営業は企業にとって売上を出すための欠かせない活動です。営業の業務効率化は企業の成長に多大な影響力があるため、積極的に推進することが重要です。この記事では営業の業務効率化の方法と具体的な流れをご紹介します。

営業の業務効率化とは

営業の業務効率化とは、営業活動に必要な業務を手際よく、かつ正確性高く実行できるようにして仕事の能率を向上させることです。営業活動には顧客を訪問して商談をするだけでなく、営業資料の作成、見積書や契約書の用意、社内稟議の実施などさまざまな業務を伴います。営業業務の中で無駄に時間を費やしているプロセスを簡略化したり、自動化したりしつつ、質の低下を発生させないようにするのが典型的な営業の業務効率化です。

営業の業務効率化は企業利益に直結するので注目されています。DX化における注力分野として挙げられることも多い課題です。

営業の業務を効率化するメリット

営業の業務効率化は企業に利益を生み出す可能性が高い取り組みです。ここでは営業業務の効率化に取り組むメリットを解説します。

営業による売上を伸ばせる

営業の業務効率化は売上に直結します。企業で顧客を獲得して商品やサービスを売り、契約を獲得している中心は営業です。営業担当者が効率的に商談をこなせるようになれば成約数が増えます。売れる可能性ができる限り高い見込み顧客を選び出せればさらに効率的に売り上げを伸ばせます。業務効率化によって商談に時間を費やせるようになれば、一人の営業担当者が出せる売上が大きくなり、企業に利益をもたらすことが可能です。

営業業務の負担の軽減を通じて定着率を上げられる

業務を効率化すると営業担当者の仕事に対する満足度が上がり、定着率の向上が期待できます。営業は顧客第一の考えで対応する必要があるため、心身ともに負担が大きい仕事です。営業の業務効率化をして余計な負担を減らすと、やりがいを持って働ける環境ができます。

商談で売上を出したいのに書類作成にばかり時間がかかってしまうといったストレスを抱えて辞めてしまう人もいます。現場の課題を解決して負担を減らすとモチベーションが上がって働き続けてくれるでしょう。

営業の品質を向上させられる

営業の業務効率化を推進すると、営業の品質を向上させられます。営業の仕事では顧客とのこれまでのやり取りの履歴を確認し、的確な提案をして商談を進めることが必要です。一方で、情報を集めるのが難しい、しばらくアポを取っていなくて過去のやり取りの内容を忘れてしまったといった問題はよく起きています。

業務効率化の一環として情報管理を徹底すると、いつも品質の高い営業活動が可能です。業務効率の向上によって商談の戦略を練る時間も確保しやすくなって営業の成功率も向上させられます。

顧客満足度が改善される

営業の本質は顧客満足度を向上させることです。顧客が喜ぶ提案やサポートを続けて優良顧客に育て上げると、結果的に売上につながります。業務効率化によって顧客とコミュニケーションを取る時間を十分に確保できるようになると、顧客が抱えている本質的な課題に気付けます。ニーズを正しく把握してタイムリーに提案できるので顧客からの信頼を勝ち取ることが可能です。信頼を得られると相談を受ける機会も増えて売上を上げる機会に恵まれます。

営業の業務を効率化する手順

営業業務の効率化は合理的な流れで進めることが重要です。ここでは営業の業務効率化の基本的な手順を紹介します。

営業課題を抽出する

業務効率化では課題を抽出して対策を講じるのが基本的な流れです。まずは営業課題を抽出してリストアップしましょう。営業担当者が普段から不満やストレスに感じていることや、顧客アンケートで評価が低いことなどが重要な課題です。営業担当者が顧客から課題を聞いていて、改善したいと思っている場合もあるでしょう。営業担当者と顧客からのヒアリングを通して課題を網羅的に洗い出すのが最初のステップです。

注力すべき課題を選定する

営業課題をリストアップしたら注力して改善すべき課題を選び出します。課題意識があったとしても早急に解決する必要性が低い、あるいは特定の顧客との関係の問題であって一般性がないといった場合もあります。一般的に問題になる可能性が高い課題から改善を進めるのが効率的です。課題の重要度や緊急性に応じてグループ分けをしたり、ランク付けをしたりして整理すると優先順位が明確になって業務効率化の施策を検討しやすくなります。

