【企業向け】緊急連絡網の作り方とは?おすすめの連絡手段やテンプレートをご紹介
災害・トラブルの発生時に、対応の指示や迅速な情報共有を目的に活用する「緊急連絡網」。危機管理体制の一環として緊急連絡網の作成を検討している企業も多いかと思いますが、適切なフローで作成しなければ十分に機能を発揮できない恐れがあります。本記事では、企業向け緊急連絡網を作成する手順やポイントなどについて、詳しく解説していきます。個人情報の取り扱いや緊急時の連絡におすすめな手段もご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
企業向け緊急連絡網とは?
緊急連絡網とは、災害やパンデミックなどの非常事態が発生した際に迅速な連絡を行うため、「誰から誰へ・どの順番で連絡するのか」をあらかじめ決めておいたものです。
緊急連絡網は学校での危機管理体制の一環として作成が義務付けられている「危機管理マニュアル」の必須項目でもあるため、子供の頃に見た覚えのある方は多いはずです。しかし近年は学校だけでなく、企業でも緊急連絡網の整備を含む危機管理マニュアルを導入しているところが増えています。
事業を続けていくうえで想定できるリスクは、災害だけとは限りません。自社工場での火災や個人情報の流出など、様々なトラブルの発生に注意が必要です。企業はどんなトラブルが発生しても被害を最小限に抑えながら事業を続けられるよう、対処法のひとつとして緊急連絡網の導入が推奨されています。
なお、従来の緊急連絡網における主な連絡手段は電話でしたが、近年はメールやチャット、掲示板など様々なサービスを活用してオンライン上で連絡を取り合うことが主流となっています。
非常時における連絡の必要性
非常時用として緊急連絡網を作成する主な理由としては、以下の通りです。
- 災害や大規模事故が発生した際の安否確認
- 深刻なトラブル発生時のスムーズな周知
2011年の東日本大震災を機に、企業におけるBCP対策の重要性に注目度が高まりました。BCP対策とは、企業が緊急事態の発生時に事業を継続するための手段を決めておくことです。危険な災害が発生した際、その後の対応についてすべての社員へ迅速に連絡するためにも緊急連絡網は必要となります。
また、先述の通り企業には災害だけでなく、事業に関連する施設・オフィスビル・システムなどのトラブルや情報漏洩事故など多岐にわたるリスクが潜んでいます。このように深刻なトラブルの情報も緊急連絡網でいち早く社員へ周知すれば、被害を最小限に抑えつつ二次被害の発生を防ぐことが可能です。
学校のようにかっちりとした危機管理マニュアルを作成する余裕がなくても、上記のような理由から緊急連絡網だけでも用意しておくことをおすすめします。
なお、緊急連絡網を作成する際は「緊急連絡網が必要となるタイミングはいつなのか」を把握したうえで、事業の安定した継続を可能とするためのポイントを押さえることが大切です。
緊急連絡網の作り方
一口に緊急連絡網といっても、企業の場合は学校で配布されるようなものと作成方法が異なります。ここでは、企業向け緊急連絡網の作成方法を解説していきます。
発動条件の明確化
作成した緊急連絡網を、どのようなタイミングで使うのかも明確にすることが大切です。先述の通り緊急連絡網はむやみに使用することは望ましくないうえ、使用するタイミングを明確にしていなければ判断に迷い、緊急時の対応が遅れて被害が拡大するおそれもあります。
緊急連絡網の一般的な発動タイミングとしては、「責任者が緊急事態であると判断した場合」や「自然災害の発生時」などです。具体的にどんな例が緊急事態に該当するかは企業によって異なるため、危機管理本部内などであらかじめ検討しておきましょう。
自然災害の発生による緊急連絡網の発動は、警報の発令や一定の震度が観測された場合など、客観的な情報を引き金として設定しておくと判断に迷わずスムーズな連絡が可能になります。
ただし明確なタイミングを設定しても、社員全体が認知していなければ緊急連絡網はうまく機能しません。運用フローと併せて、「いつ発動するのか」ということもあらかじめ社内に周知しておきましょう。
なお、地震速報と同時に自動で緊急連絡を発動する専用アプリもあります。大規模な地震により責任者や社員による連絡の取り合いが難しくなるリスクを考え、導入を検討しても良いでしょう。
自発的に発動する場合の例
