてきた電話業務の抜本的な改革をデジタル技術によって実現し、業務効率の向上やコストの削減を達成する取り組みがおこなわれています。

関連リンク:DX化とIT化やIoT・ICTの違いとは?DX化のメリットや課題について解説
https://sms.supership.jp/blog/dx/dx_it_iot_ict/

主な電話業務のDXサービス

電話業務のDX化ではクラウド型やオンプレミス型のサービスを利用できます。代表的なDXサービスを以下にまとめました。

  • CTIシステム(コンピュータテレフォニーインテグレーション)
  • クラウドPBX(VoIP電話システム)
  • IVR(電話自動応答サービス)
  • 自動音声ガイダンス
  • AIボイスボット
  • 自動翻訳システム
  • CRM/SFA(顧客関係管理/営業支援システム)

CTIシステムのような統合システムを導入するか、個別の電話業務に対応できるAIボイスボットを導入するなど、DX化の目的に応じたサービスの検討が必要です。

電話業務のDX化のメリット

電話業務のDX化には業務全体を改革できるメリットがあります。ここではDX化による代表的なメリットを紹介します。

オペレーター業務の負荷が軽減される

電話業務のDX化は業務効率の改善や電話対応の自動化などを通して、オペレーターの業務負荷を軽減できるのがメリットです。取り切れないほどの入電がある現場ではオペレーターに負荷がかかりすぎてしまいます。業務が大変でつらくなり、オペレーターが退職してしまう恐れもあるでしょう。

IVRや自動音声ガイダンスによって一次対応を自動化したり、AIボイスボットで営業時間外の対応を任せたりするとオペレーターの業務の負荷が下がります。受電後の後処理でコールバックをしてもつながらずに何度も電話をかけなければならないのは大変です。しかし、SMSやメールでフォローするワークフローを取り入れると電話がつながらないストレスや業務負担を軽減できます。

オペレーターの働き方の自由度が高まる

DX化によってオペレーターの働き方改革ができます。クラウドPBXを取り入れたり、業務用のスマートフォンを貸与したりしてDX化をすれば、どこからでも電話対応が可能です。コールセンターで働く必要がなくなり、自宅でテレワーク対応をさせる体制を整えられます。

オペレーターの人材の獲得や定着はコールセンターの典型的な課題です。しかし、DX化によってテレワークに対応すると働く場所は自由になります。人材採用もしやすくなって人材不足の解消につながります。電話業務のDX化はオペレーターの電話業務に対する満足度を総合的に向上させて定着率を上げられるのがメリットです。

電話業務コスト・人件費を削減できる

電話業務にかかっているコストの削減は事業課題の一つです。電話業務にはビジネスフォンなどの必要な機器の導入コストと、通話によるランニングコストがかかります。受電数が多いと多数の機器を導入しなければならず、通話時間も長くなるのでコストがかさみます。多数のオペレーターを雇用している場合には人件費も大きくなるでしょう。

電話業務のDX化ではコストがかかっている原因を究明して改善を図ることが可能です。クラウドPBXでインターネット回線による通話をして従量料金をゼロにしたり、ビジネスフォンの購入コストをなくしたりする方法がよく用いられています。また、SMSで折り返しの電話にかかっていた通話料金を削減したりする対策も効果的です。

事業継続計画の基盤になる

BCP対策は災害などのアクシデントが起きた緊急事態にも事業継続をするための重要な取り組みです。ビジネスフォンをオフィス内に設置して電話業務をしている場合には、オフィスで火災などが発生したときに顧客から電話がかかってきても対応できないでしょう。

しかし、クラウドPBXを導入していれば、インターネット回線さえあればパソコンやスマートフォンのアプリで受電できます。DX化によってBCP対策をすれば、ビジネスの機会喪失のリスクを減らせます。また、被災時に顧客にすぐに連絡できる手段や、従業員の安否確認ができる手段として、クラウドPBXやSMSなどを活用するのも効果的です。

顧客満足度が向上する

電話業務のDX化では電話対応の品質向上を目的として取り組む事例が多くなっています。応答率が低くて顧客の電話に出られないときには、IVRで一時対応をしたり、自動音声ガイダンスを流して顧客のストレスを軽減したりする対策が可能です。SMSを導入すれば、折り返しの電話連絡に出るのが難しい顧客にはSMSで必要な情報を伝える対応もできます。

CRMを導入して入電時に顧客情報や対応履歴を見ながら電話対応をする体制を整えると、顧客満足度の高い対応ができます。顧客管理を一元化すると情報の伝達ミスによってトラブルが発生するリスクも低減されるため、電話業務の品質が向上します。電話業務のDX化は顧客の企業に対する満足度を総合的に引き上げられる施策です。

電話業務のDX化のデメリット

電話業務のDX化は、現場にもたらすメリットが多い一方、問題を引き起こす場合もあります。ここではDX化によって起こる可能性があるデメリットを解説します。

導入コスト・ランニングコストがかかる

DX化をするとコストがかかるのがデメリットです。クラウドシステムでは初期費用が無料の場合もありますが、現在のシステムから移行するときには初期設定の手数料など導入コストがかかることがあるので注意が必要です。

