「サステナビリティ」という言葉は、近年たびたび耳にするようになりました。SXは、「SDGs」などとも関係の深い概念ですが、主にビジネスの場面で用いられることからその意味がよく分からないという人もいるでしょう。ここでは、SXの意味や導入のためのポイント、導入して成功した企業の実例などをご紹介していきます。

SX(サステイナビリティー・トランスフォーメーション)とは何か

「SX(サステナビリティー・トランスフォーメーション)」という言葉は、それぞれの単語を訳すと分かりやすくなります。まず、サステナビリティの意味は「持続可能性」。そして、トランスフォーメーションは「変革」を表します。

激動する社会の中で、先行きの見えない不安を感じている方は、とても多いのではないでしょうか。企業としても、不確実性の高い環境下で存続し続ける方法を模索するのは当然のことです。こうした社会の中で、企業には稼ぐ力と社会全体を含めた持続可能性の両立が求められています。そのために、経営のあり方を必要に応じて変え、実現するための戦略が問われており、こうした戦略の指針として設定されているのがSXです。

SXとDXの主な違い

SXは、近年よく聞くDX(デジタルトランスフォーメーション)とも馴染み深い概念です。経済産業省では、DXについて2019年7月の「DX推進指標とそのガイダンス」で以下のように定義しました。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立する」
引用:「DXレポート2(中間とりまとめ)」令和2年12月28日 デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会 より

SXも、DXも、企業風土の変革や競争力の強化などによって「あり方」を変えていくという意味では似通っています。ただ、捉え方としては、DXは短期的な目標や視点である反面、SXは長期的な目標をもった取り組みと言えるでしょう。

DXについての詳しい記事は、以下をご覧ください。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?DX推進のメリットと課題も

SXが重要視される理由

激しく変化する世界情勢

新型コロナウイルスによって、これまではあまり考えていなかった経済的なリスクを多くの方が身近に感じるようになったのではないでしょうか。しかし、その他にも、災害や気候変動など、経済を脅かす事象はたくさんあり、パンデミック以前よりさまざまなリスクはありました。

DXの推進をはじめとする、テクノロジーの変革や新しいビジネスモデルなど、働く環境もどんどん進化しています。こうした大きな変化の中で、企業は継続的に成長し続け、時代とともに経営も変えていくことが求められています。

社会貢献活動

SXでは、将来を見据えた持続可能な環境や社会、企業の未来をつくっていく観点も備えています。SXの推進では、SDGsの課題でもある環境・社会・ガバナンスの課題とも関連しており、これらをクリアすることはSX推進を評価する指標にもなります。

今、まさに注目されているサステナブル市場は、今後の事業存続の要となるとも考えられており、企業にはSDGsを通じて価値を高めることが重要です。

株主へのアピール

機関投資家の注目を集めることができれば、多くの投資が期待できます。SXの推進に伴い、サステナビリティやSDGsへの取り組みにも注力できれば、より多くの投資家から意識され注目を集めることができるでしょう。SX推進の取り組みそのものが、投資家にとっては安心材料にもなります。

SXを実現するために必要なダイナミックケイパビリティ

SXを実現していく上で、必要になるのが「ダイナミックケイパビリティ」だと言われています。ダイナミックケイパビリティは、企業変革力、つまり企業が時代や環境の変化に適応しながら行動を変革させていく能力のことを示します。この能力について、より具体的な要素を示したのが以下のものです。

感知力

脅威や危機を感知する能力を指します。企業の経営環境を、顧客のニーズや同業者の動向などから的確に把握し、組織の編成や再構築に役立てます。感知力はトラブルを推測する能力でもあり、テクノロジーの進化した昨今ではその能力を磨くことが難しくなりつつあると危惧されています。

変容力

変容力とは、変化に対応できる能力のことを指します。状況に応じて組織を再編成したり、ルールを再構築したりと、企業のあるべき姿に向けた対応能力・適応能力・改革の実施能力といった意味も含んでいます。これは、企業が優位性をもつために必要な要素でもあり、場合によっては迅速に行えるかどうかも重要なポイントとなります。

捕捉力

状況を的確にとらえて、企業内の資源を再構築し競争力を獲得する能力のことを指します。少し先の未来を予測してあらかじめどのような変化が求められるのか考え準備し、外部の状況には臨機応変に対応できることも求められます。日々環境が変化する現代社会では、AIやデータ解析ツールもどんどん進化していますが、テクノロジーに依存しすぎず環境の変化の意味まで理解できる捕捉力が求められています。

SX導入のためのポイントとは

サステナブルな視点を経営に反映させる

社会のサステナビリティを取り込んで経営に反映させることは、SXにおける重要なポイントでもあります。SDGsに関する事業を始めることや、社会の課題の解決に役立つような事業を始めることは、企業の価値を高め人々の関心を集めることにもつながります。さらに、未来の社会を見通して行う事業は経営の強化になるため、さまざまなメリットも期待できるでしょう。

