小売業界は新型コロナウイルスの影響により、大きなダメージを受けています。こうした中で、小売業界でもDXが注目されており、DXによって課題を解決できるのではないかという見方も多いです。本記事では、小売業界の現状と課題を確認した上で、小売業界の課題解決にはDXが必要な理由を見ていきましょう。あわせて、小売業界が推進すべきDX戦略・施策の例やDXに取り組む際に小売業界が対策すべきポイントなどについても解説します。

小売業界の現状と課題とは

2020年春先に世界各国に蔓延した新型コロナウイルスは、日常生活のあらゆる場面に大きな影響を及ぼしました。

その中でも、新型コロナウイルスが小売業界に与えた影響は大きく、その影響について多くのメディアで連日報道されています。東京商工リサーチの調査によると、新型コロナウイルスの影響で経営破綻した企業は2021年3月3日の時点で飲食業が201件、アパレル業が104件です。特に、飲食業に与えた影響は大きく、例年と比べて売上が半分を下まわった企業は41.5%にもおよびます。

こうした厳しい状況下、小売業界が生き残るには新たな改革が不可欠です。その1つとして、DX推進が挙げられます。現状としては小売業界全体でDXの導入が遅れている傾向にあり、業界全体がアナログな対応を行っています。例えば、小売業界におけるバックエンド業務には受発注や検品、請求など煩雑な作業が多いですが、これらの業務を人間の手で1つずつ行っている企業も少なくありません。

小売業界の課題解決には“DX”が最適

小売業界が抱えている課題を解決するにあたってDX(Digital Transformatio)の推進をおすすめします。DXとは日本語でデジタルトランスフォーメーションと称し、企業がITやデジタルを活用して経営課題を解決する他、新たなビジネスの創出を目指していこうという概念です。

現代社会では消費者の価値観が多様化している他、消費者にはさまざまな選択肢が与えられているため、企業にとって同業他社間の競争が激化しています。そのため、従来の方法ではこれまでのように利益を上げることが困難に。

一定以上の利益を継続的に出すためにはITやデジタルを駆使し、同業他社との差別化を図る他、独自のビジネスの展開が求められています。今や、顧客から選ばれるサービスを提供するにはITやデジタルが不可欠といえるでしょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?DX推進のメリットと課題も解説

小売業界におけるDXの成功事例を紹介

ローソン

ローソンは同業他社の中でもDXを率先して進めています。AI技術を用いた半自動の発注システムを導入しているため、他店と連携がとれた品揃えとなっています。扱われている商品が各店舗において等しいため、顧客は安心して利用できるでしょう。また、セルフレジやスマホレジ、自動釣銭機付きPOSレジなどを導入し、従業員の負担も軽減しています。

参考元:ローソンと日本マイクロソフト、AIやデータを活用した店舗のデジタルトランスフォーメーションにおいて協業|ローソン公式サイト

三越伊勢丹

三越伊勢丹はリモートショッピングアプリを導入し、オンライン接客を行っています。顧客はビデオチャットを介してスタッフに質問できる他、商品の状態などを映像で確認可能。店舗に足を運ばなくても店舗にいるかのような接客を受けられるため、遠方の顧客や事情があって店舗に足を運べない顧客にとっても助かるサービスとなっています。

参考元:どこにいてもリモートショッピングが楽しめるお買物スタイル|三越伊勢丹グループが取り組む新しい価値の創出|事業内容|株式会社三越伊勢丹ホールディングス

無印良品

無印良品は2017年のデジタルマーケティング成功企業(日経デジタルマーケティングの調査)で第1位に輝きました。同社は自社アプリMUJI passportを導入。このアプリは店舗を訪れたり商品を購入したりするとポイントが貯まります。また、同アプリでは商品の店舗在庫情報を確認できます。

