ビジネス環境が大きく変化している近年、デジタルの活用による業務効率化、新しい働き方を含めた事業運営体制の構築などを目標として、DXの推進が加速しています。特に高齢化や人手不足、熟練技術の継承などの業界特有の課題を抱えている建設業界では、課題解決策として建設DXに期待が集まっています。本記事では、建設DXの概要、建設業界でDXが注目される背景、建設業の特徴と課題、DX技術などについて解説します。建設DX推進に向けた国の取組事例もご紹介しています。

そもそも建設DXとは

建設DXとは、デジタル技術を活用し、建設業でこれまで行われていた業務プロセスをはじめとして、ビジネスそのものを根本から変革することです。仕事のやり方そのものを変えていくことで、建設業界が抱えている人手不足や労働生産性の低さといったさまざまな問題を解決し、新たな強みにしていくことが目標です。こうした取り組みは大手の建設企業から始まっていますが、ベンチャーやスタートアップなど小規模の企業でもDXで成果をあげている事例もあります。全国各地で開かれている建設DXに特化した展示会なども盛況です。

DXとは何か

DXとは”Digital Transformation”の略で、「デジタル・トランスフォーメーション」と読みます。企業がデジタル技術を活用して、業務フローの改善から企業風土の変革まで実現させることです。スウェーデンの大学教授が提唱した考え方で、「IT(情報技術)の浸透が、あらゆる面で人々の生活を良い方向に変化させる」という内容でした。ただし、DXは単に変革を意味するのではありません。既存の価値観や枠組みも含め、根底から変えていく革新的なイノベーションを指します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?DX推進のメリットと課題も解説

建設業界においてDXが注目される背景

少子高齢化が進んでいる日本では、人口の減少にともない労働人口も減少していることが大きな社会課題となっています。この傾向は建設業界でも顕著で、人手不足の問題がより深刻になってきています。少子高齢化が加速する中では、働き手の大幅な増加は見込めないため、人員を割くことなく、同じ作業を続けられるかが鍵です。さらに、インフラの老朽化が進む一方、公共事業費の縮小により、予算も人員も十分に確保できない状況にあり、重大な事故も発生し始めています。そのため、インフラの点検やメンテナンスをDXで省力化・効率化していくことに注目が集まっているのです。このような背景から、DXは建設業でも推進が求められています。

建設業の特徴と課題

建設業は、基本的に屋外で作業する仕事が中心です。発注先から発注を受けて構造物をつくる受注産業です。仕事の現場が事務所から離れているため、機械化により効率化するのが難しいことが特徴の一つといえます。また、一つのプロジェクトに多数の関係者が関わりますが、現場は下請けや孫請け企業の作業員が対応します。建設DXは、元請けだけが進めても下請けが動かなければ、全プロジェクトの効果は限定的なものになるでしょう。

建設現場の仕事では、設計図面を読んだり、必要な部材を組み上げたり、その場で部材の加工を行うこともあり、幅広い技能が必要です。また、鉄筋工事にも木造建築にも、独自のノウハウがあり、さらに企業によっても異なります。

以上が建設業の主な特徴ですが、建設業が抱えている課題についても見ていきましょう。

労働生産性が極めて低い

アナログな仕事が根強く残る建設業では、いまだに図面や報告書などに紙が使われているケースが多く見られます。紙の報告書の場合、変更が入った場合に関係する箇所の紙面をすべて修正する必要があり、時間も手間もかかってしまい、労働生産性が低いと言わざるを得ません。

建設業の場合、現場ごとで業務や作業が違うことや、手作業が多いことも要因です。また、プロセスが細かく分割されていて、それぞれのプロセスにたくさんの人が関わっているため、情報伝達などに手間がかかることなども問題として挙げられています。

人材不足

人材不足は多くの業界で課題となっていますが、全産業の中でもとくに建設業では深刻な状況です。人材不足が技能承継の遅れの要因にもなっているため、後継者不足から事業継続が難しくなっている企業も少なくありません。建設・建築現場へのマイナスイメージから、若年世代が建設業を進路志望先に挙げていない傾向も人手不足の要因と考えられます。今後も建設業が地域社会を支えていくためには、若年世代が興味を持てるように、建設業に対する旧来からのイメージを払拭する必要があるといえるでしょう。

