電話による問い合わせ対応は従業員の業務負担になることが多いため、効率化が重要です。問い合わせ対応の自動化は、業務量を直接的に減らす効果的な施策です。ITを活用した業務の自動化は、DXの一環としても注目されています。

この記事では、問い合わせ対応の自動化に使えるツールや手法を紹介します。自動化のメリットや注意点を押さえ、賢く導入して問い合わせ対応の効率化を実現しましょう。

問い合わせ対応業務の種類とは?

問い合わせ対応には社内からの問い合わせと社外からの問い合わせの2種類に分けられます。同じ会社の従業員からの問い合わせと、取引先や消費者からの問い合わせでは内容が異なるので、まずはそれぞれの対応内容を解説します。

社内の問い合わせ対応

社内の問い合わせ対応は、主に他の部署の担当者からの連絡を受け、疑問に回答したりトラブルを解決したりするものです。以下に、代表的な問い合わせ先とその内容の例をまとめました。

問い合わせ先問い合わせ内容
ITシステム部・ネットワークに接続できない・パソコンにログインできない
総務部・ロッカーのカギを紛失してしまった・故障した備品を手配して欲しい
人事部・福利厚生を申請する方法を知りたい・健康診断の日程を変更して欲しい
経理部・忘れていた経費の精算をしたい・領収書を紛失してしまった
広報部・広報誌に寄稿したい・社外発表のルールを知りたい

社外の問い合わせ対応

社外の問い合わせ対応は個人の顧客や取引先の企業など、会社の外部の人からの質問に答えるものです。商品やサービス、取引内容などさまざまな問い合わせがあります。社外の問い合わせ対応の窓口としてコールセンターを設置することが多いですが、担当部署が直接問い合わせを受けて対応する場合もあります。

問い合わせ先問い合わせ内容
営業部・商品の紹介をして欲しい・見積書を送って欲しい
人事部・中途採用の募集内容を知りたい・採用フローを教えて欲しい
カスタマーサポート・製品の修理対応をして欲しい・初期不良があったので交換して欲しい
コールセンター・営業時間を知りたい・サービスのキャンセルをしたい
ヘルプデスク・製品の使い方がわからない・サービスのトラブルを解決して欲しい

問い合わせ対応業務の課題

問い合わせ対応をする現場では課題を抱えていることがよくあります。ここでは問い合わせ対応業務の典型的な課題と解消すべき理由を解説します。

問い合わせが多くて対応が追い付かない

問い合わせが多くて対応しきれなかったり、質問が複雑で対応に時間がかかったりすることで、相手を待たせてしまう状況になることがよくあります。問い合わせの件数や質に対して十分な人材がいないことや、業務効率化が進められていないことが主な原因です。

問い合わせをスムーズに処理できないと、相手にストレスを与えてしまいます。社内の問い合わせ対応が遅れると業務が滞る可能性があり、社外の問い合わせ対応では顧客があきらめてしまい機会損失になるリスクがあるため、解決が必要な課題です。

問い合わせ対応の負担が大きい

問い合わせ対応の担当者や部署の負荷の大きさを解消することは重要な課題です。対応が追い付かないほどの問い合わせがあるとストレスになります。社外の問い合わせ対応ではクレームが多く、つらい思いをしながら対応しなければならないこともあります。

人事部や経理部などでは問い合わせ対応に時間や労力がかかっていて、コア業務に携われる時間が少なくなっている場合があります。本来やるべき業務をこなしきれず、残業をして処理していることもあります。残業が発生すると業務コストが上がるので対策が必要です。

問い合わせ対応の内容が統一されていない

問い合わせ対応の内容や方法が部署で統一されていないことが問題になる場合があります。社外の問い合わせ対応では派遣社員やアルバイトを雇っているケースも多く、問い合わせ対応の品質がばらつきがちです。マニュアルがあっても正規社員と非正規社員では問い合わせ対応の経験の量が異なり、ベテランの正規社員の方が的確で質の高い対応をおこなえる場合があります。

問い合わせ対応の内容が統一されていないと、品質が低かったときに顧客や取引先から不満が生じます。一定水準以上の対応を誰でもおこなえるように対策することが必要です。

対応件数に偏りが生じている

問い合わせ対応は属人化が起こりやすく、同じ部署にいても電話の対応件数に偏りが生じやすいのが特徴です。専門性の高い部署ではベテランで詳しい人しかわからない内容もしばしばあります。電話を受けた人が対応できなくてベテランに取り次ぐ流れになり、電話業務の負担が特定の人に集まりがちです。

対応件数の偏りは不平等感があるので、対応をしている従業員の不満が大きくなります。もしベテランの従業員が辞めてしまったら問い合わせ対応ができなくなるリスクがあるので、属人的な対応にならないように対策を練る必要があります。

問い合わせ対応業務を自動化するメリットとは?