緊急事態だと判断し緊急連絡網を利用するケースがあります。社員からの報告を受けて責任者が緊急連絡を流すというフローが一般的です。例えば、「研究所で実験中に有機溶剤の漏洩が起こり、避難しなければ健康が害されるリスクが発生した」「休憩室の機器から発火し、火災が起こる可能性が生じた」という場合があります。自然災害でも、豪雨で従業員の出勤や帰宅が難しいなどと判断した時点で自発的に緊急連絡をすることがあります。
外的要因によって発動する場合の例
外的要因による発動は主に公的機関による情報に基づいて緊急連絡を行い、従業員に行動を求めなければならないときが該当します。大雨による土砂災害の警報が発令されたら緊急連絡をして出勤させない、あるいは震度5弱以上の地震速報があったら緊急連絡網を回すといった対応が一般的です。自然災害による緊急連絡が多いため、出社前か勤務中か通勤中かに応じて、従業員が取るべき行動のフローも決めておくのが重要になります。
運用責任者を明確にする
緊急連絡網の発動を判断する運用責任者を、あらかじめ明確にしておきましょう。一般的には社長が危機管理本部長として運用責任者となる場合が多いですが、緊急時に社長が不在となる可能性もあります。
責任者が不在であったり連絡が困難な状況に陥った場合に備え、代理で運用を担う人材も配置しておくと良いでしょう。副社長や部長など複数名を選定のうえ優先順位も決めておけば、社長やそれ以外の人が不在の場合も対応が滞りません。
連絡する順番やフローを決める
緊急時は迅速な連絡が大切ですが、スピードを重視するあまり情報が錯綜してしまわないよう対策を講じる必要があります。
業務連絡において社員から責任者へのフローが決まっているように、責任者が社員に向けて発信する情報のフローも決めておきましょう。危機管理本部から担当者、担当者から部署、部署から課、課から社員へ…といった順番で連絡していくフローが一般的です。企業の形態や規模に応じて、効率的と考えられるフローを策定しましょう。
想定外の事態に備えたマニュアル作り
緊急連絡網における運用方法をしっかりと定めていても、必ずしもその通りに運用できるとは限りません。先述の通り、運用責任者が不在だったり連絡が困難な状況に陥ったりする可能性もあります。また、部長や課長なども同様の状況となれば社員へ情報を伝達することは困難となります。
運用責任者の不在に備える対策としては、代理で連絡をしてくれる補佐役を複数人確保しておくのがおすすめです。また、部長や課長など中間的な立ち位置にいる人と連絡がつかない場合、“運用責任者などが次に連絡が伝わる立場の人へ直接連絡しておく”などのルールを作っておきましょう。その際、連絡がつかなかったことについて取りまとめ役の人へ報告することも大切です。
上記のようなルールを作るにあたって、「〇分以内」「〇時間以内」など具体的な数字を示しておくことがポイントです。例えば「発令から15分以内に連絡が来なければ次の人へ連絡する」「連絡がつかなかった人へ30分おきに連絡を入れる」と分かりやすいルールを設定しておけば、全員が行動を起こしやすくなります。
連絡先リストを作る
緊急連絡網に記載する項目を決めておく
企業向け緊急連絡網に必要な記載項目としては、主に以下の4つです。
- 従業員の連絡先(電話番号やメールアドレスなど)
- オフィス、管理職の連絡先
- 連絡を入れる順番
- 緊急時の取りまとめ役
非常時においては、緊急連絡網へ記載されている情報がスムーズな対応を実現するためのカギと言えます。「誰に・どの連絡先へ・どの順番で」連絡すれば良いのかを一目で判断できるよう、分かりやすく記載しましょう。また、より情報を伝達しやすくするため、部署や事業所、住まいのエリアなどグループに分けてリスト化すると分かりやすいです。
どうしても記載事項に悩んだり、分かりやすい記載の仕方が分からなかったりした場合はインターネットから簡単にダウンロード可能なフォーマットを活用しても良いでしょう。ExcelやWordなどの形式で編集可能なものが多いので、自社の社員数や規模に応じて編集するだけで緊急連絡網が完成します。
なお、社員がプライベートで使用する連絡先を記載した緊急連絡網を配布する場合、個人情報の取り扱いには細心の注意を払う必要があります。社員が緊急連絡網を紛失すると重大な個人情報流出の事故にもつながるため、保管に関するルールもしっかりと決めておきましょう。
詳しく知りたい方はこちら
関連リンク:緊急連絡網で実際に送る例文集!送る際のポイントを解説!
