業務効率化の戦略としてDXが注目されるようになりました。DX推進によって業務効率や生産性を向上させている事例も増えてきています。しかし、具体的にどのような手順でDX化を進めていくと良いかがわからずに困っている方も多いのではないでしょうか。この記事ではDX推進の現状と必要とされている理由、DX化を進める上で重要なポイントを解説します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か

DXとは企業が競争力をつけるためにデジタル技術を活用し、変革をもたらすことを指します。21世紀の大きな課題として世界的に取り組みが進められていて、新しいビジネスモデルが次々に生み出されています。DXツールやDXサービスが充実したことによって、企業としても自社に合うDXを進めやすい状況になってきています。

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日本企業のDX推進の現状

日本企業では経済産業省による推進やデジタル庁の設置の影響を受けて、ようやくDXを推進し始めた段階にあります。DXの取り組みについて経済産業省はDX認定、DX銘柄、DXセレクション企業といったデジタルガバナンス・コードを設けて推進をサポートしています。DX銘柄に選定されれば企業価値が高まるため、積極的なDX事業計画を立てる傾向が強まってきました。

参照:産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX) (METI/経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html

しかし、現状としてはDX推進の程度は企業によって異なります。後述のようにDXは業務効率を上げるのに効果的ですが、初期投資が必要になるので資金力のある大手企業にしか手を出せない状況が続いてきました。さまざまなDXツールの登場と認知の向上によって、ようやく中小企業も本格的にDXに取り組めるようになってきたのが現状です。

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企業のDX推進の必要性

「2025年の崖」の危機を回避するため

経済産業省が「DXレポート〜ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開〜」で掲げた「2025年の崖」への対策のためにDX推進の必要性が高いという認識が広まっています。同レポートでは国際的な競争力のある企業として日本企業が成長しなければ2025年以降に最大で12兆円の経済損失が発生すると予測していました。レガシーシステムを捨ててDXによる競争力の獲得を目指して取り組まなければ日本産業が危機に陥るリスクがあります。

参照:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(METI/経済産業省)
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html

不動産の業務効率化は可能!どの業務が効率化出来る?

市場の変化・多様化が激しいため

市場環境は刻々と変化し、多様化が進んでいるのもDX推進が必要な理由です。インターネットの登場以降、ITやAIの進展に伴って多様なビジネスモデルによるサービスが登場してきています。変革が著しい市場状況を考慮し、ユーザーニーズを捉えたビジネスを展開しなければ企業は価値を失うことになりかねません。DXは市場における優位性を維持・向上させるための取り組みとして今後の企業成長に欠かせないものになっています。

DXの推進で業務効率化・生産性向上が実現できる理由

DX推進が業務効率化に繋がるのはなぜ?重要性や成功事例をご紹介

最新のデジタル技術で業務スピードを向上できる

業務スピードとDXは密接な関係にあります。デジタル技術の導入と運用によって業務の無駄をなくしてスピードを向上することが可能です。自動化による業務負担の軽減や効率化が実現されてきています。DXツールの活用によって自動処理を現場に導入するのが容易になりました。コンピューターがやった方が確実で速い業務はすべて機械化してしまうことで、従業員は人だからこそできる業務に専念できる体制を整えられます。

正確で迅速なデータ分析ができる

DXの根幹の一つとして挙げられるのがデータの活用です。DX推進によってデータ分析そのものを効率化することができます。データの収集・整理・分析といった一連の作業は人海戦術でおこなう必要はありません。AIの登場によって人では到底扱えないようなビッグデータも迅速に分析できるようになっています。デジタル技術を用いることでヒューマンエラーをなくし、正確性の高いデータ分析をすぐにおこなうことが可能です。

データの一元管理が可能になる

多様なシステムの連携が可能になり、データの一元管理を実現できるようになっています。DXではデータの一元管理を通して活用できるようにするのが重要なポイントの一つです。二元管理をしているとデータの複製などの手間がかかって業務効率が低下します。一元管理をすると確実に最新のデータに基づいた分析が可能です。情報共有の観点でも無駄がなくなるため、個々の業務効率だけでなく個人レベルでの生産効率も向上します。

企業の課題・問題点が改善できる

企業が抱える課題や問題点の改善につながる施策を生み出せるのがDXによる業務効率化・生産性向上ができる大きな理由です。DXは企業が競争における優位性を獲得するためにデジタル技術を活用することを指します。抱えている課題の解決を通して企業成長を推進するのは基本的な考え方です。最新のデジタル技術の導入を通して、今まではできなかった課題解決の道筋を立てることができるため、業務効率も生産性も高められます。

