医療DXとは、どのようなものでしょうか。「電子カルテにすること」と端的に捉えている人もいるかもしれません。医療DXとデジタル化の違いや、導入することでのメリットなどについて解説します。また、SMS活用によりコミュニケーションを図る方法についてもご紹介します。

医療におけるDXとは?

医療の現場でも激しい環境変化が起こっています。この変化に対応しながらDXを活用し、診療や治療をしていくことが求められているのです。患者や社会のニーズを組み込みながら、経営モデルの変革にも着手していかなければなりません。

環境の変化に対する対応

新型コロナウイルスによって、世界は一変しました。それは医療の世界にも大きく響き、感染拡大はもとより、医療現場の疲弊をも招きました。もちろん持病のある患者や、高齢者への配慮も難しい状況にあります。

それらを踏まえ、新型コロナウイルス対策や高齢化社会、さらに医療従事者の働き方改革のために、業務はもとよりプロセス、組織、文化、風土に至るまで変革をすることが医療DXとして求められるでしょう。

経営モデルの変革と課題解決

医療のデジタル化と言われて、まず思い浮かべるのは電子カルテでしょう。デジタル化であればそこで終わるかもしれません。しかしDXという観点では、データ分析、AIの活用まで考えられます。素早くデータにアクセスできれば、過去のカルテ記録を遡っての治療も容易になります。また、他の医療従事者にもすぐに情報共有ができるでしょう。

電子カルテに入力することは、慣れるまで時間がかかるなどの問題点を感じることもあるかもしれません。しかし現場の運用効率など全体を見渡すことで、大きな課題解決にもつながるでしょう。

医療のDX実現によるメリットとは

医療DXは医療における多様な課題の解決につながります。医療DXによる代表的なメリットは以下の4つです。

  • 業務効率化ができる
  • 人的ミスや不要な検査を防ぐことができる
  • 個人の健康増進が期待できる
  • 医療産業・ヘルスケア産業の振興につながる

ここでは4つのメリットについて詳しく解説します。

業務効率化ができる

医療DXによって一貫性のあるスキームを構築すると業務効率化ができます。データのデジタル化によって情報共有を円滑化したり、システムの導入によってデータ入力の負担を軽減したりすることが可能です。医療事務では診療報酬の請求業務を自動化したり、診療報酬改定への対応の負担を軽減したりすることもできます。MRIやCTなどによる画像解析にデジタル技術を取り入れれば分析の精度や診断の効率を向上させられます。

人的ミスや不要な検査を防ぐことができる

医療DXは医療ミスの削減と患者の医療負担の軽減につながります。システムを導入してデータの入力や転記などの業務を自動化すると、人的ミスによる医療ミスを減らせます。診療報酬請求における情報入力のミスも減らすことが可能です。他院への紹介状を作成するときにも正確な情報を確実に記載できます。情報共有を通して専門医からのコメントを得ることも可能なので、不要な検査や投薬をせずに診断や治療を進められる可能性もあります。

個人の健康増進が期待できる

医療DXに取り組むことで患者個人による自己ケアを正しく進められるようになります。患者が自分の検査結果や診断結果について正しく理解できるからです。診療結果がデータとして医療機関の間で共有されるようになれば、どの医療機関で受けた診療も一元的に管理できます。医療DXが全般的に進んでデータ共有が可能になると、患者は自分の健康状況について詳しい情報をまとめて手に入れ、セルフケアに取り組みやすくなります。

医療産業・ヘルスケア産業の振興につながる

医療の発展には医療産業・ヘルスケア産業による医療技術や医薬品などの開発が必要です。医療DXによって医療現場のデータが共有されることにより、創薬研究や医療機器開発などを円滑に進められます。医師主導治験などもおこないやすくなり、保険診療の幅を広げられるでしょう。近年では世界的に医療・ヘルスケアのベンチャー企業が新しい技術を生み出しています。医療DXに貢献することで産業振興を促し、医療全般の品質改善をすることが可能です。

日本での医療DXの現状と課題

日本における医療DXは課題を抱えていて進みにくい状況があります。ただ、医療におけるIT化の必要性が高まった影響で状況が改善しつつあるのも確かです。ここでは以下の4つの観点から医療DXの現状と課題を紹介します。

  • 高齢化に伴う人材不足
  • 電子カルテの導入
  • 医療データ形式の標準化が必要
  • オンライン常時接続が進んでいない

高齢化に伴う人材不足

日本では少子高齢化によって医療に携わる人材の不足が課題になっています。医療DXを実現するには優秀なDX人材の採用が必要です。しかし、保険診療をしている医療機関では診療報酬による収入が基本になるため、DX人材を確保しづらい状況があります。高齢化によって医療の業務負担が大きくなり、ひっ迫している現場が多くなっているのも課題です。医療DXのための人材を確保するよりも、医療人材の確保が切実な課題になっています。

電子カルテの導入

日本では電子カルテの導入が進められていて、デジタル化による医療DXを進めやすい環境が整いつつあります。紙媒体だったカルテをデジタル化するだけでなく、医療機関の間で共有できるようにシステムを整える取り組みが進められています。ただ、電子カルテシステムの導入と運用にはコストがかかるのが問題です。大病院であればコストをまかなえることが多いですが、個人経営のクリニックでは導入が難しい状況があります。

