DX実現にクラウドが必要なのはなぜ?メリット・デメリットやおすすめのツールについて
企業をめぐる環境は年々変化しています。リモートワークの普及や労働人口の減少、ITの浸透などは一例にすぎません。各企業が抱える課題の解決方法の一つとして注目されているのがクラウドです。クラウドは業務効率化やリモートワークの推進などに役立ちます。そこで本記事ではDXやクラウドとは何か確認した上で、クラウドの種類やクラウド導入のメリットとデメリット、クラウドの導入形式などについて解説していきます。
目次
そもそもDXとは
DX(ディーエックス)とは、デジタルや最新技術を活用することでビジネスにおける変革を目指すことです。
また、経済産業省は「デジタルトランスフォーメーション( DX )を推進するためのガイドライン」の中で、DX推進のための経営のあり方・仕組やDXを実現する上で基盤となるITシステムの構築などについて解説しています。
企業はDXを推進し、変化が激しいビジネスに対応し、同業他社間の競争で優位に立つことが課題となっています。
DXやDX推進のメリットについて詳しく知りたい方は以下の記事を参照してください。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?DX推進のメリットと課題も
クラウドとは何か
クラウドとはインターネット上にある仮想基盤のことです。データはPCやスマートフォンの端末、あるいはUSBなどに保存されるのではなく、インターネットのサーバーに保存されます。
クラウドの特徴はインターネット環境があれば場所を問わずデータにアクセスできることです。ネット環境がある場所であれば自宅やカフェなどで、自分のパソコンやスマホなどから保存したデータの確認・編集を行えます。
また、クラウドであればPCの故障や紛失とともにデータも紛失したり、保存していたハードディスクが故障してデータにアクセスできなくなったりという事態も回避できます。
その他にも、クラウドにアップロードした情報は社内で容易に共有できるため、関係者にデータを添付したメールを送信する手間などもかかりません。
クラウドの種類について
クラウドと一括りにしても、クラウドにはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
以下の表にSaaS、PaaS、IaaSの特徴やサービス例についてまとめましたので確認してみてください。
種類 | 特徴 | サービス例 |
SaaS | ソフトウェアやアプリをクラウド上で作動できる | iCloud Microsoft 365Chatwork |
PaaS | アプリを開発する環境をクラウド上で提供 | Amazon Web ServicesSalesforce Platform |
IaaS | クラウド上にてシステムのインフラを提供 | Google Compute Engineさくらクラウド |
クラウドとオンプレミスの違いとは
クラウドに対立するものとしてオンプレミスがあります。オンプレミスとはサーバーやネットワーク機器を自社に設置し、システム構築や運用を行うことです。
クラウド | オンプレミス | |
初期費用 | 安価 | 割高 |
月額費用 | 変動 | 固定 |
カスタマイズの柔軟性 | あまりない | 自由 |
導入にかかる時間 | 短い | 長い |
災害時の復旧速度 | 速い | 時間がかかる |
自社システムとの連携の柔軟性 | 一部困難 | 容易 |
上記の表のようにクラウドとオンプレミスではメリットとデメリットが異なります。自社のニーズに合う方はどちらなのかよく検討するようにしてください。
DXの実現にクラウドが必要とされる理由
理由1 スムーズな利用開始
オンプレミスはシステムの設計・開発の必要があるため、利用できるまでに長い期間がかかります。また、システムの設計・開発には高度な知識が必要なため、自社で対応できないこともあるでしょう。
対して、クラウドは既にできあがっているサービスを利用するため、契約すればすぐに利用できます。既存のシステムを導入して利用するため設計・開発の必要もありません。
理由2 運用負荷の軽減
自社でサーバーの運用を行う場合、メンテナンスや保守なども行う必要があります。また、システムに不具合が生じた際にも自社での対応が前提です。そのため、自社にITやシステムについて精通した人材を常駐させておかなければなりません。
