DMによるマーケティングでは反応率の向上が課題です。反応率を算出して活用すると費用対効果の高いDM活用ができます。この記事ではDMの反応率の一般的な目安と計算方法をまとめました。反応率向上のための施策も紹介します。

DMの反応率の平均

DMの反応率とは、DMを受け取った人が来店、問い合わせ、申し込みなどの行動をした割合です。日本政策金融公庫によると、不特定多数の人を対象としたDMでは0.1%~1.0%程度が平均的な反応率です。1,000通のDMを送ったときに1人~10人くらいから反応を得られるとイメージすると良いでしょう。

FAXによるDMでは0.1%程度で低い水準になっています。しかし、郵送によるDMやチラシのポスティングでは0.5%~1.0%が平均的です。

参照:売り上げアップにつながるチラシ・DM作成術|日本政策金融公庫
https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/283597/k.jfc.go.jp/pfcj/pdf/kei_qa_0902.pdf

本人宛DMの行動喚起率

DMを本人宛に郵送で送った場合の行動喚起率(=問い合わせや資料請求などに加え、「ネットで調べた」「会話の話題に挙げた」といったことも含む行動を喚起した割合)は約20%です。一般社団法人日本ダイレクトメール協会「DMメディア実態調査2023」によると、本人宛DMの行動喚起率は19.7%でした。2022年が19.3%、2021年が21.0%だったので、年による大きな変化はありません。DMが本人宛に送られた場合には、顧客が行動を起こしやすいといえるでしょう。開封率も同調査では75.1%なので読んでもらえる可能性が高い方法であることがわかります。

参照:DMメディア実態調査2023|一般社団法人 日本ダイレクトメール協会
https://www.jdma.or.jp/upload/research/20-2024-000027.pdf

行動の種類と割合

本人宛DMを受け取った顧客の行動はDMメディア実態調査によると以下のように多岐にわたっています。

  • インターネットで調べた 10.0%
  • 問い合わせをした 3.5%
  • 購入・利用した 2.0%
  • 家族・友人等との話題にした 1.8%
  • 店舗に訪問した 1.4%
  • 資料請求をした 1.1%
  • 会員登録をした 0.8%
  • インターネット掲示板等に書き込んだ 0.7%
  • その他 0.7%

問い合わせ、購入、店舗訪問、会員登録といった売上に直結する行動の反応率は合計すると8.0%です。近しい人たちに話題として挙げたり、インターネットで情報拡散をしたりした割合は合わせて2.5%です。DMを受け取った行動として「インターネットで調べた」が最も多いので、DMによるマーケティングではインターネットでの接点を作りやすい設計をすることが重要だと言えます。

参照:DMメディア実態調査2023|一般社団法人 日本ダイレクトメール協会
https://www.jdma.or.jp/upload/research/20-2024-000027.pdf

DMの反応率の計算方法

DMの反応率は顧客の反応数とDMの送信数から計算できます。顧客がDMを受け取ったことによって、送信側の企業が確認できる行動を起こした割合がDMの反応率です。以下の計算式でDMの反応率を計算できます。

DMの反応率(%)=DMによって行動を起こした顧客数/DMの送信数×100%

DMの反応率を計算するには、DMによる反応として認める顧客の行動を定義することが必要です。購買行動のみを反応として定義することも、問い合わせや相談も反応とすることもできます。

DMの反応率とCPRが違うのか

DMのパフォーマンスを計測する指標としてCPR(Cost Per Response)がよく用いられています。CPRとは見込み顧客獲得単価と呼ばれる指標で、1件の見込み客を獲得するのに必要としたコスト(単価)を指します。CPRは以下の計算式によって導き出せます。

CPR=マーケティングコスト/行動を起こした顧客数DMのCPR=DMの総コスト/DMによって行動を起こした顧客数

DMの反応率の計算式と照らし合わせると、CPRと反応率は以下の関係があります。

DMのCPR=DMの総コスト×DMの反応率×DMの送信数

反応率はDMに対する顧客行動喚起のパフォーマンスを評価する指標です。CPRは行動を誘起するために必要なコストの指標です。DMの質の測定には反応率、費用対効果の算出ではCPRが適しています。