また、コロナ禍をきっかけに、多くの企業でDX化のニーズが高まっており、DX人材の確保が急務とされています。2020年のDX市場の求人倍率は、前年比をはるかに上回っています。

高齢化が顕著

建設業界の人材問題は、人手不足だけではなく、高齢化も挙げられます。建設業界では、若年労働者の不足が顕著です。就業者のうち若年層が占める割合が年ごとに低下傾向にあり、高齢化が進んでいるのが現状です。高齢者は体力や筋力、判断力などが若い世代より低下してくるため、さまざまなリスクを抱える可能性が多くなってきます。また、積み重ねてきた実務経験や勘による業務がルーティン化すると、業務管理ツールなどのITを活用した新しい取り組みに対応できない可能性が高くなります。

建設DXの導入メリット

DXを取り入れることで、業務の効率化、省人化、技術継承が進み、建設業界のさまざまな課題解決につながります。各メリットについて解説します。


業務の効率化

デジタル化の促進により、これまで人手がかかっていた業務の自動化や、業務共有などが可能になります。例えば、図面の共有はタブレットやPCで確認でき、締結作業は電子契約を導入することで簡略化が可能です。また測量データや図面などをもとに3次元モデルを作成し、意匠や構造・設備設計、コストなどの情報も落とし込んで一元管理することができます。その結果、関係者同士が建設現場に行かなくてもリモートで画面を使いながら仕様の打合せなどができるようになり、迅速な確認プロセスが可能です。作業員の進捗状況についても把握しやすくなり、効率的な工事管理、安全性の向上が期待できます。

省人化

DXによる省人化効果もメリットです。省人化は、業務効率化のため、工程を減らすことで人手不足の問題を解消する考え方です。例えば、現場の管理や指示などはモニターカメラを使えば、遠隔からでも指示や管理ができます。また、作業現場に人がいなくても、ロボットが資材の運搬などを自動で行うことも可能になるなど、作業が劇的に軽減されます。ロボットやカメラを使えば、深夜の監視や清掃なども可能です。このように、施工状況や指定材料の確認など、従来現場で行っていた業務が事務所で行えるため、少ない人員で作業や業務をこなせます。

技術継承

先述したように、建設業界では高齢化と人材不足により技術継承が難しくなっていますが、こうした問題解決につながるのがDX技術です。DXを活用すると、熟練技術者がどういう情報でどのように判断したかというデータが残るため、社内全体で共有できます。対面で指導を受けなくても、そのモデルを参照すればノウハウを学べるのです。多くの技術者が学ぶことができ、データは後から確認することもできます。

また、職人の動きなどをAIが映像解析して、動きを再現することでも技能継承が可能になってきました。このようにDX技術の導入で、熟練者のノウハウを記録し、デジタルデータ化することで、他の作業員や新人が学べる環境を作ることができるでしょう。

建設DX推進に向けた国の取組事例

国土交通省が建設DXを提唱していますが、ここでは国が現在取り組んでいる事例をいくつかご紹介します。

i-Construction

i-Constructionは、国土交通省が掲げる取り組みの一つで、ICTを活用することで建設生産システムの生産性向上を目指すものです。

国土交通省は、以下の3つの施策を進めています。

  • IICTの全面的な活用(ICT施工)
  • コンクリート工規格の標準化など
  • 施工時期の平準化など

ICT施工は、あらゆる建設プロセスでICTを活用し、業務の改革を目指すものです。2025年までに生産性を2割伸ばすため、さまざまな取り組みが行われています。またコスト削減や生産性の向上を目指して、部材のサイズなどの規格を標準化し、工場製作化を進めています。さらに公共工事は4〜6月の第1四半期に工事量が少なく、かなり偏りがあるため、 適正な工期確保のため、2か年国債を設定しました。

インフラDX 総合推進室の発足

2021年4月1日、国土交通省は「インフラDX 総合推進室」を新設しました。本省・研究所・地方整備局が一体となって共同で建設業のDXを推進する体制が整備されたのです。デジタル技術とデータの活用により新しい働き方や生産性・安全性の向上などを目的としており、インフラ分野のDXに国が動き出したことが示されています。インフラ分野でのDX推進に向けて、環境整備、新技術の導入促進、人材育成などの強化に取り組むとされています。

