近年、DX導入の重要性が高まっているものの、実現に向けて課題があったり、遅れていたりしているのが現状です。多くの企業がDX導入の意義や必要性を感じていますが、推進は進んでいないといえるでしょう。そこで本記事ではDXの概要を確認した上で、業界別のDXがもたらす影響やDXを推進させるポイント、DX導入ならSMSの活用がおすすめの理由などについて解説します。DX導入がもたらす影響や特徴は業界ごとに異なりますので、本記事を参考にしてみてください。

そもそもDXとは何か

DXとはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略語で、日本語ではデジタル変革と称されています。

経済産業省はDXとは企業がビジネス環境の急速な変化に対応し、データとデジタル技術の活用によってビジネスモデルを変革するものとしています。社内のDX化によって業務や組織、企業文化、プロセスについて変革を起こし、競争上の優位性の確立を目指すものとしています。

DXについてのより詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?DX推進のメリットと課題も

DXが注目されている背景

日本は国際社会の中で先進国として位置付けられていますが、近年においては成長に停滞感が見られることも事実です。世界に目を向けると、サスティナブルな技術発展により社会の変革を目指すDXが普及しています。

また、日本産業でもDXにおける変化の予兆が見られるようになっています。電気自動車(EV)や自動運転、キャッシュレス化などはその一例です。

そして、日本政府は科学技術基本計画でSociety 5.0の推進、および官民データ活用基本法施行、Connected Industriesの推進などの方針や施策を掲げています。日本においても国が掲げる政策としてDX化が進んでいます。

各業界のDXへの取り組み状況

富士通は「グローバルデジタルトランスフォーメーション調査レポート2019」の中で各業種のDXへの取り組み状況をまとめています。

実践して成果を挙げた実践中試行中検討中未検討
全業種36%39%10%2%13%
金融47%34%8%2%9%
運輸45%33%11%3%8%
公共35%40%7%1%17%
製造32%40%13%3%11%
医療31%42%10%1%16%
卸売/小売29%44%8%3%16%

参考:https://fce-pat.co.jp/magazine/953/
https://www.fujitsu.com/downloads/JP/vision/2019/download-center/FTSV2019_Survey_JP_1.pdf?_fsi=QRikcMLF

上記の表のように業界によってDXの推進状況は大きく変わります。金融や運輸では前進している一方、卸売/小売や医療、製造では後れを取っています。

DXの導入によるメリット

DXの導入は企業にとって売上成長に大きく貢献する可能性が高いと言う見方が一般的です。

DXは人手不足の解消や人材育成、マッチングなどといった問題に活用でき、データに基づいた効果的な人事を実現します。また、DXによりビジネスプロセスにイノベーションを起こすことで、売上拡大やコスト削減につなげられます。

DXを導入しない場合のリスク

日本企業のDX化が遅れた場合、2025年の崖に直面することが懸念されています。企業はレガシーシステムを使用し続けた場合、システムのブラックボックス化や維持費のコスト増大といった問題に直面する可能性が高いです。また、業界内での生産力も低下し、長いスパンで見ると存続が難しくなると考えられるでしょう。

【業界別】DXの導入がもたらす影響

医療業界

高齢化社会の日本における医療業界でDXを推進することで各種問題を解決できると見込まれています。その一つとして、ICT(情報通信技術)を活用したオンライン診療です。医師の診療が遠隔地から可能になることで、地方エリアなど医師が少ない地域や移動手段が限られる高齢者でも診療を受けられるようになります。

その他にも、情報ネットワークの構築による医療施設と介護施設、行政機関の連携も期待されています。患者の診療情報を一元管理できれば重複検査を受ける必要がなくなります。

医療現場のDXについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
医療現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?現状や課題などを解説

化粧品業界

化粧品業界ではユーザーの経験(UX)におけるオンラインとオフラインでの差がなくなりつつあります。顧客はオンラインを活用することで店舗に足を運ばなくても、店舗を訪れたときと同様の接客を受けられます。

例えば、日本ロレアルは顧客にオンラインでも充実したブランド体験を提供している企業の一つです。同社は商品の色味を試せるバーチャルトライオンシステムやオンライン上でカウンセリングを行う美容部員を導入しました。これにより、ロレアルの店舗が自宅近くにない顧客も気軽にカウンセリングを受けられるようになりました。

参照:​​https://www.lorealparisjapan.jp/virtual-try-on

製造業界

製造業に属する多くの企業は産業用ロボットやセンサーを活用したファクトリー・オートメーションの推進を行いました。これにより、工場の効率化や自動化が促進され、少ない従業員数でも従来の生産量を維持できるようになった他、無人化などによって作業員の負担が大きく軽減されました。それを実現に導いたものとしてモノをインターネットにつなげるIoT技術やAIは欠かすことができません。

例えば、三菱電機はe-F@ctoryというコンセプトに基づいて、製品同士をインターネットに接続し、収集したデータ、および知見を利用するIoTソリューションの提供を実施しています。

参照:https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/solutions/efactory/index.html

