飲食店や病院などで予約の無断キャンセルが発生すると、大きな損失を被ることになります。来店・来院予定の顧客や患者が来ない場合、遅れて来るのかどうかもわからず、対応に困ることもあるでしょう。特に飲食業界では無断キャンセルが頻繁に発生しており、対策が重要です。予約の無断キャンセルは、その原因を踏まえて対応することで、発生率を下げるための対策が可能です。この記事では、無断キャンセルを防ぐための方法をご紹介します。

予約の無断キャンセルとは?

予約の無断キャンセルとは、予約をした顧客が店舗にキャンセルの連絡をせずに来店しなかったために、実質的にキャンセルとなることです。英語圏では「姿を現さなかった」という意味で「No Show」と呼ばれており、日本でもこの表現がしばしば用いられています。

予約をする際には、時間や期間、人数などを決めます。店舗側は来店を想定して準備を行い、予約に対応できるように場所やサービスの提供を確保します。しかし、無断キャンセルが発生すると、コストをかけてサービスを提供する準備をしていたにもかかわらず、サービスの提供による対価を得ることができません。無断キャンセルは、売上の低下やコストの増加による損害を引き起こす行為です。

無断キャンセルの発生状況

無断キャンセルは飲食業界で多い傾向があります。無断キャンセルの発生状況について、経済産業省の「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」では、飲食店の予約のうち0.9%が無断キャンセルされていて、年間で2,000億円に相当する損害を招いています。

しかし、無断キャンセルの対策は活発に実施されていないのが現状です。株式会社TableCheckの「No Showに関する飲食店の意識調査」では、約4割の飲食店が無断キャンセルを経験しているにもかかわらず、73.3%の飲食店が対策を実施していないことが示されています。

参照:No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート|経済産業省
https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12166597/www.meti.go.jp/press/2018/11/20181101002/20181101002-1.pdf

参照:7割の飲食店が無断キャンセル対策を実施せず、全体の4割で無断キャンセルが発生。経済産業省発表「No show対策レポート」は7割の飲食店が「知らない」と回答 | 株式会社TableCheckのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000023564.html

無断キャンセルは違法となる可能性もある

無断キャンセルは店舗に損害を与えた場合には債務不履行や不法行為に該当します(民法第415条及び第709条)。そのため、店舗側はキャンセルポリシーを定めて損害額を計算すれば、顧客に対して損害賠償請求が可能です。

また、無断キャンセルは刑法第233条の業務妨害のうち偽計業務妨害罪に該当する可能性があります。予約によって「来店するはずだ」と店舗に思わせておきながら、店舗を欺いて業務妨害をしたと解釈できるからです。偽計業務妨害罪には3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。店舗に連絡を入れてキャンセルするのはマナーでもありますが、違法行為になる場合があるので無断キャンセルはやめましょう。

参照:民法 | e-Gov 法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

参照:刑法 | e-Gov 法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045#Mp-Pa_2-Ch_35-At_233

予約の無断キャンセルが発生する原因

予約の無断キャンセルはさまざまな原因によって発生します。予約は必ずこのタイミングで利用したいという意図でおこなうとは限らないのが現状です。ここでは予約の無断キャンセルが発生する原因を解説します。

うっかり予約したことを忘れた

予約していたことをうっかり忘れてしまって来店しなかったというケースはしばしばあります。人気のある飲食店などでは、早めに予約しておかないと席が取れない場合があります。予約した時点では訪れたいと思っていたとしても、月日が経って予約をしたこと自体を忘れてしまい、無断キャンセルになったというのがよくあるケースです。

電話だけでなく、予約システムやメールなどのさまざまな方法で予約を簡単に取れる時代になっています。ふと思い立ったときに予約をしたけれども忘れてしまうといったケースが増えています。

複数店を予約してキャンセルをしなかった

店舗比較をしているときによくあるのが、先に予約した店舗のキャンセル忘れです。例えば、グルメサイトで飲食店の検索をしているときに、キャンセル料がないため気になった飲食店を次々に予約する人もいます。予約のキャンセル料がかからないなら予約しても損はないからです。

ただ、「ここが良い」という飲食店が見つかって予約ができたら満足してしまい、今までに予約した店舗を全部キャンセルするのは面倒だと思ってしまう人もいるようです。キャンセル料がかからないのであれば、予約をキャンセルしなくても実害がないから良いと考える人もいます。

意図的にキャンセル連絡をしなかった

深刻なのは意図的に予約をキャンセルしたいと言わない場合です。予約は公式サイトなどから簡単に手続きできたとしても、キャンセル連絡をするには営業時間内に電話をかけたり、メールを送ったりしなければならないこともあります。

また、意図的に予約をキャンセルしないままにしているケースもないわけではありません。嫌がらせ行為の場合もありますが、予約サイトの利用によって獲得できるポイント狙いの場合もあります。悪質行為の可能性もあるので、無断キャンセルの対策は積極的に取り組むことが大切です。

体調不良や事故などでキャンセル連絡ができなかった

予約の無断キャンセルはやむを得ない事情によって起こる可能性もあります。当日に体調不良になって電話もできないような状況になる場合もあるからです。体調が悪くなると予約をしていたとしてもキャンセルの連絡をするのが億劫で放置してしまう場合もあります。

