業種:医療業界

病院やクリニックでは、医療事務のスタッフによる電話対応が病院の業務を円滑化するうえで重要な業務の一つです。この記事では医療事務の電話対応の基本をまとめました。状況別の電話対応の例文と合わせてご説明します。

医療事務の電話対応の基本的な流れ

医療事務の適切な電話対応の方法は、問い合わせ元や用件などによって違いがあります。基本的に以下の流れに従って、相手の用件を把握してから適切な対応をおこないます。

  • 電話に出て病院名・診療科・部署名などを伝える
  • 電話の用件を聞く
  • 用件の内容を復唱して確認する

・質問への回答、電話の転送、担当者への確認などの対応をする

電話の用件別の例文

医療事務の電話対応は電話の相手と用件によって対応の方法が違います。院外だけでなく院内からの問い合わせもあるので臨機応変に対応することが大切です。ここでは病院でよくある以下の4つのケースについて例文を紹介します。

  • 患者様からの予約や問い合わせ
  • 調剤薬局からの疑義照会
  • 製薬企業のMRからの営業
  • 院内からの問い合わせ

患者様からの予約や問い合わせ

医療事務:○○病院○○科です。

患者様:肌が蕁麻疹みたいに腫れていてかゆいのですが、今日は診察を受けられますか?

医療事務:申し訳ございません。本日は予約がいっぱいです。待合室でお待ちいただければ順次ご案内いたします。 明日でしたら朝9時にご予約をお取りすることもできますが、いかがでしょうか。

患者様:明日の予約をお願いできますか?

医療事務:承知しました。お名前をお願いします。

患者様:○○です。

医療事務:ありがとうございます。○○様ですね。明日○月×日9時にご予約を承りました。明日は健康保険証をお持ちください。お待ちしております。

調剤薬局からの疑義照会

医療事務:○○病院○○科です。

薬剤師:お世話になっております。○○薬局の××です。処方箋の確認をさせていただきたいのですが、○○先生をお願いできますか。

医療事務:申し訳ございません。○○は今、外来対応をしておりますので、折り返し連絡を差し上げたいと思いますがいかがでしょうか。

薬剤師:よろしくお願いいたします。

医療事務:確認の内容について伝言を承ります。

薬剤師:ありがとうございます。疑義照会の内容が複雑ですので直接お話させていただきたいです。

医療事務:承知しました。折り返しのお電話はこちらの電話番号でよろしいでしょうか。

薬剤師:はい。よろしくお願いいたします。

医療事務:承知しました。○○がお電話を承りました。

製薬企業のMRからの営業

医療事務:○○病院○○科です。

MR:いつもお世話になっております。○○製薬の××です。○○先生はご在院でしょうか。

医療事務:お世話になっております。○○は現在回診に出ておりますので、伝言がございましたら承ります。

MR:ありがとうございます。先日弊社からご紹介した新薬について、医薬品情報のご案内をする準備ができましたのでご連絡を差し上げました。来週以降のご都合の良い日にお伺いしてご説明したいと思っております。こちらからメールもお送りしますのでご返信いただきたいとお伝えいただけますか。

医療事務:かしこまりました。新薬の医薬品情報についてのご案内の件について、来週以降の日程の調整をご希望されていると承知しました。メールにてお返事するよう伝えます。

MR: ありがとうございます。失礼いたします。

院内からの問い合わせ

医療事務:○○病院○○課です。

医師:○○科の○○です。○○様のカルテについてお聞きしたいのですが

医療事務:はい。どのような内容でしょうか。

医師:○月×日のCT検査画像が手元になく、カルテに残されているかと思います。早急に必要なのでカルテから抜粋して送っていただけますか。

医療事務:○○様の○月×日のCT検査画像ですね。Eメールでお送りすればよろしいでしょうか。

医師:はい。早急にお願いします。

医療事務:承知しました。すぐにEメールにてお送りいたします。

電話対応時に心掛けたいこと

電話対応をするときには、窓口としての意識を持って対応することが重要です。ビジネス目的で電話をかけてくる顧客もいるので、ビジネスマナーも守る必要があります。ここでは医療事務の電話対応で心掛けたい重要なポイントを解説します。

丁寧で落ち着いた対応をする

病院やクリニックでは丁寧な電話対応がまず重要です。患者様が電話をかけてくる場合が多いことを念頭に置いて、安心感のある落ち着いた態度で電話に応じましょう。体調が悪いとストレスを抱えているので、些細なことに対していら立ちを覚えます。相手のペースに合わせて話をして、ストレスのないスムーズな会話を心掛けることが大切です。はっきりとした声を出して聞き取りやすくするなど、相手が不満を抱かないように意識して電話対応をしましょう。

端的に話をまとめて手短に済ませる

電話対応では手短に済ませることを意識しましょう。医療事務の業務は多岐にわたっています。受付でのクラーク業務や会計対応を含むレセプト業務も並行して対応する必要があります。電話対応に時間を費やし過ぎると他の業務が疎かになるので、端的に話をまとめて通話時間を短くするように心掛けましょう。電話回線数が少ない場合には、通話時間が長いことで他の人からの電話を受けられなくなる可能性もあるので注意した方が良い点です。

電話内容のメモを取る

受電したときには通話の内容をメモしましょう。電話を取り次ぐときには相手の氏名や用件をメモするとスムーズに担当者が対応できます。患者様の名前や医薬品の名称など、医療に直接かかわる電話で内容を間違えてしまうと医療ミスになる可能性もあります。多数の電話が殺到していると内容を覚えるのは困難です。電話に出るときにはメモを用意して、重要なポイントをメモしながら通話するように習慣付けましょう。