一方で、クラウドであれば運用や不具合発生時の対応などはクラウドベンダーが行うため、自社で対応する必要はありません。自社にITやシステムに詳しい従業員が不在でも問題なく利用できます。
理由3 柔軟なカスタマイズ
オンプレミスでは自社のニーズに合ったオリジナルのシステムを構築できますが、構築したシステムを変更することは難しいです。場合によっては、大きな負担や膨大なコストが発生します。
一方、クラウドはカスタマイズに一部制限があるものの、カスタマイズ可能な範囲内であれば費用をかけず、簡単にカスタマイズできます。DXの成功には問題の洗い出しと改善の繰り返しが不可欠であるため、改善の過程でシステムに変更したい部分などが出てくることもあるでしょう。そうしたときに、簡単にカスタマイズを行えれば、DX化をスムーズに進められます。
DXにおけるクラウド導入のメリット・デメリット
メリット
クラウドは自社でサーバーを設置するよりも低コストで運用可能です。また、契約時に「全社で利用するか」や「一部のチームのみで利用するか」なども決められるため、人数に合わせた契約をすることで無駄な支出を回避できます。
クラウドは契約から利用開始までの日数も短く、自社のDX化を短期間で実現できます。DX化を思い立ったらすぐに開始できるのもクラウドならではのメリットです。
デメリット
自社でシステムを有している場合、移行を完了させるまでに手間や費用がかかります。特に、長年にわたって運用しているシステムは構造が複雑化していることも多く、対応が困難になりがちです。
また、多くのクラウドにはメンテナンス期間があります。クラウドのメンテナンスのタイミングは運用・管理会社が決めるため、自社にとって都合が悪い時間帯に行われることもありえます。そうなると、必要なときにデータを参照できなかったり、業務が滞ったりすることも想定されます。
クラウドの3つの導入形式
プライベートクラウド
プライベートクラウドとは自社専用のクラウド環境を構築できるクラウドです。例えば、IBMやNECが挙げられます。
プライベートクラウドでは回線やOSなどを柔軟にカスタマイズできます。また、自社の関係者のみにしかアクセスが認められないため、セキュリティ対策の観点からも優れているのが特徴です。
ただし、自社のサービスに合ったクラウドを構築することから導入コストは割高になります。
パブリッククラウド
パブリッククラウドとはオープンなクラウドサービスの形態のことで、不特定多数で共有して利用します。代表的なパブリッククラウドとしてYahoo!やGoogle、Amazonなどが挙げられます。
パブリッククラウドはハードウエアを調達せずともインターネット上ですぐに利用を開始できるため、システムの開発をスピーディーに行えます。また、大半のサービスは従量課金で利用するためコストの削減にもつながります。
ただし、インターネット上のサービスを共有して利用することからも情報漏えいのリスクがあることも忘れてはいけません。
ハイブリッドクラウド
ハイブリッドクラウドではプライベートクラウドやパブリッククラウドの他、オンプレミスなども組み合わせて、統合したネットワーク基盤を構築できます。
そしてハイブリッドクラウドの大きな特徴は即応性です。スピーディーな適応は変化が速いビジネスにおいて不可欠な要素です。即応性の獲得のために、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスリソースを柔軟に組み合わせることも可能です。
ただし、構成が複雑になると管理に負担がかかるだけでなく、運用方法によってはコストが想像以上に割高になるので気を付けましょう。
DXにおけるシステムのクラウド化で抱えがちな課題
社内合意が得にくい
クラウドについてコストの増大やセキュリティ面での不安など否定的なイメージを抱いている人もいます。また、クラウドの導入によって業務フローが変わるため、新しい事柄を覚えることに不安を抱える人も少なくありません。
また、意思決定を行う経営層がクラウドにマイナス的イメージを抱いていると、自社にクラウドを導入することが難しくなるはずです。
社員がクラウドを活用できない
クラウドは導入するだけで効果を実感できるものではありません。従業員がクラウドを活用できない場合、導入コストや運用費が無駄になってしまいます。
