EC事業者に求められるDXとは?メリットや取り組み事例を紹介
EC事業ではDX化が重要な時代になっています。EC経営をしていてもDXについてあまり知識がなく、何をしたら良いか悩んでいる場合もあるでしょう。この記事ではDXの意味やEC事業における重要性といった基本から、DXを導入すべき理由をわかりやすく解説します。EC事業で成功するためのポイントやDX導入による企業での成功事例も紹介します。
目次
そもそもDXとは?IT、CXとの違いは?
EC事業でDX化を進める上ではDXの理解が必要です。ここではIT、デジタル、CXと比較しながらDXについて解説します。
関連リンク:DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?DX推進のメリットと課題も解説
そもそもDXとは?
DXとはデジタル技術によってビジネスに変革をもたらすことです。経済産業省によってデジタルトランスフォーメーション(DX)についてガイドラインが定められてから積極的な推進に取り組む企業が増えました。
DXはただデジタル技術を導入する取り組みではありません。ビジネスにおけるDXでは企業が競争力を獲得する手段としてデジタル技術を活用することを意味します。経営課題の解決策としてEC事業を開始したり、ECにおいて新規サービスを提供することで新しい価値を創出したり、システム導入によって業務フローの抜本的改革をしたりするのがDXです。
日本では既存のシステムにこだわりを持ち、DXに興味を持っていてもスタートできないままのことがよくあります。現在では大手企業だけでなく中小企業のDX事例も知られるようになってきました。店舗経営しかしていなかった企業がEC事業を立ち上げるのも大きな変革になればDXです。ただ、ECを立ち上げたのに売れずに苦労しているケースも少なくないため、DXを念頭に置いたEC展開が重要です。
DXとIT、デジタルの違いは?
DXとITやデジタルは包含関係にあります。DXではITやデジタル技術を利用してビジネスの変革を目指す取り組みです。ITは情報技術のことで、パソコンやスマートフォン、ソフトウェアやインターネットなどを指します。デジタルはアナログの対義語で、手作業で実施してきたことを機械上で取り扱えるようにする技術がデジタル技術です。DXは単純にITやデジタル技術を取り入れるのとは違い、高い目的意識を持って企業としての競争力を獲得することを指します。
DXとCXの違いは?
DXとCXはまったく異なる概念です。CXとはカスタマーエクスペリエンス、顧客体験です。顧客がECサイトの閲覧や購入、実店舗の利用などを通して得る体験を指します。CXの改善や向上は顧客に選ばれるビジネスにつながるので、DXの目的の一つとして掲げられることがあります。しかし、デジタル技術を使用せずとも店舗での接客サービスの改善や社員教育によってCXを向上させることも可能なので、CX改善はDXとは必ずしも一致しません。
EC事業においてDXが注目されている3つの理由
EC事業でDXが注目されているのは、デジタル技術との親和性が高いからです。ここでは具体的に3つの理由を紹介します。
業務効率の向上になるから
EC事業のDXは業務効率の向上になるので注目されています。例えば、ECサイトの運営では受注対応や配送手配などのオンライン対応の業務が多数ありますが、多くの業務は顧客のアクションに対して自動対応することが可能です。業務の自動化や商品情報入力へのAIの活用などを通して業務効率を向上させると、従業員の負担が軽減されます。どこでも運営業務が可能なのもEC事業の特徴なので、リモートワークを取り入れて従業員の満足度を向上させることも可能です。
ターゲッティングで効率よく販促できるから
EC事業でDX推進が重要なのは販促の効率が上がりやすいからです。デジタル技術を使用すると顧客フォローが容易なのでリピーター獲得を目的とするDXができます。顧客データを収集・整理して活用し、フォローのSMSやメールを送信して販促すればリピーターになってくれる可能性を切り開けます。また、ウェブ広告によるマーケティングでもECサイトのアクセス解析を通してターゲティングをすることで費用対効果の高い販促を進められます。
CXを向上させられるから
