案内文・案内状の書き出し(時候の挨拶)の例文を季節ごとにご紹介!
時候の挨拶とは手紙の拝啓に続く書き出し文です。案内文や案内状のはじめに季節に適した時候の挨拶を書くことによって、受け手は季節を感じられるほか、送り主からの心遣いに喜ばしい気持ちになります。時候の挨拶は四季があり、それぞれの季節がもつ風情を楽しむ日本ならではの慣習といえるでしょう。そこで、本記事では案内文・案内状の基本について説明した上で、各月に使うことのできる時候の挨拶や季語を紹介していきます。
目次
案内文・案内状とは?
案内文・案内状とは会議や催し物の開催についての通知や、相手を招待するために送る書状のことをいいます。案内文・案内状では会議や催しを開催することを記述した上で、開催の目的や主催者の名前に加えて、場所、日時、費用などを通知します。
案内文・案内状の文末には参加・不参加を尋ねる文章や申し込み方法が記されていることが一般的です。加えて、案内文・案内状の記載内容について質問があった際の問い合わせ先や、開催日当日の緊急連絡先なども明記されています。
案内文・案内状の正しい書き方
案内文・案内状を作成する際はある程度のマナーに則って執筆することが求められます。
以下、案内文・案内状の正しい書き方について解説します。
案内文・案内状はどのような構成になっている?
ビジネスやフォーマルなシーンで送る案内文・案内状には、ある程度定まった構成があります。
まずは、案内文・案内状の構成について説明します。
①前付け
②表題
③前文
④主文
⑤末文
以下、各項目に記されている内容について詳しく説明します。
前付け
前付けには文書番号、発行年月日、宛名、署名、タイトルなどを記します。送り先にあわせて差出人の情報についても明記します。
宛先
宛先は「○○会社 ○○様」といったように個人に宛てる場合と、「社員各位」「〇〇課各位」「お客様各位」「関係者各位」などのように複数に宛てた書き方があります。
文書番号、発行日
ビジネス文書に文章番号を記載することが求められる場合もありますが、会社や本文の内容によっては省いてもよい場合があります。
発行日にはその文章を作成した年月日を明記します。案内文・案内状では、年は和暦で書くことが一般的です。
差出人名
差し出す側の名前、及び所属先(会社名など)を書きます。
表題
何についての文章なのか明記します。表題は「第〇回〇〇課送別会のお知らせ」「令和〇年〇〇会議開催のお知らせ」「令和〇年創立記念式典」といったように、本文の内容が一目で分かるようにしましょう。
前文
前文は表題下に書き記す「拝啓」からはじまる挨拶です。前文には季語、日頃の感謝、相手のご清祥に対する喜びなどを綴ります。
ただし、前文が必要なのは社外文章に限ります。社内文書の場合は前文の全てを省略します。
頭語
頭語は手紙の冒頭に書き記す挨拶で、結語とあわせて使います。
頭語には「拝啓」「拝呈」「啓上」などがあります。
時候の挨拶
季節感をあらわす単語を用いた文を頭語から一字おいて書きはじめます。
安否を尋ねる挨拶
相手の健康や、状況などを気遣う文章を綴ります。相手への安否を尋ねる挨拶の後、自分の安否について簡潔に記します。
企業の場合は「ご清栄」「ご繁栄」といった言葉を用い、安定的な経営を祝すことが一般的です。一方、個人の場合は、相手の健康や活躍を祝します。
感謝・お礼の挨拶
相手に日頃お世話になっていることへの感謝を述べます。
主文
主文は起語ではじめます。案内文・案内状の本題です。
起語
起語とは主文の冒頭に置く言葉で、本文に入るための前置きです。起語を記すことで、読み手は「この後の文章から本文に入る」と気づくことができます。
起語には「さて」や「ところで」、「つきましては」などがあります。全体の流れを考慮して、適切な言葉を選択しましょう。
本文
本文は相手に内容がきちんと伝わるように、簡潔に書くよう心がけましょう。分かりやすい文章を書くには、改行位置、敬語の使い方に注意を払い、書き終わったら誤字・脱字をチェックします。伝わる文章であるか客観的に判断することが重要です。
末文
末文では相手の状況へ配慮を示しながら、参加をお願いしたい旨などを記します。あわせて、参加の可否などの返信が必要な場合は、末文に返信の期日を明記します。
社内向けのビジネス文章では末文を省いても構いません。
結びの挨拶
案内文・案内状における要件をまとめ、挨拶文で締めます。
結語
頭語とあわせて使用します。
結語には「敬具」や「敬白」、「拝具」などがあります。
