業種:医療業界

病院やクリニックなどの医療機関には、窓口での受付や予約の対応などの医療以外のさまざまな業務があります。専門業務以外の負担が大きいのが課題になっている医療機関で業務効率化を実現するには、チャットボットの導入が有効な方法です。チャットボットは医療機関でどのように活用できるのでしょうか。この記事では医療現場の業務の改善や負担の軽減にチャットボットを活用する方法と、導入時に考慮すると良いポイントをご紹介します。

病院におけるチャットボット活用方法とは?

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病院ではチャットボットの活用によって、医療従事者の業務負担の軽減や患者およびその家族の満足度の向上を実現できます。医師や看護師が患者や家族と直接話をして対応していた内容を、チャットボットに任せることができる場合があります。

チャットボットは24時間いつでも対応できるため、夜間や休日など医療従事者が少ないときに患者が問い合わせをしたい場合にも役立ちます。また、受付や診察の待ち時間の緩和にも活用できるツールです。

病院にチャットボットを導入するメリット

病院ではチャットボットを活用すると、ルーティンにして対応できる業務を自動化できます。ここでは病院でよくある業務・作業を取り上げて、チャットボットの導入によるメリットを紹介します。

来院受付を自動化できる

病院の受付は一人一人に丁寧に対応しなければならないので時間がかかっています。チャットボットを導入すれば、来院した患者がチャットボットとの対話を通して受付を済ませることが可能です。チャットボットの設置によって受付を担当する看護師や医療事務のスタッフの負担を軽減できるだけでなく、患者の待ち時間も減らせるのがメリットです。

再診の場合にはカルテがあって病院側が患者の状況をわかっているので、患者側に特別な不安や体調の変化がないときには簡易的な受付で済みます。初診や患者に不安があるときには窓口に誘導するといった導線を作ると患者の満足度の高い対応ができます。

問診票の記入を促せる

病院の初診受付では患者に問診票を記入してもらうのが一般的で、再診でも前回の来診から期間が空いているときには記入を求める場合があります。健康診断や人間ドックをする人にも問診票を書いてもらう必要があるでしょう。

チャットボットで受付をした際に、PCやスマホ、タブレット上で問診票を記入してもらえるとスムーズです。画面に表示して入力してもらう、QRコードを表示してスマホで記入してもらう、SMSやメールでURLを送付して問診票を書いてもらうといった方法があります。

予約・キャンセルの対応・管理ができる

チャットボットは受診予約や予約の変更、キャンセルなどの対応や管理ができるのがメリットです。オンラインのチャットボットなら患者がいつでも自由に予約を取れます。病院の診療時間に予約の問い合わせをするのが難しい患者でも予約しやすいので来院する患者を増やせます。電話予約を医療従事者が対応する負担も減らせる活用方法です。

病院内に端末を用意すれば、次回の来院予約をチャットボットで取ってもらうことが可能です。受付や会計の業務負担を減らせるだけでなく、患者も落ち着いて自分のスケジュールを確認してから予約できるメリットがあります。

患者の相談窓口の役割を果たす

チャットボットは患者が気軽に質問できる相談窓口になります。病院のホームページに窓口を設けておけば、悩みを持った患者が自宅などから気軽に利用できます。病院に端末を設置したり、QRコードを用意してスマホで簡単にチャットボットにアクセスできるようにしたりすると、来院中に悩みや問題があったときにも簡易的な対応が可能です。

症状が気になっている患者がすぐに来院すべきか迷うことはよくあります。チャットボットならいつでも気軽に聞けるので、迅速な治療が本当に必要なときにも来院を促すことが可能です。医療の質を向上させることにもつながる有用なツールです。

医療従事者向けのツールとして活用できる

チャットボットは医療従事者の業務にも有効活用できます。病院では医療システムを導入して患者のデータを管理するのが一般的になってきました。

カルテや処方箋などの情報が患者ごとに記載されていて参照できるのはメリットですが、データ量が多いと必要情報を手に入れるのに手間がかかります。「薬歴的にこの薬を処方して問題ないか」「この治療をして問題がないか」といった疑問を解決するには過去のカルテや処方箋を遡って確認しなければなりません。チャットボットを活用すれば、医師や薬剤師がテキスト入力をするだけで必要な情報を膨大なデータから抽出して取得できます。

病院にチャットボットを導入する際のポイントとは?

病院にチャットボットを導入するときには、利用者が使いたいと思うことが重要です。積極的に使用してもらえなければ導入効果が半減してしまいます。ここでは病院でチャットボットを活用するために重要なポイントを紹介します。

自院がチャットボットと相性が良いかを確認する

病院やクリニックでチャットボットを導入するときには、来院患者や医療従事者との相性を考えることが重要です。チャットボットはパソコンやスマートフォンで使用してもらったり、病院の端末で操作してもらったりする必要があります。高齢者の患者は使い慣れていないこともあるため、チャットボットを導入しても利用が進まない可能性があります。医療従事者もアナログに慣れている人ばかりの場合には利用の促進が難しいことがあるので、別の方法を検討することも重要です。

利用者にやさしいチャットボットを導入する

チャットボットは利用者の視点で使いやすい仕様にすることが重要です。病院の利用者は多岐にわたっているので、必ずしもITに強いわけではありません。直感的に操作できるチャットボットにして、快適に使ってもらえるようにすることが重要です。チャットボットシステムを導入するときには、事前にトライアルをして使いやすさをチェックしましょう。用途に応じて患者や医療従事者に実際に使ってもらうと利用を促しやすいかどうかがわかります。