https://sms.supership.jp/blog/kakikata-template/kinkyurenrakumou_reibun/
<h4>社員の連絡先を複数確保しておく
緊急連絡網に記載する社員の連絡先は、できるだけ到達率の高いものを複数確保しておくと良いでしょう。緊急連絡網に用いられる主な連絡先としては、電話番号やメールアドレスなどがあります。
電話番号は携帯電話で問題ありませんが、キャリアによる通信制限や本人が電波の届かない場所にいる場合も想定し、固定電話や親族の携帯電話番号も併記しておくことをおすすめします。携帯電話番号については社用携帯電話の番号であればそのまま記載しても良いですが、プライベートで使用する携帯電話の番号を記載する場合はあらかじめ本人の了承を得ましょう。
メールは一斉に大勢の社員へ情報を伝達したい場合や、トラブルの詳細について周知するのに便利な連絡手段です。ただしキャリアやサーバーとの相性が悪かったり、フィルタ設定などでメールが届かなかったりする可能性も考えられます。そのため、普段からメールの送信テストを実施したり、会社からのメールを弾かないようなフィルタ設定を行ってもらったりするなどの取り組みが必要です。もちろんメールアドレスも電話番号と同様、プライベートで使用するものの記載は本人の了承が必要です。
詳しく知りたい方はこちら
関連リンク:緊急連絡網における個人情報の取り扱いについて解説!連絡網の作り方から解説!https://sms.supership.jp/blog/kakikata-template/kinkyurenrakumou_kojinnjixyouhou/
緊急連絡網の運用方法を周知する
緊急連絡網を作成した後は、運用方法について全社員へ周知します。
緊急時は誰から・いつ・どんな手段で連絡が来るのか、社員は何を見て緊急時に対応すれば良いのかなどを分かりやすく伝え、認識してもらいましょう。
なお、緊急連絡網を全社員へ配布する場合は1人1人の個人情報が記載されているため、本人から事前に了承を得たり、取扱い時の注意事項を伝えるなどの課程も必要です。
緊急連絡網のテンプレート
緊急連絡網は誰が見てもわかりやすく、誰から連絡を受けて誰に伝えるのかを一目瞭然にするのが重要です。フローチャートにすることで連絡の流れがわかりやすくなります。それぞれの連絡先を緊急連絡網に記載しておくと緊急事態でもすぐに連絡することが可能です。ここでは社内向けの緊急連絡網のテンプレートを用意したのでご活用ください。
緊急連絡網を作成する際に注意するべきこと
緊急連絡網は管理や個人情報の取り扱いなど、注意するべきことがいくつかあります。ここでは、具体的にどんなことに注意するべきなのかを解説していきます。
従業員の同意を得る
緊急連絡網を作成するときには従業員の意向を重視し、同意を得ることが必要です。緊急連絡先は個人情報のため、企業が自由に使えるわけではありません。本人との書面での同意を得るのを基本として、緊急連絡の目的以外では利用しないことが大切です。緊急連絡先の情報にアクセスできる人も限定し、個人情報漏洩のリスクに対処することも重要です。もし本人が同意しない場合には緊急連絡網に入れないという対応をすることも必要です。
作成作業の担当者を決めておく
緊急連絡網は、ただリストを作って終了というわけではありません。作成後は社員の入退社や部署移動など人員配置が不定期に変わるため、その都度緊急連絡網の内容も更新する必要があります。
作業の担当者をあらかじめ決めていないとスムーズに対応することが難しくなるため、実務的な作業を担う人員を決めておきましょう。また、緊急時における情報の伝達・社員の安否確認・出社の可否などの取りまとめ役も決めておくと安心です。
緊急連絡網の保管方法を工夫する
作成した緊急連絡網は、非常時にすぐ使いやすい場所へ保管しておきましょう。オフィスだけでなく、印刷して自宅に置いたりPCやスマホのフォルダにPDFファイルを保管するなど、いつでも確認できるようにしておくことが大切です。
PDFファイルの場合は自分が所有している端末のローカルフォルダだけでなく、日常的に使っている社内限定のオンラインストレージなどクラウド上にもアップしておきましょう。インターネットが使えないときはローカルフォルダのファイルを開く、スマホが使えない場合は他の人から端末を借りてオンラインストレージにアクセスするといったような使い分けが可能となります。
情報漏洩対策を忘れない
緊急連絡網には、多くの社員の氏名・電話番号・メールアドレスといった個人情報が記載されています。これらの情報を社員から収集する際は、目的を提示したうえで了承してもらうのはもちろんのこと、緊急連絡網が流出・悪用されないよう細心の注意をもって取り扱いましょう。