また、場合によっては、クラウドの導入によって業務に混乱が生じ、業務負担の増加や自社に対する信頼の低下につながることもあります。
クラウドの中にはITやシステムに苦手意識の強い方でも使いやすい製品も多くあるため、アナログ思考の従業員が多い企業は使いやすさに重点を置いて選ぶ必要があるでしょう。
進め方がわからない
自社にクラウドを導入することの必要性やクラウドの利点について理解はしていても、システム移行の方法が分からなかったり、自社に適切なクラウドを選べなかったりといった事情を抱えている企業もあります。
特に、経営層がITやデジタルに対して苦手意識が強いと、自社のDX化について関心を抱きつつも何を行えばよいか分からないといった状況になりやすいです。
クラウドの導入について自社で対応しきれない場合は専門のコンサルタントへの相談を検討してみてもよいでしょう。
システムのクラウド化で失敗しないための注意点
注意点1 導入目的を明確にする
クラウドを導入する際は、クラウドの導入が目的にならないように注意しなければなりません。クラウドは自社のDXを実現するための一つの手段です。
クラウドを導入する目的は企業によって異なりますが、「リモートワークを定着させたい」「従業員間でのデータ共有を容易にしたい」「出張先でもデータを確認できるようにしたい」などといった目的を持って導入する企業が多い傾向にあります。
注意点2 利用範囲をあらかじめ明確にしておく
クラウドを導入する際は利用範囲についても明確にしておきましょう。全てのシステムをまとめてクラウド化するのは難しいだけでなく、大きな混乱を招きかねないため現実的ではありません。
クラウドを導入する際には、クラウド化するべきものについて優先順位を付けることをおすすめします。このとき、コストや業務への影響などをしっかり考慮するようにしましょう。
クラウドと自社との相性が分からない状況での広範囲にわたるクラウド化は失敗のリスクが高いので控えましょう。
注意点3 自社に合ったクラウドを選択する
クラウドの導入では自社が抱えている課題や解決したい問題を明らかにした上で、それを解決できる機能が搭載されている製品を選択するようにしましょう。
自社に適したクラウドを決める際は、製品を提供している企業の公式サイトが公表している導入事例や成功事例も参考になります。どの製品がよいか分からない場合は、自社と同業の企業が導入した製品や自社と似たような悩みを抱えている企業が導入した製品などを検討してみてもよいかもしれません。
DX推進にはSMSの活用がおすすめ
社内のDX推進にはSMSの活用がおすすめです。顧客やクライアントとのコミュニケーションをSMSの活用によって円滑化できます。例えば、クライアントに電話を何度もかけ直したり、顧客にメールを送ったものの見落とされていたりといったことを回避しやすくなります。そのため、従業員は従来の仕事に集中できるようになり業務の質が高まることの他、残業時間の削減にもつながるはずです。
また、SMSはスマートフォンや携帯電話に配信されるため、電子メールと比較して受け取り手に気付いてもらいやすいという特徴もあります。そのため、急ぎの連絡や確認事項などの連絡にも最適です。
法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」
ビジネスでSMSの活用を検討している企業のご担当の方にはKDDI Message Castをおすすめできます。KDDI Message CastはKDDIグループが提供するSMS配信サービスです。分かりやすいユーザーインターフェースによる配信や簡易なシナリオを組める配信機能が搭載されているため、テック機器に苦手意識のある方も簡単に利用できます。費用は従量課金のみで、1通あたり660文字までのメッセージを送信できます。
まとめ
社内のDX化と一括りにしてもさまざまな方法がありますが、クラウドの導入はDXの導入を検討している企業におすすめです。クラウドはインターネット環境があれば場所を問わずに利用できるため、自宅や出張先から社内のデータにアクセスできます。そのため、自社にリモートワークが定着したり、出張先から資料を確認できたりといった効果も期待できるでしょう。
クラウドを導入する際は自社が抱えている課題や問題を洗い出した上で、それを解決できる製品を選択するようにしましょう。
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