DXは今多くの企業が取り組むべき課題です。しかし、いざDXの導入を検討する際にどのように取り組めばよいのかがわからないといったご担当者が多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、DXの定義、DX推進のメリット・デメリットなどを解説してから、DXの導入に成功した企業の事例をご紹介します。経済産業省により「DX銘柄2022」に選定された企業の成功事例もありますので、これからDX化に取り組みたいとお考えの企業の方はぜひ他社の事例を参考にしてください。

そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か

DXとは、Digital Transformationの略です。Transformationの意味は「変容」ですので、直訳では「デジタルによる変容」という意味になります。つまりデジタル技術を活用することで、生活やビジネスが変革していくことを表す言葉です。業務プロセスの効率化を目指すIT化に対し、DXは包括的なレベルでの変革を目指しています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?DX推進のメリットと課題も解説

経済産業省によるDXの定義

2018年に経済産業省が策定したDX推進ガイドラインでは、DXがどのように定義されているか確認しておきましょう。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。引用:経済産業省「『DX推進指標』とそのガイダンス」  

この定義が意味することは、わかりやすく言うと、単にデジタル技術を利用して製品やサービス、ビジネスモデルを作ることがDXではないということです。DXは単なる変革をもたらすのではなく、企業文化や風土など根底から覆すようなイノベーションであると認識する必要があります。

DX(デジタルトランスフォーメーション)が必要な理由

・インターネット利用の日常化

スマホが普及したことで、インターネットの利用が日常的になり、消費者の行動形態が大きく変化してきました。そのため、消費者の行動形態に合わせたDXを行うことが重要な課題となっています。

・少子高齢化による人手不足

日本では少子高齢化が進んでいますが、この状態が続けば、企業では慢性的に人手が不足し、生産性の維持が難しくなってきます。そのため、少ない人数で生産性を高めるためには、デジタル化により業務効率化を図ることが急務です。

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進のメリット・デメリット

DXを推進するにあたって、メリットとデメリットについて理解しておきましょう

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進のメリット

DXにより、業務の効率化と自動化が可能になります。その結果、これまでの工数が削減でき、業務負担も軽減できるため、生産性の向上、品質の向上などの効果を期待できます。さらに、ITツールは24時間365日稼働できるため、納期の短縮も可能です。少子高齢化が進み、労働人口が減少している中、企業には働き方改革が求められています。DXを推進することで、働き方改革の実現が可能になるでしょう。また、電子契約システムなどの導入により、社内のペーパーレス化はもちろん、意思決定が迅速にできるようになり、これまでとは異なる働き方が実現できます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進のデメリット

DXを推進するには、システムや業務フローの見直しをはじめ、組織作りや人材確保などが課題です。そのため、一事業部だけで行うのではなく、全社的にDXを推進しなければなりません。一つの部署が発信するだけでは、全社的にDXを実現することが困難なためです。経営層が自らDX実現を強く打ち出していくことが重要ですが、結果が出るまでには時間がかかります。とくに、レガシーシステムから脱却する際には、改修時に影響が出る範囲が広くなるため、新たなシステムへの移行は、かなり大掛かりな作業になります。

【業界別】DX(デジタルトランスフォーメーション)事例

海外では多数のDX成功事例がありますが、ここでは日本の企業でDXにすでに取り組み、成果をあげている実例を業界ごとにご紹介します。

建設業界

業界特有の課題を抱えている建設業界は、とくにDXへの注目度が高い業界です。大手2社の事例をご紹介します。

清水建設株式会社

DX銘柄2021・2022をはじめ、DX認定取得事業者に選定されている清水建設のDX事例は業界で注目されています。

新型コロナウイルスの拡大により社会状況が大きく変化し、業務内容やプロセスを見直し、事業と業務を変革することで、社会のニーズに合った体制づくりが必要であることが課題でした。そこで、デジタル戦略を見直し、中期デジタル戦略を策定。コンピュテーショナルデザイン、ロボット、3Dプリンタ、AR技術など新たな技術を取り入れたものづくりのデジタル化が高く評価されています。

参考:清水建設株式会社「シミズのDX  ものづくりの心(匠)をもったデジタルゼネコン」

鹿島建設株式会社

鹿島建設のDX推進では、経営幹部を含め鹿島グループ全体でデジタルリテラシーを高めました。背景には昨今のコロナ禍で日本のデジタル化の遅れが明白になったことがあります。そこで、社会と顧客の新たな課題に応えるために、DXを推進するための新しい組織を設置し、DX戦略的推進計画を策定。中核事業の強化、新たな価値創出、経営基盤整備とESG推進の3つのDXを進めています。

中核事業の建設生産における生産性向上と強化が順調に進んでおり、スマートビル、スマートシティなど新たな分野にも取り組んでいます。また、ソフトバンクなどとの協力のもと、四足歩行型ロボット「Spot」によるトンネル内巡視の実験にも成功しました。