PCやスマホなどに保管する場合は不正アクセスやウイルス感染対策を、クラウド上に保存する場合はアクセス・ダウンロード制限をかけるなどして対策する必要があります。
連絡手段を1つに絞らない
東日本大震災でも同様のケースが見られた通り、災害が発生すると通信回線が混雑します。そのため、緊急時の連絡手段を電話だけに絞っているとスムーズに連絡が取れない可能性もあります。
緊急時に用いる連絡手段は、電話に加えてメールや安否確認サービスなども併用すると良いでしょう。どのような連絡手段を使うと良いのかは、次項にてご紹介していきます。
緊急時における連絡手段
前項にて、緊急時に用いる連絡手段は1つだけに絞らない方が様々な状況に対応しやすくなります。ここで、緊急時に有用な連絡手段の種類を確認しておきましょう。
電話
電話は回線が使用できれば確実に情報の伝達が可能となるだけでなく、安否確認を兼ねることもできるため緊急時の連絡手段としては主流です。また、誰もが日常的に使っている手段なので難しい説明が不要という点もメリットです。
ただし災害時は回線の混雑によりつながりにくくなったり、メールのように多人数へ一斉に連絡を取れないというデメリットもあります。
メール
メールは多人数へ一斉に情報を発信できることに加え、トラブルの詳細についても伝えやすい連絡手段です。一斉送信サービスを使えば、担当者が直接送信する手間も省くことができるため非常に利便性の高い連絡手段と言えます。
ただし社員によっては緊急連絡が他のメールに埋もれてしまったり、フィルタ設定により弾かれたりして見落とす可能性があります。あらかじめ緊急連絡の送信元となるメールアドレスを周知し、適切な受信設定を促しましょう。
安否確認システム
安否確認システムは緊急連絡に特化したサービスで、緊急時のメッセージをすべての社員に向けて一斉に送信できます。災害の状況に応じて、指示の内容を編集することも可能なので便利です。サービスによってはメッセージが開封されたかが表示される機能も付いており、安否確認にも役立ちます。
ただし事前にシステムへ社員の個人情報を登録する必要があり、いざというときスムーズに利用できるよう使い方について教えなければならないため手間がかかります。
SNSやチャットツール
LINE WORKSやSlack、Chatworkといったサービスを緊急時の連絡手段として導入している企業も増えています。複数人へ簡単に情報を伝達できることに加え、部署やチームなどグループ分けも可能な点が特徴です。
デメリットとしては、これらのサービスはスマートフォンを使用していることが前提となるため、スマートフォンを所持していない社員は導入に抵抗感を覚える可能性があります。また、一般的なSNSはセキュリティにおける保証が万全ではないため、ビジネスに向いているサービスを探す必要があります。
緊急時の連絡手段としてSMSが増えている!
緊急時の連絡手段は、いかに迅速かつ確実に社員へ情報を伝えられるかが重要です。上記にてご紹介した通り緊急時に有用な連絡手段は様々ですが、中でも近年は「SMS」に対する注目度が高まっていることをご存知でしょうか。
例えば緊急時用の連絡先としてメールアドレスを採用している場合、会社から送信したメールはスマートフォンのブラウザ・アプリで確認できます。しかしスマートフォンを所持していない社員の場合、わざわざ時間をかけてパソコンを起動する必要があるため情報の伝達において迅速性に欠けます。
SMSであれば、携帯電話の番号さえ分かればスマートフォン、フィーチャーフォン(ガラケー)問わずメッセージが届くため安心です。さらに海外勤務中の社員も、携帯電話が国際ローミング内にあればメッセージを送信することができます。緊急連絡網の作成において、複数の個人情報を収集する手間も省けるため個人情報の管理がしやすくなることもメリットです。
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まとめ
緊急連絡網は、企業において作成が義務付けられているわけではありません。しかし災害や深刻なトラブルの発生時に伴う被害を最小限に抑えることができるため、BCP対策として非常に有効的です。緊急時に用いる連絡手段の種類は様々ですが、簡単かつ手軽、そして確実に全社員へ情報が伝わる手段を採用しましょう。利便性とコストパフォーマンスの高さのどちらもこだわりたいという方は、KDDIが提供するSMS送信サービス「KDDI Message Cast」を検討してみてはいかがでしょうか。
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