利用者の視点でFAQを作成する

チャットボットは質問に対する回答をプログラムして運用します。FAQがきちんと整えられていれば快適に使えるシステムになります。利用者がどのような質問をするかを考えて、利用者視点でFAQを作成するのが重要なポイントです。チャットボットのFAQは運用しながら改善することも必要です。チャットボットの運用を始めたら、質問と回答の組み合わせごとに利用者の満足度アンケートを実施して改善点を洗い出すようにしましょう。

セキュリティ対策を徹底する

病院でチャットボットを導入するときには、個人の繊細な内容の入力を求めることになります。情報漏えいなどのトラブルが発生しないように、セキュリティ対策が整っているチャットボットシステムを導入することが大切です。診察カードの番号や患者番号などを紐付けたり、SMSで本人認証をしたりするとセキュリティを高められます。ユーザビリティとの兼ね合いも考慮して、利用者が快適に使えるチャットボットシステムを導入することが重要です。

病院や医療機関でのSMSの有効活用事例5選

病院や医療機関ではチャットボットだけでなくSMSも有効なツールです。SMSなら患者への対応の品質を上げながら業務効率も上げられます。ここでは具体的な活用事例を挙げて、病院や医療におけるSMSのメリットを解説します。

地方独立行政法人 大阪市民病院機構 大阪市立総合医療センター

地方独立行政法人 大阪市民病院機構 大阪市立総合医療センターでは、公費書類や診断書の完成を“2~3週間後”と口頭で伝えており、完成したかどうかの電話による問い合わせが1日に50件以上もあり対応が追い付かないのが課題でした。同院ではSMSで連絡する方法に切り替えることで1日の通話時間を130分削減することに成功しました。また、診断書の完成から1週間以内の交付率が5.4%向上し、業務改善にもつながっています。

参照:
地方独立行政法人 大阪市民病院機構 大阪市立総合医療センター
「診断書や公費書類の完成連絡」をSMSで実施することで電話時間130分/日削減、電話代12万円(4カ月)削減、完成後1週間以内の交付率を5.4%改善
https://sms.supership.jp/case/post-2809/

一般社団法人中部地区医師会 検診センター

一般社団法人中部地区医師会 検診センターでは人間ドックの当日キャンセルを減らす目的として、予約の前日に来院予定の人全員(70人)に電話をかけていました。業務負担が大きいことに加え、電話をしているにもかかわらず当日キャンセル率が6~13%もあるのが課題でした。同院ではSMSで予約のリマインドを送るようにしたことで、1日10分の作業でリマインドをおこなえるようになりました。当日キャンセル率も2~4%に下げることに成功しています。

参照:
一般社団法人中部地区医師会 検診センター
人間ドックの予約リマインドをSMSで実施し、当日キャンセル率が最大11%改善、最大120万円の売上減を阻止。また再予約の工数を最大200分削減
https://sms.supership.jp/case/post-3261/

河北ファミリークリニック南阿佐谷

河北ファミリークリニック南阿佐谷では、新型コロナウイルスの感染拡大時にPCR検査サービスを導入しました。PCR検査結果の電話連絡に医師が1件あたり毎回5~15分かけて対応していたため、業務効率化が課題となっていました。同院では、PCR検査の結果をSMSで通知する方法に切り替えました。事務担当者が対応できるようにテンプレートを作成したことで、医師の業務負担を大幅に軽減することができました。

参照:
河北ファミリークリニック南阿佐谷
新型コロナウイルス感染症のPCR検査結果の通知
https://sms.supership.jp/case/post-1286/

医療機関(兵庫県尼崎市)

兵庫県尼崎市にある医療機関ではPCR検査の連絡対応で看護師の残業が増えていました。PCR検査の結果を電話で連絡していたからです。1日180人ほど、1人5分ほどの対応をしていたので業務負荷の軽減が課題でした。同院ではSMSでPCR検査の結果を連絡する仕組みにして業務効率化に成功しました。よくある質問をFAQにまとめてPCR検査の結果と一緒に送る工夫もすることで、折り返しの連絡もほとんどなくなっています。

参照:
医療機関(兵庫県尼崎市)
新型コロナウイルス感染症のPCR検査結果通知にSMSを導入
https://sms.supership.jp/case/post-1245/

愛知県名古屋市

愛知県名古屋市では医療に関連する対応でSMSを活用しました。新型コロナウイルスの新規陽性者の連絡を電話でおこなっていたため、業務負担が大きいのが課題でした。名古屋市ではSMS送信サービスを導入し、RPAと連携することでSMSによるメッセージの自動送信をする仕組みを実現しました。1日あたり350時間にも上る電話業務の負担を削減し、保健師や職員が陽性患者へのケアに集中できる体制を整えるのに成功しています。

参照:
愛知県名古屋市
電話連絡の負担を軽減し、“命を守るケア”に注力。
https://sms.supership.jp/case/post-2178/

病院や医療現場の自動化なら”KDDI Message Cast”

病院などの医療機関では、ルーティンワークや自動化できる作業が多数存在します。チャットボットだけでなく、SMSによる自動化も検討しましょう。KDDI Message Castを利用すれば、予約のリマインドなどの自動化が可能です。来院前にリマインドと合わせて問診票のリンクを送り、あらかじめ記入してもらうこともできます。また、患者や医療従事者からの問い合わせ対応にも使用できます。病院の業務改善に有効なツールなので、導入を検討しましょう。

▼KDDI Message Cast(KDDIメッセージキャスト)詳しくはこちら
https://sms.supership.jp/

まとめ

病院の受付や問い合わせ対応など、医療に直接関連しない業務には定型的で自動化しやすいものが多数あります。医療従事者の業務負荷が大きい場合、システムを導入して業務効率化を図ることをおすすめします。病院ではチャットボットやSMSを導入することで、全体的な効率の改善を目指せます。チャットボットとSMSはそれぞれ異なる役割を果たすツールなので、段階的に導入して病院の現場改革を進めましょう。