応答率とは、コールセンターのパフォーマンスを測定できるKPIです。コールセンターの応答率を適正値にすると、オペレーターも顧客も満足度が向上します。この記事では応答率の基本と下がる原因、上げる方法をご紹介します。

コールセンターの応答率の意味とは?

コールセンターの応答率とは、コールセンターにかかってきた電話にオペレーターが応答できた割合です。応答率が高いときには電話の取りこぼしが少なく、コールセンターの適正な運営ができていると判断できます。

応答率の低下は顧客との接点を失うだけでなく、顧客が不満を抱える原因になります。応答率が低い状態が続くとクレームの入電が増加して悪循環を生む可能性があるため、業務改善を検討すべき状態と考えられます。

応答率の適正値

応答率の適正値は90%以上です。応答率が100%の場合にはオペレーターが過剰になっている可能性がありますが、90%より低いと顧客満足度が低下する可能性が高くなります。以下のように応答率によってコールセンターの状態を評価できます。

応答率コールセンターの状態
90%以上十分なオペレーターが配置されていて取りこぼしが少なく、コールセンターが良好な状態
80%以上90%未満平均的には良好な電話対応ができていて、ピークタイムで顧客に不満が生じ始める状態
50%以上80%未満オペレーターの人材不足やスキル不足、業務フローの問題などによって取りこぼしやクレームが発生しやすい状態
50%未満顧客の離脱やオペレーターの過労が発生し、コールセンターの体制や業務フローの速やかな改善が求められる状態

例えば、統計局による令和2年国勢調査実施状況の報告によると、世帯用コールセンターの応答率は91.9%でした。着信数が多い日は応答率が下がる傾向があり、80%を下回っている日もあります。オペレーターの稼働率とサービスの品質のバランスを考えると、この程度の応答率が適正値と考えられます。

参照:令和2年国勢調査実施状況(実査編)|総務省
https://www.stat.go.jp/info/kenkyu/jyutaku/kenkyur5/pdf/04betten4.pdf

応答率の計算式と例

応答率はコールセンターへの入電数と、オペレーターが対応できた応答数から計算できます。

応答率(%)=応答数/入電数×100%

例えば、ある日の午前9時から午前10時の1時間に20件の入電があったときに、19件の電話にオペレーターが対応できた場合の応答率は以下のように計算します。

応答率(%)=19件/20件×100%=95%

応答率は時間帯や曜日などによって変わるため、データを準備すれば細かく分析できます。

サービスレベルとの違い

サービスレベル(SL)とは、コールセンターにかかってきた電話にオペレーターが設定時間内に応答できた割合です。サービスレベルは電話の処理時間が加味されている点が応答率と異なります。取りこぼしを減らすには応答率、電話対応のスピードの向上を目指すにはサービスレベルが重要です。

サービスレベル(%)=設定時間内の応答数/入電数×100%

例えば、オペレーターの処理時間として20秒を設定したときに、100件の入電があって70件は20秒未満、25件は20秒以上かけて処理し、4件は取りこぼしたとします。この場合の応答率とサービスレベルは以下のように計算できます。

応答率(%)=(70件+25件)/100件×100%=95%サービスレベル(%)=70件/100件×100%=70%

コールセンターの応答率が下がる一般的な原因

コールセンターの応答率はオペレーターの状態や問い合わせの状況などによって変化します。応答率が下がる主な原因は以下の3つです。

オペレーターの人数・スキルの不足

受電時に対応できるオペレーターが不足していると応答率が下がる原因になります。時間あたりの受電量(呼量)に見合うオペレーター数が確保されていないと取りこぼしが生じるでしょう。

また、オペレーターのスキルによる影響で応答率が低下する場合もあります。ベテランで処理に慣れているオペレーターと比較すると、新人は処理時間が長くなる場合が多いからです。通話の後処理に時間がかかっていることが原因で応答率が低下する場合もあります。

入電数の増加

入電数が多くなると、今までと同じコールセンターの体制では応答率が低下します。新事業の開始や新製品のリリースに伴ってイベントを開催したときや、販促のキャンペーンを実施したときには問い合わせが増えるでしょう。一時的な入電数の増加は事業状況だけでなく、製品やサービスに関連するトラブルの発生によって起こる場合もあります。柔軟に対応できるコールセンター体制を整えていないと、緊急時のトラブル対応も難しくなります。