また、システムの利用にはランニングコストがかかります。クラウドシステムでは月額利用料、オンプレミス型システムではサーバーとシステムの保守費用が必要です。コストを考慮して費用対効果が上がる方法を選んでDXを推進することが重要です。

ワークフロー変更の必要性がある

システムを導入してDX化をするには、電話業務のシステムを移行して運用できる体制を整える必要があります。ワークフローを新たに作成してシステムのメリットを最大限に引き出すことが重要です。システムを導入しただけで簡単に電話業務が効率化されるとは限らないのがデメリットです。

システムを導入して試験運用すると適切なワークフローを確立してから本格稼働させられます。運用開始後も課題をチェックして改善をする必要があります。電話業務のDX化には時間がかかることを加味して早めに取り組み始めることが大切です。

教育コストがかかる

電話業務のDXをしてシステムやワークフローが変わると、従業員が使いこなせない、慣れるのに苦労するといったトラブルが発生する場合があります。DX化は長期的には理想の電話業務フローを構築できる可能性がありますが、短期的には現場の教育をしなければサービスが成り立たなくなるリスクもはらんでいます。

新しいシステムやワークフローを導入するときには、従業員全員が正しく対応できることが重要です。社内研修を実施して教育をおこない、ヘルプデスクを設置して実務上のトラブルに対応するといったコストがかかるのがデメリットです。

電話業務のDX化のために準備が必要なこと

電話業務のDX化の取り組みを始めるには準備が必要です。実施可能な体制を整えるための重要な点を紹介します。

自社の電話業務における課題の分析

DX化は課題を解決する目的で推進すると効果が上がりやすくなります。まずは自社の電話業務の課題を洗い出して分析し、DX化によって解決できる課題を抽出することが重要です。DX化はデータを活用することでより効果が高まります。データが無いのであれば蓄積から始め、長期的な視野でDX化を進めるのが合理的です。

課題抽出によって必要なDX施策が明確になります。DX化を始めるときには現場にヒアリングをして課題を確認することが重要です。

DX推進部署の設置

DX化は継続的に推進する必要があるため、専門部署を設置して計画的に進めることが大切です。新しいシステムやワークフローの導入によって現場でトラブルが起きる場合もあります。DXに特化した部署を設置すれば、現場の相談先が明確になります。トラブル対応をおこなえるだけでなく、新たに生じた課題を集約して今後のDX化の計画を検討することが可能です。DXの専門部署が計画から責任を負って進めるとスムーズにDX化を進められます。

電話業務をDX化するためのツールの選び方

電話業務はツールを活用してDX化するのが一般的です。DX化に必要なツールを選ぶポイントを紹介します。

サービスの安定性・信頼性

電話業務においては、サービスの安定性や、通話できないなどのトラブルが無いことが重要です。十分な実績があって安定したサービスが提供されているツールを選びましょう。導入企業が多くて長年の実績があるならば信頼性があると考えられます。ただ、実績がなくても魅力があるツールなら検討の価値はあります。デモを依頼して安定性を確認するのもおすすめです。

機能の充実と拡張性の高さ

電話業務のDXでは課題に応じて必要な機能が整っていることが必要です。今後、DXをさらに推進することを想定して、機能が充実していて拡張性があるツールを選びましょう。ただ、多機能でも自社の課題解決につながらなければ意味がありません。必要な機能を抽出して、自社の課題を効率的に解決できるツールから選定することが大切です。

サポートの完備

サポートが充実しているサービスを選ぶと、ツールを導入後にトラブルが発生しても解決しやすくなります。電話やメール、チャットなどの問い合わせチャネルが広く、電話業務をする時間帯にサポート対応があるのが理想的です。多機能なツールは使いこなすのが難しく、技術的な問い合わせをしたいというニーズが生じやすいので重要なポイントです。

料金と予算の兼ね合い

電話業務のDXには費用がかかります。予算的に許容できる範囲のサービスから選ぶことは重要です。スモールスタートをして電話業務の業務効率化やコスト削減を達成し、新たにできた資金で次の施策を進める計画も立てられます。料金と予算の兼ね合いを考えて、できる限りすぐに導入できるツールを選び出すことが大切です。

電話業務をDX化するなら

電話業務のDX化にはSMSの活用がおすすめです。KDDI Message Castは電話業務の効率化とコスト削減になるSMS一斉配信サービスです。電話対応の後処理業務をSMSでおこなったり、予約のリマインドの連絡を電話からSMSに切り替えたりすると業務負担が軽減されます。

SMSは電話番号がわかる顧客にも従業員にも即時で連絡できるツールです。現場に大きな動揺を与えることなく導入できるので、電話業務のDX化を始めるきっかけにする取り組みとしておすすめです。

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https://sms.supership.jp/

まとめ

電話業務のDX化は企業と顧客の接点として重要な電話対応の品質や精度を向上させ、業務課題を解決する取り組みです。新しいデジタル技術の導入によってオペレーター・顧客の両方の満足度を向上させられます。DX化は電話業務コストの削減にもつながるので積極的に推進することが大切です。大きな変革を起こすと現場の動揺が大きくなるため、SMSの導入などのスモールスタートでDX化による改革を計画的に進めましょう。