業務効率化の計画を立てる

解決すべき課題を明確にしたら業務効率化の計画を立てます。早急に改善が必要な課題を優先して、いつ誰が何をして課題解決を図るのかを決めます。一度に多数の施策を並行して進めると営業業務に支障を来すリスクがあるので計画的な実施が必要です。具体的な施策と期待される効果を検討して、すぐに導入可能で効果が上がりやすい施策や、長期的な取り組みによって大きな効果が期待される施策から順次進める計画を策定します。

施策を実行して効果を確認する

営業業務の効率化計画ができたら施策を順次実行に移します。そして、業務効率化がどのくらい達成できたかを定期的に確認し、取り組みの成果が上がっているかを評価します。営業担当者や顧客にヒアリングをすると効果測定が可能です。また。新しい仕組みに慣れていないのが原因で業務効率がかえって悪くなる場合もあります。経時的に業務効率化の効果を数値指標で計測して、施策の継続の可否を検討することが大切です。

改善点を洗い出して次の施策を進める

業務効率化が想定していたように進んでいない場合には改善点を洗い出します。実際に施策を進めてみると新しい課題が見つかることもあるので、定期的に見直しをすることが必要です。計画当初には念頭になかった改善策を取り入れることも考慮して計画を再検討します。順調に計画通りに業務効率化が達成されている場合にも、改善できる余地があるかどうかを十分に検討しましょう。そして、より円滑に業務効率化を推進できる施策を決めて進めます。

営業の業務を効率化する施策

営業業務の効率化にはさまざまな施策が有効です。ここでは近年のDX化のトレンドも踏まえて効果的な施策を紹介します。

ツールの導入

デジタル技術の活用による業務効率化は近年のトレンドです。ツールを導入して営業のDX化を図ると業務を飛躍的に効率化できる可能性があります。ツールにはさまざまな種類があるので、業務課題に合わせて選定することが必要です。ただ、ITツールを導入するだけで業務効率が上がるわけではないので注意しましょう。ツールを活用して営業活動の改善を図り、抜本的な改革の達成を目指すことが大切です。

関連リンク:営業DXとは?実際の事例をもとに、活用ツールや成功ポイントを解説
https://sms.supership.jp/blog/dx/salesdx_towa/

顧客情報・営業ノウハウの共有

営業の業務効率化には顧客情報や営業ノウハウなどの共有が効果的です。営業担当者が自分の顧客対応の結果を共有していなかったり、ノウハウを自分のものにしていて他の営業担当者には伝えなかったりする場合があります。営業担当者が積極的に情報を共有すれば業務効率化になります。顧客情報は一元管理するシステムを導入するのが効率的です。ノウハウはマニュアルやFAQに落とし込むと情報共有が進みます。

営業担当者の教育・意識改革

営業担当者が業務効率化に貢献する意識を持つことが重要です。営業担当者の教育研修を実施して意識改革を図るのは効果的な施策です。営業担当者が「今のままで良い」と思っていると改革は進みません。もっと効率的に働きたい、無駄をなくして成約数を増やしたいといった意識を持たせることが重要です。企業として営業の業務効率化に取り組むことを宣言し、具体的な計画を共有して各人に求めることを明示すると意識改革ができます。

営業資料の充実化

営業活動で作成したプレゼンテーション資料、商品やサービスの資料などを共有し、充実させると営業活動の補助になり、業務効率化につながります。商談の成約率が高い営業担当者が使っている資料を使うと、他の人も成約率を上げられる可能性があります。営業資料の作成には時間がかかるので、製品やサービスごとに共通資料を用意すると効率的です。FAQを作成して顧客からの質問に的確に答えられるようにすることも重要な取り組みです。

事務作業の自動化

営業に関連する事務作業は自動化すれば業務効率が上がります。契約書の作成や社内稟議の手続きなどの事務作業にかかっている時間を削減できるからです。最低限の情報入力で書類を自動作成できるようにしたり、システム上で稟議を上げて決裁を取れたりする仕組みがあると事務作業の負担が軽減されます。手続きに時間がかかると顧客の不満になり、契約まで至らない場合もあります。売上にかかわる書類作成は特に効率化が必要です。