医療事務の電話対応に時間がかかる原因

電話対応をスムーズに済ませられれば医療事務の業務負担は小さくなります。ただ、医療事務の電話対応は時間がかかりがちです。医療現場ならではの事情を加味して、電話対応に時間がかかる原因をわかりやすく紹介します。

情報が散逸していてわかりにくい

医療現場では電話対応に必要な情報が散逸していて、すぐに問い合わせに対応できないことがよくあります。患者からの問い合わせがあったときに、詳細な内容がカルテに書かれていれば対応しやすいでしょう。しかし、カルテには記載がなく、看護師の申し送りのメモにのみ書かれている場合もあります。医療現場ではDXが進んでいない傾向にあり、情報が一元管理されていない場合があります。情報を広く探す必要があるのが電話対応に時間がかかる原因です。

担当者への確認が難しい場合がある

電話での問い合わせ内容に関して、担当者に確認したり、電話をつないだりすることが難しい場合が多いのが医療現場の特徴です。主治医に聞いてから正しい回答をしたいと思っても、医師が手術室にいて数時間後まで連絡を取れない場合もあります。診察をしている場合でも長く相手を待たせなければならないでしょう。担当者に確認する必要がある問い合わせでは、担当者と連絡が取れなくて苦労することが多いのが問題点です。

医療事務が電話対応の手間を減らす方法

医療事務の電話対応業務の負担を減らすには対策が必要です。ここでは電話対応の手間を減らす方法を紹介します。

システムを導入して電話対応を効率化する

電話対応はシステムの導入によって効率化できます。医療事務が電話対応にかかる時間を減らすには、情報をデータベース化して整理し、すぐに必要な情報にアクセスできるようにするのが効果的です。カルテや申し送りなどの内容を一元管理すれば、情報が散逸している問題を解決できます。医師への問い合わせをシステム上でおこなえるようにしたり、SMSで担当者に電話の内容を伝えたりすると、電話の対応時間も後処理の時間も短くできます。

定型的な内容は他の方法で対応する

医療事務における定型的な問い合わせ内容に、電話以外の方法で対応するシステムを整えると電話対応の負担を減らせます。予約をWeb予約やLINE予約で受け付けたり、チャットボットを導入して、チャットでの問い合わせに対応するのも効果的です。FAQを用意して、疑問を自己解決できるようにする方法もあります。定型的な内容に一つずつ丁寧に対応していると電話対応が増えるので、電話以外で対応できる仕組みを作りましょう。

病院の電話対応効率化の成功事例

電話対応の効率化の事例を知ると具体策を考えやすくなります。ここでは病院で医療事務の業務を改善した成功事例を紹介します。

課題:業務負担によるミスと残業の発生

信州大学医学部附属病院では電話対応による通常業務が圧迫されることで業務ミスや残業の発生が課題になっていました。同院で課題になったのは主に内部からの電話への対応の多さです。医師や看護師からの問い合わせや、事務担当者経由での問い合わせが多く、連絡手段としてPHSや固定電話を使用している状況がありました。

そこで、医療事務にかかる業務時間の削減を軽減するため、チャットボットを導入して問い合わせ対応の自動化を図りました。AI搭載のチャットボットによって高い回答精度を期待して導入を決めた事例です。

効果:月45時間の電話対応時間の削減に成功

同院でのAIチャットボットの導入は月平均で45時間の問い合わせ対応時間を削減しました。導入以前は一言で答えられる内容でも電話対応を余儀なくされていましたが、源泉徴収票の届く時期などの簡単な疑問はAIチャットボットで自己解決できるようになっています。

メールや掲示板、チラシや使い方動画などを使用して周知を徹底し、アクセスをしやすくしたことも同院が効率化に成功した要因です。「とりあえず電話で問い合わせる」という考え方が変わり、AIチャットボットを通して正しい問い合わせ先を選ぶ風土を醸成することもできています。

参照:AIチャットボットでDX推進!プラナちゃんが月平均45時間の問い合わせ業務を効率化|「チャットディーラーAI」導入事例
https://www.chatdealer.jp/case/shinshu-u

法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」

医療事務の電話対応の業務を軽減する方法としてSMSの活用はおすすめです。SMSを導入すれば電話対応量を減らせます。SMS送信サービスのKDDI Message Castを導入すれば、パソコンから効率的にSMSを送信可能なので業務効率を上げやすいでしょう。

電話での問い合わせのフォローとしてSMSで対応したり、担当者への連絡にSMSを利用したりすると電話の負担を軽減できます。電話がつながらず、何度もかけなければならないといったトラブルも回避できる方法なので、SMSの活用を考えてみてください。

▼KDDI Message Cast(KDDIメッセージキャスト)詳しくはこちら
https://sms.supership.jp/

まとめ

病院やクリニックでの電話対応は医療事務の重要な業務です。クラーク業務やレセプト業務もある中で、丁寧な電話対応をするのは容易ではありません。医療事務の業務負荷を軽減しつつ、電話対応の品質を向上させるための効率化が重要です。システムの導入による対応の自動化や電話対応量の削減は合理的な方法です。SMSは電話のフォローにも、担当者への連絡にも活用できる効率化のツールなので導入を検討してみましょう。