平均処理時間の延長

平均処理時間(AHT)が長くなると応答率が下がる原因になります。平均処理時間とはオペレーターが1件の受電について対応にかかる平均時間です。1コールの処理にかかる時間が長くなると、コールセンターで処理できる受電数が下がります。

これは、スキル不足や問い合わせ内容の複雑化などによって引き起こされる問題です。マニュアルの整備ができていない、ノウハウの共有が行われていないといった原因で平均処理時間が長くなる場合もあります。

コールセンターの応答率を上げる5つの方法

コールセンターの応答率を上げるには現場の課題に合わせた対応方法を選んで導入することが大切です。コールセンターの応答率が低い原因を究明したうえで、具体策を検討しましょう。ここでは応答率向上に有効な方法を紹介します。

オペレーターの増員・代行

オペレーターの増員は応答率を上げられる直接的な方法です。呼量に対してオペレーターが不足しているときには、新規採用をして対応しましょう。代行を依頼して一時的な増員をする方法もあるので、プロモーション時やトラブル発生時には代行サービスも活用すると良いでしょう。ただ、オペレーターの稼働率が低い場合には、増員よりも教育・研修や業務効率化の施策が重要になります。待機時間や後処理時間を減らす工夫を取り入れることも大切です。

コールセンター体制の再考

コールセンター体制を見直して業務効率を向上させると応答率を上げられます。以下のような施策でコールセンターの状況を改善できます。

  • 業務フローを現状に合わせて再考する
  • マニュアルやトークスクリプトを作成する
  • ナレッジを共有できる仕組みを整える、
  • オペレーター用のFAQを用意する
  • 教育研修を実施する
  • コールセンターの営業時間を延長する

コールセンター体制の改善によって平均処理時間を短縮し、営業時間を長くして対応可能な時間を延長すれば応答率を向上させられます。

IVRの活用

IVRを活用して自動応答をすれば応答率を上げられます。IVRは自動音声ガイダンスで顧客の一次対応をするシステムです。オペレーターが対応する前に顧客の問い合わせ内容を確認し、適切なスキルのあるオペレーターにつなげられます。IVRの設計によっては、オペレーターが対応しなくても顧客が自己解決できることもあります。ビジュアルIVRの導入によって、音声ではなくメニューを表示して対応する方法も有効です。

電話以外の問い合わせチャネルの設置

顧客からの問い合わせの増加に対応するには、電話以外の問い合わせチャネルを導入する方法があります。電話以外の方法で顧客が悩みを解決できれば、受電数を減らすことが可能です。以下のような方法で問い合わせのチャネルを増やせます。

  • FAQ
  • メール
  • SMS
  • 有人チャット
  • チャットボット
  • ボイスボット

FAQを公式サイトに設置するだけでも問い合わせを減らすことが可能です。チャットやSMSなどの他の方法も取り入れるとコールセンターの業務効率を上げられます。

システムの導入

コールセンターに適したシステムの導入は、DXによって応答率を上げられる方法です。統合的なコールセンターシステムをして運用すれば応答率が上がるでしょう。コールセンターシステムには以下のような機能が含まれています。

  • ACD
  • IVR
  • CRM
  • SMS

コールセンターでは個別の課題に合わせて適切なシステムを選定して導入する方法もあります。オペレーターが少なくて対応が難しいときにはIVRだけ導入して、定型的な問い合わせを自動処理すると効率を上げられます。

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KDDI Message Castは応答率の課題解決につながるSMS送信サービスです。コール対応の後処理にかかっている時間が長いことが原因で応答率が低くなっているときに特に効果的です。KDDI Message Castを導入すると、電話による問い合わせのフォローをSMSで簡単におこなえます。電話対応を優先して応答率を向上させ、入電がなくて空き時間ができたときにSMSでフォローする流れにすると効率的なコールセンター運営ができます。

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https://sms.supership.jp/

まとめ

応答率はコールセンターの稼働率やサービス品質を評価し、対応の改善を検討するのに役に立つKPIです。事業状況によってコールセンターの入電数や平均処理時間は変化します。事業状況に合わせて柔軟に対応できるシステムを導入して90%以上の応答率を維持しましょう。

コールセンターシステムの本格導入をする方法は有効ですが、簡単に導入できるSMSによる対策も効果的です。SMSで問い合わせ対応のチャネルを増やしてコールセンターの対応品質の向上を目指しましょう。