別記
別記は「記」ではじめ、「記」以下に要件の詳細をまとめます。
要件の詳細
会議や催し物の開催場所、開催時間、連絡先などを箇条書きで記します。
案内文・案内状の時候の挨拶(書き出し)と結びの例文
四季を大切にする日本ならではの相手への心遣いとして、案内文・案内状には時候の挨拶を記すことが一般的です。
以下、各月の時候の挨拶で使える季語、書き出し、結びを紹介します。
1月の時候の挨拶(書き出し)と結びの例文
季語
新春、初春、寒冷、厳冬、うぐいす、さぎ、春の七草、松竹梅、富士山、雪
書き出し
新春の候、貴社ますますご健勝の由、お慶び申し上げます。
小寒の候、貴社にはご清栄のことと、お喜び申し上げます。
皆様お元気で新年をお迎えのことと存じます。
お正月気分の抜けない日々が続きますがいかがお過ごしでしょうか。
寒中ではございますが、時折うららかな日がございます。
結び
本年度も変わらぬお付き合いのほどをお願い申し上げます。
今年もご健勝の年でありますようお祈り申し上げます。
寒さ厳しき日々が続きますが、くれぐれもご自愛ください。
春を待ちわびつつ、皆様のご多幸をお祈りしております。
2月の時候の挨拶(書き出し)と結びの例文
季語
立春、厳寒、余寒、春寒、寒風、鶯、雲雀、梅、蕗の薹、せり、麦踏み、豆まき、梅見
書き出し
立春のみぎり、貴社におかれましては大慶に存じ上げます。
晩冬の候、貴社におかれましてはいよいよご隆盛の由、大慶の至りと存じます。
梅花の候、〇〇様におかれましては益々健勝のこととお慶び申し上げます。
厳寒なお厳しき頃、貴社におかれましては、益々ご繁栄のこととお慶び申し上げます。
春寒の候、貴社におかれましては、益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
結び
桜の開花を待ちながら、お健やかな日々をお過ごしください。
末筆ながら、〇〇様のますますのご発展を祈念しております。
貴社の一層のご繁栄を心よりお祈りいたします。
残寒のみぎり、〇〇様のご健康をお祈りいたしております。
梅花の候、貴社のご発展を衷心より祈念しております。
春の兆しが見えてきましたが、油断されませんようご自愛ください。
3月の時候の挨拶(書き出し)と結びの例文
季語
弥生、春暖、春の雪、桃の節句、雛祭、春の雪、春めく、桜、スミレ、フリージア、木の芽
書き出し
早春のみぎり、貴社におかれましては益々ご隆昌のこととお慶び申し上げます。
春分の候、貴社におかれましては、いよいよご隆盛の由、大慶の至りと存じます。
軽暖の候、貴社におかれましては、益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
浅春のみぎり、〇〇様におかれましてはいよいよご壮健の由、大慶に存じ上げます。
春陽の候、〇〇様におかれましては益々健勝のこととお慶び申し上げます。
結び
貴社ますますのご多幸をお祈り申し上げます。
新年度を迎えご多忙かと存じますが、お体ご自愛下さい。
末筆ながら、貴社の一層のご繁栄を心より申し上げます。
春暖を感じられる時期となりましたが、お風邪にはお気をつけてお過ごしください。
4月の時候の挨拶(書き出し)と結びの例文
季語
春風、葉桜、陽春、若葉、桜、桜花、タンポポ、陽炎、花曇り、春風駘蕩
書き出し
貴社益々のご清栄のこととお慶び申し上げます。
陽春のみぎり、〇〇様のますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
桜の花は咲き誇っております。〇〇様いかがお過ごしでしょうか。
花の盛りもいつしか過ぎて、葉桜の季節を迎えました。
温暖の候、貴社ますますのご繁栄をお喜び申し上げます。
結び
花冷えの季節、ご自愛くださいませ。
桜が咲き誇る季節、ますますのご健勝を心よりお祈りいたします。
おだやかな季節、健やかなる日々をお過ごしください。
天候不順の時節柄、お体を大切になさってください。
末筆ではございますが、貴社益々のご繁栄をお祈り申し上げご挨拶申し上げます。
5月の時候の挨拶(書き出し)と結びの例文
季語
惜春、暮春、余花、卯月、牡丹、新緑、五月晴れ、薫風、軽夏、若葉、立夏
書き出し
新緑が目にしみる季節になりました。
青葉若葉のさわやかな季節、ますますのご健勝を心よりお祈りいたします。
風薫る五月となりました。〇〇様のますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