参考: 鹿島建設株式会社「KAJIMAダイジェスト 特集鹿島DX  DXの戦略的推進」

製造業

DXは製品を作り出す製造業でも必要とされています。ここでは、DX銘柄2022に選定された味の素株式会社と株式会社IHIの事例をご紹介します。

味の素株式会社

加速するデジタル化による社会や人々の行動の変化、流通の変化、さらに環境や健康への関心の高まりから、味の素社もグループ全体が生まれ変わらなければならないと考えました。そこで、「アミノ酸の働きで食と健康の課題を解決する」というビジョンを実現するために、ASVの価値を最大化するための変革を行ったことが味の素グループのDXです。ASVはAjinomoto Shared Valueの略で、もともと味の素社が掲げていた目標です。

「食と健康の課題解決企業」という目標を、デジタル技術と業務や組織の抜本的な見直しで実現し、DX銘柄2022、DX認定取得事業者に選定されています。

参考:味の素株式会社「味の素グループのデジタル変革(DX)」  

株式会社IHI

株式会社IHIは、デジタル活用によるビジネスモデル変革が評価され、DX銘柄2022に選定されました。コロナ禍による業績悪化から、IHIでは早期回復を目指し、「プロジェクトChange」にその目標と達成への道筋を示し、さまざまな変革を行っています。その中でLCB(ライフサイクルビジネス)の拡大においてDXを中心に位置付け、ビジネスモデルの変革を進めています。また、IHIグループでは人材の育成への取り組みも積極的に行うことで、DXの推進力を支えています。

参考:株式会社IHI「IHIが『DX銘柄2022』に選定」 

不動産業界

アナログ方式が未だに根強く残っている不動産業界ですが、先駆けてDXへの取り組みに成功している三井不動産株式会社と株式会社GA technologiesの事例をご紹介します。

三井不動産株式会社

三井不動産は、2018年に⻑期経営⽅針を策定し、不動産業のイノベーションをビジョンに掲げ、不動産をモノとして捉えるのではなく、ハードとソフトの両面でサービスを提供することを表明しています。具体的には、既存事業の枠にとらわれない新事業のリリース、本社、シェアオフィス、在宅勤務を可能にした働き⽅改革に成功しています。また、決裁・会計システムの刷新、ペーパーレス化、脱ハンコなどを進めたことで、受発注・会計業務を大幅に削減できました。

参考:三井不動産株式会社「DX白書2022」

株式会社GA technologies(GAテクノロジーズ)

GA technologiesは創業以来、「テクノロジー×イノベーション」を経営理念に掲げ、不動産取引を実現しています。DXが注目されるようになる前から、アナログな不動産取引を変えていくという志を持ち、自社内の不動産DXはもちろん、他社向けのソフトウェア開発も行っています。また、不動産取引がオンライン上で完結する「ネット不動産」の普及活動も行うなど、不動産業界の市場活性化に貢献しています。

参考:株式会社GA technologies

物流業界

国土交通省は物流DXの目標として、既存オペレーションの改善と働き方改革、物流産業のビジネスモデルの革新を提唱しています。目標に向けて取り組んでいる2社の事例をご紹介します。

株式会社日立物流

日立物流は、DX銘柄2022に選定されました。サプライチェーンDX「SCDOS」や輸送DX「SSCV」を開発し、事業強化を図り、事業領域を拡張。また外販により顧客価値と社会価値においても成果を出していることが高く評価されたものです。

SCDOSは、在庫数や輸送コスト、さらにCO2排出量などに関するデータを一括管理し、わかりやすく可視化することで、最適化を支援しています。またSSCVは、クラウドサービスで輸送の事務作業を提供し業務効率化を推進するソリューションや、事故を未然に防ぐソリューションなどで、輸送事業者の抱える課題をデジタル技術で解決しています。

参考:株式会社日立物流「デジタルトランスフォーメーション銘柄2022 (DX銘柄2022)」に選定」 

SGホールディングス株式会社

SGホールディングスは、DXの取り組みとして、レガシーシステムの撤廃および開発・保守の内製化、さらに蓄積されたデータをもとに意思決定をするデータドリブン化、IoTやAI、ロボティクスなどの活用による業務改革など、DXに向けた取り組みが評価され、DX銘柄 2021に選定されました。現在は、さらに抜本的な業務改革とサービス強化を目指してDXを推進しています。DXの推進に加え、戦略、組織、人材、システム対応に関する取り組みも評価されています