業務のDX化を進める際の注意点

既存の業務フローやシステムとの兼ね合いを考える

DXを推進する際には既存の業務フローや業務システムなどとの兼ね合いを考えてスマートに業務を進められる方法を検討することが必要です。むやみにシステムを導入しただけではDXによる業務改善はできず、現場を混乱させるだけになるリスクがあります。レガシーシステムの撤廃を基本として考えて刷新するのは重要ですが、新しいシステムへの意向をスムーズにおこなえるように設計しなければ従業員がついてこられないので注意しましょう。

必要予算を算定して確保する

DX化では予算確保が欠かせません。デジタル技術の導入や運用には費用がかかります。自社に合うシステムを開発する場合には莫大なコストと期間がかかる場合もあるので注意が必要です。既存のDXサービスを利用する場合でも導入コストかライセンス費用がかかります。全体としてどの程度の費用がかかるかを試算して、必要予算を確保してからDXを推進するのが大切です。中長期計画として検討して段階的に進めていくのも重要な視点です。

DX人材の獲得・教育に努める

業務のDX推進にはDX人材が不可欠です。DX人材は日本では著しく不足している状況があり、優秀な人材を獲得するには人材採用の積極的な推進をしなければなりません。人材の獲得だけでなく、社内の人材教育にも努めることが必要です。DX人材にはDXのリーダーとして牽引できるスキルに加え、最新のデジタル技術の知識と理解力が求められます。DXリーダーの種になる人材を獲得して育て上げながらDX化を進めていく必要があるでしょう。

業務効率化を実現できるデジタル技術の種類

①AI

AIは業務効率化に大きな貢献をする技術として注目されています。プログラムされたアルゴリズムによる学習によって、人と同じような形で学ぶデジタル技術です。ビッグデータの効率的な分析・応用に強いのが特徴で、画像認識や音声認識、チャットボットなどに応用されています。AIによるDXは今後も発展していく可能性が高く、独自のビジネスに合わせたAIシステムの開発によって新しいビジネスを生み出せるチャンスがあります。

関連リンク:DXとAIとの関係性とは?導入のポイントや成功事例などを徹底解説

②RPA

RPAは機械化による自動処理のためのシステムです。ルーチンワークでできる業務を正確かつスピーディーにできるシステムなので業務効率化に適しています。RPAは特定の時間に作業を実施する、ECで注文があったときにメールで自動返信するといった形で、条件を指定してレスポンスするシステムを作れるのが特徴です。システムを構築すれば安定的な運用をしやすく、条件の最適化も進められる点で有用性が高いデジタル技術です。

関連リンク:RPAとは?DXとの違いや導入メリットなどを事例を用いて徹底解説

③クラウド

クラウドとはクラウドサーバー上で提供されているシステムによるサービスを全般的に指します。DXによる業務効率化でよく導入されているサービスで、インターネットに接続できる環境があればクラウドサーバー上にあるサービスを利用できるのが特徴です。ユーザー視点でSaaSが提供されていることが多く、アカウントを作成すればいつでもどこでも利用できます。リモートワークとの親和性が高く、オンラインで共同作業もできるのが魅力です。

関連リンク:DX実現にクラウドが必要なのはなぜ?メリット・デメリットやおすすめのツールについて

④電子契約

日本でも新型コロナウイルス対策の一環として契約書の電子化が認められるようになりました。世界的にも電子サインによる電子契約を常識とする傾向が生まれているため、電子契約システムの導入はDX化でも重要視されています。対面で契約書にサインをしたり、郵送で原本をやり取りしたりする必要がないため、効率的に契約を交わすことができるのがメリットです。ペーパーレス化による環境負荷の低減との親和性も高いことから取り入れが進んでいます。

企業がDXを推進する手順

企業がDX推進を始めるときには全体像をつかんで計画的に進めることが大切です。DXを推進する手順をまとめると以下のようになります。

  • 自社の現状を把握する
  • DXの目標を明確化する
  • DX推進に必要な予算・人材を確保する
  • DX化の短期・中期・長期の計画を立てる
  • 推進のための組織を構築して進める