初夏の風が心地よく頬をなでてゆく季節となりました。貴社におかれましては益々ご隆昌のこととお慶び申し上げます。
結び
五月晴れの中、貴社益々のご繁栄をお祈り申し上げご挨拶申し上げます。
大空を泳ぐ鯉幟に負けないよう、ますますのご健勝を心よりお祈りいたします。
梅雨のはじまりも感じられるこのごろでございますが、お体に十分お気をつけください。
6月の時候の挨拶(書き出し)と結びの例文
季語
初夏、梅雨寒、紫陽花、あやめ、アマリス、青梅、燕、ホトトギス、あめんぼう、蛙
書き出し
梅雨寒のこのごろ、〇〇様はいかがお過ごしでしょうか。
紫陽花が美しく咲き誇る季節、貴社のご健勝を心より喜び申し上げます。
太陽の日差しが眩しいこのごろでございますが、貴社におかれましては益々ご隆昌のこととお慶び申し上げます。
学生さんたちの夏服が向暑の季節を告げています。貴社におかれましてはますますのご発展を祈念しております。
結び
じめじめとした梅雨の時期ですが、気持ちだけはさわやかにお過ごしください。
梅雨寒の時節柄、風邪をお召しにならぬよう、ご自愛ください。
梅雨寒の中ではございますが、貴社におかれますますますのご健勝を心よりお祈りいたします。
7月の時候の挨拶(書き出し)と結びの例文
季語
盛夏、大暑、猛暑、 七夕、文月、七日盆、海開き、朝顔、月見草
書き出し
梅雨もようやく明けましたが、いかがお過ごしでしょうか。
梅雨明けの暑さひとしおでございますが、貴社におかれましては益々ご隆昌のこととお慶び申し上げます。
小暑を過ぎ、いよいよ夏本番といったところですが、〇〇様のますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
結び
暑さ厳しき折、みなさまのご健康をお祈り申し上げます。
暑熱耐えがたきこの頃ですが、貴社におかれますますますのご健勝を心よりお祈りいたします。
猛暑はまだまだ続きますが、ご多幸をお祈り申し上げます。
8月の時候の挨拶(書き出し)と結びの例文
季語
納涼、立秋、残暑、処暑、晩夏、残炎、花火、里帰り、盆踊り、ひぐらし
書き出し
立秋とは名ばかりの暑い日が続いていますが、貴社のますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
残暑の続く毎日ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
貴殿におかれましてはいよいよご健勝の趣、お喜び申し上げます。
処暑の候、貴社ますますのご繁栄をお喜び申し上げます。
残暑の候、貴社にはますますご隆盛の段、慶賀の至りに存じます。
結び
暑熱耐えがたきこの頃でございますが、貴社のご多幸をお祈り申し上げます。
暑さ厳しき折、〇〇様のご健康をお祈り申し上げます。
残暑はまだまだ続くと思われますが、元気に夏をお過ごし下さい。
9月の時候の挨拶(書き出し)と結びの例文
季語
新秋、初秋、秋冷、仲秋、すすき、コスモス、秋草、露草、キンモクセイ
書き出し
キンモクセイの香りが華やぐ季節となりました。貴社ますますご健勝の由、お慶び申し上げます。
九月になってもまだ残暑が続いておりますが、〇〇様はいかがお過ごしでしょうか。
萩の花が風に揺れるこの頃、貴社ますますのご繁栄をお喜び申し上げます。
新秋の候、貴社ますますご繁栄のお喜び申し上げます。
結び
まだ残暑は続きそうですが、みなさまどうかご自愛ください。
この秋の豊かな実りをお祈り申し上げます。
秋の兆しを感じる中、貴社のご多幸をお祈り申し上げます。
夏バテは秋に出るとも申しますので、みなさまご自愛ください。
10月の時候の挨拶(書き出し)と結びの例文
季語
寒露、秋雨、秋涼、秋晴、夜長、秋麗、初霜、紅葉、月見、月、すすき
書き出し
秋涼の候、貴社ますますのご繁栄をお喜び申し上げます。
秋雨の候、貴社ますますご清祥のお喜び申し上げます。
紅葉の季節となりました。貴社ますますご健勝の由、お慶び申し上げます。
秋たけなわの候、貴社ますますのご繁栄をお喜び申し上げます。
実りの秋となりました。貴社のますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
結び
秋冷の加わる日々ですが、みなさまご自愛ください。
〇〇様とそのうち名月で一杯、ご一緒したいものです。
草木が色づく季節、貴社益々のご繁栄をお祈り申し上げご挨拶申し上げます。
寒さを感じる季節となりましたが、貴社のご多幸をお祈り申し上げます。