医療データ形式の標準化が必要

医療DXを統一的におこなえるようにするには医療データ形式を標準化することが必要です。各医療機関のデジタルデータを規格化すれば、医療データを統合して管理できます。海外で注目されている「HL7 FHIR」(医療データのやりとりにおける次世代の標準規格)による規格整備はおこなわれていますが、現場への導入は進んでいないのが現状です。医療DXではデータを統一化して共有することが必要になります。理想的には世界的にデータを共有して活用する必要がありますが、まだ実現にはほど遠い状況があります。

オンライン常時接続が進んでいない

医療DXはオンラインでのデータ共有が重要です。医療情報システムに記録されているデータのリアルタイム共有には常時接続が必要になります。ただ、オンライン常時接続に対応している医療機関は多いわけではありません。インターネットを介して個人情報や医療情報が漏えいするリスクがあるため、医療情報をオンライン接続していない場合もあります。高度なセキュリティを整えてオンライン常時接続を当然とするインフラの構築が必要です。

医療業界でDXが進みにくい理由

医療DXが進みにくいのはDX人材の確保が難しく、ITインフラとしてもDXを推進しにくい状況があるからです。また、医療業界ではDXの必要性を認識していない現場が多いことも課題です。医療機関では市場競争が大きくないため、運営可能な状態を保てば良いという考え方を優先する傾向があります。医療DXを通して競争力のある施設になる必要性が低いため、経営が成り立っている限りは現状維持を考えてしまうのがDXが進みにくい理由です。

DX導入のための課題、メリットや導入しないことによるデメリット・リスクなどを徹底解説 – SMS送信サービス「KDDIメッセージキャスト」

医療のDXのトレンド傾向

新型コロナウイルスの影響もあり、遠隔診療が医療DXのトレンドとして挙げられます。院内感染のリスクがなく、診察を受ける側も受け入れる側の病院も安心して行えるためです。

また、高齢者になると病院に通うこと自体が大きな負担になることもあります。地方に住んでいる人が都心部の病院の診察をすぐに受けることもでき、地域格差の解消にも繋がることが期待できます。

オンラインに繋ぐための作業は発生しますが、患者への物理的なケアも減るため、スタッフの業務負担の軽減にも繋がります。

医療現場でDXを推進する方法

医療現場でDXを進めるためには、基盤が整備されていることは重要です。これまでオフラインで行っていたことをオンラインに移行させるには、システムやツールの導入だけでなく、それらを扱うスタッフの教育も必要となるでしょう。電子カルテの入力を補助するだけでなく、院内の業務連絡やカンファレンスも行えるスマートデバイスの導入や、音声入力の活用なども有効です。

慣れない作業で一時的に負担になることもあるかもしれません。しかし導入が進み活用できるようになれば、大きなメリットがあります。

DX戦略とは?立て方や推進プロセス、成功のポイントもご紹介 – SMS送信サービス「KDDIメッセージキャスト」

DXソリューションとは 成功事例や導入方法、選定のポイントなどを徹底解説 – SMS送信サービス「KDDIメッセージキャスト」 – SMS送信サービス「KDDIメッセージキャスト」

医療現場でのSMSの活用事例

医療現場では、SMSを活用することで、患者とのコミュニケーションを取ることもできます。診察の予約をしていたにも関わらず、うっかり忘れてしまうこともあるでしょう。診療予約されている日の前日に、SMSで一斉送信機能を使って、明日が予約された診療日であることを伝えることもできます。

また定期検診は3ヶ月ごとなど期間が空くため、予約を忘れてしまうことも多くあります。検診が間近になっていることをSMS配信し、予約をスムーズに行えるようにすることもできるでしょう。SMSは到達率や開封率が高く、メールでは見逃してしまうことがある案内も伝えやすくなっています。本文内に電話番号を記載しておけば、すぐに電話をかけることもできます。また、予約サイトのURLを添付しておくことで、予約に繋げることもできるでしょう。

関連リンク:SMS(ショートメッセージ)送信サービスの医療業界での活用ケース – SMS送信サービス「KDDIメッセージキャスト」

法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」

KDDI Message Castは法人向けのSMS送信サービスです。初期費用、月額費用はかからず、SMS送信通数に応じた従量課金制なので、導入しやすいでしょう。迷惑メールが多く飛び交っているため、最近ではメールを使わない、使っていてもあまり確認しないという人も増えています。しかしSMSは電話番号に紐づけされているメッセージアプリのため、開封率も高く注目されています。

一般的なSMSは短文しか送れないため、魅力を感じないかもしれませんが、KDDI Message Castは660文字までの長文の送信が可能で、画像や動画に対応した「+メッセージ(プラスメッセージ)」も送ることができます。

医療DXを導入する際に、SMS送信サービス「KDDI Message Cast」も検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

医療DXについてご紹介しました。

現状では「電子カルテになれば便利だろう」とデジタル化で満足していることもあるかもしれません。ぜひ一歩進めて、ビッグデータの活用や精度の高い画像診断、新薬の開発にまでつながることを理解しておきましょう。その時に便利という枠を飛び越えて、長期的な業務の効率化を目指しましょう。不要な検査、投薬、医療過誤も防止することができます。

導入のためには課題を理解し、基盤を整えていく必要があります。海外ではオンライン診療も一般化されてきています。新型コロナウイルスの影響もあり、オンライン診療が進めば院内感染リスクを不安に思う必要もありません。また医療の地域格差の解消にも繋がるでしょう。