製造業のDXについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
製造業におけるDXとは?課題や進め方は?DX化を成功させるためのポイントも解説 

金融業界

金融業は他の業界と比べてもDXが進んでいます。お客様の声の可視化や音声ガイドガイダンスによる従業員の負担軽減、与信審査におけるAIの活用などDXが幅広く導入されています。

例えば、三井住友銀行はお客様の声の分析や見える化を実現することに成功しました。同銀行はお客様の声を短時間で分析・見える化するソリューションを導入し、テキスト含意認識技術を活用することで特定の意味が含まれている文章を抽出し、グループに分類しています。

参照:https://it.impress.co.jp/articles/-/12396

関連リンク:銀行・金融業のDXとは?課題や成功事例をご紹介

保険業界

保険業界は状態やリスクの把握を行い、保険料に反映させる仕組みの中でDXを導入しています。

例えば、アフラック生命保険は保険業界においてDXの推進を積極的に行っている企業の一つです。同保険会社は顧客との会話内容をAI解析して最適な提案をリアルタイムでアドバイスする営業サポートAIや、契約者を対象にした3Dアバターチャットボットを活用しています。

参照:https://www.aflac.co.jp/corp/value/dx.html

建設業界

建設業界には人間の手で行わなければならない業務が多い他、業務を行うにあたって長年にわたって培われてきたノウハウが必要です。そうしたことからも、建設業界とDXの相性は好ましくないという見方も少なくありません。こうした中でも現場でDXを活用することで生産性の向上を実現している企業も多いです。

例えば、鹿島建設鹿島建設はAIやIoTなどを活用することで、鹿島スマート生産や建設生産プロセスの変革を達成。その他にも、ダムの工事現場ではAIのシミュレーションによってベストな計画を立案しています。

参照:https://www.kajima.co.jp/news/press/201811/12a1-j.htm

建設のDXについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
建設DXとは?導入メリットや課題は?取り組み事例も紹介

物流・運輸業界

物流業・運輸業はコロナ禍において大きく成長した業界です。多くの人たちが非対面での購入を好み、かつ外出を控えている昨今、オンラインストアのニーズは高まっています。その一方で、物流・運輸業界で働く人たちの負担は重くなっています。そうした中、DXの活用によって在庫管理にかかる手間などを軽減しています。

また、旅行者にとって人が出歩かない時間帯にタクシーが見つからないことも多いです。Mobility Technologies配車アプリのようなアプリによって、タクシーを呼びやすくなりました。

参照:https://mo-t.com/service/

物流のDXについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
物流DXとは 業界の課題や改善されることなどを徹底解説!事例も紹介

サービス業界

サービス業は人手不足や従業員の長時間労働などについて指摘されることも少なくありません。サービス業にDXを導入することで従業員の負担を軽減できるようになるだけでなく、顧客にとっても高い品質のサービスを受けられるようになります。

例えば、家庭教師のトライグループはTry ITの開発でパソコンやスマートフォンを活用することで、生徒たちが自分のレベルに合った授業を場所や時間に関係なく受講できるようになりました。

参照:https://www.try-it.jp/

不動産業界

不動産業界においてもDXを活用することで顧客は場所や時間にとらわれることなく、モデルルームの閲覧などを行えるようになりました。

例えば、長谷工コーポレーションは顧客の物件探しのサポートを行うLINEアプリの開発に成功。LINE上で簡単な質問に答えることで自分に合った物件情報が届く他、営業担当がつかない非対面のモデルルーム見学予約もできます。これにより、顧客にとって物件探しにかかる各種手間が大幅に削減されるようになったといえるでしょう。

参照:https://monstar-lab.com/cases/haseko/

不動産のDXについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
不動産業界におけるDXの重要性は?導入メリットや推進方法を徹底解説

IT業界

IT業界はDXの本業といえるでしょう。そのため、IT業界にも多くのDX導入事例があります。

例えば、個人間での売買のプラットフォームであるメルカリは、誰もが手軽に利用できるフリーマーケットサービスを展開しています。ユーザーは高い安全性を実感しながら手軽に利用できます。

その他にも、同社は過去の取引において蓄積された商品データとAIの活用による幅広いサービスの提供を行っています。例えば、AIを活用したAI出品機能や類似商品を検索する写真検索機能などは一例です。

参照:https://about.mercari.com/press/news/articles/20190424_it_strategy_company/

自動車業界

自動車業界では「CASE:Connected(接続された)、Autonomous(自動化)、Shared(共有化)、Electric(電動化)」というキーワードに基づいて、各社が新たなビジネスモデルの創出を目指しています。

例えば、自動車業界におけるDXとしてUberが挙げられます。Uberとは日本でいう白タクに類似するもので、車のシェアリングサービスです。専用アプリを活用することで車を運転する人と乗車したい人をマッチングし、行先案内から決済まで完結できます。ただし、日本でUberは法規制によって単なるタクシーの配車アプリと化しています。