インサイドセールスの実施

インサイドセールスは営業の業務効率化につながるアプローチです。飛び込み営業とは違い、顧客に直接訪問せずに電話やメールなどを使用する営業活動がインサイドセールスです。顧客からの問い合わせを受けて商品を提案したり、既存顧客にメールやSMSでアプローチしたりして営業活動をします。インサイドセールスは移動の時間も手間もかからないので効率的です。興味関心のある顧客をターゲットにできるため、成果につながりやすい方法です。

業務委託の活用

営業業務を外部に委託すると、リソースを増強して効率的に営業活動できる可能性があります。営業業務の一部を委託して担当してもらう方法と、アウトソーシングをして全面的に営業を任せる方法があります。典型的なのはアポを取るプロセスを委託し、商談からは自社の営業担当者が対応する方法です。資料作成やデータ入力、メール対応なども委託できます。自社の営業担当者の業務負担を減らし、商談に集中させるのに有効な方法です。

営業の業務を効率化するおすすめのツール

営業のDX化で業務効率化をするならツールの選定が重要です。ここでは営業業務と相性が良いおすすめツールを紹介します。

CRM/SFA

CRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理システム)とSFA(Sales Force Automation、営業支援システム)は顧客情報と営業履歴を一元管理し、営業活動の情報共有や資料作成などの支援をするシステムです。営業とマーケティングの連携も取りやすいため全体的な業務効率化を実現できます。

関連リンク:CRMとSFAの違いを徹底解説!どちらを導入するのがおすすめ?
https://sms.supership.jp/blog/crm-salesforce/difference-between-crm-and-sfa/

MA

MA(Marketing Automation)はインサイドセールスやマーケティングを自動化するツールです。メールやSMSによる顧客フォローやステップメールでの誘導などのオンラインでのアプローチができます。プログラムを組んで自動で見込み顧客にアプローチするのが特徴です。CRM/SFAと連携して活用できるツールです。

DSR

DSR(Digital Service Room)は営業担当者と見込み顧客のコミュニケーションを取れるオンラインスペースです。商談や価格表の提示、見積書といった書面のやり取りなどをDSR内で完結させられます。コンテンツを設置して見込み顧客が自発的に情報を取る流れを作ってインサイドセールスを推進できるのも特徴です。

ビデオ会議ツール

ビデオ会議ツールはオンラインで顧客と一対一の通話をして営業活動をおこなえるシステムです。非対面でも営業をおこなえるため、移動の時間を節約して広範囲の顧客とコミュニケーションを取れます。新規獲得だけでなくルートセールスでも効果的なツールです。チャットやメッセージ機能のあるツールで情報共有をすることもできます。

SMS配信サービス

SMS配信サービスは顧客の電話番号を宛先としてSMSを送信できるツールです。見込み顧客に資料のリンクを送付したり、商談のリマインドをしたりするツールとして有効です。ターゲット配信や予約配信の機能もあります。CRM/SFAと連携してMAのように自動配信で営業活動をすることも可能なので、営業効率化に幅広く使えます。

営業の効率化の成功事例

ネッツトヨタ南九州はトヨタ自動車の販売店として鹿児島県で新車・中古車の販売をしている企業です。同社はKDDI Message Cast for Salesforceの導入によって営業本部における業務効率化に成功しました。

同社では車の点検予約のリマインドを電話とはがきで実施していました。営業担当者の業務負荷もコストも大きかったため、改善が必要でした。そこで、社内で運用していたSalesforceと連携してSMS送信による効率化を実施しました。

電話確認には毎月83.3時間、人件費で98万円がかかり、はがきの郵送費も6万円かかっていましたが、SMS導入後は業務時間が1時間に短縮し、費用も6万円未満に圧縮されました。さらに来店予約時間の遅刻率が5%軽減される効果も得られて大きな成果を上げています。

ネッツトヨタ南九州株式会社予約リマインド作業をSMSに切り替えることで「工数80時間削減、コスト100万円削減、遅刻率5%改善」 – SMS送信サービス「KDDIメッセージキャスト」
https://sms.supership.jp/case/post-2463/

まとめ

営業の業務効率化は売上の向上と優秀な営業担当者の定着につながる施策です。自社の営業課題を抽出して効率化に取り組み、継続的に改善を目指しましょう。営業の業務効率化はすぐに始められることから手を付けて、だんだんと本格化するのが効果的です。本格的なツールを導入して抜本的な改革をする前に、営業担当者の意識改革や、SMSのようにすぐに導入できるツールの活用を推進してDX化を進めましょう。