デジタル技術を通してCXの向上ができるのもDXが注目されている理由です。オンラインで商品体験をできるようになれば「買いたい」と思う人は増えるでしょう。VRやARを利用したプロモーションをするのは近年人気のアプローチです。また、顧客の購入履歴に基づいて新しい商品を提案したり、消耗品が不足する頃にフォローしたりするとCXが向上します。CXの向上は選ばれるECになるために重要な要素なので、DXに取り組む価値があります。
EC事業においてDXがもつ課題は
DXはEC事業にとって重要なのは確かですが、課題も多いのが現状です。重大な2つの課題をここでは紹介します。
関連リンク:DX導入のための課題、メリットや導入しないことによるデメリット・リスクなどを徹底解説
システムの最適化・連携
EC事業ではシステムの最適化や既存システムとの連携が課題です。EC自体のシステムとマーケティングや経理などで使用しているシステムを一元化できなければ、データの管理が複雑化して効率的に利用できません。既存システムから切り替えをする場合には運用するスタッフの教育も必要になり、大きなコストがかかるのが課題です。
DX推進の人材不足
DX人材の不足もDX推進を妨げている大きな問題です。EC事業でDXを成し遂げるにはデジタル技術に詳しいエンジニアがいれば十分というわけではありません。本格的なECビジネスやデジタルマーケティング、会社組織の経営についても明るい人材が欠かせません。まずは使いやすいDXツールの導入から始めるなどの工夫をして課題解決に挑む必要があります。
EC事業にDXを導入する際の4つのポイント
EC事業をDX化するには基本を押さえることが必要です。ここではDX導入の際に肝心な4つのポイントを解説します。
情報の一元管理
DXの成功にはデータの収集・管理・活用が欠かせません。顧客情報や競合情報などを整理して一元管理するのがDX導入のポイントです。乱雑にまとめられたデータを整理するのは大きな工数がかかるので、本格的にDXを進める段階で一元管理できるデータベースを用意しましょう。実店舗も持っている場合にはECとの情報の統合も重要です。
自動化の導入
ECにおけるDXでは自動化の導入によって比較的短期間で効果を出せます。機械的に処理できる業務を洗い出して自動化を推進しましょう。AIチャットボットによる顧客からの問い合わせ対応、見積書・納品書・請求書の自動作成・自動発行など、さまざまな自動化システムを導入できるので現場に合わせて選定するのが大切です。
顧客へのアプローチの推進
EC事業では顧客のリピーター化や見込み顧客の育成を目指すDXを推進するのがポイントです。顧客のニーズをデータに基づいて分析し、フォローして購入を促すとリピーター化できる可能性が高まります。アクセス解析をして買ってくれそうな商品をサジェスト・レコメンドするといったアプローチも売上向上につながります。
顧客データの収集と活用
顧客データを積極的に収集して活用することはECでのDXでは差別化につながります。SNSやブログなどに基づくビッグデータから顧客動向を見出すと販促効果の高いマーケティング戦略を立案できます。時系列データがあれば今後の動向も予測できるため、中長期的な取り組みとして位置付けて推進すると競争力を付けることが可能です。
EC事業者が参考にしたいDXの成功事例4選
EC事業者がDX化を目指す際には差別化を意識した取り組みをするのが重要です。ここではECに関連が深いDXの成功事例をご紹介します。
ARによるオンライン体験(BMW)
BMWではARの導入による製品プロモーションを推進しています。BMWはGoogle Cloudのサービスを活用することで、スマートフォンで簡単に新車を体験できるサービスを導入しています。店舗に行かずとも気軽に手元で最新モデルの詳細をチェックできるのが特徴で、車のカラーを変更したり、ドアの開閉をしたりする操作もできるのが特徴です。
BMWでは2021年から本格的にデジタルマーケティングに乗り出し、オンラインでの顧客体験の向上に取り組んできました。ARサービスは新型電気自動車のプロモーションとしてローンチされています。EC事業でも商品体験をオンラインで提供して販促をするDXとして参考にできる事例です。
参照:BMW Launches AR Experience That Lets You View Cars In Your Driveway
無人モデルハウスの提供(アキュラホーム)