参考:SGホールディングス株式会社「SGホールディングス、SGシステム」 

医療業界

医療DXでは、いかに効果的かつ効率的に医療が提供できるかが重要です。ここでは中外製薬株式会社とフィリップス・ジャパンの事例をご紹介します。

医療現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?現状や課題などを解説

https://sms.supership.jp/blog/dx%E3%81%A8%E3%81%AF/iryougenba_dx/

中外製薬株式会社

中外製薬は2019年10⽉に「デジタル戦略推進部」を設置し、ビジネスとITに精通しているスペシャリストが集まり、それぞれが持つスキルとアイデアを尊重し合いながら、ヘルスケアにおける新たな価値創造に積極的に取り組んでいます。

「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」の実現に向けて、以下の3つの基本戦略で中外製薬のビジネス変⾰、ヘルスケアソリューションを進めています。

  • デジタル基盤の強化
  • プロセスの大幅な効率化
  • 革新的な新薬創出

これらの取り組みが評価され、DX銘柄2022の中でも栄誉あるDXグランプリ2022を獲得しました。

参考:中外製薬株式会社「デジタルトランスフォーメーション “CHUGAI DIGITAL」

フィリップス・ジャパン

ICU不足の問題はコロナ禍で、より明らかとなりました。この問題解決として、eICU(遠隔集中治療患者管理プログラム)が注目されています。同プログラムの有効性に着目した昭和大学がフィリップスへ提案し、アジアで初めて実用化に向け共同研究が始まりました。

ネットワークで病院と遠隔地の支援センターをつなぎ、ICU患者の様子を専門医がモニタリングを行いながらサポートします。このプログラムの活用により、医療の地域格差がなくなるだけでなく、医療従事者の負担の軽減も期待できます。DXの推進に伴い遠隔ICUシステムの導入がより加速していくと予想されています。

参考:「遠隔集中治療患者管理プログラム(eICU)構築・稼動についての発表」ご報告 – ニュース | フィリップス

農業業界

農業の現場では、人手不足や、農産物を消費者にスピーディに届けたいという生産者の思いに対応してDXが進められています。ここでは、北海道の農業法人と「食べチョク」を提供しているビビッドガーデンの事例をご紹介します。

Kalm 角山

1000頭の乳牛を飼養している北海道の「Kalm 角山」は、アジアで初めてロボット搾乳システムを導入したことで注目されています。多数の搾乳ロボットを利用することで、大規模の酪農経営での省力化、飼養管理の効率化などを実現できました。

また搾乳ロボットと連動して、乳牛の個体ごとの生乳に含まれる成分を分析し、疾病や繁殖管理も行っています。さらに牛の排泄物を利用したバイオガス発電、資源の再利用など、サステナビリティや地域貢献にも熱心な農業法人です。

参考:株式会社カーム角山

ビビッドガーデン

ビビッドガーデンは、「食ベチョク」というプラットフォームを運営しています。「食ベチョク」はオンライン直売所ですので、生産者が消費者に直接食材を発送することができます。卸や小売店を介さないので、小規模の生産者でも利益が得られ、消費者も生産者と生産者が作る農作物を身近に感じられます。

「食べチョク」が他社のECサイトと違うところは、生産者と消費者が直接やりとりできる機能が実装されている点です。DXを通して、生産者と消費者の双方がメリットを得られる成功事例です。

参考:株式会社ビビッドガーデン

小売業界

小売業界でも時代とともに小売の形や決済方法などが多様化し、デジタル化が求められています。ここでは、ローソンとアスクルのDX事例をご紹介します。

株式会社ローソン

人手不足が深刻化するなか、ローソンはいち早く自動釣銭機付POSレジやセミオート発注システムなどを開発し、導入しました。さらに次世代コンビニエンスストアとして変革を進めています。コンビニエンスストアの今後の姿を見据え、最先端デジタル技術を活用するイノベーションを追求するため、2017年にはオープン・イノベーションセンターを設立。ウォークスルー決済システムや生体認証によるレジ無し店舗システムなどの実験も実店舗で行っています。今後はロボットの活用やドローンを使った宅配なども視野に入れているそうです。

参考:株式会社ローソン「特集 ローソンのDX戦略」

アスクル株式会社

DX注目企業2022に選定されたアスクル。注目企業として評価された点は、EC物流の強化、配送パートナー企業への自社開発の配送管理システムの提供などです。EC物流を強化する取り組みには、実行型AIロボットやAIスコアリングの導入などが挙げられます。さらに2021年9月にはDX人材の育成のため社内研修プログラムを開校したことも評価の対象となりました。

参考:アスクル株式会社 「ASKUL Transformation with Digital」

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まとめ

経済産業省の定義から読み取れるように、DXは単なる変革ではなく、業務やプロセスをはじめ、組織、企業文化、風土も含めて変革することです。現代では、業種に関わらず、大企業も中小企業もDX化が重要です。この記事でご紹介したDXの成功事例は、大企業だから成し得たのではなく、どの企業も小さな一歩からスタートしています。中には斬新なアイデアが面白い事例もあります。DXは成果が出るまでには時間がかかりますが、まずはDX推進へ向けて最初の一歩を踏み出してみませんか。

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