BIM/CIM

BIM/CIMとは、建設業の計画・設計の段階から3Dデータを用いる取り組み全体のことを指す言葉です。3次元モデルを導⼊し情報を充実させ、事業全体の関係者が情報を共有することで、業務効率化・⾼度化を図ることが目標です。国は2023年度までに、原則小規模工事を除く全ての公共工事でBIM/CIMを適用するとしています。具体的には、オンライン電子納品、リモートによる監督などは速やかに整備して開始し、3D技術に対応可能な人材育成、現場に応用するデジタル技術の開発などを段階的に進めていく予定です。またDXを進めることで、建設業に対して従来からある3Kのイメージの払拭も目指しています。

建設DXで用いられる技術とは?

建設DXには具体的にどのような技術が用いられているのか見ていきましょう。

ドローン

無線で遠隔操作されるドローンは、無人の飛行物体です。膨大な日数を要する数百万もの地点の測量データでも、ドローンを使えば15分で取得できます。危険が伴うリスクがある高所や斜面での確認作業も、ドローンを使えば現場で目視する必要がなく、従業員の安全を確保できます。高所の点検作業では、足場の組み立てが必要なことも多く、予算と人手不足が課題でした。しかし、ドローンを活用すると、少人数で安全かつ安価に点検作業ができるため、建設業の働き方改革の役目の一部を担っているといえます。

AI(人工知能)

AIは、人間の思考の一部をシステムで再現する技術です。建設業では、熟練職人の動きなどを映像解析することで技術継承に一役買ったり、3Dモデルデータを処理したり、など幅広い活用が注目されています。とくにAIの画像診断の精度は非常に高いことで知られており、インフラの老朽化の検知や事故防止などでも役立てられています。今後、建設業界でDXの導入が進み、蓄積されるデータがさらに増えてくると、AIの重要性はより増していくでしょう。

クラウドサービス

クラウドサービスは、インターネットを介して使用する会計ソフトやビジネスチャットのような、ソフトウェア全般を指します。施工管理アプリなど、建設業に特化したソフトウェアもあります。データを一元管理したり、ノウハウを共有したりするためには、クラウド型の管理システムが最適です。日々の業務の効率化の基盤となるクラウドサービスは、建設業に限らず、あらゆる産業のDXに貢献しているツールです。

3次元モデルデータ

3次元モデルデータとは、先述しました「国の取組事例」の中でご紹介したi-ConstructionやBIM/CIMの中心となる技術です。3Dデータでは、建設中の構造物の状態をさまざまな角度から確認することができ、これまでの2次元の図面では確認できなかった問題点を発見することが可能です。また、設計、測量、施工、維持管理などの各プロセスに3Dデータを活用することで、情報やイメージの共有ができ、確認や修正面での効率化も期待できます。最近では、特定のスマホやタブレットに搭載されている機能による3次元モデルデータの作成方法が注目されています。

建設業のDX化の第一歩は「SMS」から始めよう

DX化の波に乗って、コミュニケーション手段としてSMSを利用する企業が増えています。建設業では、工事の件で緊急に連絡が必要な事項が発生した際に、関係者一人ひとりに電話やメールで連絡するのでは迅速に指示を出せません。「電話に出てもらえなかった」「メールに気づいてもらえない」といったことが起こりやすく、連絡がつくまでの間は作業を停止せざるを得ないことが発生していました。DX化では関係者間での迅速なやりとりが大切です。携帯電話宛のSMS送信ならば、着眼率が高いため、メールよりも早く気づいてもらえるため、課題解決につながりました。

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まとめ

建設業界では、業界特有の課題解決として、DXに注目が集まっています。DXを導入することで、建設業で課題となっている人手不足、生産性の低さ、技術継承といった課題を解消できるでしょう。国も建設DX推進に向け、「インフラDX 総合推進室」を発足し、本格的にDX推進に取り組んでいます。アナログのイメージが強い建設業界では、AI、ドローン、3Dデータなどの先端技術を活用することにより建設業のDX化が進むことが期待されています。

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