DXを推進するためには自社で抱えている課題を明確化し、デジタル技術をどのように使用しているかを把握することがまず準備として欠かせません。その上でDXによって達成したい目標を具体的に定めて、必要な予算や人材の手配をするのが必須です。DXには費用がかかることを加味し、マイルストーンを定めて計画的に推進することも必要です。必要な人材を集めてDX推進室などの担当組織を構築して推進していくと効率的にDXを実現できます。

DX推進でツールを導入する際のポイント

DXツールが多数登場しているため、DXを速やかに推進するにはツール導入が効率的です。ツール導入によるDX推進におけるポイントとして重要なのは現場ですぐに使いこなせることです。ツールを入れたとしても現場の従業員が抵抗感を示して使わない、使い方がわからなくて混乱するといった状況にならないようにしましょう。DXツールの導入時点で受け入れやすさや使いやすさ、サポートの状況を確認してから決めるのが肝心です。

DX推進による業務効率化の成功事例

株式会社日立製作所

株式会社日立製作所ではワークスタイルの変革に伴う労務管理のDXを実現しました。PC自動シャットダウンシステムを基軸とするシステムの導入によって、サービス労働をなくし健全な労務環境を整えています。前日までの勤怠状況を勤怠管理システムとの連携によって取得し、PCの利用制限の可否を自動判定するシステムを取り入れています。従業員に勤務時間内に業務を終わらせる意識を持たせるのに成功した事例です。

参照:株式会社日立製作所様 PC自動シャットダウンシステムの導入事例やシステム構築例を紹介|事例紹介|株式会社日立ソリューションズ
https://www.hitachi-solutions.co.jp/wsi/case08/

PayPay株式会社

PayPay株式会社では採用活動におけるDX推進によって業務効率を上げています。PayPay株式会社はタレンタ株式会社のデジタル面接プラットフォーム「HireVue」を導入して、オンライン完結のエンジニアのキャリア選考をおこなえるようにしました。オンラインでコーディングテストとインタビューを実施できるのが特徴です。国内外の優秀なエンジニアをスピーディーに採用できるだけでなく、採用コストも下げられる点で大きな成功になっています。

参照:PayPay株式会社におけるHireVueを活用したオンライン完結型採用選考プロセス運用開始のお知らせ|タレンタ株式会社のプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000058.000016792.html

日本血液製剤機構

日本血液製剤機構は安全な血漿分画製剤を安定して供給できるようにするための事業を推進し、献血による血液製剤の製造販売をしています。献血を受けて製剤をしているため、情報管理や安全管理の課題がありました。血漿分画製剤では副作用が発生することもあります。情報管理効率の向上とセキュリティリスクを低減するため、キャノンITソリューションズのシステム「PVLink Camera Report」を導入しました。MRによる報告効率と安全管理の業務負担の低減も同時に実現しています。

参照:PVLink Camera Report|導入事例|キヤノンITソリューションズ
https://www.canon-its.co.jp/case/detail/?id=7270

DX推進で業務効率化・生産性向上を目指すならSMSの活用がおすすめ

業務効率化や生産性向上の課題解決にはDXが重要です。何から始めるべきかで迷ったならSMSの活用がおすすめです。SMSは汎用性が高い情報の伝達や発信のツールです。SMSは個別にスマートフォンに通知として届けられるのが特徴で、すぐに開封してもらえます。社内通知にも社外取引にも顧客フォローにも有効活用できます。自動化にも対応できる送信サービスがあるので積極的に取り入れて業務効率化を目指しましょう。

法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」

KDDI Message Castは自動化にも対応しているSMS送信サービスです。API連携によって既存のシステムとも、今後DX推進の中で導入するシステムとも連携させてSMS送信をおこなえます。顧客管理に用いられるSalesforceとの連携や、API活用による双方向SMSにも対応しているため、汎用性が高いのが特徴です。到達率98%以上、開封率80%以上の実績もあって社外や顧客への連絡で信頼性が高いツールなのでぜひ活用してみてください。

まとめ

DXの推進によって業務効率化に成功している事例は増えてきています。有用なDXツール・DXサービスを利用しやすくなり、簡単にDXによる業務効率化や生産性向上が実現できるようになりました。AI・RPA・クラウド・電子契約は典型例です。SMSも情報を伝える手段として汎用性がある魅力的なITです。タイムリーに情報を届ける有効なDXツールなので、システム連携に対応していてDX推進に取り入れやすいサービスを選んで利用していきましょう。