リスクに備え対処できる経営を行う

SXの本質は、社会と企業の両方がサステナビリティを目指して企業の価値を高めることにあります。さまざまなリスクを考え、それに備えて状況に的確に対処することは、目まぐるしく環境が変わる現代において不可欠といえます。

近年で言えば、新型コロナウイルスの影響を多くの方が実感したことでしょう。その他にも、自然災害や国家間の紛争、金融危機、急速に進化し続けるデジタル技術など、大きな変化に伴うリスクによって必ずしも企業の将来が安定しているとは言い難い出来事がたくさん起こる時代です。テレワークや事業継続計画の策定など、リスクに備えた整備をすることが備えにつながります。

企業のサステナビリティを重視する

先に触れた、社会のサステナビリティを取り込み向上させたとしても、企業のサステナビリティが不安定ではSXの目的を果たすことはできません。企業が長く存続し、安定し続けるために何が必要なのかを考え対処することが重要です。

例えば、最先端の技術を積極的に活用したり、リソースの最適化を行ったりすることで企業の価値を高めることは、企業が競争において優位に立てる力を養うことにもつながります。こうして事業や企業の持つ力を強化して、いつの時代においても稼げることが大事なポイントとなります。

SXを実現した企業の成功事例

株式会社みずほフィナンシャルグループ

みずほグループの株式会社みずほ銀行やみずほ信託銀行株式会社、みずほ証券株式会社は、SXの推進支援や強化のために「サステナビリティ経営エキスパート」を有する約1,000名の社員を増員しました。

みずほグループ全体だけでなく、中堅・中小企業のサステナブル経営の重要性が必須と考えられており、これらの顧客のSX推進支援強化に注力されています。みずほのソリューションネットワークを通じた多様なコンサルティングや独自スキームによるサステナブルファイナンス商品の開発など、多岐にわたる支援を展開。日本国内で積極的にSXを推進する企業の代表的な存在です。

参考:みずほFG:中堅中小企業向けSX推進支援の強化について~「サステナビリティ経営エキスパート」約1,000名を配置~

ユニリーバ

日用品メーカーのユニリーバが開発した自動販売機「Smart Fill」は、インドの生活用品店に設置され、自分が持っている液体が入れられる容器を持参して製品を使う分だけ購入できる仕組みをつくりました。プラスチックのリサイクルを進めつつも、自社製品を購入してもらえるといったメリットがあり、注目を集めています。

日本国内でも、「ユニリーバリフィルステーション」として、全国にいくつかの店舗を展開し、シャンプーやボディウォッシュなどを量り売りできる場所を設けて実証実験がすすめられています。

参考:リフィルステーション | Unilever

Nature Innovation Group

「アイカサ」という、傘のシェアリングサービスを展開し、使い捨て傘のゴミ削減を目的としたプロジェクトで知られるようになりました。ビニール傘は突然降ってきた雨に遭遇したときに購入される機会が多く、その消費本数は年間8,000万本とも言われています。

突然の雨の度にビニール傘を購入して無駄にするよりも、24時間110円でいつでもどこでも傘が使えるサービスを展開することで、ユーザーにとってはお財布にやさしく、そしてビニール傘のゴミが削減できるという取り組みです。現在、日本の一部の地域でサービス展開されていますが、そのエリアは拡大中です。

参考:アイカサ | 傘のシェアリングサービス

SXの実現にはSMSの活用がおすすめ

SXの実現に向けて、さまざまなツールも活用・見直しする企業は多いのではないでしょうか。顧客とのコミュニケーションの手段として、電話やメール、郵送でのDMが用いられることはしばしばありますが、それらには課題も多いとされています。

例えば、電話をしてもつながらない、メールの開封率が悪い、郵送のコストが高いなどがあげられるでしょう。一方、SMSでのコミュニケーションはそれらの問題が改善できると話題です。SMSはメールよりも開封率が高く、相手との時間が合わなくても情報を伝えることができる手段です。さらに、郵送コストの削減や紙の消費を防ぐことができます。

法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」

KDDI Message Castは、業界最安水準の、長文も送れるSMS送信サービスです。初期費用や月額費用は無料で、かかる費用は従量課金制。一通のSMSで送れる文字数は660文字と多く、必要な情報を適切に届けることが可能です。

開封率の高いSMSを、簡単に一斉送信や個別送信によって顧客に届けることができます。Web接続で管理できるため、テレワークにもおすすめです。

KDDI Message Castは、既に行政機関やさまざまな企業に導入されており、それぞれの課題であった顧客とのコミュニケーションや情報の伝達に関する課題を解決に導いています。

まとめ

SXは、長期的な視点で未来をとらえ、企業が長く存続し稼ぎ続けるために不可欠な考え方と言えます。積極的にSXを推進している企業は少なくなく、特に先行きの見えにくい現代においては重要です。日本では、「失われた30年」という言葉も聞かれるようになり、将来への不安を抱える人も増えています。だからこそ、企業は100年先を見据えた競争力や持続力が求められます。SXの視点をもち、社会の問題にも適合するような取り組みをすすめていくことが、これからの未来を左右すると考えられています。

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