DMの効果を測定する流れ

DMの効果測定では反応率とCPRを基本指標として、以下の流れでDMのパフォーマンスを評価するのが一般的です。

  • DMのコストを計算する
  • 利益になる反応率を試算する
  • DMを送信する
  • DM経由での売上を集計する
  • 反応率とCPRを算出して分析する

ここでは各ステップで必要なことを説明します。

DMのコストを計算する

DMマーケティングの効果測定はコストの計算から始めます。DMにかかるコストは主に以下の費用です。

  • 制作費
  • 印刷費
  • 梱包費
  • 発送作業費
  • 配送費

DM限定の特典を与えて顧客の反応率を上げる施策を進める場合には、特典利用に伴って発生する利益の差分も加味することが必要です。また、DMの作成や発送、各業者とのやり取りなどの作業に自社の人件費がかかっているときにはそれも加味してコストを計算しましょう。

利益になる反応率を試算する

DMの効果測定では、施策が利益になったか、損失になったかを速やかに判断できることが大切です。DMマーケティングが利益になる基準として、反応率の損益分岐点を試算しましょう。

反応の損益分岐点=DMのコスト/1反応あたりの利益反応率の損益分岐点=反応の損益分岐点/DM送信数

顧客の反応に伴う粗利が5万円、DMのコストが総額500万円の場合には、損益分岐点は100件の反応です。1,000通のDMを送信した場合には、反応率の損益分岐点は10%になります。

DMを送信する

DMの損益分岐点を試算したら、DMの送信によって利益を得られる可能性があるかどうかを判断します。利益になる可能性が示唆されたらDMを送信しましょう。もしDMによる利益が見込めない場合には、この時点でDMマーケティングを断念して他の方法を検討するか、DMの送信先を見直すことが大切です。反応率を上げられる施策を検討して、平均よりも高い反応率にできるように工夫して対策することもできます。

DM経由での反応数と売上を集計する

DMを送信したら、DMを経由して生まれた反応数と売上を算出します。DMによって間接的な反応や売上が出る場合もあるので正確な計算をするのは容易ではありません。DMに同封したクーポンを利用した、DMに付けたQRコードのリンク先からの申し込みをしたといった直接的な顧客行動の集計をするとDMの効果を測定しやすくなります。DM送信による効果と判断する基準を設けておくとスムーズに集計ができます。

反応率とCPRを算出して分析する

データの集計をしたら反応率とCPRを計算して分析します。反応率が高く、CPRが低いのが理想的です。反応率が高かった場合にはDMによる行動喚起はできています。しかし、CPRが高い場合にはコストがかかり過ぎているか、売上が出ていないため、DMマーケティングのパフォーマンスは上がっていません。単純な解釈ができないときには、DMのROI(投資利益率)を計算して、コストに対する売上総利益を計算すると総合的な評価ができます。

DMの反応率を上げるために意識するべきポイント

DMの反応率を上げるには、開封率を上げること、反応を誘起することを意識して工夫する必要があります。以下のポイントを押さえてDMを活用すると反応率を向上できます。

  • 反応しやすいターゲットを選ぶ
  • デザインを工夫する
  • 行動を誘起するベネフィットを付ける
  • 反応の導線設計をする
  • ターゲットに合わせて発送のタイミングを決める

関連リンク:ダイレクトメール(DM)の効果的な活用方法 特徴や作り方を徹底解説
https://sms.supership.jp/blog/posting/dm_tsukurikata/

反応しやすいターゲットを選ぶ

DMの送信先を厳選してターゲットを絞り込む方法は、反応率を上げる重要なポイントです。統計データからもわかるように、自分宛DMでは反応率が高くなります。DMの宛名が自分宛なだけでなく、内容がパーソナライズされていれば行動を喚起できます。自分のために送られてきたDMという特別感があると、企業やサービスに対する親近感や信頼感が生まれるからです。

