業種:EC業界

ECサイトのマーケティングではEメールやSMSのデジタルマーケティングが有効とよく言われています。しかし、ECでも店舗のマーケティングと同様にDMで集客や販促ができます。この記事ではECサイトでDMによる効果を引き出す方法を詳しくまとめました。ECにおけるDM施策はデジタルマーケティングの課題を解決することにつながります。DMはEC運営で大きな効果を発揮する魅力的な手法なのでぜひ活用してみてください。

ECにおけるDMとは?

ECサイトで利用されるDMとはダイレクトメール(Direct Mail)の頭文字を取った略称で、EC業界では特定の個人や法人をターゲットとして個別に商品・サービスの情報配信やキャンペーン・イベントの連絡をするために用いられるマーケティング手法です。ECでは電子メールやSMSなどの電子的な手法でのDMによるマーケティングがよく行われていますが、ハガキや封書などを使ってDMを送ることで顧客の獲得や育成を狙うこともよくあります。

DMは自分のための情報を送ってくれているという印象を持ってもらえるのが特徴です。ECではDMによるデジタルマーケティングを通して休眠中の顧客に再購入を促したり、購入直後の顧客をリピーター化したりするのに役に立ちます。

ECにおけるデジタルマーケティングの課題

ECサイトの運営における、メールによるデジタルマーケティングには課題があります。世界シェアを持つ米国マサチューセッツ州のConstant Contact社による調査では、2023年7月のメールマーケティングでは、開封率は34.46%、クリック率は1.33%でした。業界による違いはありますが、開封率は18.34%~44.11%、クリック率は0.66%~2.67%になっています。

EメールによるDMマーケティングは開封率という点では比較的信頼性がありますが、なかなかコンバージョンにつながらない傾向があるのが現状です。顧客アプローチとしてEメールは有効と思われがちですが、コンバージョンがあまり上がっていないのが問題です。

DMはデジタルマーケティングでは到達できない人にアプローチできる魅力があります。広告的なEメールが送られてきたら内容を見ずに削除してしまう人も、自分の悩みを的確に捉えて商品やサービスの紹介をしているDMが送られてきたら開封して見てくれる可能性があります。顧客にとって自分にターゲティングされているかどうかが大きなポイントです。

また、顧客の中にはオンラインでの接触を好まない人も少なくありません。DMで紙媒体によるアプローチをするなど、オフラインによる接触に取り組むことで課題を解決できる可能性を切り開けます。

参照:2023 年 7 月時点の電子メールの業界平均料金https://knowledgebase.constantcontact.com/articles/KnowledgeBase/5409-average-industry-rates?lang=en_US

DMの有効性

DMによるマーケティングの有効性は株式会社ネオマーケティングによって2021年に実施されたウェブアンケートで明らかにされています。ネオマーケティングでは、企業やショップの公式LINEの登録をしていて、メールマガジンも購読している1,000人を対象として、企業と個人のコミュニケーションについての調査を実施しました。

郵便によるDMが企業から届くかどうかについては、91.0%が「届いている」と回答しています。ポストを毎日確認しているのは72.8%で、ほとんどの人がDMをすぐにチェックしていることがわかります。また、この調査によると、届いたDMについて内容をしっかり読むのが10.0%、ざっくり読むのが60.5%となっています。7割近い人がDMを読んでいることがわかります。

また、DMを受け取ったことによって好印象を抱いた人は28.7%、思い出すことが増えた人は33.3%、特別に扱われたと感じた人は26.0%を占めています。商品やサービスの購入の意欲が高まった人は30.4%、利用が増えた人は25.5%です。DMによって影響を受ける人が4分の1以上いることは明らかで、マーケティング効果が高いと考えられます。

DMにはメルマガによって配信する方法もあります。同調査ではメルマガに登録したことで印象が良くなった人が42.5%、思い出すことが増えた人が43.1%、利用頻度が増えた人が39.3%を占めていました。企業の公式LINEアカウントに登録した場合にも同じような集計結果が得られています。ECにおいてはメルマガやLINEの方が有効性が高いと言えますが、アプローチできる顧客層が異なるのでDMにも重要性があると考えられるでしょう。

参照:全国の20歳~79歳の男女1000人に聞いた「生活者が求める、企業とのコミュニケーションツールって?<第二弾>」|株式会社ネオマーケティングのプレスリリースhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000248.000003149.html