問い合わせ対応の課題解決には自動化が効果的です。社内・社外からの問い合わせを一部でも自動で処理できるようになれば業務負担を減らせるからです。ここでは問い合わせ対応を自動化するメリットを紹介します。

有人対応が必要な問い合わせを減らせる

問い合わせ対応を自動化すれば、従業員が直接対応しなければならなない問い合わせ件数を減らせるのがメリットです。「営業日・営業時間を知りたい」といった一対一対応で回答できる定型的な問い合わせは自動対応できます。電話でこのような問い合わせを受けていると時間を取られたり、コア業務の中断をさせられたりすることになります。定型的な質問に対して自動で回答できるシステムを整えて問い合わせ対応業務を効率化すれば従業員の負担を軽減可能です。

品質が均質化されて安定する

自動化を導入することで、問い合わせ対応の属人性を緩和できます。自動処理によって問い合わせ対応を行うことで、品質が均質化されるからです。属人的で担当者がいないと回答できなかった質問も、自動で回答できるようにすれば、いつでも正しく対応できます。新入社員が入社したり、退職者が出たりした場合でも、安定して問い合わせ対応が可能です。いつも的確な回答を速やかに得られる基盤が整うため、社内・社外からの評判も向上するでしょう。

ヒューマンエラーの発生を防げる

問い合わせ対応を自動化するとヒューマンエラーを減らせます。「電話の問い合わせで折り返し連絡をするために電話番号をメモしたら、番号が間違っていてかけられなかった」「メールで問い合わせ対応をするときに、誤って似ているメールアドレスの人に返事をしてしまった」といったトラブルはよくあります。有人対応ではミスが起こりやすいので注意が必要です。自動対応できる問い合わせは人の手に頼らずに回答できるようにすると対応品質が向上します。

時間外も問い合わせ対応ができる

24時間365日の問い合わせ対応が可能になるのは自動化のメリットです。機械で自動的に問い合わせに回答する仕組みになるため、人がいなくても対応できます。営業時間外になってから、顧客から電話で問い合わせがあっても従業員がいなかったら対応できません。しかし、自動で回答をしたり、営業時間外で翌日の何時以降に連絡が欲しいとかけ直しを促したりすると、顧客満足度が向上します。特に自動で回答できれば顧客が都合の良いときに問い合わせ可能なので理想的です。

データを蓄積して改善を目指せる

問い合わせ対応を自動化するときにはシステムを導入するのが一般的です。問い合わせの内容や回答についてシステム上にデータを残せるので、ナレッジを蓄積して今後の問い合わせ対応の改善策を検討できます。よくある問い合わせ内容を集計して自動回答できるようにしたり、複雑な問い合わせの対応方法をマニュアル化したりすることが可能です。対応が難しい問い合わせの例を社内で共有して、社内外の対応のスキルアップを目指すこともできます。

問い合わせ対応業務を自動化するツールや手法

問い合わせ対応は自動化して効率を上げられます。IT活用による業務の自動化は問い合わせ対応に限らず広く取り組まれていてツールも豊富にあるため、さまざまなアプローチで実現可能です。ここでは問い合わせ対応の自動化方法を紹介します。

IVR(自動音声応答システム)

IVR(自動音声応答)は、電話での問い合わせ対応を自動化するための効果的なシステムです。受電時に自動音声ガイダンスで質問を行い、番号のプッシュによって回答を得る仕組みになっています。IVRは、問い合わせの目的に応じて適切な担当者に振り分けることが可能です。また、予約の受付や契約内容の照会など、定型的で番号のプッシュだけで対応できる内容は自動で処理できます。さらに、IVRはカスタマイズが可能で、よくある問い合わせに合わせて設計することもできます。