また、交通事故などによって連絡できない状態になることもあり得ます。本人としてはキャンセル連絡をしなければならないという意識があったとしてもできないケースもあるのは確かです。予約時間に合わせて店舗に向かう途中で事故に遭ってしまうとキャンセル連絡をすることは難しいでしょう。

予約の無断キャンセルを予防する方法

予約の無断キャンセルは予防できるため、積極的に取り組むことをおすすめします。何も対策をしないと、泣き寝入りする可能性があります。ここでは、具体的に予約の無断キャンセルを減らす方法をご紹介します。

キャンセルポリシーを明確にして示す

予約の無断キャンセルを減らすにはキャンセルポリシーを定めて明確に示すことが重要です。いつまでにキャンセルすればキャンセル料は無料なのか、何日前になるといくらかかるのかを具体的に定めて、予約のときに合意を得るようにしましょう。

キャンセルポリシーがあれば、無断キャンセルだった際にはキャンセル料を請求できます。予定が変わったときに早めにキャンセルをするように促すことにもつながります。ただし、キャンセルポリシーは利用者が理解していることが重要なので、電話予約のときに説明して合意を得たことを録音したり、インターネット予約のときにキャンセルポリシーに同意したことをチェックしてもらったりする対応も必要です。

予約のリマインドをする

予約の無断キャンセルはリマインドで解決できる場合がよくあります。ずっと前に予約して忘れていたというケースも多いですが、例えば一週間前にメールやSMSなどでリマインドすれば思い出すでしょう。何らかの理由で利用しないと決めた場合には、リマインドによりキャンセル手続きを促せます。また、キャンセルポリシーの説明ページへのリンクも記載すると、予約のキャンセル期日についても改めて確認してくれるでしょう。

予約のリマインドは予約期間に応じて段階的におこなうのがおすすめです。1週間前、前日、当日といった形でリマインドをして忘れられないようにしましょう。少なくとも3日前~前日くらいにリマインドをして予約の確認を取ると無断キャンセルのリスクを減らせます。

関連リンク:予約確認のメリットとは?電話対応の方法も例文付きで解説!
https://sms.supership.jp/blog/kakikata-template/yoyakukakunin_merit_reibun/

関連リンク:リマインド通知とは?ビジネスでの活用例や送り方、注意点について解説
https://sms.supership.jp/blog/mailhaishin/remindmail_sms_katsuyoujirei/

予約時点で支払情報の入力やデポジットを求める

予約時にクレジットカードなどの支払情報の入力を求めることで、無断キャンセルの対策になるだけでなく、もし無断キャンセルが発生した場合でもキャンセルポリシーに従って支払いを求めることができます。ただ予約をするだけでは連絡がつかなくなり、無断キャンセルについての支払請求ができません。有効なクレジットカードの登録を促すことは、効果的な対策です。

また、サービスによってはデポジットを取る方法もあります。予約時に料金の一部を前払いしてもらうデポジット制度を導入することで、無断キャンセルが発生してもデポジット分は売上として確保できます。クレジットカードだけでなく、振込や現金払いなどでも対応可能で、来店時には当日の支払いからデポジット分を差し引いて対応します。

予約管理システムを導入する

予約管理システムを導入すれば、顧客は都合が悪くなったときにキャンセル連絡をしやすくなります。電話でしかキャンセルできない場合には、店舗の営業時間内に電話をする時間を確保できなくて無断キャンセルになる可能性があります。「電話はつながるまで待たされることがあるのであきらめてしまう」「通話料がかかるから電話しない」といった場合もあるでしょう。

予約のキャンセルを簡単にするためには、オンラインで手続きができるシステムを導入することが効果的です。予約とキャンセルを一元管理できるシステムを導入することで、予約状況を統合的に把握できます。また、キャンセルが発生した際に迅速に新規予約に対応できる点もメリットです。

複数のキャンセル方法に対応する

キャンセルしやすいサービスを提供することは無断キャンセルを減らすための基本です。意図的なケースや傷病によるやむを得ないケースを除けば、簡単にキャンセルできる方法があれば対応してくれる可能性が高いからです。ただ、どのような連絡方法が便利かは人によって異なります。複数のキャンセル方法に対応して、キャンセルへの導線をわかりやすくすることが大切です。

例えば、SMSで予約のリマインドを行い、SMSでの返信、電話、URLリンク先からのキャンセル申し込みなど、複数の方法を提供することでキャンセルのハードルを下げることができます。状況によって対応しやすい方法は異なるため、できるだけ幅広いキャンセル方法に対応することが重要です。

法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」

予約の無断キャンセル対策には予約確認やリマインドを送ることが重要です。SMSは開封率が高くて通知設定をしている人が多いので、送信するとすぐに伝わります。予約のリマインドではSMSの活用がおすすめです。KDDI Message CastはSMSの自動送信に対応しているので、顧客の予約状況に応じてSMSで簡単にリマインドできます。予約の無断キャンセル対策としてKDDI Message CastのSMS送信サービスを活用してみましょう。

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まとめ

予約の無断キャンセルは飲食業界で発生しやすいトラブルですが、病院やホテルなどでも発生しています。大きな損失につながる可能性もあるので、キャンセルポリシーを定めて万が一のときにも法的に対応できるようにしておきましょう。予約のリマインドをして、予定が変わったときにも簡単にキャンセル手続きをできるようにするのは顧客にやさしい対策です。SMSなら高い到達率ですぐに届くので、予約のリマインドをSMSで行う体制を整えましょう。