商品やサービスに合わせて、反応しやすいターゲットを絞り込んでDMを送りましょう。ペルソナ設計をするとターゲットの特徴がわかるため、興味関心を持つ内容や購買行動を起こしやすいコンテンツをイメージできます。ペルソナに合わせてDMの内容も整えると反応率を上げられます。

デザインを工夫する

DMの反応率にはデザインが影響します。DMの見た目の印象によって開封率が変わるからです。

郵送によるDMではハガキと封筒から選べます。ハガキの場合だけでも、通常のハガキだけでなく、大判ハガキにして情報量を増やしたり、圧着ハガキでパーソナライズされた特別な情報を伝えたりすることが可能です。往復ハガキにして返信を求めて効果測定をしやすくする方法もあります。

封筒はチラシやアンケートなども同封できるので活用範囲が広いDMです。封筒は開封してもらえなければ意味がありませんが、表書きで魅力を伝えれば開封率を上げられます。また、ブランドイメージに合うデザインをすると、ブランドに好印象がある顧客が開封する可能性が高くなります。

行動を誘起するベネフィットを付ける

DMの反応率を上げるには、顧客が行動を起こすことで得られるベネフィットを提示することが重要です。DMを読んでも今すぐに行動する必要がないと思われると反応を誘起できないからです。今すぐに買いたい、来店したい、相談したいと思ってもらえるように工夫するとDMの反応率が上がります。

「お客様限定キャンペーンで○月○日まで全品15%割引」、「○月○日までの購入でオリジナルグッズプレゼント」といった特典のあるDMを送信すると行動を誘起できます。限定感のあるベネフィットを付けることも重要です。例えば、全品割引にせず、顧客の購入履歴に合わせて限定割引の対象商品を絞り込むと、パーソナライズされたDMという印象を持ってもらえます。

反応の導線設計をする

DMでは導線設計をしてスムーズに顧客が反応できるようにすることが重要です。DMを読んで興味を持ったとしても、次に何をしたら良いかわからないと思われてしまうと行動につながらないからです。DMの反応率を上げるには、購入や問い合わせなどを悩むことなくできるように導線を作る必要があります。

DMの導線設計は効果測定にもかかわります。DMに申し込みのページへのURLリンクとQRコードを載せたり、申し込み用の電話番号やFAX番号を記載したりすると導線が明らかになります。往復ハガキや返送用ハガキを同封するのも効果的です。商品の詳細ページへのリンクを載せて、興味を持った人に詳細情報を確認してもらう方法も販促につながります。

ターゲットに合わせて発送のタイミングを決める

DMの反応率は発送のタイミングによって左右されます。購入や契約を検討する時期を狙ってDMを発送すると反応率が上がります。購買意欲が高いタイミングにタイムリーにDMが届くと、詳細をチェックして問い合わせや購入をする可能性が高いからです。

BtoBビジネスでは年度の終わりが近づいてきたときや、予算の策定をする時期、決算前のタイミングなどが行動を喚起しやすい時期です。BroCビジネスでは消費活動が活発になる年末年始、ボーナスシーズン、ゴールデンウィークといったタイミングに特典のあるDMを送ると反応率を上げられます。誕生日や結婚記念日などの顧客にとって特別な日に、期間限定の割引やキャンペーンのDMを送るのも効果的です。

法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」

DMで反応率を高める方法として、SMSによるDMはおすすめです。SMSは携帯電話やスマートフォンの電話番号に送るメッセージです。ナンバーポータビリティのサービスによって1人1電話番号の時代になり、到達率が高い連絡方法として定着しています。自分のためのメッセージという印象を受けるので、SMSは開封率も高い方法です。KDDI Message Castは反応率を高めるための機能が豊富なSMS送信サービスなので、ぜひご利用ください。

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まとめ

DMの反応率は送り方や工夫によって変わります。ランダムに送信すると1%以下の反応率ですが、本人宛DMなら20%程度の割合で行動を促せます。DM送信によって顧客の行動の喚起が売り上げにつながってこそ意味があるので、反応率を上げるための対策が重要です。郵送によるDMだけでなく、SMSで顧客に直接アプローチするのは効果的な方法です。到達率も開封率も高くて反応率を上げやすい方法なので導入を検討してみましょう。