参考元:デジタル活用企業 1位は無印良品、2位マック:日経クロストレンド

ユニクロ

ユニクロのスーツ注文サービスは店舗でのサービスとオンラインでのサービスが組み合わされたものです。店舗で試着用のサンプルを使って採寸したら、オンラインストア、もしくはアプリから注文します。シャツは最短翌日、ジャケットは最短3日で手元に商品が届くため急ぎのケースも安心です。

参考元:【ユニクロ】デジタル改革で生み出す、服ビジネスの「新常識」

IKEA

IKEAは都心型のスモール店舗でDXを実現しています。人の出入りの多いエリアに小さな店舗を出店し、顧客に商品を直接体験してもらいます。そして、購入は主にオンラインでしてもらいます。在庫を店舗にストックしておく必要がないため、店舗のスペースを最小限に抑えられ、テナント料などの固定費を削減できます。

参考元:イケア・ジャパン初の試み“都心型店舗”として誕生したIKEA渋谷のリニューアル背景|イケア・ジャパン株式会社のストーリー|PR TIMES STORY

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小売業界が推進すべきDX戦略・施策の例とは

施策・戦略① OMOを実践する

昨今、多くの企業がオフラインとオンラインのいずれも活用して商品を販売しています。この方法は、顧客に複数のチャネルからアクセスしてもらえるため効果的です。ただし、各チャネルを個別に機能させているのであれば、そのメリットを十分に発揮することは難しいでしょう。

そこでおすすめの施策がOMO(Online Merges with Offline)です。OMOはオンラインとオフラインを融合して、ユーザーがチャネルの相違を気にせずにシームレスな購買体験を行える方法です。

ユーザーにとって満足のいく購買体験を提供することで、顧客満足度の向上、リピート促進、売上拡大などのメリットを得られます。

施策・戦略② ECサイトを展開する

小売業がオンラインでの販売窓口も設けることで、多くの顧客のニーズに応えるかたちで商品を販売できます。

例えば、店舗の営業時間に足を運べない顧客はオンラインショップを利用して商品を購入できます。また、店舗のないエリアに住んでいる顧客はオンラインストアを活用することで、商品を問題なく購入できるでしょう。

その他にも、店舗と組み合わせた販売戦略を実施することで、顧客の購買意欲を高めることもできます。

施策・戦略③ 店舗運営の効率化を図る

小売業は人手不足や長時間労働などといった課題も抱えています。例えば、バックオフィス業務はスキマ時間や営業時間の前後に行わなければならないことが多く、スタッフにとって負担になることもあります。

ITやデジタルを活用して在庫管理や受発注、顧客管理などを自動化することで、スタッフの負担を軽減できるでしょう。また、これらの業務を自動化することで、人間の手作業で生じやすいミスを回避できる効果もあります。

OMOの具体例を紹介

ECサイトとの連動、およびデータの統合

ウォルマートやIKEAなど、店舗とECサイトを連動させる企業が年々増えています。店舗で目にした商品をECサイトで購入できる、ECサイトで購入した商品を店舗で受け取りできるというように、店舗とECサイトを連動させる方法もあります。

また、データの統合を行えば、店舗とECサイトで購入する顧客の特徴をそれぞれ洗い出すことができ、集客方法や今後の店舗展開を考える上で役立ちます。

その他にも、データを連動することで店舗とオンラインにおいて接客状況の共有が可能です。

SNS集客 

比較的手軽、かつすぐに取り入れられる方法としてSNSが挙げられます。近年、小売業のマーケティングにおいてSNSの活用はもはや不可欠となりつつあります。多くの消費者がSNSを利用しているため、SNSは商品の宣伝や情報の発信などに効果的です。