11月の時候の挨拶(書き出し)と結びの例文
季語
晩秋、深秋、落葉、霜寒、初時雨、十夜、さざんか、冬日和、鷲、隼
書き出し
紅葉の季節を迎えました。貴社のご多幸をお祈り申し上げます。
落ち葉が風に舞う季節となりました。〇〇様のますますご健勝の由、お慶び申し上げます。
日毎に寒さが加わりましたが、貴社のご発展をお喜び申し上げます。
晩秋の候、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。
さざんかが華やぐ季節、貴社におかれましては益々ご隆昌のこととお慶び申し上げます。
結び
向寒の折柄、お体ご自愛ください。
寒さに向かう季節、〇〇様のますますご健勝の由をお祈り申し上げます。
初冬の候、貴社益々のご繁栄をお祈り申し上げご挨拶申し上げます。
冬の兆しを感じられますが、みなさまご自愛ください。
12月の時候の挨拶(書き出し)と結びの例文
季語
師走、初冬、木枯、寒冷、新雪、歳晩、年忘れ、霜夜、霜枯、冬至
書き出し
寒冷のみぎり、お変わりなくお過ごしかと存じます。
今年も残すところあとわずかとなり、慌ただしさを感じるこの頃です。
厳しい寒さが続く日々です。〇〇様のますますご健勝の由、お慶び申し上げます。
新雪の季節、貴社におかれましては益々ご隆昌のこととお慶び申し上げます。
木枯らしの季節となりました。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
結び
年末年始の慌ただしい時期でございますが、お風邪にはお気をつけください。
新雪の季節、貴社益々のご繁栄をお祈り申し上げご挨拶申し上げます。
忙しい年末ですが、お体に気をつけてお過ごしください。
来年も貴社のますますご健勝の由をお祈り申し上げます。
なぜ案内文・案内状は時候の挨拶で書き出す?
時候の挨拶が記された案内文・案内状を受け取ったことのある人は多いでしょう。また、案内文・案内状に時候の挨拶を書くことは、ビジネスマナーとして捉える人も少なくありません。
現代において案内文・案内状に時候の挨拶を添えることは一般的ですが、なぜこのような慣習が普及したのでしょうか。一節によると、平安時代の貴族文化が関係しているといわれています。平安時代には貴族が和歌を贈る時にその季節や、和歌に合う草木を添えることが作法とされていました。この礼法が現代における案内文・案内状の時候の挨拶に関係していると考えられています。
もちろん、案内文・案内状に時候の挨拶を添えなければならないという明確なルールはありません。しかし、四季を感じ取り、相手への気遣いを大切にする日本人の価値観や民族性に時候の挨拶は合致していると考えられます。
SMSで案内文・案内状を送る場合は?
SMSで案内文・案内状を送ることもできます。しかし、フォーマルな催しや会議の場合は、書面ではなく、SMSで送ってもよいか事前確認を行うことをおすすめします。
SMSで案内文・案内状を送る際は、書面で送る以上に内容を簡潔にし、分かりやすく書き記すことが求められます。また、携帯やスマートフォンの画面で見た際の見栄えやデザインにも注意する必要があります。
法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」
法人向けSMS送信サービスには「KDDI Message Cast」がおすすめです。到達率は98%、開封率は80%と高く、重要な案内文・案内状を送る際にも安心です。また、一通につき660文字まで送れるほか、写真や動画の添付も可能ですので、分かりやすい案内文・案内状を送ることができます。
料金形態はシンプルで、使用量に応じた金額になります。初期費用、月額使用料などは不要。利用しなかった月について料金は発生しません。また、サポートは24時間365日対応していますので、困ったことがあればすぐに問い合わせできます。
まとめ
四季折々を楽しむ日本では、案内文・案内状に時候の挨拶を記すことがマナーという見方もあります。時候の挨拶ではその月を表す季語とともに、相手に対する気遣いの言葉を添えます。
案内文・案内状は書面で送る方法がメジャーではありますが、企業における各種業務のオンライン化が普及している今日、SMSで送る方法もおすすめできます。SMSであれば、送信後すぐに相手に確認してもらえるばかりでなく、返信のしやすさから高い返信率も期待できます。
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