ECにおけるDM施策の例

ECでのDM施策は、基本的なデジタルマーケティングではリーチできない顧客にアプローチできるのが魅力です。ECでビジネスを展開するにはできるだけ広く潜在顧客にリーチしたり、顧客を育ててリピーターにしたりすることが重要になります。

DMを使用してマーケティングをすると、Eメールなどのデジタルツールを利用しても反応がない顧客にも目を向けてもらえるようになります。メルマガに登録していてもまったく読んでいない顧客もいるでしょう。ハガキや封書でDMを送ると、思い出して「また買いたい」と思ってくれる可能性が高まります。

EC運営ではオンラインでの接触が基本なので、Eメールに比べるとDMの使い方が難しい面もあるのは確かです。ここではDMをECの売上を上げたり、顧客の増加を図ったりする上で重要な施策を紹介します。

限定商品の販促

ECではDMによる限定商品の販促が効果的です。例えば、今年の冬限定モデルの商品を販売するときに、「2023年冬限定」といったキャッチフレーズでDMを顧客に送ると、「今だから買える魅力的な商品」と思ってもらえます。「限定100個」「先着500名様」などといった形で限定商品にすると、「今すぐに買わないと二度と手に入らない」という気持ちに駆られて購買意欲が高まるでしょう。

限定商品の販促でDMを使用するときには予約販売をするのも効果的です。DMが届いた人限定で予約できるという仕組みにすると、顧客としては「自分が選ばれた幸運な人」というイメージが生まれます。新製品や限定商品の売上を伸ばすのに効果的なアプローチです。

顧客に合わせたアプローチができる

ECではDMによるマーケティングを進めると顧客が「自分のための連絡をしてくれている」という印象を持つようになります。商品やサービスに興味を持って会員登録してくれた新規顧客には、初回限定特典付きのDMを送信すると購買意欲が高まります。メルマガ登録や会員登録などの特典としてクーポンをDMで送るという方法も有効です。

また、既存顧客に対しては、DMによって再購入や関連商品、消耗品の購入を促せます。例えば、およそ1ヶ月で使い切る量の化粧品を購入した顧客に対して、購入から3週間くらいのタイミングでリフィルの商品を紹介するアプローチがあります。「他のものでも良い」という気持ちがあっても、DMで割引価格でリフィルの商品を買えるオファーをもらえたら「お得だから買いたい」と思うでしょう。既存顧客をリピーターとして固定化するのに効果的なアプローチです。

ECでよくあるカゴ落ち顧客にもDMが有効です。カゴ落ちとはECサイトで商品をカートに入れたのに、購入しないことを指します。ちょっと興味を持ったけれど、何か理由があって買うのをやめたまま放置したというのが典型的です。他に良い商品が見つかって買ったから放置されている場合もありますが、商品に興味を持ったことを忘れたままになっている場合もあります。カゴ落ち顧客にはDMでカートの中身の状況を伝えたり、カートに入っている商品の割引クーポンを送付したりすることで購入を促すことが可能です。

ブランドイメージの定着

DMは顧客にブランドイメージを持ってもらえるようにするマーケティング手法として効果的です。DMとして自分だけに送られてきたハガキや封書は特別感があります。顧客を大切にしているというイメージが湧いてくるため、何度もDMが送られてくると自然に愛着を持つようになります。

顧客にとってはお得に買えることが重要です。リピートしてもらえるようにお得な特典クーポンなどをDMで送ると効果的なうえに、顧客を大切にしているブランドというイメージを持ってもらえるようになります。メルマガで登録者が同じメールを受け取る仕組みよりも、自分だけのための情報が届いていると認識してもらいやすいので、DMはブランディング効果が上がります。

休眠顧客の再訪

ECサイトでは休眠顧客の再訪を促し、リピーターに育て上げることが重要です。DMは休眠顧客に買ってもらえるようにする方法として優れています。ずっと購入していない顧客がいつ何を購入したかに応じて、適切な商品を提案するDMを送れば顧客の心を動かすことができます。新しい商品やサービスの情報提供をするのも効果的なアプローチです。

休眠顧客は競合サイトに乗り換えていることもあります。競合調査をして差別化できるポイントをDMで伝えたり、期間限定のお得なサービスをアナウンスしたりすると顧客として戻ってきてもらうことが可能です。顧客の嗜好を調査して、欲しいと思う情報や買いたいと思う価格帯を見極めてDMを送ると効果が上がります。特に専門性の高い情報を与えて理解を促すアプローチは、近年では購買行動につながりやすいと言われています。

