業種:不動産業界

不動産業界ではチャットボットと相性が良く、導入して成功した事例も増えてきました。不動産業界でのチャットボットの活用で得られる効果を企業・顧客の両方の視点から具体的な事例を交えてご紹介します。

チャットボットとは何か

チャットボットとはテキストによる問い合わせに対して、テキストで自動応答できるシステムです。質問に対して定式化された回答を返すこともできますが、AIによる自然な回答が可能なシステムも登場して問い合わせ対応のツールとして導入が進められています。

チャットボットと不動産が相性が良い理由

チャットボットと不動産業界の相性が良いのは、顧客とのコミュニケーションの機会が多いからです。賃貸や購入の不動産の問い合わせや申し込みなどを対面、電話、メールなどで日々対応しています。しかし、顧客の問い合わせ内容は定型的に答えられる内容が多く、スタッフが個別対応をする必要性が低い場合もあります。

チャットボットによって定型的な問い合わせに自動で対応すれば効率が上がり、顧客満足度の向上にもつながります。IT活用による不動産DXが必要な時代になり、チャットボットを導入する企業が増えてきています。

不動産業界がチャットボットを導入することで得られる効果

不動産業界でチャットボットを導入すると問い合わせ対応業務の改善効果があります。ここでは項目別に具体的な効果を紹介します。

対応の効率化・自動化

不動産業界ではチャットボットを導入すれば顧客対応を効率化できます。定型的な問い合わせや申し込みなどの手続きはチャットボットで対応できるからです。よくある質問をチャットボットのデータとしてインプットしておけば、多くの問い合わせの対応を自動化できます。物件の査定や内見の申し込みのときには、日程調整までチャットボットで完了できます。

顧客にとってはチャットボットがあれば担当者と話をする手間がなく、効率的に必要な情報を得たり、申し込みをしたりすることができる効果があります。チャットボットの質問に回答する形で必要情報を入力すれば良いインタラクティブな仕組みなので、FAQから情報を検索するよりも簡単です。

顧客ニーズの取得

チャットボットを導入すると顧客ニーズのデータを蓄積できます。不動産業界では競合との競争が激しいため、顧客から選ばれるサービスを提供することが重要です。チャットボットは顧客の生の声をそのままテキストとして記録して残せます。顧客の希望や疑問などを集計してサービスの改善を図ることが可能です。

電話で問い合わせを受け付けると、通話記録をすべて録音して分析しなければなりません。音声の文字起こしをして分析するには手間がかかります。チャットボットはテキストとしてログが残るので分析しやすいのが特徴です。チャットボットの導入は顧客ニーズのデータを効率的に蓄積し、サービスに生かせる効果があります。

24時間365日のサービス提供

チャットボットを導入すれば24時間365日の顧客対応が可能です。個人の賃貸物件や購入物件の問い合わせは、日中よりも夜に行いたい人も大勢います。日中仕事をしている人の場合には、夜に帰宅して夕食を終えてから物件を検討するというケースも多いでしょう。営業時間外になったとしても、チャットボットなら対応できます。働き方やライフスタイルが多様化しているので、24時間いつでも対応できるのは強みになります。

問い合わせにすぐに対応できないと顧客との接点が失われます。流通物件の場合には他社も取り扱えるので、先に問い合わせができたら他社を選ばれてしまう可能性もあるでしょう。チャットボットは機会創出の可能性を上げる効果があります。

コールセンターの品質向上

チャットボットはコールセンターの品質を向上させる効果があるツールです。チャットボットは今すぐに知りたい、申し込みたいといった顧客ニーズに応えられます。電話の場合には問い合わせが殺到しているときには出られず、顧客を待たせたり、かけ直させたりしなければなりません。チャットボットは常時対応なので顧客満足度が上がります。

また、チャットボットによってオペレーターの業務負担が減るのも品質向上につながる理由です。過度な業務負担によってオペレーターが退職することは珍しくありませんが、チャットボットで業務負担を減らすことで定着率の向上につながります。慣れていて知識も経験もあるオペレーターが対応できるので、電話対応の品質も向上します。

不動産業界がチャットボットを導入することは顧客にもメリットがある

不動産業界ではチャットボットによって顧客満足度を向上させられます。ここでは顧客視点でのチャットボットのメリットを紹介します。

いつでもすぐに情報を取得できる

不動産会社がチャットボットを導入していれば、顧客は自由に情報を取得できます。チャットボットは不動産会社の営業時間外や休業日でも稼働しているからです。顧客は時間を問わずに物件情報を取得したり、申し込み手続きをしたりできるので便利です。