株式会社アキュラホームでは無人モデルハウスをリモートで内覧できる「ミライモデル」を2020年にローンチしました。案内ロボット「ゴーカンナ君」を専用タブレットで操作することにより、自宅からモデルハウスを見学できる仕組みになっています。ゴーカンナ君に搭載されたカメラから映像を確認することが可能で、自由に操作できることから気になる部分を顧客が自由にチェックできるのが特徴です。
ミライモデルは新型コロナウイルスの影響でモデルハウスの営業が難しい状況になった際の対策として生み出されました。住宅業界でEC事業を展開する上では実物を顧客に体験してもらうのが重要だと考え、リアリティのあるバーチャル体験サービスを実現したDX事例です。
参照:案内ロボット「ゴーカンナ君」の遠隔操作で無人モデルハウスを全国に展開 |アキュラホーム
ECサイト用のマートステーションの設置(クックパッド)
クックパッド株式会社ではレシピサイトの運営からDXを推進して生鮮食品EC「クックパッドマート」を2018年にローンチしました。クックパッドのレシピを見て欲しい食材をECで購入するという顧客動線ができる点で、両サービスのプロモーションにつながるDXです。クックパッドでは生鮮食品の品質管理と顧客の受け取りの利便性を考えて生鮮宅配ボックス「マートステーション」をホシザキ株式会社と共同開発しました。
ECサイトで生鮮食品を購入する顧客は仕事をしていて宅配便の受け取りに苦労することがよくあります。マートステーションの設置によって顧客が生鮮食品を安心して受け取れるインフラを整えて、ニーズに応えるサービスを実現するのに成功しています。
参照:生鮮食品EC「クックパッドマート」と業務用冷蔵庫 国内シェアトップクラスのホシザキ生鮮宅配ボックス「マートステーション」の新型機を共同開発
カスタマーサポートの効率化(ソフトバンク)
ソフトバンク株式会社では3年間にわたる「デジタルワーカー4000プロジェクト」でのDX推進を通して大幅な業務効率化に成功しました。電子契約の推進や新卒採用でのAI面接などの多岐にわたる取り組みで成功を遂げていますが、ECに直接関連するDXとしてカスタマーサポートの効率化があります。
ソフトバンクでは顧客がオンラインで悩みを解決できる総合的なカスタマーサポートサイトによってコールセンターへの問い合わせ数の削減やオペレーターの負担の軽減に成功しました。問い合わせ内容に合わせてFAQへの案内、チャットサポートの提供、コールセンターによるサポートといった振り分けをしたのが特徴です。迅速な疑問の解決にもつながるため、顧客満足度の向上にもつながっています。
参照:AIやRPAの活用などにより約4,500人月相当の業務時間を創出、創出した時間で新規事業をさらに加速~自社で積み上げた経験とノウハウで法人・自治体のDXを強力に支援~ | 企業・IR | ソフトバンク
集客にはSMSの活用がおすすめ
ECでは集客の成功が売上の向上に直結します。集客力アップを目指してDXを推進するのは合理的でしょう。ECサイトへの集客にはSMSが短期間で導入できて、集客につながりやすいのでおすすめです。SMSは顧客の電話番号宛てに「あなたのための情報」として発信できます。新製品の紹介やEC利用者へのアンケート調査、しばらく利用していない顧客へのクーポン配信など、さまざまなマーケティングに応用できるのでDX推進の役に立ちます。
法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」
SMSによるDXをするにはSMS送信サービスの「KDDI Message Cast」がおすすめです。通常のSMSは1通ずつ送信しなければなりませんが、送信サービスを利用すれば一斉送信ができます。宛先とスケジュールを設定して予約送信もできるので、ターゲッティングをしてタイムリーな情報を届けられます。API連携にも対応していて既存システムと合わせて使用しやすいサービスなので、SMS活用を切り口にしてDXをするならKDDI Message Castをご検討ください。
まとめ
EC事業はDXと親和性が高く、業務効率もCXも向上させられるので積極的に取り組む価値があります。EC事業でのDX化には有能なDX人材の不足や既存システムとの連携などの課題があるのは確かです。しかし、選ばれるECとして競合との差別化をするにはDXの波に乗り遅れないのが大切です。SMSはCXを向上させる集客ツールとして導入しやすく、活用できる範囲も広いので、DXのツールとしてぜひご活用ください。