顧客に郵送で各種情報を届けるよりも低コスト、かつ大人数にアプローチできます。

決済の多様化

近年、決済の方法は多様化しています。現金やクレジットカードといった従来の方法だけでなく、スマートフォン決済などさまざまです。

顧客は想定していた方法で支払えないことが会計時に分かれば、購入をあきらめてしまうかもしれません。そうなると、せっかくの販売の機会を逃してしまうことに。

現金やクレジットカードといった従来の方法だけでなく、QRコード決済や電子マネーでの支払いにも対応できるようにしておく必要があります。

オンライン接客

近年、オンライン接客を導入する企業が増えています。オンライン接客を導入すれば、顧客は店舗に出向かなくても商品を確認したり、サイズ感を把握したりできます。また、スタッフから説明を受けられるなど、店舗で購入するのと同様の接客を受けられるのも特徴です。

遠方に住んでいる顧客や新型コロナウイルス感染対策で外出を控えている顧客なども、商品を購入しやすくなるでしょう。

DXに取り組む際に小売業が対策すべきポイントとは

ポイント① 経営戦略の突き詰め・連動

DXとは目標を達成する手段であり、DXの導入自体が目標にはなりませんので注意しましょう。

DXを導入する際は経営戦略を見直し、経営戦略に基づいてどのようなことを達成したいのか必ず明確にしておきましょう。経営戦略に連動するかたちでDXを導入することで、導入に関する失敗を回避できます。

ポイント② DX推進人材の確保・育成

DXを推進するにはDX人材の確保・育成が不可欠です。小売業界は社内にデジタルやITに精通した人材がいないことも珍しくありません。DXの導入のみであればアウトソーシングで構いませんが、DXで成果を出すためには常駐した人材の確保が必要です。そして、デジタル施策の検討から運用、さらには課題の洗い出しまでを行わなければなりません。

日本ではIT人材の不足が問題となっており、需要と供給が一致していない状況です。そのため、IT人材を新たに雇い入れることだけでなく、自社での育成も視野に入れる必要があります。

ポイント③ 既存のシステムとの連携・共存

小売業がDXで成果を出すには、ビジネスに新しいデジタル技術やデジタルツールを導入するだけでなく、既存システムとの連携や共存を検討する必要があります。

既存システムには長年におよんで蓄積された顧客情報や販売情報が大量に蓄積されています。新システムの導入後もこれらの資源をいかにして活かせるか検討しなければなりません。

小売業界のDX導入ならSMSの活用がおすすめ

小売業界はお客様と連絡を取る機会が多いです。例えば、飲食業では予約の連絡やメニューに関する問い合わせ、アパレル業では商品の在庫確認やお取り置きなどに関する問い合わせが挙げられます。

店舗スタッフがお客様に電話をかけなおしてもなかなかつながらないケースや、お客様の空き時間とショップの営業時間が合わないケースも少なくありません。ショップスタッフにとって何度もかけなおす手間が生じるだけでなく、お客様にとっても必要な連絡をなかなか受け取れないといったデメリットもあります。

SMSを活用すれば、ショップスタッフはスキマ時間などにメッセージをお客様に送ることができ、お客様も都合のよい時間にメッセージを確認できます。お店側の負担もお客様側の負担も軽減されることでしょう。

法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」

お客様とのコミュニケーションの円滑化を目指す企業には、KDDI Message Castがおすすめです。

KDDI Message CastはKDDIグループが提供するSMS送信サービスです。1通につき最大660文字送れる他、画像や動画の送信もできます。

また、このサービスはキャリア直接続で高い到達率を実現している他、24時間365日受け付けの監視運用サポートに対応しています。

まとめ

近年、小売業が抱える課題は深刻なものです。特に、飲食業やアパレル業は新型コロナウイルスの影響を大きく受けており、経営破綻した企業も多々あります。小売業がこうしたニューノーマルな時代に対応していくためには、DX推進など新たな試みが必要です。

本記事で解説したように小売業界に導入できるDXにはさまざまな種類のものがありますが、SMSの活用もおすすめです。SMSを活用することで、お客様との連絡がスムーズに取れるようになり、顧客満足度の向上につながるでしょう。

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