チャットボットはインターネットがあればどこからでも利用できます。外出先で物件について疑問が出てきたときに問い合わせをすることも可能で、すぐにその場で回答を得られます。不動産会社の担当者の対応を待つストレスがなく、疑問を速やかに解決できるのがメリットです。

大量の情報から欲しいものを簡単に見つけられる

チャットボットは顧客にとって大量な不動産の情報から欲しい情報を見つけるためのツールになります。物件検索で欲しい物件を探すことも可能ですが、細かく条件設定をして検索し、リストアップされた候補を一つずつ吟味しなければなりません。チャットボットで希望の物件について伝えれば、候補の物件を大量のデータの中から抽出して提案してくれます。

チャットボットはデータベースにある不動産情報を網羅的に調べられます。人が探すよりも早くて正確なのがメリットです。会話をする形で候補を絞りこめるので、欲しい物件をスムーズに探し出せます。

担当者の質に依存しないサービスを受けられる

チャットボットなら担当者の質による影響を受けません。不動産業界では担当者の経験によってサービス品質が変わりやすい業界です。物件紹介を受けるときには、地域に詳しいか、実際に物件を見たことがあるか、オーナーの特徴を知っているかといった違いによって、ニーズに応える物件を選定できるかが変わります。新人とベテランでは紹介される物件が違うことも稀ではありません。

しかし、チャットボットは対応が機械化されているため、均一的な対応を受けられます。客観的に希望に合う物件を紹介される安心感があります。

電話や対面の取引に苦手意識があっても問い合わせをしやすい

電話とは違ってチャットボットなら口頭で説明する必要がありません。説明するのが苦手な人も質問を繰り返していくと回答にたどり着けます。チャットボットでは回答を出せなかったときにも、入力した内容を踏まえたオペレーターが対応してくれるので会話がスムーズに進むメリットがあります。

また、不動産会社の営業担当者と話をするときには、契約を強要されるのではないかという不安を抱く人もいます。チャットボットなら押しに負けて契約させられるといったことがないので安心です。営業担当者とのやり取りが心配な人も気軽に問い合わせできるのがチャットボットのメリットです。

不動産業界のチャットボットの導入成功事例

不動産業界ではチャットボットの導入によって成果を出している企業が多くなりました。ここでは代表的な成功事例を紹介します。

株式会社LIFULL

株式会社LIFULLは独自のAIチャットボット「AIホームズくん」を開発して、同社のLIFULL HOME’Sで提供しています。AIホームズくんは9つの質問に答えると住まいのカルテを作成し、おすすめの居住用賃貸物件を提案するシステムです。顧客の声を聞いて導入したAIチャットボットで、現在ではLINEにも対応しています。同社で人気の住まい選び・家づくりの無料相談サービスをオンライン化した取り組み事例です。

課題

  • 物件条件が決まっていない顧客を獲得したい

導入効果

  • 「住まいの窓口」に相当する相談サービスをオンラインで24時間提供できるようになった

参照:
LIFULL HOME’S「ぴったり度」で理想の住まい提案「AIホームズくんᴮᴱᵀᴬ」提供開始
https://lifull.com/news/22847

【ホームズ】AIホームズくんBETA(LINE版)
https://www.homes.co.jp/ai-homeskun

【国内不動産ポータルサイト初※】「ChatGPT」の技術
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000329.000033058.html

三井不動産株式会社

三井不動産株式会社ではチャットボット導入によってヘルプデスクの負担軽減に成功しました。同社は不動産関連事業を展開する総合デベロッパーで、DX本部を置いて改革を進めています。同社のヘルプデスクでは月間2,200件、1,000時間以上の対応が必要で、着電率が75%にすら至らない状況でした。

課題

  • ヘルプデスクの対応件数が多く対応時間が長い
  • 対応漏れが発生していた
  • FAQシステムの利用が浸透していない

導入効果

  • 電話問い合わせ件数が40%ほど減った(月間1,300件)
  • 着伝率が目標の75%以上に到達した
  • 人材育成の促進につながった

参照:三井不動産株式会社―10社以上の中から選ばれたPKSHA ChatbotでヘルプデスクのDXを実現 問い合わせを月間900件削減し、前年比40%減 | エンタープライズ向けAI SaaS
https://aisaas.pkshatech.com/success/mitsuifudosan_01_workplace