参照:https://www.uber.com/jp/ja/ride/ubertaxi/

アパレル業界

アパレル業界はDXの推進が他の業界よりも進んでいません。洋服を購入するにあたって試着をしたい人も多いため、オンラインストアよりも実店舗での購入が好まれることもあります。

洋服購入時のサイズ問題に取り組んだ企業としてZOZOTOWNが挙げられます。同社はサイズ選択に悩まなくても購入可能なマルチサイズプラットフォーム(MSP)を提供しています。このプラットフォームに自分の身長と体重を入力することで適切なサイズの洋服をおすすめしてくれます。

参照:https://corp.zozo.com/news/20190425-7403/

自治体や行政

近年、企業だけでなく、自治体や行政においてもDXの重要性が高まっています。自治体や行政のDX化は働き手の不足や職員の業務負担軽減に大きく役立つと期待されています。

自治体や行政の中には民間企業の技術を活用し、スマート行政窓口ソリューションの開発を進めているところもあります。自治体や行政がこの窓口を導入することで、対面での手続きが不要になるケースが増えると見込まれています。

関連リンク:自治体DXとは何か?実現のためのポイントや課題は?取り組み事例もご紹介

農業業界

日本において農業従事者の減少は国内の自給率にもかかわる重要な問題です。日本の農業従事者の平均年齢は60歳を超えているため、後継者問題や農業従事者にかかる負担などは深刻な課題となっています。

農業におけるこうした課題を解決するためにDXが注目されています。DXを上手く活用することで少ない人数でも生産高を維持できる他、農作物や環境にも配慮した農業が実現すると期待されているのです。

農業のDXについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
農業DX構想とは?現状や課題、推進のポイントなどを徹底解説

小売業界

小売業界ではコロナ対策のために店員とお客様のお金の受け渡しを避けるためにキャッシュレスや、店員との接触を防ぐために無人レジなどが増えています。これらは感染症対策に効果的なだけでなく、店員の業務負担軽減にもつながると注目されているのです。

また、お客様の来客数が極端に減った飲食店ではUberEatsなどの宅配サービスにも対応しています。その他にも、オンラインで接客を実施している店舗もあります。

小売業界のDXについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
小売業界の課題はDXが解決?成功事例や施策、対策のポイントなどを徹底解説 

DXに向かない業界も

社内のDX化は全ての業界において効果的というわけではありません。例えば、ヘルスケアや飲食、小売、人材派遣などの業界ではDXが向かないといわれています。

肉体労働はDXで対応することが難しい他、熟練のノウハウを必要とする業界でもDXは向かない傾向があります。業界によってはコストや労力をかけてもDXの効果を実感しにくいでしょう。

DX推進を成功させるためのポイント

ポイント1 システムの一元化

複数のシステムが社内に混在していると管理に手間や負担がかかる他、自社のIT資産であるシステムを見落としてしまうこともあるでしょう。

システムの一元化を行うことで、自社にストックのあるシステムを把握しやすくなるため重複して購入することも避けられます。また、システムを一元化することで、管理における負担を軽減できるため、システム管理に割り当てていた従業員を別の業務に割り当てることもできるでしょう。

ポイント2 組織改革

DXの推進にあたって社内に担当部門を設立することも重要ですが、全社一体で取り組む姿勢を忘れてはいけません。特定の部門にDXを一任したとしても、全社で協力していこうという姿勢がなければうまくいかないものです。

経営層が主体的に取り組むのはもちろんのこと、全従業員と社内のDX化の意義を共有することは大切です。場合によってはDXに精通した人材を外部から新たに雇用したり、DXに精通した人材を異動させたりすることも必要になります。

DXの導入ならSMSの活用がおすすめ

自社のDX推進を検討している企業にはSMSの活用がおすすめです。SMSを活用することで、顧客やクライアントに電話を何度もかけ直したり、電子メールを送ってみたものの見落とされていたりといった事態を回避できます。そのため、従業員は本来の仕事に集中できるようになる他、業務においてかかっていた手間をいくらか軽減できると考えられるでしょう。

現在、SMSを活用している企業は多く、活用方法もさまざまです。例えば、車検や定期点検の告知やアポのリマインドなどは一例にすぎません。告知やリマインドメッセージを配信することで、アポイントを当日に忘れられて再度約束するといった手間も回避できます。

法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」

KDDI Message Castとは携帯電話番号を用いて、スマートフォンや携帯電話などにメッセージを送信するサービスです。費用は従量課金のみで、1通につき660文字までのSMSを配信でき、かつ動画や画像などのリッチコンテンツの送信もできます。KDDIグループの通信事業者としてのノウハウで運用体制を構築している他、監視運用サポートも充実しています。

まとめ

国内においてDX推進の重要性が頻繁に唱えられているものの、現状としてはDXの推進状況は業界によって大きく異なります。また、業界によってはDXとの相性が合わない業界もあるため、導入の目的や自社のビジョンなどを曖昧にした状態での導入はおすすめしません。

DXを導入する際は自社にとってどのような施策が効果的であるかや、業界ごとの特徴を明らかにした上で導入するようにしましょう。

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