チャットボット・ボイスボット

チャットボットやボイスボットは、問い合わせに自動対応できるツールです。チャットボットはテキストでの問い合わせ、ボイスボットは音声での問い合わせ対応を自動化します。従来のチャットボットは、あらかじめ用意された回答を基に問い合わせ対応を自動化します。しかし、近年ではデータに基づいて学習したAIによって、臨機応変に質問に答えられるAIチャットボットも登場しています。学習が進むことで対応できる問い合わせ内容が増えるため、注目度が高まっているツールです。

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)

RPAは定型業務を自動化できるツールです。プログラムをあらかじめ組んでおくことで、インプットに対して適切な処理を自動でおこなう仕組みになっています。問い合わせ対応では質問の内容をシステムに記録したり、問い合わせのあった顧客履歴に応じてフォローのメールやSMSを自動送信したりすることができます。RPAを導入するとルーティンでおこなっている業務を自動化できるので、問い合わせ対応の業務負担が小さくなります。

FAQ

FAQを作成することで、問い合わせをする前に確認してもらえるようになります。よくある問い合わせとその回答をまとめておくことで、自己解決を促すことが可能です。社内では、FAQの存在を周知しておくことで、まずはFAQを確認し、それでも解決しない場合に問い合わせるという流れができます。

社外の問い合わせに対しては、チャットボットやRPAを活用してFAQのリンクに誘導し、回答することが可能です。FAQの存在が認知されることで、顧客が自己解決する可能性も高まります。

問い合わせ対応業務の自動化を行う際の注意点

問い合わせ対応の自動化をするシステムを導入するときには注意点があります。導入や運用で苦労することがあるので、事前に押さえておきたいポイントを紹介します。

導入に時間とコストがかかる

問い合わせ対応を自動化するには時間もコストもかかるので注意が必要です。例えば、チャットボットを導入するときにはサービスの導入に初期費用がかかります。質問と回答のデータを作って自動対応できるようにする際にも費用をかけて業者に作成してもらうか、時間をかけて社内で作成しなければなりません。

また、新たに導入したツールを従業員が使いこなせるように教育することも必要です。自動化できるツールを安定して運用するまでには時間がかかります。

運用と改善を継続しなければ効果が上がらない

自動化ツールを導入したら問い合わせ対応の品質を向上させるための継続的な取り組みが必要です。運用と改善を続けていくことで、社員や顧客の満足度が高い自動対応ができるようになります。問い合わせ内容は事業の状況によって変化するので、常にアップデートして対応できる状況を作ることが必要です。問い合わせ対応の自動化はツールを導入したら終わりではなく、継続的な運用によってより満足度の高い対応の実現に取り組むことが重要です。

自動化できない問い合わせ対応もある

問い合わせ対応はすべて自動化できるわけではないので注意しましょう。自動化して対応できるのは定型的な問い合わせへの回答や、機械的にできる作業です。複雑な問い合わせの場合には個別に話をよく聞いて対応する必要があります。ただ、自動化できない場合にも業務負担の少ない対応方法を取り入れると効率化は可能です。すぐに電話で回答できないときに回答はSMSやメールで送るといった方法を導入すると電話がつながらないトラブルをなくせます。

電話対応の効率化なら”KDDI Message Cast”

問い合わせ対応の自動化・効率化には、SMS送信サービスの「KDDI Message Cast」がおすすめです。電話による問い合わせは時間がかかり、負担が大きく、臨機応変な対応が求められるため難しさがあります。しかし、電話で問い合わせ内容を聞き取り、SMSで返事をすることで、均質的な対応が可能になります。定型的な質問の回答テンプレートを用意しておけば、誰が担当しても品質の高い回答が提供できます。

KDDI Message CastではSalesforceとの連携でMAによる自動化もできるので導入を検討してみましょう。

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まとめ

問い合わせ対応を自動化することで、一定以上の品質で迅速に回答できる体制を整えることができます。これにより、問い合わせ対応の業務負担を軽減し、社内外の問い合わせ者の満足度を向上させることができます。問い合わせ対応の自動化にはさまざまなツールを活用できるため、積極的に導入を進めましょう。問い合わせ内容によっては自動対応が難しい場合もありますが、時間と労力のかかる電話対応を減らすことで効率を向上させることができます。特に、SMSによる対応は有効な対策となるため、積極的に活用を進めましょう。