ケイアイネットクラウド株式会社

ケイアイネットクラウド株式会社はケイアイスター不動産グループ傘下でフランチャイズ事業や注文住宅事業などを担っています。同社では注文住宅「はなまるハウス」のWebサイトにチャットボットを導入して成功しました。同社のWebサイトでは以下のような課題がありましたが、チャットボットによって解決しています。

課題

  • Webサイト上の情報量が多くて顧客が必要な情報に到達できない
  • 顧客がWebサイトで探している内容を調査したい

導入効果

  • 顧客導線が確立されて17%の利用率を達成した
  • チャットボットを通して顧客の悩みの共有を獲得できるようになった

参照:ケイアイネットクラウド株式会社様・活用事例インタビュー | チャットボット型マーケティングツール「SYNALIO」
https://synal.io/interview/keiai/

不動産業界でチャットボット導入を成功させるコツ

不動産業界でチャットボットを導入するときには段階を踏んで進めることが重要です。ここではチャットボットの導入を成功させる方法を流れに沿って紹介します。

目的・目標を明確に設定する

チャットボットは目的と目標を明確にしてから導入を決定することがまず大切です。不動産の問い合わせ対応の時間を減らしたい、チャネルを増やして顧客獲得力を上げたいといった課題やニーズに基づき、チャットボットが適切な選択肢かを評価しましょう。

チャットボットが目的に沿ったツールなら、導入によって達成したい目標を定めます。月間の問い合わせ件数を○件増やし、電話対応を○件減らすといった具体的な数値目標にすると、導入効果を評価しやすくなります。目標を共有するとチャットボットを運用する意識も高めることが可能です。

導入・運用体制を整える

チャットボットは導入する時点で設定が必要です。顧客からの問い合わせに対して、どのような回答をするかをプログラミングすることが求められます。Q&Aのリストを作成して、ベンダーのエンジニアに設定をしてもらうのが一般的な方法です。導入完了後もデータをアップデートしてチャットボットの対応力を強化する必要があります。

チャットボットを活用する際には、導入や運用の体制を整えることが大切です。運用による改善はチャットボットの効果を高めるための基本です。担当者を決めて責任を持って対応させましょう。

サポートを重視してシステムを選ぶ

チャットボットのシステムを選ぶときには、サポートが充実していて安定した運用をしやすいことを重視して決めることが重要です。チャットボットの設定やスクリプトを変更する際に丁寧なサポートを受けられると安心できます。

顧客にとってチャットボットはいつでも問い合わせ対応を受けられることが重要です。サービスが不安定で問い合わせができない状況が続くと使われなくなります。チャットボットのシステムに問題が発生したときにすぐにサポートを受けられれば、速やかに解決して運用を継続できます。アップデートも自動で対応するクラウドサービスなら安定した運用をしやすいでしょう。

費用対効果を試算して導入する

費用対効果が高いチャットボットの導入は成功のコツです。問い合わせの内容や顧客層を加味して、どの程度の問い合わせをチャットボットで処理できるかを考えると効果を想定できます。その想定によって削減できるコストを基にして費用対効果が上がるシステムを選びましょう。

チャットボットは導入してからずっと運用することになるので、ランニングコストが特に重要です。チャットボットのシステムは月1万円前後から選べますが、高くて機能が充実しているサービスもあります。機能が多くても使いこなせなければ意味がないので、課題解決に必要な機能が揃っている中でリーズナブルなサービスを選ぶことが重要です。

不動産業界の業務を効率化するなら

不動産業界の業務はSMSの活用によって効率化できます。チャットボットはインバウンド業務の効率化に効果的ですが、アウトバウンド業務には向いていません。

SMSは顧客の電話番号宛てにショートメッセージを送れるので、アウトバウンド業務の効率化に適しているツールです。メールよりも開封率・到達率が高いので顧客フォローにおすすめです。KDDI Message CastならSMSの一斉送信や予約配信などもできるため、効率的にSMSを運用できます。チャットボットとの相乗効果を生み出せるのでSMSの活用も同時に進めましょう。

▼KDDI Message Cast(KDDIメッセージキャスト)詳しくはこちら
https://sms.supership.jp/

まとめ

不動産業界では顧客対応が多いのが特徴で、チャットボットを活用すれば問い合わせ対応の効率化が可能です。従業員と顧客の両方の満足度を向上させられるDX施策になります。チャットボットを導入したら継続的な運用をして、より喜ばれる問い合わせ対応をできるように努力を続けることが大切です。不動産業界の顧客対応では他の方法も組み合わせると相乗効果があります。アウトバウンド業務にはSMSも有効なので活用を検討しましょう。