ECにおいてDMで効果を最大化する方法

DMの有効性とEメールの組み合わせで効果を高める

ECではDMだけマーケティングに利用するよりも、Eメールと組み合わせるのが効果的という研究結果があります。日本DM協会では毎年「DMメディア実態調査」を実施してDMの効果について調査結果を公開しています。

2016年の調査では顧客アプローチの方法としてメールのみ、DMのみ、メールとDMの両方という3通りを比較しています。日本DM協会の調査結果によると、メールのみの場合では8.1%、DMのみの場合では9.8%だったクリック率が、メールとDMの両方を活用することで14.7%に上昇する結果が得られています。

メールとDMの組み合わせ方によって結果には違いが生じることも示されています。富士フィルムが実施した調査によると、先にDMを送ってメールでフォローするアプローチが最も効果が高くなっています。

参照:調査統計資料・その他資料 | DM資料館 | 日本DM協会
https://www.jdma.or.jp/data/research.php

出典:https://eczine.jp/article/detail/6122?p=2

富士フィルムではDMの後にメール、メールの後にDM、メールの後にメールという3つのパターンでフォローをした結果を調査しました。DMからEメールという流れでアプローチするとアクセス率が23%、注文率が14%なのに対して、順番を逆にするとアクセス率は23%で変わらないですが、注文率は12%に減少しています。メールのみの場合にはアクセス率は10%、注文率は3%になっています。

DMを使用した方が効果が上がりやすいことに加えて、順番も重要なこともわかる調査結果です。DMによって記憶にイメージが留まっている間にメールで喚起することでコンバージョンにつながることがわかります。

参照:ECにもDMが効く!? デジタルとアナログを組み合わせたマーケティングのあり方 (2/4)|ECzine(イーシージン)

DM×CRMで効果アップとコストの削減ができる

ECサイトではCRMによる顧客管理をして、メールなどのオンラインマーケティングだけでなく、DMも活用すると飛躍的に費用対効果が上がります。DMはメールに比べると顧客に情報が到達するのに時間がかかり、郵送費などの費用負担もあります。ただ、顧客にとっては自分だけの情報を送ってもらえたと感じられるので、DMを積極的に活用するとイメージが向上します。

CRMを利用して、DMによって好印象を受ける人をターゲットにして積極的にアプローチすると、安定して購入してくれる優良なリピーターに育て上げることができます。闇雲にすべての顧客にDMを発送するよりも、送ったらレスポンスがある顧客を厳選した方が効率的です。また、メールを送っても開封すらしてくれない顧客にDMを送ってアプローチすることもできます。

CRMによる一元管理はメールとDMの効率的な活用に直結する効果的な施策です。DMを送った日時を管理し、フォローメールを自動送信するといった運用もできるので、マーケティング効果を上げつつ、確実性の高いアプローチを実現できます。

ECサイトの課題解決にはSMSの活用もおすすめ

ECサイトではSMSを導入してマーケティングや運営を進めるのも効果的です。メールに比べて到達率も開封率も高いのがSMSの特徴です。メールアドレスを変更することはしばしばありますが、電話番号はあまり変えることはありません。SMSは電話番号を使ってショートメッセージを送れるので、顧客と長いつながりを作ることができます。

また、SMS認証によるECサイトへのログインシステムを取り入れているケースもあります。SMS認証は個人に紐づいている電話番号を使って認証できるので、安全なサービスを提供するうえで有効なアプローチです。

ECサイトのマーケティングならSupership

ECサイトのマーケティングでSMSを活用するならSupershipのサービスを利用すると効果が上がります。SupershipではSMS送信サービスのKDDI Message Castを提供しています。SMS認証の利用やSMSの一斉送信、CRMのSalesforceとの連携などの機能が豊富で使いやすいサービスです。DMとEメールと合わせてSMSも活用していくなら、SupershipのKDDI Message Castの導入を検討してみましょう。

まとめ

ECサイトではDMによって個別性の高いマーケティングとブランディングができます。オンラインでのサービスなので、ECサイトのマーケティングではコストが高いDMは不要と考えがちです。しかし、Eメールとの併用やCRMの活用によって費用対効果の高いアプローチを実現できます。DMとSMSの活用によってさらに効率が高く、顧客に合わせたマーケティングが可能です。CRMと連携できるSMS配信サービスとDM、Eメールを利用してECサイトのマーケティングを進めていきましょう。SupershipのKDDI Message Castはソリューションの一つです。API連携も可能でSalesforceとの連携実績もあるのでぜひご活用ください。